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第二章 アカデミー編

第56話 「リーダー就任」

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 リムラッドの酒場の料理は『安くて量が多く、味も良い』という、リスティアを根城にする冒険者や、騎士団員達からも太鼓判を押されているらしい。

 リク達の目の前には、その料理が所狭しと並べられ……大きな丸テーブルから溢れんばかりに皿があるのだが、これだけで終わりではないとナーストリアは笑顔で言う。

 話し込んでいて、せっかくの料理が冷めてしまいそうな状況にリク達は話し合いを一時中断し、食事に集中する事になった。

 ただ、黙々と食べるのも何なので…雑談をしながらになるのは仕方がないところだ。この機会にと各自は気になった事を互いに聞き、答えあう。

 そして宣告通り、大食漢のアレイを中心に大皿の料理を平らげるのとほぼ同時に…いつの間にか席を立っていたナーストリアが次の料理を載せた大皿を運んでくる訳で…


「おい、ナーシャ!!ちょっと待てよ!ンな大量の鶏の揚げ物、八人で食い尽くせると思ってんのかよ!?」

「何言ってるのよミーリィ。皆食べ盛りでしょ?腹が減っては良いアイデアも出ないってものよぉ?…さ、どんどん食べてね!」

「……いや、俺は一向に構わんのだが…既にイリスとシードは限界ではないか?さっきから食後用のお茶ばかり頼んでいるぞ」

「そ…それがしは元々食が細い方でござって…少々食べ過ぎたでござる。アマツミの緑茶が胃に染みるでござるよ…」

「私も…うう…そろそろ限界かな…って……お、お腹…苦しい…」

「美味いのに勿体無いなぁ。俺はお替りがまだまだあるって言うんなら、もっと貰うよ。今日は思った以上に闘気オーラ魔力マナも使ったからさ…もう腹減ってしょうがなくて…」


 アレイとリクの二人は、途切れる事なく運ばれる料理を次々に平らげていくのだが、二人とは対照的にイリスとシードは既に満腹のようで、戦線を離脱していた。

 食後のデザートにはまだ至ってはいないようだが、東方の国・アマツミ特産だという緑茶を飲みながら、これ以上は無理だと苦笑を並べている。

 確かにミーリィが文句を付ける程、ナーストリアが運んでくる料理はどれもこれも鬼盛り仕様であり、幾ら何でも過剰なサービスだったのが…

 元々他人の三倍は食べなければ足りない、と普段から公言するアレイ。そして模擬戦で予想以上に消耗している事を自覚するリクは、手加減のない厚意をこれまた手加減抜きで応戦していた。

 そしてもう一人。黙々と食べながら…ぶつぶつと何かを呟いているシルヴィアと、マイペースに食べ進めているルーカスも残っている。


「……うん、味付けも濃過ぎず、薄くも無い。香辛料は…お酒と合わせる為に少し多め。外の衣はカリッとしてるし…中の鶏肉は柔らかい食感……これはホントに冒険者の人向けだし、人気なのも分かるなぁ…」

「…食べながら料理の分析?……もしかして、昔からリクの食事とか…家族の食事とかはシルヴィアが作るの手伝ってたりするのかな?で、今は料理を担当してる…とか?」

「えっ?……そうだね。リっくんも料理は出来るけど、大体7歳位から…皆の食事の用意とか、家事全般は私の仕事、って感じだったかなぁ。今はあんまりさせて貰えないんだけど」

「マルが全部やってくれる…っていうより、シルが何か家事をしようとすると止めるからなあ。今度ウチに来ればどういう事かは分かって貰えると思う」

「えええっ!?私がお店の手伝いを始めたのって…10歳からよ!?それもお皿を下げたりするのが殆どだったし……」

「うーん……これは、思った以上に僕達とリク達の間にはとんでもなく差があるんだって…ホントに自覚するしかないねえ…いや、驚いたよ。今日何度目か分かんないけど…」

「……一生分位驚く覚悟しといた方がいいぜ、ルーカス。アタシとアレイは昨日もうやったけどさ。この程度じゃねえぞ?…ホントにコイツ等、とんでもない人生歩んで来てるぜ…」


 食べ始めから一貫してシルヴィアは、リムラッドの酒場の料理を口にする度、その調理方法と味付けを自分の舌で『解析』し……レシピを獲得する事に余念がなかった。

 熟考すると、考えが口から漏れ出てしまうのは彼女の癖なのだが、あまりに真剣なその様子を見たルーカスは、シルヴィアにリクや自分の食事を用意する為にそうしているのか?と尋ねる。

 ここまでの雑談でリクとシルヴィアは皆に、昨日アレイとミーリィに話した事をかいつまんで説明していた。

 流石に夕方から夜まで掛かった二人程、詳しくは話せて居ないのだが、それでも大体の事情は伝わっただろう。何故そこまでの強さを得たのかや、リスティアでどうやって暮らしているのか…

 その辺りの事情を踏まえての…何という事もない質問だったのだが、シルヴィアののんびりとした答えに、またも驚かざるを得ない事になる。

 きっと昔から師匠や母親の料理の手伝いをしていたのだろう。だから興味があるのでは?…程度のつもりで振ったのに、返ってきたのは『7歳位から家事全般を担当してきた』というのだから。

 これに、一頻りの仕事が終わったらしく戻ってきたナーストリアが身を乗り出して驚く。鮮やかな動きで手際よく店を回していた彼女も、家の手伝いの『真似事』らしき物を始めたのは10歳になってからだと言う。

 両親共にリスティアに店を構えるプロの料理人。娘の適正を見極め、手伝いを始めさせるタイミングを慎重に計った上でそうしたようなのだが……常連客の手助けもあり、ナーストリアは次第に店での動き方を覚えて行き、今日に至るわけだ。

 これに対し、シルヴィアはリクの助けを受けてはいたが…基本的にほぼ全ての家事を師・エリスと母・メルディアに任されていた。食事に限って言えば5歳後半には大体全部をこなしている。

 スタート地点もおかしければ、段階もおかしい。そして何より…大人が全く手を出していない辺り、シルヴィアは師と母の家事を『見て覚え』そして『独力でモノにした』と言う事なのだ。

 そんなシルヴィアには到底及ばないが、彼女を手伝ってきたリクもやはりというか…同じ様に『見て覚えた』事は一通り出来るらしい。

 食べる事を暫し忘れ、茫然としかけるルーカスに、昨晩ほぼ同じ目にあったというミーリィがそっとトドメを刺した。この程度で驚いていたら身が持たないぞ?と……

 ルーカスは苦笑いを返しつつ、どれだけでも驚く覚悟を決め、再び料理に手を伸ばす。

 自分達がリクとシルヴィアに遠く及ばない事は、嫌という程分かった。なら、明日から死ぬ気でそれを埋めていくしかない…その為にも、今は英気を養おうと。


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「……良い食事だった。流石に自慢するだけの事はあるな、ナーシャ。我が家の使用人達が足繁く通うのも納得の美味さだ」

「ありがと♪伯爵家のアレイ君に褒められたとあっては、ますますウチの評判もあがるわねぇ~」

「俺自身は何の権限も持たないのだがな。さて…リクよ。そろそろ話して貰おうか、何故俺がZ組の代表…リーダーとして推されるのだ?」


 明らかに八人分ではない、それこそ20人超の宴会料理かという量の料理を平らげ、悠然とアマツミ特産の緑茶を飲むアレイは、満足した表情でナーストリアに店の料理の素晴らしさを褒める。

 伯爵家のアレイに好評を得た彼女は笑顔でVサインをアレイ、そして厨房とカウンターの奥から顔を覗かせる両親に向けてしてみせた。

 そして全員がお茶や、ナーストリアが作ったというデザート……葡萄を用いたさっぱりとしたゼリーを食べる中、アレイはリクに本題の話を再度切り出す。

 丁度、そのゼリーを平らげてお茶をすすっていたリクは……一瞬何を言われたのか分からない様子で首を傾げるが…話が肝心な所で中断していた事を思い出し、ポンと両手を打った。


「ん?……あ、そうだった。すっかり忘れてた」

「お前な……居住まいを正した俺がバカみたいではないか!……もう良いから早く話せ…」

「一つ目は、アレイにとっては嫌な話だって分かった上で言うぞ?…俺達Z組にとっての『抑止力』になれるのが、伯爵家の嫡男のお前しか居ないって事だよ」


 見事なボケをかましたリクにアレイは思わずテーブルに突っ伏しそうになる。出鼻を思いっきり挫かれ、ジト目でリクを見れば…本当に悪い!と両手を合わせ頭を下げられていた。

 完全に気が抜けてしまい、もう作法もどうでも良くなったアレイは諦めて話の先を促す。

 その言葉に、真剣な表情になったリクは頷き……Z組を守る為に、『ハーダル伯爵家の嫡男』というアレイの肩書が必要となる事が、第一の理由であると告げた。


「……予想しなかった訳ではないが、やはりそうなるか…つまり、A組を始めとする貴族の子弟が家名を頼った場合の備え、と言う事だな?」

「そういう事。正直、アカデミーで俺達と普通にやりたいっていうアレイに頼むのは……悪いと思う。ただ、演習まで一ヶ月で出来る備えは他には思いつかない」

「え、えっと……リク君は、貴族の人…A組の生徒が、私達を妨害したり…そういう事があるかも知れないから、油断するなって…そういう事?」

「イリス、妨害っていうか…A組担当の学年主任の先生は、生徒の家の力でも普通に使ってくると思うよ。多分、潰しに来る筈だ……今日、俺達に近づいて来てたあの『悪意』がその先生の物なら…ね」

「悪意?何だよそりゃ?アタシ等が教練グラウンドから出る時には、その先生とやらはまだ来てなかっただろうがよ?」

「それはね、ミーリィ。リっくんと……私が感じたのは、魔物が出す『瘴気』と殆ど区別出来ない位、禍々しい気配だったの。アルベルト先生の見ていた方向と、近づいてくる感覚とが一致してたから…間違いなく、学年主任の先生だと思う」

「俺達は魔物が出す『瘴気』を探知して…見つけて、討伐任務をこなしてきたんだけどさ。その所為でかなり敏感に気配とか瘴気とかを感じるようになってるんだと思う。で、今回もそれを感じた訳だけど…」

「……私達に向けられていたのは…強い殺意と、歪みきった…恨み、妬みといった感じの負の感情だった。正直、魔物並みの強烈な『悪意』って感じかなぁ…」

それがしも殺気や殺意の類は捉える事が出来るでござるが…二人の探知範囲はそれさえも尋常ならざる物でござるな……全く分からなかったでござる」

「……成程な。お前達が感じたのなら、それは間違いないのだろう……正直、気は進まない。だが、そうも言ってはおれんのも理解は出来た」


 第一の理由。それはリクとシルヴィアが敏感に感じ取った、学年主任の『悪意』を理由とする……貴族階級の子弟を利用した『権力によるZ組』潰しを阻止する為、という事。

 ミーリィが指摘する様に姿こそ見てはいないが、数えきれない実戦で培われた二人の鋭敏な感覚は、自分達に向けられた禍々しい…魔物が発する瘴気にも似た気配を確かに感じた。

 その先生が担当するクラスは…貴族の子弟のみで固められたと聞くA組なのだ。最優秀とされるクラス故、各生徒の実力自体も高い筈だと推測されるが、今回は何よりも『貴族』が多く居るのだという事が重要である。

 既に方々にZ組が厄介者だと吹き込んでいる事実がある、とアルベルトから知らされている以上…自分の担当する生徒には、それ以上の悪評を刷り込んでいる可能性が高い。

 加えて、最上位クラスに属しているという自負があろう生徒達は、厄介者集団と思い込まされたZ組の取り潰しを自分達の家に訴え出るかも知れない……恐らく、主任はそれを狙っているのだろう。

 殺意さえ渦巻く悪意の中からリク、そしてシルヴィアの二人は流れ出る感情を読み取り…そう判断した事をアレイや皆に説明する。

 正直、そうは思いたくない……話を聞いた皆の表情が険しい物になる中、大きな溜め息を吐き、諦めた様な口調のアレイは一つ目の理由について、納得せざるを得ないと述べた。


「アレイ君、ごめんね…勿論、私達皆でそうはならないように頑張るからね?……それと、二つ目の理由だよね。それは…」

「俺が言うよ、シル。こっちはアレイ個人に頼む方だし、否定したって受け入れないからな?」

「……さっきよりも余程怖いぞ、それは」

「今日の俺達の模擬戦の時さ、時々そっち見てたけど。皆、アレイを中心に集まってたろ?で、俺達の戦闘について話し合ってた……そうじゃないか?」

「確かにそうだねえ。何となくだけど、アレイのとこに皆集まってたけど…」

「……読めたぜ、リク。お前とシルヴィアは、アレイに指揮官をさせようって腹だろ?」

「流石にこの手の事は鋭いな、ミーリィは。部族で狩りをしてたって聞いてたけど、それでかな?……兎も角、アレイには指揮を取る人間の才って言うのかな…そういうのが有ると思うんだ」

「確かにそれがし達とアレイ殿では、戦況を見る視線が違ったでござるな。その意見にそれがし達が納得していたのも紛れもない事実でござるし」


 アレイ自身が伯爵家の家名を用いる事を好まない事を承知した上で、その家名をもしもの時には頼る事があるかも知れない事を謝るシルヴィア。

 そして、申し訳なさそうな声ながらも、彼女は続けて二つ目の理由を口にしようとするが…リクが途中から代わって話し出す。

 リク達の言う第二の理由は、アレイの個人的資質……全体の指揮を取る事が出来る、指揮官としての適性の高さを見出した。というものだった。

 戦闘の最中、リクとシルヴィアはアレイ達がしっかりと見える様に…と立ち位置を考えての移動をなるべく心がけていた。

 これはアルベルトに誘導された感もあったのだが、途中でその意図に気付いた二人は、自分達の動き…連携を出来るだけ多く見せていたつもりだ。

 そうすると、当然ながらアレイ達の動きも少しではあるが見えてはいた訳で……皆がアレイを中心に集まり、リクとシルヴィアの戦いを自分達なりに分析し、話し合っているのが分かった。

 一方、当事者側のミーリィも同じ様に感じたらしく…途中でリクの考えを読み取ってみせた。

 部族総出での狩りには何度も参加していた彼女は、長を中心とした指揮・連携の大切さを身体に叩き込まれている。その長と似たような資質をアレイが持ち合わせている事を、ミーリィもまた感じたのだ。

 そして、最後にシードが言うように……皆がリクとシルヴィアが、それぞれ単騎で戦っていると見ていた中、アレイだけは『意図を持った動き』である事をしっかり見極めていたのだ。

 それは戦況を一点で見るのではなく、大局的に見れる事の証左。言い換えれば、俯瞰して戦況を見る事が出来ていたのが彼一人であった、という事になる。

 故に、皆は自然とアレイの言葉に納得し……彼を中心にして模擬戦を見守っていたのだろう。それだけアレイの意見は的確であり、リク達の真意と合致していたのだから。


「……流石に贔屓目が過ぎると思うぞ?確かに、王都騎士団の見習い団員として、部隊指揮や戦術も学んでは居るが…俺も実戦経験が無いのだ。それを模擬戦の一件だけで判断するのはどうなのだ?」

「確かに俺とシルは実戦を何度も経験してる…ただ、俺は自分でも分かってるんだけどさ…つい熱くなると、突出しちゃうんだよ。師匠達に何度も怒られたけど…正直、直ってないと思う」

「逆に私は…考えすぎちゃって、どうしても後手に回る事が多くなる気がするの。今まではリっくんが前を固めてくれたから良かったけど…これからはそうも言ってられないでしょ?…だから、私じゃダメだよ」

「その点、アレイは良い意味で中間ってとこか…アタシもその意見に賛成だ。つーか、一緒に見てたアタシ等は…だよな?」


 幾ら皆に先んじて、指揮や戦術を学ぶ機会があったとは言え…自分はそんな器ではないとアレイはまだ難色を示すが、リクとシルヴィアはそれぞれ自分がリーダー向きでは無い事を説明する。

 猪突猛進、とまではいかないものの、リクは特に攻撃型前衛の気質があり、しばしば魔物討伐の際は一人突出してしまい…連携を考えろ!と両親からしこたま叱られる事があった。

 対するシルヴィアは、慎重かつ的確に行動しようとするあまり、最適解を得るまで考えてしまう事がままあった。そして、リクに出遅れ……やはり連係ミスを指摘されてしまった事がある。

 しかし……冷静に戦況を見る事が出来、必要となれば前線に上がって戦いながら指示を飛ばす事が…アレイになら出来る。リク達が導き出した考えはそういう事だった。

 そして、ミーリィもアレイがリーダーとなる事を支持する事を表明する。彼女の言葉通り、ルーカス、シード、イリス、ナーストリアの四人も笑顔で頷く。


「……全く、お前達は…これで断ったら何をされるか分かったものではないな。承知した…不肖、アレイ・フォン・ハーダル…謹んでZ組のリーダーを引き受けさせて貰う!」


 皆の視線が集まる中、アレイは大きく溜め息を吐いた後…迷いを振り切る様に破顔する。ここまで言われて断るなど…男が廃るというものだ、と言わんばかりに彼はしっかりとした声で、リーダーという大役を引き受ける事を宣言した。


「では早速だが、皆今夜はこれで帰って明日の特訓に備えるぞ!……リク、シルヴィア。お前達二人には明日から俺達の指導もして貰う。今夜中に何か案を用意しておいてくれ」

「ちょッ!?いきなり無茶ぶりだな!……まあ良いけどさ。お前を推薦したの、ひょっとして早まったかな…」

「ぬかせ。俺一人に押し付ける様なお前でもあるまい?リクよ。少し位、意趣返しもしておかんとな!」

「あはは……今日は寝るの遅くなっちゃうかもね、リっくん?」

「いや、シルまで!?頼む!手伝ってくれよ!!俺一人でそんなの思いつく訳ないだろ!?この通り!!お願い!!」


 就任早々、アレイはリーダーとして皆に、今夜は早く休む様にと指示をする。明日からは授業……即ち、大討伐演習に向けた『特訓』が始まるのだ。

 万全の体調で臨む為、今日はこれでお開きにして帰り支度を始める一同であったが、アレイは続けてリクの顔を見ると…真顔で言い切った。今夜中に自分達の特訓に有用なものを考えておいてくれ、と。

 その前に言われた、指導役をシルヴィアと共にやって欲しい、という事には頷いたリクであったが……これには固まってしまった。よりにもよって、何故自分一人を見て言うのか。

 そもそも、そういったプランだのメニューだのを考えるのがリクは大の苦手だ。この手の事はシルヴィアに頼り切りである彼は、縋るような目で幼馴染の少女に目線を向けるのだが…

 シルヴィアは悪戯っぽく微笑みながら、頑張ってね!とリクにエールを送る。勿論、ちゃんと手伝うつもりでいるのだが…他愛も無い悪戯を受け止める余裕のないリクは、土下座でシルヴィアに頼み込む。

 アカデミーでも彼は最強の存在ではないか?と思い始めていたZ組の面々は、リクの完璧な土下座姿に思わず吹き出し…やがて大笑いするのだった。


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