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第三章 王立学校
第三章蛇足① 魔法開発
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これはまだ、編入試験を受ける前の話―――
「なんかこう、切り札になりえる魔法が欲しいんだけど、良い案ないか?」
「疑問。切り札ですか?」
「そうだ。あったら心の支えになりそうだし、戦略も増えると思ってな」
とはいえ、一番は単にカッコいい魔法を使ってみたいという願いだったりする。世界を揺るがす……なんて大層なことは言わない。ただ少しは派手な魔法を使ってみたいのだ。
「模索。そうですね……詠唱を長くする、などが一番手っ取り早いと思います」
「長い詠唱か……考えるのムズそうだな……」
『雷撃』や『纏雷』は技名をただ唱えているようなものだから分かりやすい。しかし、詠唱と言うとやっぱりああいうやつか。
「滲み出す混濁の紋章……とか、一応暗唱できるけど……」
某漫画の詠唱が頭に浮かぶが、流石に真似はできなさそうだ。そういえば昔は必死に全ての詠唱を覚えたな。
「そうだ、お前はどうやって詠唱してるんだ?」
「不要。基本は無詠唱ですね」
「まぁそうだよなぁ」
ロイドが魔法を唱えているところを見たことがない。そのくせ、唱えている俺の数倍の威力を叩き出しているのだから、そりゃ必要ないわけだ。
「一例。いつもは唱えないのですが、もしやるとすればこうですね」
そう言って、ロイドは正面に手を突き出し、
「―――氷燐―――凍柩」
周囲に冷気が立ち込み、離れている俺ですらその寒さに震わされる。
「――――――霊氷穿天」
瞬く間に生み出された氷の槍……いや、槍と言うにはあまりに大きすぎる。とにかく、その巨大な塊が全てを凍てつかし、放たれる。
「す、すげぇ……」
肌にピリピリと魔力の衝撃を感じる。ロイドが詠唱をするだけでこれほどの威力が出るのか。
「連想。要は魔法のイメージができれば詠唱などなんでもいいんです。そのイメージと魔力をつぎ込む工程が詠唱だということを踏まえて、考えるのがいいですね」
「なるほどな……」
先ほどのロイドの詠唱に溜めがあったのは魔力をつぎ込む為だったのか。
そして、もし想像できるのならば、極論「吹っ飛べ」とかで良い訳だ。
「となると俺の場合、魔法の進化系的な考えで作り出した方が上手く行くか?」
既存の魔法をアップグレードする形なら分かりやすい。元の魔法に肉付けする感じでいいしな。
あれこれ悩む俺にロイドがほんの少し笑みをこぼす。
「期待。これからが楽しみですね」
そんな、俺とロイドの魔法製作の一幕―――
「なんかこう、切り札になりえる魔法が欲しいんだけど、良い案ないか?」
「疑問。切り札ですか?」
「そうだ。あったら心の支えになりそうだし、戦略も増えると思ってな」
とはいえ、一番は単にカッコいい魔法を使ってみたいという願いだったりする。世界を揺るがす……なんて大層なことは言わない。ただ少しは派手な魔法を使ってみたいのだ。
「模索。そうですね……詠唱を長くする、などが一番手っ取り早いと思います」
「長い詠唱か……考えるのムズそうだな……」
『雷撃』や『纏雷』は技名をただ唱えているようなものだから分かりやすい。しかし、詠唱と言うとやっぱりああいうやつか。
「滲み出す混濁の紋章……とか、一応暗唱できるけど……」
某漫画の詠唱が頭に浮かぶが、流石に真似はできなさそうだ。そういえば昔は必死に全ての詠唱を覚えたな。
「そうだ、お前はどうやって詠唱してるんだ?」
「不要。基本は無詠唱ですね」
「まぁそうだよなぁ」
ロイドが魔法を唱えているところを見たことがない。そのくせ、唱えている俺の数倍の威力を叩き出しているのだから、そりゃ必要ないわけだ。
「一例。いつもは唱えないのですが、もしやるとすればこうですね」
そう言って、ロイドは正面に手を突き出し、
「―――氷燐―――凍柩」
周囲に冷気が立ち込み、離れている俺ですらその寒さに震わされる。
「――――――霊氷穿天」
瞬く間に生み出された氷の槍……いや、槍と言うにはあまりに大きすぎる。とにかく、その巨大な塊が全てを凍てつかし、放たれる。
「す、すげぇ……」
肌にピリピリと魔力の衝撃を感じる。ロイドが詠唱をするだけでこれほどの威力が出るのか。
「連想。要は魔法のイメージができれば詠唱などなんでもいいんです。そのイメージと魔力をつぎ込む工程が詠唱だということを踏まえて、考えるのがいいですね」
「なるほどな……」
先ほどのロイドの詠唱に溜めがあったのは魔力をつぎ込む為だったのか。
そして、もし想像できるのならば、極論「吹っ飛べ」とかで良い訳だ。
「となると俺の場合、魔法の進化系的な考えで作り出した方が上手く行くか?」
既存の魔法をアップグレードする形なら分かりやすい。元の魔法に肉付けする感じでいいしな。
あれこれ悩む俺にロイドがほんの少し笑みをこぼす。
「期待。これからが楽しみですね」
そんな、俺とロイドの魔法製作の一幕―――
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