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第三章 王立学校
言い訳の場
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「ただいまぁ」
部屋の鍵を開け、中に入る。普通ならシャロかティアのどちらかが出迎えてくれるのだが、その様子はない。なんなら、声すらかえってこない。
そんな状況を不審に思いつつ、奥の方へと足を運んだ。
「な、なんでこんな部屋が暗いんだ?」
まだ太陽は昇ったままだというのに。それに、部屋の明かりがついていない。
「シャロ? ティア?」
人の気配をまるで感じない。ひとまず明かりをつけたのだが、
「ご主人様」
「うぉっ!?」
明かりがついた瞬間、俺のすぐ真横にシャロが立っていた。
「お、驚かせんなよ……って、なんでこんな暗く―——」
「ご主人様」
「は、はい。なんでしょう……」
俺の言葉を遮り、シャロは少し怒気を纏った声色で、
「わたくしが何を言いたいか、分かりますか?」
「あ……えと」
そう言われてようやく思い出す。勘違いが解けていない。とはいえ、俺は全くの無実だ。一緒に食事をしたのは男だし、ちゃんと説明すれば分かってもらえるはずだ。
「ま、まぁ一旦落ち着け。まず、俺は男としか昼飯を食ってない。一緒に昼食が取れなかったのは悪かったが、そこは初日だから許してくれ」
これならと思い、シャロの次の言葉を待つが、
「……ティア」
「おう」
シャロの呼びかけに反応したティアが、俺の死角から現れ、羽交い絞めにされる。
「なっ、おい。なにを———」
「……黒だ。女の匂いがする」
「あぇ?」
「はぁ……どういうことですか?」
俺から女の匂いだと? そんなものするわけが……
「あ」
ついさっきまで、全然話してたわ。
「待って待って、説明する。しますから。だからちょっ、力入れないで!」
羽交い絞めからハグへと体勢が変わり、そしてその拘束が段々と力を強めていって、あばらが粉砕されそうになる。
「ティア、とりあえず離してください」
解放はされたが、依然として冷やかな目は変わらない。俺は誠意を伝えるべく、自ら視線をさげ、正座の構えに入った。
「えぇとですね———」
こうして、レインの事を初対面の時に遡って話し始めた。
▷▶▷
「……なるほど。つまり、早速厄介なストーカーが生まれたというわけですか」
「ったく、隙を見せるからそうなるんだよ」
「いや、まじで話通じなかったんだって! 俺がどれだけ怖い思いしたか」
「とにかく、その方には正式にわたくし達という存在がいることを伝えるのがベストな気がします。現実を分からせてやりましょう」
「それで逆上されたらたまったもんじゃねぇけどな」
逆切れで刺される、なんてことも起こり得そうだ。とにかく怖い。ただただ怖い。
「だとしてもです。曖昧な態度ではぐらかすのは、わたくし達への裏切りのようなものですよ」
「そうだぜ。きちんとそこの区別はつけてもらわなきゃな」
「ご、ごもっともです」
次レインに会ったらこの事実を告げよう。逆上されても細心の注意を払えば学生の一人くらい何とかなるだろう。
「はい。これでこの話はおしまいです」
そう言って、カーテンを開き、窓から眩しい光が差し込んでくる。このカーテンの遮光能力すごいな。
「そういうわけでぇ、ご主人様にはしっかりと罰を受けてもらわなきゃですねぇ」
うってかわって、シャロの声の調子が聞きなじみのある、小悪魔ボイスへと変貌する。
「あ、あれ? この話はおしまいって」
「それはそれ、これはこれ、ですよ。相応の罰を受けてもらいましょうか」
「ははっ、何にしてやろうか……」
二人が容赦のない笑みを浮かべ、あれやこれやと妄想を捗らせている。結局下された命は、立場逆転とのことだった。この日は一日中、彼女達の手足となり勤勉に働いた。
部屋の鍵を開け、中に入る。普通ならシャロかティアのどちらかが出迎えてくれるのだが、その様子はない。なんなら、声すらかえってこない。
そんな状況を不審に思いつつ、奥の方へと足を運んだ。
「な、なんでこんな部屋が暗いんだ?」
まだ太陽は昇ったままだというのに。それに、部屋の明かりがついていない。
「シャロ? ティア?」
人の気配をまるで感じない。ひとまず明かりをつけたのだが、
「ご主人様」
「うぉっ!?」
明かりがついた瞬間、俺のすぐ真横にシャロが立っていた。
「お、驚かせんなよ……って、なんでこんな暗く―——」
「ご主人様」
「は、はい。なんでしょう……」
俺の言葉を遮り、シャロは少し怒気を纏った声色で、
「わたくしが何を言いたいか、分かりますか?」
「あ……えと」
そう言われてようやく思い出す。勘違いが解けていない。とはいえ、俺は全くの無実だ。一緒に食事をしたのは男だし、ちゃんと説明すれば分かってもらえるはずだ。
「ま、まぁ一旦落ち着け。まず、俺は男としか昼飯を食ってない。一緒に昼食が取れなかったのは悪かったが、そこは初日だから許してくれ」
これならと思い、シャロの次の言葉を待つが、
「……ティア」
「おう」
シャロの呼びかけに反応したティアが、俺の死角から現れ、羽交い絞めにされる。
「なっ、おい。なにを———」
「……黒だ。女の匂いがする」
「あぇ?」
「はぁ……どういうことですか?」
俺から女の匂いだと? そんなものするわけが……
「あ」
ついさっきまで、全然話してたわ。
「待って待って、説明する。しますから。だからちょっ、力入れないで!」
羽交い絞めからハグへと体勢が変わり、そしてその拘束が段々と力を強めていって、あばらが粉砕されそうになる。
「ティア、とりあえず離してください」
解放はされたが、依然として冷やかな目は変わらない。俺は誠意を伝えるべく、自ら視線をさげ、正座の構えに入った。
「えぇとですね———」
こうして、レインの事を初対面の時に遡って話し始めた。
▷▶▷
「……なるほど。つまり、早速厄介なストーカーが生まれたというわけですか」
「ったく、隙を見せるからそうなるんだよ」
「いや、まじで話通じなかったんだって! 俺がどれだけ怖い思いしたか」
「とにかく、その方には正式にわたくし達という存在がいることを伝えるのがベストな気がします。現実を分からせてやりましょう」
「それで逆上されたらたまったもんじゃねぇけどな」
逆切れで刺される、なんてことも起こり得そうだ。とにかく怖い。ただただ怖い。
「だとしてもです。曖昧な態度ではぐらかすのは、わたくし達への裏切りのようなものですよ」
「そうだぜ。きちんとそこの区別はつけてもらわなきゃな」
「ご、ごもっともです」
次レインに会ったらこの事実を告げよう。逆上されても細心の注意を払えば学生の一人くらい何とかなるだろう。
「はい。これでこの話はおしまいです」
そう言って、カーテンを開き、窓から眩しい光が差し込んでくる。このカーテンの遮光能力すごいな。
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うってかわって、シャロの声の調子が聞きなじみのある、小悪魔ボイスへと変貌する。
「あ、あれ? この話はおしまいって」
「それはそれ、これはこれ、ですよ。相応の罰を受けてもらいましょうか」
「ははっ、何にしてやろうか……」
二人が容赦のない笑みを浮かべ、あれやこれやと妄想を捗らせている。結局下された命は、立場逆転とのことだった。この日は一日中、彼女達の手足となり勤勉に働いた。
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