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第三章 王立学校
三人目
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「あの二人になんて言おう……」
「俺が土下座して許してもらえるならって感じだな。さっきの雷鳴鬼の件だけでも、だいぶやばそうだったけど……」
メアは受け入れる姿勢なのだが、あの二人はどうか分からない。前に話したときは新しい人が増えてもいい的なことは言っていたが、だからといって何人でも増やしていいという訳ではないだろう。
「とりあえず説明して———」
「その必要はないぞ」
「全部聞いていましたから」
「ふ、二人共……何で……」
雷鳴鬼を連れて別の場所に行ったとばかり思っていたのだが、一連の話を聞いていたと言う。
「盗み聞きしてごめんなさい。ですが、どうなるのかが知りたくて」
「え……」
「まぁ……あれだ。アタシ達もメアの気持ちに気づいてて、それで二人きりにしたんだ」
「そ、それって……」
「最初からアタシ達は、メアなら構わないって気持ちだったんだ」
「後はご主人様の気持ち次第でした。どちらに転ぶかがどうしてもわからなかったので」
「シャロさん……ティアさん……」
「でもメア。この関係を望んだからには、一番は譲れないからな!」
「そうですよぉ。シャロは今何倍もリードしているので、誰にも奪わせませんから」
「別に誰が一番とか……俺はみんなのことが———」
好きだ。そう言おうとする口を、指先で押さえられる。
「それでも、ですよ。そんなことが分かったうえで、あなたに他の誰よりも見て欲しいって思っているんですよ」
「そう……か」
不意打ちに言葉が詰まる。照れくさい言葉こうやって堂々と言えるのは本当にすごいし、俺の心がもたないかもしれない。
「ですから、暫定一位の正妻はシャロということで~」
「おい、それは違うだろ!」
「あらあら、シャロが提案しなければ身を引いていたつもりだった人が嚙みついてくるんですかぁ?」
「そ、それは……いやいやいや! 大事なのは今だ! そんなこと関係ない!」
「どうだか……それに、ティアだけじゃなくて、メアさん? あなたにもこの座を差し渡すつもりはありませんよ」
全員平等に、を約束していたのだが、いつの間にか正妻とかいう単語がつくられていた。そんなこと気にしないつもりだが、うーむ……
「わ、私は……もう迷わない! シャロさんにもティアさんにも負けないから!」
「め、メア?」
てっきりメアなら宥めてくれると思っていたが、まさかの論争に参戦してきた。その眼には確かな光が宿っていて、覚悟の程が伝わってくる。
「ふふふ、いいですよぉ。コテンパンにしてあげますから」
「あ、アタシだってだな……」
「ぜーーーったい、譲らないもん!」
バチバチと火花が散っているのが見えるようだ。俺のために争わないで!なんて言ったら場がしらけそうだからやめておこう。
別にこれ以上恋人を作る気はないし、好かれるとも思っていないのだが、やっぱりこういったことはこれで最後にしよう。俺はこの三人に操を立てる、そう決めた。
『でも、未来は分からないんじゃない?』
『お、お前いきなり帰ってくるなよ!』
突然頭に声が響くもんだから、慣れてないとどうしても驚いてしまう。
『これ以上増やさないとか言っておいて、あと十人くらいは追加されそうだね』
『されねぇし、するつもりもねぇよ』
『でも分からないのが人生ってやつでしょ』
『怖い事言うなよ……現実になったらどうするんだ』
十人以上とか想像するだけで……いや、よしておこう。
『へんたい』
『は、はぁぁぁ!?』
『あのさぁ、前にも言ったけどさ、ボクと繋がっている時に変な妄想したりとか発情したりしないでよね』
『だったら出てけよ!』
これじゃ俺のプライベートゾーンがないじゃないか。こんなに頻繁に体内に入る必要なんかないのに、絶対にわざとやってる。どうにもできないのか?
いや、待てよ……いい事思いついた。
『何だい、いい事って。言っておくけど、タダじゃボクは出ていかな…………なぁッ!?』
『ふふふ、どうだ?』
『き、君ってやつは! なんてものを想像してるんだ! 今すぐやめろ!』
『ほら、出ろよ早く。どこまでいっちゃうかなぁ~』
『くッ……分かった! 出てく……出てくから! ボクを慰み者にするのはよせ!』
俺の最終手段の威力は抜群だった。流石に用もないのに頭を覗くのはマナー違反だ。せめて必要最低限にして欲しい。今度から困ったときはこの方法を使おう。
雷鳴鬼とのやり取りの間も、シャロ達の戦いは終焉を迎えることがなく、何故かシャロとティアをメアが宥めるという状況になっていた。やっぱりこうなるか、と思いながら、巻き込まれた雷鳴鬼を見て、久しぶりに思いっきり笑った。
※※※※※※※※※※※※※
幾千もの星々。否、それを模倣した結晶が暗闇を駆け巡る。
無重力な世界で何をすることもなく漂う。何かを待っていると言ってもいい。
赤、青、白、様々な色の光が交錯する中で、紫色のモノが段々と近づき、それが世界を切り拓いた。
「俺が土下座して許してもらえるならって感じだな。さっきの雷鳴鬼の件だけでも、だいぶやばそうだったけど……」
メアは受け入れる姿勢なのだが、あの二人はどうか分からない。前に話したときは新しい人が増えてもいい的なことは言っていたが、だからといって何人でも増やしていいという訳ではないだろう。
「とりあえず説明して———」
「その必要はないぞ」
「全部聞いていましたから」
「ふ、二人共……何で……」
雷鳴鬼を連れて別の場所に行ったとばかり思っていたのだが、一連の話を聞いていたと言う。
「盗み聞きしてごめんなさい。ですが、どうなるのかが知りたくて」
「え……」
「まぁ……あれだ。アタシ達もメアの気持ちに気づいてて、それで二人きりにしたんだ」
「そ、それって……」
「最初からアタシ達は、メアなら構わないって気持ちだったんだ」
「後はご主人様の気持ち次第でした。どちらに転ぶかがどうしてもわからなかったので」
「シャロさん……ティアさん……」
「でもメア。この関係を望んだからには、一番は譲れないからな!」
「そうですよぉ。シャロは今何倍もリードしているので、誰にも奪わせませんから」
「別に誰が一番とか……俺はみんなのことが———」
好きだ。そう言おうとする口を、指先で押さえられる。
「それでも、ですよ。そんなことが分かったうえで、あなたに他の誰よりも見て欲しいって思っているんですよ」
「そう……か」
不意打ちに言葉が詰まる。照れくさい言葉こうやって堂々と言えるのは本当にすごいし、俺の心がもたないかもしれない。
「ですから、暫定一位の正妻はシャロということで~」
「おい、それは違うだろ!」
「あらあら、シャロが提案しなければ身を引いていたつもりだった人が嚙みついてくるんですかぁ?」
「そ、それは……いやいやいや! 大事なのは今だ! そんなこと関係ない!」
「どうだか……それに、ティアだけじゃなくて、メアさん? あなたにもこの座を差し渡すつもりはありませんよ」
全員平等に、を約束していたのだが、いつの間にか正妻とかいう単語がつくられていた。そんなこと気にしないつもりだが、うーむ……
「わ、私は……もう迷わない! シャロさんにもティアさんにも負けないから!」
「め、メア?」
てっきりメアなら宥めてくれると思っていたが、まさかの論争に参戦してきた。その眼には確かな光が宿っていて、覚悟の程が伝わってくる。
「ふふふ、いいですよぉ。コテンパンにしてあげますから」
「あ、アタシだってだな……」
「ぜーーーったい、譲らないもん!」
バチバチと火花が散っているのが見えるようだ。俺のために争わないで!なんて言ったら場がしらけそうだからやめておこう。
別にこれ以上恋人を作る気はないし、好かれるとも思っていないのだが、やっぱりこういったことはこれで最後にしよう。俺はこの三人に操を立てる、そう決めた。
『でも、未来は分からないんじゃない?』
『お、お前いきなり帰ってくるなよ!』
突然頭に声が響くもんだから、慣れてないとどうしても驚いてしまう。
『これ以上増やさないとか言っておいて、あと十人くらいは追加されそうだね』
『されねぇし、するつもりもねぇよ』
『でも分からないのが人生ってやつでしょ』
『怖い事言うなよ……現実になったらどうするんだ』
十人以上とか想像するだけで……いや、よしておこう。
『へんたい』
『は、はぁぁぁ!?』
『あのさぁ、前にも言ったけどさ、ボクと繋がっている時に変な妄想したりとか発情したりしないでよね』
『だったら出てけよ!』
これじゃ俺のプライベートゾーンがないじゃないか。こんなに頻繁に体内に入る必要なんかないのに、絶対にわざとやってる。どうにもできないのか?
いや、待てよ……いい事思いついた。
『何だい、いい事って。言っておくけど、タダじゃボクは出ていかな…………なぁッ!?』
『ふふふ、どうだ?』
『き、君ってやつは! なんてものを想像してるんだ! 今すぐやめろ!』
『ほら、出ろよ早く。どこまでいっちゃうかなぁ~』
『くッ……分かった! 出てく……出てくから! ボクを慰み者にするのはよせ!』
俺の最終手段の威力は抜群だった。流石に用もないのに頭を覗くのはマナー違反だ。せめて必要最低限にして欲しい。今度から困ったときはこの方法を使おう。
雷鳴鬼とのやり取りの間も、シャロ達の戦いは終焉を迎えることがなく、何故かシャロとティアをメアが宥めるという状況になっていた。やっぱりこうなるか、と思いながら、巻き込まれた雷鳴鬼を見て、久しぶりに思いっきり笑った。
※※※※※※※※※※※※※
幾千もの星々。否、それを模倣した結晶が暗闇を駆け巡る。
無重力な世界で何をすることもなく漂う。何かを待っていると言ってもいい。
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