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第三章 王立学校
二人の気持ち、一つの約束
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「俺はティアとシャロの2人が好きだ。その事に嘘はない。だから、付き合うことになった」
「……」
やはりメアにも思うところがあるのだろう。俺も逆の立場なら、許せない派だ。それでもそうしたいと思った、その責任をとると決めたのだ。これを隠すつもりも、覆すつもりもない。
「2人はそれでいいって言ったの?」
「ああ。もちろんだ」
「そっか……なら、私が口出す理由もないし。何よりそれが3人の幸せなんだよね?」
「ああ」
「……」
何かを考えるようにメアは俯く。しばらく、無言の空間が生まれるが、再びメアが話し始めた。
「……前にした約束って覚えてる?」
「約束?」
「うん、私が大人っぽくなったらってやつ」
「あ、ああ」
あれは確かメアの誕生日の時のことだ。恋バナをする流れになり、メアがその時告白したらOKするかという質問。その答えに困った俺は、メアがもっと大人っぽくなったら未来の俺は絶対にOKすると言った。
そのある種の告白のような約束だが、当時の俺はメアに一切の恋愛感情を持っていなかった。愛らしさや尊敬といった感情、又は子供扱いをする気持ちが先行していた。
「今もまだ……その約束って有効かな?」
「……」
返答に思わず詰まる。今の俺がメアのことをどう思っているか。それが唯一の問題なのだ。好きかどうかと聞かれれば迷わず好きと答えるだろう。しかし、それは友愛に近いもので、かといってそれが百パーセントというわけでもない。
メアは魅力的な女の子だ。夢にまっすぐで、その姿が俺にとってはひたすらに眩しい。俺を照らす太陽のような存在だ。
「……やっぱり、私のことは恋愛対象として見れない?」
「え?」
「何となくだけど、イスルギを見てて思ったんだ。ああ、私は友達として確かに存在してて、でも、それ以上でも以下でもないって」
「メア……」
「いいの、そのことを別に責めてるわけじゃないし、無理もないかなって。だって、私はただの引きこもりで、あの二人みたいにいつもイスルギの傍にいたわけじゃないもん」
淡々とそう言ってのけるが、その声色がわずかに震えている。
「私が普通の女の子で、もっと魅力があって、いつだってイスルギの傍に居れたらって、毎回思うの。でも、私がこんな存在である以上、それも叶わない」
こらえきれない涙がその瞳に浮かび、ポロポロと零れ落ちる。そんなことをいつも考えていたのかと、驚きが隠せない。
「だから……だから、私はもうっ―——」
そこから先を言わせないように、俺はメアを抱きしめた。
「いす……るぎ……?」
「ごめんな、メア。違う……違うんだよ」
これが正しいとは思わない。あまりに短絡的で、その場凌ぎと言われても反論はできない。それでも、今目の前で泣いている少女を、俺は抱きしめたいと思った。理由はそれだけ。だが、だからこそそれが、まさに俺の答えなのだ。
「メアが普通の女の子じゃないとか、魅力がないとか、俺はそんなこと一度も思ったことなんてない。むしろ、こんなに真っすぐで強い子がいるんだって、俺には輝いて見えてた」
「え?」
「口にしたことはないけどさ、それが俺の本心なんだよ。そりゃ、前は子供扱いしてたかもしれないけど、そんな姿にいつの間にか惹かれてたんだ」
芯があって、凛々しい。幼さを感じる部分はあっても、その様は大人のようであった。それに俺は気づいていた。否、気づかないふりをしていたんだ。
「恋愛対象として見れないかどうかでいったら……ぶっちゃけた話、ノーだ。今は全然、そんなことない。メアが一人の女の子として、すごい魅力的に見える」
そうだ、俺はこの子に恋をしている。その言葉を声に出して、パズルのピースがはまったようにそう確信した。
「だから俺から言わせてくれ。君が好きだ。夢を追いかける君の存在が俺にとっての希望だ。今まで……いや、それよりももっと近い距離で傍に、これからも一緒にいて欲しい」
「わたし……は……」
「最低だって、突き放しても構わない。それでも俺は君が大事で、大切なんだ」
「そん、な……」
メアがどんな決断を出そうと俺は受け入れる。メアが大切なことに変わりはない。拒否されても、その体質を治すための努力を惜しむつもりもない。これは単に俺のエゴで、望みなんだ。
「返事を……聞かせてくれるか?」
「ず……ずる、い……そんなことっ、言われたら、私が……諦められないじゃん……」
泣きじゃくる姿に、その頭を優しく撫でる。腕の中の温もりが、その小さな体が愛らしくて、どうしようもなく愛しくて、そうせずにはいられなかった。
「イスルギ……」
「うん」
「私を……あなたの特別にしてください」
「ああ、もちろんだ。君を特別扱いする権利を俺にくれ」
「こうして抱きしめて、触れて、それで———」
背伸びをしたメアの顔が近づく。優しく重なり合った唇は甘くて暖かい、季節を忘れさせるような、そんな感覚だった。
「……」
やはりメアにも思うところがあるのだろう。俺も逆の立場なら、許せない派だ。それでもそうしたいと思った、その責任をとると決めたのだ。これを隠すつもりも、覆すつもりもない。
「2人はそれでいいって言ったの?」
「ああ。もちろんだ」
「そっか……なら、私が口出す理由もないし。何よりそれが3人の幸せなんだよね?」
「ああ」
「……」
何かを考えるようにメアは俯く。しばらく、無言の空間が生まれるが、再びメアが話し始めた。
「……前にした約束って覚えてる?」
「約束?」
「うん、私が大人っぽくなったらってやつ」
「あ、ああ」
あれは確かメアの誕生日の時のことだ。恋バナをする流れになり、メアがその時告白したらOKするかという質問。その答えに困った俺は、メアがもっと大人っぽくなったら未来の俺は絶対にOKすると言った。
そのある種の告白のような約束だが、当時の俺はメアに一切の恋愛感情を持っていなかった。愛らしさや尊敬といった感情、又は子供扱いをする気持ちが先行していた。
「今もまだ……その約束って有効かな?」
「……」
返答に思わず詰まる。今の俺がメアのことをどう思っているか。それが唯一の問題なのだ。好きかどうかと聞かれれば迷わず好きと答えるだろう。しかし、それは友愛に近いもので、かといってそれが百パーセントというわけでもない。
メアは魅力的な女の子だ。夢にまっすぐで、その姿が俺にとってはひたすらに眩しい。俺を照らす太陽のような存在だ。
「……やっぱり、私のことは恋愛対象として見れない?」
「え?」
「何となくだけど、イスルギを見てて思ったんだ。ああ、私は友達として確かに存在してて、でも、それ以上でも以下でもないって」
「メア……」
「いいの、そのことを別に責めてるわけじゃないし、無理もないかなって。だって、私はただの引きこもりで、あの二人みたいにいつもイスルギの傍にいたわけじゃないもん」
淡々とそう言ってのけるが、その声色がわずかに震えている。
「私が普通の女の子で、もっと魅力があって、いつだってイスルギの傍に居れたらって、毎回思うの。でも、私がこんな存在である以上、それも叶わない」
こらえきれない涙がその瞳に浮かび、ポロポロと零れ落ちる。そんなことをいつも考えていたのかと、驚きが隠せない。
「だから……だから、私はもうっ―——」
そこから先を言わせないように、俺はメアを抱きしめた。
「いす……るぎ……?」
「ごめんな、メア。違う……違うんだよ」
これが正しいとは思わない。あまりに短絡的で、その場凌ぎと言われても反論はできない。それでも、今目の前で泣いている少女を、俺は抱きしめたいと思った。理由はそれだけ。だが、だからこそそれが、まさに俺の答えなのだ。
「メアが普通の女の子じゃないとか、魅力がないとか、俺はそんなこと一度も思ったことなんてない。むしろ、こんなに真っすぐで強い子がいるんだって、俺には輝いて見えてた」
「え?」
「口にしたことはないけどさ、それが俺の本心なんだよ。そりゃ、前は子供扱いしてたかもしれないけど、そんな姿にいつの間にか惹かれてたんだ」
芯があって、凛々しい。幼さを感じる部分はあっても、その様は大人のようであった。それに俺は気づいていた。否、気づかないふりをしていたんだ。
「恋愛対象として見れないかどうかでいったら……ぶっちゃけた話、ノーだ。今は全然、そんなことない。メアが一人の女の子として、すごい魅力的に見える」
そうだ、俺はこの子に恋をしている。その言葉を声に出して、パズルのピースがはまったようにそう確信した。
「だから俺から言わせてくれ。君が好きだ。夢を追いかける君の存在が俺にとっての希望だ。今まで……いや、それよりももっと近い距離で傍に、これからも一緒にいて欲しい」
「わたし……は……」
「最低だって、突き放しても構わない。それでも俺は君が大事で、大切なんだ」
「そん、な……」
メアがどんな決断を出そうと俺は受け入れる。メアが大切なことに変わりはない。拒否されても、その体質を治すための努力を惜しむつもりもない。これは単に俺のエゴで、望みなんだ。
「返事を……聞かせてくれるか?」
「ず……ずる、い……そんなことっ、言われたら、私が……諦められないじゃん……」
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「イスルギ……」
「うん」
「私を……あなたの特別にしてください」
「ああ、もちろんだ。君を特別扱いする権利を俺にくれ」
「こうして抱きしめて、触れて、それで———」
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