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第二章 再来の悪夢
蛇足⑥ フリード
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「では、その魔法とやらをみせてもらおうか」
「へっ、見て驚くなよ」
体中、そして全身を媒体として魔法を行使する。血液でも何でもない何か、それが巡るのを意識して腹の底に力を入れる。
すると徐々に湧き上がってくる感覚があり、それを象るように想像を爆発させ、唱える。
「―――――――――纏雷!」
ロイドとの特訓の末に編み出したこの魔法。雷を纏う事で俺の物理攻撃全てに雷の属性がつく上に、なんといっても速さが数段階上がるというメリットがある。
しかし、今の俺の魔力量から考えると、もって5分。発動中に他の魔法を撃つとなるともっと短いだろう。いわば諸刃の剣だ。
「ふむ。燃費は悪いが、瞬時にケリをつけたい場合なら有用だな」
「へへ、だろ?」
自分の頑張りを評価されて、思わず無邪気な笑みが溢れる。
「よし、じゃあやるか」
いつもの如く俺は構えるのだが、
「いや、お前が倒れる前に話しておきたい事がある」
「倒れる前って……俺がやられるの前提かよ」
まぁそんなことは分かるのだが、悪気のない顔で言われるとムカつく。
「命令する。人間の国において、吸血鬼とばれる行動は全て慎め」
「んなこたぁ、分かってるよ。俺もモルモットにされたくないからな」
今の俺の立場は非常に曖昧なものだ。吸血鬼という成分が混ざっている以上、声を大にして人間だとは宣言できない。
「今の命令はお前の契約に働きかけたものだ。うっかり口を滑らしたりすることを防ぐためのな」
「そんなこと出来るのか?」
「忘れたか? お前は俺に絶対服従することになっている事を」
そう言われ思い出す。初めて会った時にそんなことを言っていた気がするが、力を振りかざした脅しだと思っていた。
「え!? あれって本当なのか?」
「もちろんだ。もっとも、実際に使うのはこれが初めてなのだがな」
つまり、こいつはいつでも俺の行動を縛る事が出来たということか。俺が逃げる可能性だって、闇討ちする可能性だってあったのに、フリードは全面的に俺を信頼してくれていたのか。
「なるほどな……喋ったりしようとするとどうなる?」
「ペナルティは設定していない。声が出なくなるだけだろう」
それを聞いて安心した。無理に話そうとすると激痛が走るとかだったら、常にビクビクしながら生活しなきゃいけないとこだった。
「そういえば、今日ついに適合率が25%を超えたな」
「おっ、まじか」
25。その数字を聞くと以前の悪夢が思い出される。現状、あれの発端は適合率が15%を超えたからというのが有力な説だ。20%の時は何事もなかったのだが、今回は何かあるかもしれない。
「今晩は気をつけておけ。念の為、シャロとティアの2人と一緒に寝ろ」
「なんでだよ!」
「また起きた時に嘔吐されては敵わん。一応の保険だ」
「ぐぐぐ……くそ」
前の例を持ち出されると俺はあまりにも弱い。これは俺に対する試練だ。甘んじて受け入れよう。
「へっ、見て驚くなよ」
体中、そして全身を媒体として魔法を行使する。血液でも何でもない何か、それが巡るのを意識して腹の底に力を入れる。
すると徐々に湧き上がってくる感覚があり、それを象るように想像を爆発させ、唱える。
「―――――――――纏雷!」
ロイドとの特訓の末に編み出したこの魔法。雷を纏う事で俺の物理攻撃全てに雷の属性がつく上に、なんといっても速さが数段階上がるというメリットがある。
しかし、今の俺の魔力量から考えると、もって5分。発動中に他の魔法を撃つとなるともっと短いだろう。いわば諸刃の剣だ。
「ふむ。燃費は悪いが、瞬時にケリをつけたい場合なら有用だな」
「へへ、だろ?」
自分の頑張りを評価されて、思わず無邪気な笑みが溢れる。
「よし、じゃあやるか」
いつもの如く俺は構えるのだが、
「いや、お前が倒れる前に話しておきたい事がある」
「倒れる前って……俺がやられるの前提かよ」
まぁそんなことは分かるのだが、悪気のない顔で言われるとムカつく。
「命令する。人間の国において、吸血鬼とばれる行動は全て慎め」
「んなこたぁ、分かってるよ。俺もモルモットにされたくないからな」
今の俺の立場は非常に曖昧なものだ。吸血鬼という成分が混ざっている以上、声を大にして人間だとは宣言できない。
「今の命令はお前の契約に働きかけたものだ。うっかり口を滑らしたりすることを防ぐためのな」
「そんなこと出来るのか?」
「忘れたか? お前は俺に絶対服従することになっている事を」
そう言われ思い出す。初めて会った時にそんなことを言っていた気がするが、力を振りかざした脅しだと思っていた。
「え!? あれって本当なのか?」
「もちろんだ。もっとも、実際に使うのはこれが初めてなのだがな」
つまり、こいつはいつでも俺の行動を縛る事が出来たということか。俺が逃げる可能性だって、闇討ちする可能性だってあったのに、フリードは全面的に俺を信頼してくれていたのか。
「なるほどな……喋ったりしようとするとどうなる?」
「ペナルティは設定していない。声が出なくなるだけだろう」
それを聞いて安心した。無理に話そうとすると激痛が走るとかだったら、常にビクビクしながら生活しなきゃいけないとこだった。
「そういえば、今日ついに適合率が25%を超えたな」
「おっ、まじか」
25。その数字を聞くと以前の悪夢が思い出される。現状、あれの発端は適合率が15%を超えたからというのが有力な説だ。20%の時は何事もなかったのだが、今回は何かあるかもしれない。
「今晩は気をつけておけ。念の為、シャロとティアの2人と一緒に寝ろ」
「なんでだよ!」
「また起きた時に嘔吐されては敵わん。一応の保険だ」
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前の例を持ち出されると俺はあまりにも弱い。これは俺に対する試練だ。甘んじて受け入れよう。
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