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第二章 再来の悪夢
過去と恋
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現在、俺は風呂に入っているのだが、さっきの出来事で頭がいっぱいになっていた。
「だめだ、あの感触がずっと離れねぇ」
知り合いの女の子にされると、ここまでドキドキするとは思っていなかった。今もまだ心臓がバクバクしていて、気持ちが浮ついている。
「別に……嫌な気持ちにはならなかったな」
俺は人並み、いや、それ以上に恋愛への興味がある。ただ、あるだけに過ぎない。
中学の時は同じ部活だった同級生の子に、LINEで告白され、断る理由も無かったのでOKしたのだが、4ヶ月程でフラれた。
卒業する時に発覚したのだが、俺と同じ部活の男友達と別れたタイミングで付き合ったらしい。俺はキープに使われていたのだ。
挙句の果てに、俺から告白した事にされていたと分かった時は怒りが湧いたのだが、高校は別だし、まぁいいかと放置した。
別に恋愛観が歪んだ、という訳ではない。可愛い子を見れば可愛いと思うし、美人を見れば目を奪われる。
ただ、俺の中に”付き合いたい”という気持ちがいつからか芽生えなくなった。
恋人が欲しいとは思っても、この人と付き合いたい、と思うことが無くなったのだ。
そんなこんなで高校に上がって、女友達が1人出来た。きっかけは授業の内容を聞かれる際にLINEを追加されたとかだった。
俺はずっと友達だと思って接していたのだが、彼女は違ったらしい。
最初から恋愛目当てで話しかけて来ていたのだ。
俺の中で形容し難い気持ち悪さが生まれて、告白を断った。
あれは通話越しだったな。
――だったら、思わせぶりなことしないでよ。期待するじゃん――
その言葉が今も脳裏に焼き付いている。
そして卒業間近
これはまた別の女の子なのだが、3年生最後の体育祭のあたりから俺に付き纏う女の子がいた。
俺の関わりのある女友達を巧みに使い、俺に接近してきた。
告白をしてくることもなく、ただ、ネチネチとまとわりついてくる。
女の人にあそこまでの嫌悪感を抱いたことは人生初だった。
前の経験に習って、俺は何度も冷たく、相手が分かるように突き放したのだが、その粘着は卒業した後も続いた。
恋が怖くなったのは、その高校での2つの出来事が関係している気がする。
だが、さっきのあれは嫌では無かった。
直感的に、あれは恋愛感情とは違うと思っているからなのだろうか。
それとも俺自身の変化か?
「……分からん」
流石に今年で10代が終わるのに、拗らせていてはいけないと思っていたところだ。
俺も人並みの恋愛感情を抱けるようになったのなら、それでいいに越したことはない。
もしも、誰かをライクでは無く、ラブの意味で好きになれたのなら俺は――
「考え事ですかぁ?」
「うおっ!」
突如、耳元で声がして、また心臓が脈打つ。
風呂で考え事をする時に目を閉じる癖が仇となり、全く気が付かなかった。
「しゃ、シャロ?なんで入って来てんだよ!」
「安心して下さい。先程、身体を洗っておいたので」
「やることってそれの事かよ!」
さっきの片付けを俺に頼んだのはそういうことだったのか。
「そうですよぉ。やっぱりお風呂も一緒に入ってこそですよねぇ」
「風呂は飯と別だから!」
俺の考えを思いっきり曲げられて解釈されている。
どうして、食事の団欒を風呂に持ち込むというのだ。
「それに、もう命令も何もないんだぞ。わざわざ俺にこんな事しなくてもいいんだ」
シャロを縛り付けていたソルヴァの任務はもう無い。もはや俺に構う必要はないのだ。
「ちゃんとこれはシャロの意思ですよ。それにご主人様言ったじゃないですか、寂しいから一生傍にいてくれー、って」
「なんかめっちゃ拡大解釈してない!?」
確かに傍にいてくれとは言った。でも一生なんて重いことは決して言っていない。これは断言出来る。
「ティアからキス……してもらいました?」
「な、なんでその事を……」
「ふふ、ティアに相談されてたんですよぉ。やっぱり約束を守ってするべきかーって」
なるほど、ティアをけしかけたのはシャロだったのか。
「あ、あの約束は別に……それに、ティアだって嫌だろ。すぐどっか行っちまったし」
「それが満更でも無さそうでしたよ。あのティアがあんな顔するなんて初めて見ましたよ」
「そ、そうか……」
俺の純情が揺れ動く。そういえば俺、昔は結構チョロかったな。
「ティアは結構ウブですから、今のご主人様が攻めればコロッといけますよ?」
「なん……だと!?」
俺の異世界生活に希望が差す。そういえば占い師も、俺の行動しだいで変わるかもって言っていた。チャンスがあるのか?
仮にそうだとしても、だ。
「……まぁ、今はそういう気分にはなれないっていうか、俺はいいかな」
「そう……ですか?」
恋愛も大事なのは変わらないが、今の俺の目標は別に存在する。
人間の国に行って俺は確かめなければならない。
それが、今の俺の生きる理由。
この世界で唯一の目標だ。
もちろん、メアのこともある。
その為にも俺はまだそんなことを考えている暇は無い。
「ご主人様、もう少しそちらに寄ってもいいですか?」
「え、ああ。この際だしもう好きにしてくれ」
「言いましたね?」
そう言質をとったかのように俺の発言を拾うと、俺の腕を柔らかい何かが包み込んだ。
「なぁっ!」
「好きにしていいんですよね?」
そう小悪魔チックな顔をして再度問いただしてくる。
「げっ、限度ってもんがあるだろ!これは、まずいって!」
「好きに……してもいいんですよぉ?」
耳に顔を近づけ、そう甘く誘惑してくる。
「す、きに……」
その言葉を何度も頭で反芻しながら、俺の目は一糸まとわぬその肢体に釘付けになる。
そして、俺の肌を撫でる髪はサラサラしていて、俺の性癖を破壊してくる。
触って……いい……
俺の腕が自然と、その髪に伸びる
あと数センチで――
「――――――――」
「なっ!」
突如、俺の頭にノイズが走る。
この感覚は……そう、念話だ。
(メア!?な、なんで!?)
頭で呼びかけるが応答は無い。
ハウリングだけ飛ばしてきた。
しかし、そのおかげで理性を取り戻せた。危うく、俺は手を出すところだった。
「どうしたんですか?触ってもいいんですよ?」
「おっ、俺もう出るから!!」
「あっ、ちょっと……!」
急いで風呂から出て、俺は撤退をした。
前に注意されておいてこの体たらく。
明日、メアに合わせる顔がないな……
「だめだ、あの感触がずっと離れねぇ」
知り合いの女の子にされると、ここまでドキドキするとは思っていなかった。今もまだ心臓がバクバクしていて、気持ちが浮ついている。
「別に……嫌な気持ちにはならなかったな」
俺は人並み、いや、それ以上に恋愛への興味がある。ただ、あるだけに過ぎない。
中学の時は同じ部活だった同級生の子に、LINEで告白され、断る理由も無かったのでOKしたのだが、4ヶ月程でフラれた。
卒業する時に発覚したのだが、俺と同じ部活の男友達と別れたタイミングで付き合ったらしい。俺はキープに使われていたのだ。
挙句の果てに、俺から告白した事にされていたと分かった時は怒りが湧いたのだが、高校は別だし、まぁいいかと放置した。
別に恋愛観が歪んだ、という訳ではない。可愛い子を見れば可愛いと思うし、美人を見れば目を奪われる。
ただ、俺の中に”付き合いたい”という気持ちがいつからか芽生えなくなった。
恋人が欲しいとは思っても、この人と付き合いたい、と思うことが無くなったのだ。
そんなこんなで高校に上がって、女友達が1人出来た。きっかけは授業の内容を聞かれる際にLINEを追加されたとかだった。
俺はずっと友達だと思って接していたのだが、彼女は違ったらしい。
最初から恋愛目当てで話しかけて来ていたのだ。
俺の中で形容し難い気持ち悪さが生まれて、告白を断った。
あれは通話越しだったな。
――だったら、思わせぶりなことしないでよ。期待するじゃん――
その言葉が今も脳裏に焼き付いている。
そして卒業間近
これはまた別の女の子なのだが、3年生最後の体育祭のあたりから俺に付き纏う女の子がいた。
俺の関わりのある女友達を巧みに使い、俺に接近してきた。
告白をしてくることもなく、ただ、ネチネチとまとわりついてくる。
女の人にあそこまでの嫌悪感を抱いたことは人生初だった。
前の経験に習って、俺は何度も冷たく、相手が分かるように突き放したのだが、その粘着は卒業した後も続いた。
恋が怖くなったのは、その高校での2つの出来事が関係している気がする。
だが、さっきのあれは嫌では無かった。
直感的に、あれは恋愛感情とは違うと思っているからなのだろうか。
それとも俺自身の変化か?
「……分からん」
流石に今年で10代が終わるのに、拗らせていてはいけないと思っていたところだ。
俺も人並みの恋愛感情を抱けるようになったのなら、それでいいに越したことはない。
もしも、誰かをライクでは無く、ラブの意味で好きになれたのなら俺は――
「考え事ですかぁ?」
「うおっ!」
突如、耳元で声がして、また心臓が脈打つ。
風呂で考え事をする時に目を閉じる癖が仇となり、全く気が付かなかった。
「しゃ、シャロ?なんで入って来てんだよ!」
「安心して下さい。先程、身体を洗っておいたので」
「やることってそれの事かよ!」
さっきの片付けを俺に頼んだのはそういうことだったのか。
「そうですよぉ。やっぱりお風呂も一緒に入ってこそですよねぇ」
「風呂は飯と別だから!」
俺の考えを思いっきり曲げられて解釈されている。
どうして、食事の団欒を風呂に持ち込むというのだ。
「それに、もう命令も何もないんだぞ。わざわざ俺にこんな事しなくてもいいんだ」
シャロを縛り付けていたソルヴァの任務はもう無い。もはや俺に構う必要はないのだ。
「ちゃんとこれはシャロの意思ですよ。それにご主人様言ったじゃないですか、寂しいから一生傍にいてくれー、って」
「なんかめっちゃ拡大解釈してない!?」
確かに傍にいてくれとは言った。でも一生なんて重いことは決して言っていない。これは断言出来る。
「ティアからキス……してもらいました?」
「な、なんでその事を……」
「ふふ、ティアに相談されてたんですよぉ。やっぱり約束を守ってするべきかーって」
なるほど、ティアをけしかけたのはシャロだったのか。
「あ、あの約束は別に……それに、ティアだって嫌だろ。すぐどっか行っちまったし」
「それが満更でも無さそうでしたよ。あのティアがあんな顔するなんて初めて見ましたよ」
「そ、そうか……」
俺の純情が揺れ動く。そういえば俺、昔は結構チョロかったな。
「ティアは結構ウブですから、今のご主人様が攻めればコロッといけますよ?」
「なん……だと!?」
俺の異世界生活に希望が差す。そういえば占い師も、俺の行動しだいで変わるかもって言っていた。チャンスがあるのか?
仮にそうだとしても、だ。
「……まぁ、今はそういう気分にはなれないっていうか、俺はいいかな」
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それが、今の俺の生きる理由。
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もちろん、メアのこともある。
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「ご主人様、もう少しそちらに寄ってもいいですか?」
「え、ああ。この際だしもう好きにしてくれ」
「言いましたね?」
そう言質をとったかのように俺の発言を拾うと、俺の腕を柔らかい何かが包み込んだ。
「なぁっ!」
「好きにしていいんですよね?」
そう小悪魔チックな顔をして再度問いただしてくる。
「げっ、限度ってもんがあるだろ!これは、まずいって!」
「好きに……してもいいんですよぉ?」
耳に顔を近づけ、そう甘く誘惑してくる。
「す、きに……」
その言葉を何度も頭で反芻しながら、俺の目は一糸まとわぬその肢体に釘付けになる。
そして、俺の肌を撫でる髪はサラサラしていて、俺の性癖を破壊してくる。
触って……いい……
俺の腕が自然と、その髪に伸びる
あと数センチで――
「――――――――」
「なっ!」
突如、俺の頭にノイズが走る。
この感覚は……そう、念話だ。
(メア!?な、なんで!?)
頭で呼びかけるが応答は無い。
ハウリングだけ飛ばしてきた。
しかし、そのおかげで理性を取り戻せた。危うく、俺は手を出すところだった。
「どうしたんですか?触ってもいいんですよ?」
「おっ、俺もう出るから!!」
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