29 / 35
第29話 転生者の力
しおりを挟む
まさか、さっそく魔王と遭遇するとは思わなかった。
でもそのせいで、三つ巴が起きています。
私の腕を握ったままのイツキ。
そのイツキを攻撃しようとしてる魔王。
そしてイツキに捕まったままの私の、三勢力です。
白衣の転生であるイツキは、正直いってよくわからない存在だ。
わけわからないことばかり言っているけど、この国で真っ当に生きているみたいだから、悪人ではない。
それなら、ここで戦う相手は決まっています。
私は、魔王フェルムイジュルクを倒す!
ニコラス王子を使徒にして殺しただけでなく、王都を火の海にした黒幕。
多くの人間を死に追いやった魔王を、許すことはできません。
本来であれば、命をかけて戦うような相手です。
でも、今回は平気。
見たところ、魔王の魔力はそこまで回復していない。
対して私は、それなりに復活している。
しかも魔王は、1000年前に一度倒した相手です。
いまさら負ける相手ではない。
それに魔王は因縁の相手でもあります。
だからここは、私が動かないといけない。
「イツキ、手を離しなさい!」
私の声に反応したイツキが、とっさに距離を取りました。
これで自由に戦える。
魔剣を作り出し、魔王へと振りかぶります。
──《血破剣》
「なんの、溶岩剣!」
魔王も魔剣で対応してきます。
つばぜり合いをしながら、察しました。
やはり魔王は、まだ力を取り戻してはいない。
弱ったままなのだ。
「全盛期の半分くらいの力しかないんじゃないかしら。私のほうが、筋力があるみたいだけど」
「テレネシア、いったい何をした? この短期間でそこまで魔力を回復しているとは…………1000年前には、こんなことなかったのに」
最近は、人助けをたくさんしましたからね。
それに私と相性の良い人間が見つかって、その子が私のメイドになったのが大きい。
魔力の回復量が他の人間の何倍もあるうえに、あの子はいくら血を抜いてもなぜか貧血にならないのだ。
まさに逸材です。
「おかげで、こんなこともできるようになったの」
両手で持っていた魔剣を、右手で握ります。
そして、空いた左手に魔力を集中させ、新たな魔剣を創り出す。
魔剣の二刀流。
──《血破双剣》!
二本の魔剣によって、魔王の肉を断ち切ります。
初めてやってみたけど、上手くいったみたい。
「ま、また負けた、のか……朕はテレネシアには、勝てない、というわけか…………」
私に敗れた魔王は、廊下の隅で体を縮こまらせています。
でも、まだ諦めたわけではなかったみたい。
「こうなったら、これを使うしかない……」
そう言いながら、魔王はオレンジ色の小さな鉱石を取り出しました。
あれは『使徒の心臓』!
人間を魔王の使徒にする効果があるだけでなく、魔王が摂取すれば理性を失う代わりに、能力を大幅に引き上げる効果もあったはず。
「これで朕は、もう負けることはない……!」
──ゴクリ。
魔王が『使徒の心臓』を丸呑みしました。
すぐに、体が変化する。
灼熱の溶岩を体から溢れるだけでなく、内側の魔力も跳ね上がっています。
ニコラス王子の時のように巨大化はしないけど、代わりに力の全てを人間の姿に圧縮していました。
「これが朕の本当の姿だ。もう誰にも負ける気がしないッ!」
全盛期の魔王並の力を感じる。
完全に回復しきっていない現在の私で、どこまで通用するか。
「さあテレネシア。朕のモノになるのだ」
一瞬のうちに、魔王が私の目の前に移動してきた。
反応できない。
や、やられる……!
そう思ったとき、緊張感のない声が聞こえてきます。
「勘違いしないんで欲しいんだけどさ、テレネシアは僕のヒロインなんだよ」
魔王のお腹から、剣が生えてきた。
いや、違う。
イツキは魔王の背後から、剣を突き刺したのだ。
「転生者か……だが、剣で刺したくらいでは、朕は止まらん!」
「それが止まるんだよね、僕の『魂吸創剣』なら」
突如、異変が起きます。
魔王の体内の魔力が、みるみるうちにイツキの剣へと吸い取られて行ったのです。
「僕の『魂吸創剣』は、斬った相手の魂を吸い取る能力があるんだ。だから一撃でも入れれば、相手のすべてを奪うことができる」
「き、貴様ぁああ!」
イツキが剣を引き抜く。
人形のように動かなくなった魔王は、バタリと床に倒れました。
──強い。
まさかこんなにあっさり、魔王が死んでしまうなんて……。
白衣の転生者が、これほどの強者だとは思いもしなかった。
おそらく全盛期の魔王以上の力を持っている。
私でも、このイツキが相手ではどうなるかわからない。
「これで魔王フェルムイジュルクの魂はゲットだね。あとはヴァンパイアの女王を剣に吸わせれば、裏ボスの真魔王が生まれるよ!」
イツキが、私に視線を移しました。
まさか、私の正体がヴァンパイアだってバレてる?
ヴァンパイアの女王を剣に吸わせればとか言ってるし、間違いない。
どういうわけか、イツキは私の正体を知っているのだ。
「ねえテレネシア。ヴァンパイアってさ、なんで不死身なんだろうね?」
いつ攻撃されてもいいように身構えていると、イツキがそんなことを尋ねてきます。
「僕の『魂吸創剣』でもね、ヴァンパイアの魂は吸えなかったんだよ。さっきの魔王とちがって、どうやらヴァンパイアは弱点への攻撃しか通じないみたい」
その代わり、私たちヴァンパイアには明確な弱点がいくつか存在している。
それを突かれると、あっけなく死んでしまうのだ。
でも、ヴァンパイアの王族であれば別。
ほとんどの弱点を克服しているので、めったに死ぬことはない。
それこそ、ヴァンパイア特効の規格外の神器である、『女神陽光珠』でもないと。
「いまから国王の所に行って、『女神陽光珠』をもらってくるよ。テレネシアも一緒にどう?」
イツキの無邪気そうな笑顔からは、私を殺そうとする気配はありませんでした。
もしかして、私がヴァンパイアだと気が付いていない?
それならどうして、ヴァンパイアを殺す武器をもらおうとしているんだろう。
「……わかったわ」
イツキの手を取る。
そして、二人で並んで歩きながら、国王に会いに行くことにします。
王の間に入ると、そこには二人の人間が待ち構えていました。
国王と、大神官ドルネディアスです。
そしてイツキは、まるで友達に会った時のように気さくな態度で手を上げます。
「王様、こんにちは! いきなりで悪いんですが、お願いがあるんですよ!」
玉座には、初老の国王が座っていました。
その隣には、大神官ドルネディアスが立っている。
なにか大事な話をしていたのか、他に人は誰もいませんでした。
私の顔を見たドルネディアスは、驚いたように声をあげます。
「イツキ様に、聖女テレネシア様……なぜあなたたちがここに?」
「僕たち、将来を誓い合った仲なんだ。それで国王陛下、『女神陽光珠』を貰いたいんですよ。いいですよね?」
ドルネディアスはこの国の第一王子です。
第二王子であるニコラスが死んだいま、代わりに国王を補佐する仕事をしていてもおかしくはない。
そうやって国に献身を示しても、ドルネディアスが報われることはなかった。
なぜなら次期国王は、別の男が担うのだから。
だけど国王が、次期国王となるイツキに待ったをかけます。
「『女神陽光珠』は、代々国王のみにしか持つことは許されん。イツキ殿が我が娘と結婚し、王都なった際に渡す約束だったが」
「ええ、かたいなー。ヴァンパイアの城を落としたときに、ちょっと貸してくれたじゃないですか」
「あれは特例じゃ。イツキ殿が王になるまで、『女神陽光珠』を渡すつもりはない」
「なら、僕は王女と結婚します。いますぐに!」
それじゃあと手を振りながら、イツキは王の間から去っていきました。
しかも、一人で。
あのう、私、王の間に取り残されたのですが。
自称恋人を置いていくのは、いいんですか?
──でも、これはある意味、チャンスかも。
だってすぐそこに、目当ての物だった『女神陽光珠』があるんだから。
玉座へと視線を向けると、王がため息をつきました。
「まったく、イツキ殿は最近、なにやらおかしいのう。死んだニコラスと悪だくみをしていたようじゃし、なにやら不穏じゃい」
イツキは王女と婚約しているはず。
でもそれは、完全に国王の意思だったというわけでは、ないのかもしれません。
「本当ならドルネディアス、お前に跡を継いで欲しかったのじゃがな。いつか呪いが解けると信じて、ずっと王太子の席は空けておいたというのに」
「父上、ふがいない私のことをお許しください。イツキ殿は国を自分の物にしようと考えているような発言をしていましたが、たとえ王になれずともこのドルネディアスがそうはさせません」
なるほどね。
ドルネディアスは、良い人間です。
自分を犠牲にして、民を助けようとする善の心を持っている。
なにかを隠しているあのイツキよりも、よっぽど王にふさわしい。
それにもしもイツキが王になれば、『女神陽光珠』が彼の物になってしまう。
ヴァンパイア特効を手にした彼を、私は止めることはできない。
おそらく戦っても、敗北してしまうことでしょう。
私はまだ、死にたくない。
そうならないためにも、いまのうちに行動を起こします。
この親子にちょっとだけ、力を貸してあげましょうか。
「陛下、そしてドルネディアス。お話があります」
いきなり私が話しかけたことで、二人の視線が私に集中しました。
ゆっくりと玉座の前へと足を動かし、こう宣言します。
「私がドルネディアスの呪いを、解いてみせましょう」
呪いさえなければ、ドルネディアスは教会の神官ではなく、王族に戻れる。
そうなれば、ドルネディアスの人望と第一王子という肩書によって、王位継承権は王女から第一王子へと移動するはずだ。
「私がドルネディアスを、次の王にしてみせましょう」
でもそのせいで、三つ巴が起きています。
私の腕を握ったままのイツキ。
そのイツキを攻撃しようとしてる魔王。
そしてイツキに捕まったままの私の、三勢力です。
白衣の転生であるイツキは、正直いってよくわからない存在だ。
わけわからないことばかり言っているけど、この国で真っ当に生きているみたいだから、悪人ではない。
それなら、ここで戦う相手は決まっています。
私は、魔王フェルムイジュルクを倒す!
ニコラス王子を使徒にして殺しただけでなく、王都を火の海にした黒幕。
多くの人間を死に追いやった魔王を、許すことはできません。
本来であれば、命をかけて戦うような相手です。
でも、今回は平気。
見たところ、魔王の魔力はそこまで回復していない。
対して私は、それなりに復活している。
しかも魔王は、1000年前に一度倒した相手です。
いまさら負ける相手ではない。
それに魔王は因縁の相手でもあります。
だからここは、私が動かないといけない。
「イツキ、手を離しなさい!」
私の声に反応したイツキが、とっさに距離を取りました。
これで自由に戦える。
魔剣を作り出し、魔王へと振りかぶります。
──《血破剣》
「なんの、溶岩剣!」
魔王も魔剣で対応してきます。
つばぜり合いをしながら、察しました。
やはり魔王は、まだ力を取り戻してはいない。
弱ったままなのだ。
「全盛期の半分くらいの力しかないんじゃないかしら。私のほうが、筋力があるみたいだけど」
「テレネシア、いったい何をした? この短期間でそこまで魔力を回復しているとは…………1000年前には、こんなことなかったのに」
最近は、人助けをたくさんしましたからね。
それに私と相性の良い人間が見つかって、その子が私のメイドになったのが大きい。
魔力の回復量が他の人間の何倍もあるうえに、あの子はいくら血を抜いてもなぜか貧血にならないのだ。
まさに逸材です。
「おかげで、こんなこともできるようになったの」
両手で持っていた魔剣を、右手で握ります。
そして、空いた左手に魔力を集中させ、新たな魔剣を創り出す。
魔剣の二刀流。
──《血破双剣》!
二本の魔剣によって、魔王の肉を断ち切ります。
初めてやってみたけど、上手くいったみたい。
「ま、また負けた、のか……朕はテレネシアには、勝てない、というわけか…………」
私に敗れた魔王は、廊下の隅で体を縮こまらせています。
でも、まだ諦めたわけではなかったみたい。
「こうなったら、これを使うしかない……」
そう言いながら、魔王はオレンジ色の小さな鉱石を取り出しました。
あれは『使徒の心臓』!
人間を魔王の使徒にする効果があるだけでなく、魔王が摂取すれば理性を失う代わりに、能力を大幅に引き上げる効果もあったはず。
「これで朕は、もう負けることはない……!」
──ゴクリ。
魔王が『使徒の心臓』を丸呑みしました。
すぐに、体が変化する。
灼熱の溶岩を体から溢れるだけでなく、内側の魔力も跳ね上がっています。
ニコラス王子の時のように巨大化はしないけど、代わりに力の全てを人間の姿に圧縮していました。
「これが朕の本当の姿だ。もう誰にも負ける気がしないッ!」
全盛期の魔王並の力を感じる。
完全に回復しきっていない現在の私で、どこまで通用するか。
「さあテレネシア。朕のモノになるのだ」
一瞬のうちに、魔王が私の目の前に移動してきた。
反応できない。
や、やられる……!
そう思ったとき、緊張感のない声が聞こえてきます。
「勘違いしないんで欲しいんだけどさ、テレネシアは僕のヒロインなんだよ」
魔王のお腹から、剣が生えてきた。
いや、違う。
イツキは魔王の背後から、剣を突き刺したのだ。
「転生者か……だが、剣で刺したくらいでは、朕は止まらん!」
「それが止まるんだよね、僕の『魂吸創剣』なら」
突如、異変が起きます。
魔王の体内の魔力が、みるみるうちにイツキの剣へと吸い取られて行ったのです。
「僕の『魂吸創剣』は、斬った相手の魂を吸い取る能力があるんだ。だから一撃でも入れれば、相手のすべてを奪うことができる」
「き、貴様ぁああ!」
イツキが剣を引き抜く。
人形のように動かなくなった魔王は、バタリと床に倒れました。
──強い。
まさかこんなにあっさり、魔王が死んでしまうなんて……。
白衣の転生者が、これほどの強者だとは思いもしなかった。
おそらく全盛期の魔王以上の力を持っている。
私でも、このイツキが相手ではどうなるかわからない。
「これで魔王フェルムイジュルクの魂はゲットだね。あとはヴァンパイアの女王を剣に吸わせれば、裏ボスの真魔王が生まれるよ!」
イツキが、私に視線を移しました。
まさか、私の正体がヴァンパイアだってバレてる?
ヴァンパイアの女王を剣に吸わせればとか言ってるし、間違いない。
どういうわけか、イツキは私の正体を知っているのだ。
「ねえテレネシア。ヴァンパイアってさ、なんで不死身なんだろうね?」
いつ攻撃されてもいいように身構えていると、イツキがそんなことを尋ねてきます。
「僕の『魂吸創剣』でもね、ヴァンパイアの魂は吸えなかったんだよ。さっきの魔王とちがって、どうやらヴァンパイアは弱点への攻撃しか通じないみたい」
その代わり、私たちヴァンパイアには明確な弱点がいくつか存在している。
それを突かれると、あっけなく死んでしまうのだ。
でも、ヴァンパイアの王族であれば別。
ほとんどの弱点を克服しているので、めったに死ぬことはない。
それこそ、ヴァンパイア特効の規格外の神器である、『女神陽光珠』でもないと。
「いまから国王の所に行って、『女神陽光珠』をもらってくるよ。テレネシアも一緒にどう?」
イツキの無邪気そうな笑顔からは、私を殺そうとする気配はありませんでした。
もしかして、私がヴァンパイアだと気が付いていない?
それならどうして、ヴァンパイアを殺す武器をもらおうとしているんだろう。
「……わかったわ」
イツキの手を取る。
そして、二人で並んで歩きながら、国王に会いに行くことにします。
王の間に入ると、そこには二人の人間が待ち構えていました。
国王と、大神官ドルネディアスです。
そしてイツキは、まるで友達に会った時のように気さくな態度で手を上げます。
「王様、こんにちは! いきなりで悪いんですが、お願いがあるんですよ!」
玉座には、初老の国王が座っていました。
その隣には、大神官ドルネディアスが立っている。
なにか大事な話をしていたのか、他に人は誰もいませんでした。
私の顔を見たドルネディアスは、驚いたように声をあげます。
「イツキ様に、聖女テレネシア様……なぜあなたたちがここに?」
「僕たち、将来を誓い合った仲なんだ。それで国王陛下、『女神陽光珠』を貰いたいんですよ。いいですよね?」
ドルネディアスはこの国の第一王子です。
第二王子であるニコラスが死んだいま、代わりに国王を補佐する仕事をしていてもおかしくはない。
そうやって国に献身を示しても、ドルネディアスが報われることはなかった。
なぜなら次期国王は、別の男が担うのだから。
だけど国王が、次期国王となるイツキに待ったをかけます。
「『女神陽光珠』は、代々国王のみにしか持つことは許されん。イツキ殿が我が娘と結婚し、王都なった際に渡す約束だったが」
「ええ、かたいなー。ヴァンパイアの城を落としたときに、ちょっと貸してくれたじゃないですか」
「あれは特例じゃ。イツキ殿が王になるまで、『女神陽光珠』を渡すつもりはない」
「なら、僕は王女と結婚します。いますぐに!」
それじゃあと手を振りながら、イツキは王の間から去っていきました。
しかも、一人で。
あのう、私、王の間に取り残されたのですが。
自称恋人を置いていくのは、いいんですか?
──でも、これはある意味、チャンスかも。
だってすぐそこに、目当ての物だった『女神陽光珠』があるんだから。
玉座へと視線を向けると、王がため息をつきました。
「まったく、イツキ殿は最近、なにやらおかしいのう。死んだニコラスと悪だくみをしていたようじゃし、なにやら不穏じゃい」
イツキは王女と婚約しているはず。
でもそれは、完全に国王の意思だったというわけでは、ないのかもしれません。
「本当ならドルネディアス、お前に跡を継いで欲しかったのじゃがな。いつか呪いが解けると信じて、ずっと王太子の席は空けておいたというのに」
「父上、ふがいない私のことをお許しください。イツキ殿は国を自分の物にしようと考えているような発言をしていましたが、たとえ王になれずともこのドルネディアスがそうはさせません」
なるほどね。
ドルネディアスは、良い人間です。
自分を犠牲にして、民を助けようとする善の心を持っている。
なにかを隠しているあのイツキよりも、よっぽど王にふさわしい。
それにもしもイツキが王になれば、『女神陽光珠』が彼の物になってしまう。
ヴァンパイア特効を手にした彼を、私は止めることはできない。
おそらく戦っても、敗北してしまうことでしょう。
私はまだ、死にたくない。
そうならないためにも、いまのうちに行動を起こします。
この親子にちょっとだけ、力を貸してあげましょうか。
「陛下、そしてドルネディアス。お話があります」
いきなり私が話しかけたことで、二人の視線が私に集中しました。
ゆっくりと玉座の前へと足を動かし、こう宣言します。
「私がドルネディアスの呪いを、解いてみせましょう」
呪いさえなければ、ドルネディアスは教会の神官ではなく、王族に戻れる。
そうなれば、ドルネディアスの人望と第一王子という肩書によって、王位継承権は王女から第一王子へと移動するはずだ。
「私がドルネディアスを、次の王にしてみせましょう」
31
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説

大草原の小さな家でスローライフ系ゲームを満喫していたら、何故か聖女と呼ばれるようになっていました~異世界で最強のドラゴンに溺愛されてます~
うみ
ファンタジー
「無骨なドラゴンとちょっと残念なヒロインの終始ほのぼの、時にコメディなおはなし」
箱庭系スローライフが売りのゲームを起動させたら、見知らぬ大草原に!
ゲームの能力で小屋を建て畑に種を撒いたりしていたら……巨大なドラゴンが現れた。
「ドラゴンさん、私とお友達になってください!」
『まあよい。こうして言葉を交わすこと、久しく忘れておった。我は邪黒竜。それでも良いのだな?』
「もちろんです! よ、よろしくお願いします!」
怖かったけど、ドラゴンとお友達になった私は、訪れる動物や魔物とお友達になりながら牧場を作ったり、池で釣りをしたりとほのぼのとした毎日を過ごしていく。
【本編大改稿中】五人のイケメン薔薇騎士団団長に溺愛されて200年の眠りから覚めた聖女王女は困惑するばかりです!
七海美桜
恋愛
フーゲンベルク大陸で、長く大陸の大半を治めていたバッハシュタイン王国で、最後の古龍への生贄となった第三王女のヴェンデルガルト。しかしそれ以降古龍が亡くなり王国は滅びバルシュミーデ皇国の治世になり二百年後。封印されていたヴェンデルガルトが目覚めると、魔法は滅びた世で「治癒魔法」を使えるのは彼女だけ。亡き王国の王女という事で城に客人として滞在する事になるのだが、治癒魔法を使える上「金髪」である事から「黄金の魔女」と恐れられてしまう。しかしそんな中。五人の美青年騎士団長たちに溺愛されて、愛され過ぎて困惑する毎日。彼女を生涯の伴侶として愛する古龍・コンスタンティンは生まれ変わり彼女と出逢う事が出来るのか。龍と薔薇に愛されたヴェンデルガルトは、誰と結ばれるのか。
この作品は、小説家になろうにも掲載しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

勇者がアレなので小悪党なおじさんが女に転生されられました
ぽとりひょん
ファンタジー
熱中症で死んだ俺は、勇者が召喚される16年前へ転生させられる。16年で宮廷魔法士になって、アレな勇者を導かなくてはならない。俺はチートスキルを隠して魔法士に成り上がって行く。勇者が召喚されたら、魔法士としてパーティーに入り彼を導き魔王を倒すのだ。

【完結】人々に魔女と呼ばれていた私が実は聖女でした。聖女様治療して下さい?誰がんな事すっかバーカ!
隣のカキ
ファンタジー
私は魔法が使える。そのせいで故郷の村では魔女と迫害され、悲しい思いをたくさんした。でも、村を出てからは聖女となり活躍しています。私の唯一の味方であったお母さん。またすぐに会いに行きますからね。あと村人、テメぇらはブッ叩く。
※三章からバトル多めです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる