きっとこの世界は

ほしひか

文字の大きさ
上 下
1 / 2
始動編

0話:この世界

しおりを挟む
僕は今生きているこの世界が嫌いだ。

朝起きて、ご飯を食べて、仕事に行って、
帰って来て、ご飯を食べて、お風呂に入って寝る。

そんなどうでもよく、つまらない毎日が繰り返されるこの世界が嫌いだ。

こんな世界ではなく、もっと面白味のある
別の世界に生まれたかったとつくづく思う。

仕事から家に帰っている途中だった。

そんなことを考えながら歩いていたせいで、
僕はどうやら横断歩道の赤信号が
見えていなかったらしい。

そして、僕は、
そのまま横断歩道を渡ろうとして_____



車に轢かれて死んだ。



(本っ当に、どうでもいいことしか
起こらないな、この世界は…)

僕は死に際にもそう思った。
____________________

次に目が覚めたのは、真っ白な部屋の中
だった。

そして、僕の目に最初に入ったのは
目の前に立っている、白髪の青年だった。

「あの、えっと…貴方は?
   というか、ここは…?」

僕はその青年にそう言った。
すると、彼は

「私の名前なんかどうでもいいよ。
   それと、ここは。」

と言った。

「どこでもないって…どういう、

「私も忙しくてね。あまり説明は
   出来ないんだ。だから、確認だけする。」

僕の言葉を遮って彼は言う。



「君は、この世界がつまらないかい?」



その質問に、僕は当然こう答える。
不思議と自然に答えられた。



「もちろん、つまらないです。」



「なら良し。」

青年のその言葉をきっかけに、
僕の足元が青く光りだす。

「えっ、ちょ、何が…」

「今から君は、別の世界に行く。
   …次の世界は面白いといいね?」

「はい!?別の世界!?」

「んじゃ、行ってらっしゃい。」

「ちょっと待ってまだ全然話し聞いてな…」

また、視界が暗転する。
____________________

「うぐぇ!」

衝撃。地面に叩きつけられたらしい。

「痛てて…なんだったんださっき…の…」




僕は思わず息を飲んだ。




僕が放り出されたのは、丘だった。

その眼下には、辺り一面の草原。
そして、小さな街があった。

現代ではありえない景色。
先程までのわけわからん話。
僕は確信した。

「えっと…
   つまり…異世界転生ってこと…?」

ああ、異世界転生モノなのに名乗り忘れていた。

「僕」のなまえは彼縄 八名かれなわ やなだ。

覚えておいてくれ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ

Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_ 【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】 後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。 目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。 そして若返った自分の身体。 美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。 これでワクワクしない方が嘘である。 そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。

猫耳幼女の異世界騎士団暮らし

namihoshi
ファンタジー
来年から大学生など田舎高校生みこ。 そんな中電車に跳ねられ死んだみこは目が覚めると森の中。 体は幼女、魔法はよわよわ。 何故か耳も尻尾も生えている。 住むところも食料もなく、街へ行くと捕まるかもしれない。 そんな状況の中みこは騎士団に拾われ、掃除、料理、洗濯…家事をして働くことになった。 何故自分はこの世界にいるのか、何故自分はこんな姿なのか、何もかもわからないミコはどんどん事件に巻き込まれて自分のことを知っていく…。 ストックが無くなりました。(絶望) 目標は失踪しない。 がんばります。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

キャンピングカーで往く異世界徒然紀行

タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》 【書籍化!】 コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。 早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。 そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。 道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが… ※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜 ※カクヨム様でも投稿をしております

まさか転生? 

花菱
ファンタジー
気付いたら異世界?  しかも身体が? 一体どうなってるの… あれ?でも…… 滑舌かなり悪く、ご都合主義のお話。 初めてなので作者にも今後どうなっていくのか分からない……

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

プラス的 異世界の過ごし方

seo
ファンタジー
 日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。  呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。  乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。 #不定期更新 #物語の進み具合のんびり #カクヨムさんでも掲載しています

処理中です...