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「中国は敵国の少数民族には、民族自決を叫ぶのに、自国内の少数民族はいじめるんだな。言行不一致もいいところだわ」
実際、ウイグル自治区西部では、トルコ系民族の反乱も起きているのだ。
「そうだ。文化祭の展示のテーマは、『中国の少数民族』と『日本の防衛』にしませんか?」
「良いテーマやん。最近の日本は、歴史問題など、中国のなすがままやけど、それじゃあかんしな」
こうして、テーマが決まったので、あたしたちの歴史研究は始まった。中国共産党が、ウイグルで遊牧民を村に定住させて、牧草を求めて移動し続ける生活をやめさせたために、どれだけの遊牧民が家畜を死なせてしまい、失業したか。
「漢民族って、はた迷惑な民族だよね。日本人のほうが、よほど良い民族だわ。そんななら、日本を盟主とした東アジア共同体を作らないと」
こうして、あたしたちは生徒会に文化祭のテーマを申請し、受理された。ところが、事態はあたしたちの思ってもみなかった方向から、横槍が入ることになったのだ。
生徒会に申請が受理されてから一週間ほどたち、あたしが歴史クラブの部室に顔を出すと、田井中部長と高橋さんが頭をかかえていた。
「深刻そうな顔をして、どうなさったんですか?」
「それがな、生徒会が今日になって、いきなり申請を受理できんとか言い出したんや。もう、わけわからん」
「はあ? 理由とか、ちゃんと説明してもらったんですか?」
「それがな、『政治にかかわるテーマだから、下手したら国際問題になる』の一点張りや」
「何ですか、それ? ボスが習近平だか何だか知りませんが、中国共産党が怖くて歴史を研究できますか! 日本政府なら怖くないからと言って、日本人には平気で自虐史観を押し付けてるのを見て見ぬふりをしておきながら、相手が中国だと、怖がって何もできない卑怯者が、うちの高校の生徒会ですか? あたし、情けなくて涙出てきますわ」
正直、あたしは三國志でいう「義」の思想で行動するほうだ。「義」とは、つまり正義。革命も結局、正義でなければならないはずだ。ところが、中国共産党は既に正義ではないにもかかわらず、生徒会はやつらにしっぽを振っている。となると、「義」は、あたしにこそある。
「部長、今こそ、うちの高校で革命を起こすときです。生徒会は堕落した高校生の幹部、つまり『ダラカン』です。劉備の言う『義』は、あたしたちにこそあります」
「そう簡単にいかへんのや。生徒会の顧問は、反動派教師の代表、六嶋道常やで。あいつはバリバリの極左の世界史・日本史教師で、『三國志の劉備は、皇帝を押し立てた反動派だから、劉備の義は認めない。劉備を賛美する生徒は絶対に留年させる』なんて言っとるクソ野郎や。まずは六嶋を倒さにゃならん」
「わかりました。ただ、相手が劉備を否定する反動派といえども、あたしは劉備を押し立てて戦います。あたしの階級闘争は劉備とともに戦うことにありますから」
かといって、相手は日教組の走狗の極左教師である。あたしも無為無策で勝てるとは思ってない。
実際、ウイグル自治区西部では、トルコ系民族の反乱も起きているのだ。
「そうだ。文化祭の展示のテーマは、『中国の少数民族』と『日本の防衛』にしませんか?」
「良いテーマやん。最近の日本は、歴史問題など、中国のなすがままやけど、それじゃあかんしな」
こうして、テーマが決まったので、あたしたちの歴史研究は始まった。中国共産党が、ウイグルで遊牧民を村に定住させて、牧草を求めて移動し続ける生活をやめさせたために、どれだけの遊牧民が家畜を死なせてしまい、失業したか。
「漢民族って、はた迷惑な民族だよね。日本人のほうが、よほど良い民族だわ。そんななら、日本を盟主とした東アジア共同体を作らないと」
こうして、あたしたちは生徒会に文化祭のテーマを申請し、受理された。ところが、事態はあたしたちの思ってもみなかった方向から、横槍が入ることになったのだ。
生徒会に申請が受理されてから一週間ほどたち、あたしが歴史クラブの部室に顔を出すと、田井中部長と高橋さんが頭をかかえていた。
「深刻そうな顔をして、どうなさったんですか?」
「それがな、生徒会が今日になって、いきなり申請を受理できんとか言い出したんや。もう、わけわからん」
「はあ? 理由とか、ちゃんと説明してもらったんですか?」
「それがな、『政治にかかわるテーマだから、下手したら国際問題になる』の一点張りや」
「何ですか、それ? ボスが習近平だか何だか知りませんが、中国共産党が怖くて歴史を研究できますか! 日本政府なら怖くないからと言って、日本人には平気で自虐史観を押し付けてるのを見て見ぬふりをしておきながら、相手が中国だと、怖がって何もできない卑怯者が、うちの高校の生徒会ですか? あたし、情けなくて涙出てきますわ」
正直、あたしは三國志でいう「義」の思想で行動するほうだ。「義」とは、つまり正義。革命も結局、正義でなければならないはずだ。ところが、中国共産党は既に正義ではないにもかかわらず、生徒会はやつらにしっぽを振っている。となると、「義」は、あたしにこそある。
「部長、今こそ、うちの高校で革命を起こすときです。生徒会は堕落した高校生の幹部、つまり『ダラカン』です。劉備の言う『義』は、あたしたちにこそあります」
「そう簡単にいかへんのや。生徒会の顧問は、反動派教師の代表、六嶋道常やで。あいつはバリバリの極左の世界史・日本史教師で、『三國志の劉備は、皇帝を押し立てた反動派だから、劉備の義は認めない。劉備を賛美する生徒は絶対に留年させる』なんて言っとるクソ野郎や。まずは六嶋を倒さにゃならん」
「わかりました。ただ、相手が劉備を否定する反動派といえども、あたしは劉備を押し立てて戦います。あたしの階級闘争は劉備とともに戦うことにありますから」
かといって、相手は日教組の走狗の極左教師である。あたしも無為無策で勝てるとは思ってない。
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