好きって言ってみなよ？

由貴との生活

8

「もしもし、晶か？」
「兄さん」



ある休みの日。
珍しく兄さんから電話がかかってきた。



「今から第一総合病院に来てくれ」



それだけ言うと兄さんは電話を切った。
第一総合病院って一体なんだよ。
步夏風邪引いてるのにさ。



俺は兄さんに言われた通りに病院に向かった。



病院に着くと、兄さんがいた。


「兄さん、一体何の用なんだよ？」
「こっちに来てくれ」



俺は兄さんに連れられていく。
そして集中治療室にはこの間事故に遭った２人がいた。



『すまない晶』



「っ……」



ヤバいっ!



「晶!」



俺は軽く深呼吸をして兄さんに向き直る。



「大丈夫、だから」
「しかし」
「大丈夫だから。で、あの人たちは……」
「この間事故に遭った夫妻だ」
「俺に会わせてどうするんだ？」
「あのな？彼らにはまだ小さい子供がいるんだ」
「親戚に預けられないのか？」



そんな俺の質問に、兄さんは苦笑していた。



「彼らはな、良くて寝たきり。悪ければ……でな、今あの夫妻の子供は親戚中が押しやっているんだ」
「どこの家も似たような感じだな」
「晶？」
「俺に兄さんたちは隠していたつもりだろうけど、俺がわからな
いわけないだろう？俺は親戚中をたらい回しにされそうになってただろう？」



考えればすぐわかることだしな。



「で、話しって？」
「あぁ、あのな？晶、話しというのは……」



そう言って兄さんは話しを始める。