好きって言ってみなよ？

違和感

9

「火山先生ですな。私が学園長の時津です」



櫻ヶ丘学院の学園長は物腰の柔らかい男性だった。
そして。
男子校だからか女性教員は1人もいなかった。
まぁ、当たり前といえば当たり前だけど。



そして。
俺は１年生の担任になった。




「このクラスの担任の火山瑠衣です。担当教科は数学です。みんなよろしくね」





こうして新しい1年がスタートした。




まだ中学生になったばかりの生徒たち。
初々しくて可愛いなぁ。



『櫻ヶ丘学院はどうだ？』




家に帰り着くととおるからメールが着ていた。



「１年生の担任なんだけど。みんな可愛いよ」
『手出すなよ？そんなことしたら悲しむ奴がいるからな』




やっぱり俺には恋人がいたんだ。
薄々感じていた。
おそろいの食器やコップがある時点で。



きっと泣かせてしまっていると思う。
俺が忘れてしまっていることで。



これ以上泣かせないようにしなきゃ。
相手がわからないのに泣かせたくない。
そう思った。