好きって言ってみなよ？

違和感

1

「あ、目醒めました？」




ここは？
確か、繁華街を歩いてて。
…………誰といたんだっけ？



誰かと歩いてて誰かを突き飛ばしたような？？
気のせいかな。




それから一週間後。




「お兄ちゃんお見舞い来たよ」



沙希が見舞いにきた。
学校の友達であろう男の子とともに。




うちの制服着ていた。
俺は見覚えがなかった。
沙希と同じ学年なら全クラス教えてるからわかるはずなのに。





「あんたホント、しぶといな」




この口調からして彼は俺を知っている。
けれど俺は知らない。
わからない。




「瑠衣、さん？」
「お兄ちゃん？」



何も言わない俺を不審に思ったのか。
沙希は叫びながら聞いてきた。



「あっちゃんだよ!わかるよね？」



わからない。
その子のことわからない。
だから正直に言ったんだ。



「沙希、その子誰？」




「え……」
「お兄ちゃん、冗談にしては……」
「……冗談じゃないよ」



花束を持っていた子の力が抜けていった。
何か変なこと言った？


「キミ、誰？」


知らない子だから聞いてみた。




「……」
「お兄ちゃん!!」



何故か沙希が怒っていた。



「俺はあなたのクラスの生徒ですよ、瑠衣先生。……俺帰りますね」



その子はそれだけ言うと病室から出ていった。




「お兄ちゃんのバカバカ！」




沙希もそう叫んで出ていった。
知らないから本当のことを言ったのに。
何がいけないわけ？