好きって言ってみなよ？

さようなら

3

「晶。大丈夫だから、瑠衣は大丈夫だから」
「……」



大丈夫。
瑠衣さんなら大丈夫な気はする。
でも、車に引かれてケガしてるんだ。



それから一週間。
瑠衣さんが目覚ましたらしく俺は沙希ちゃんと見舞いに行く。



「お兄ちゃんーお見舞いに来たよ」
「あんたホント、しぶといな」

俺が強がってそう言うんだけど。
『またー強がって』って言うと思ったんだけど、無反応。
瑠衣さん？



「瑠衣、さん？」
「お兄ちゃん？」



一体どうしたんだ？
心配になり、俺たちは瑠衣さんに聞いた。



「あっちゃんだよ!わかるよね？」



瑠衣さんが放った言葉は……。



「沙希、その子誰？」



だった。




瑠衣さん、冗談だよな？
今のは。



「お兄ちゃん、冗談にしては……」
「……冗談じゃないよ」



「キミ、誰？」
「……」
「お兄ちゃん!!」



沙希ちゃんが瑠衣さんを怒鳴りそうだからとめた。
だって今の瑠衣さんには罪ないんだから、仕方ないんだ。



俺は泣くのを堪えて言った。




「俺はあなたのクラスの生徒ですよ、瑠衣先生。……俺帰りますね」



瑠衣先生。
俺はあの人をそうは呼ばなかった。
他の先生たちがいいって言ってたからだけど。



俺は瑠衣さんを先生って思ったことないから。
瑠衣さんは俺にとって大切な人だから……。