好きって言ってみなよ？

高校生活初めての夏休み

15

「じゃあお邪魔しましたー」
「まこ待て!俺も行く」
「え？」
「今日学生寮に戻るから途中まで一緒に行く」
「兄ちゃん、ここに住んでるんじゃなかったの？」



まこはどうやら進行形で俺がここにいると思ってるみたいだ。



「あっちゃんには一応マンションあったけど、売り払ったからね」
「売った？」
「姫１人だと心配だし。俺寮に入っちゃったしだから必要ないだろう？」
「あーうん」



まこはややあきれ気味そう言ってきた。



「じゃあな」
「冬休みもまた来てね」
「気が向けばな」
「うん。じゃあね」



冬休み？
瑠衣さんが嫌じゃないならいたらいいさ。
ホントは瑠衣さんと暮らしたい。
けど俺のことをとやかく言う奴がいるし俺があまり瑠衣さんに甘えたくないから。


そして駅前でいきなりまこが聞いてきた。



「兄ちゃんと瑠衣さんって人の関係は？」
「瑠衣さんは……」
「あっちゃんの好きな人!」
「っ沙希ちゃん!!」
「そしてあっちゃんとお兄ちゃんはエッチしてるし」
「兄ちゃん……ホント？」
「っ……」



沙希ちゃん。
そんなこといわなくても。



「そうだよ」
「付き合ってんの？」
「付き合ってない」
「じゃあただのセフレ？」
「世間じゃそうとしか言わないぞ？」



そう。
瑠衣さんは俺の恋人じゃない。
世間じゃセフレってやつだ。



「……嫌か？俺が男を好きなの？」
「え？別に同性好きでも、気にしないよ？」
「そう……」
「言いたい奴には言わせておけばいいじゃん」
「あ、俺こっちだから。じゃあなまこ」
「うん!兄ちゃん、またね」



俺はまこと別れて寮へ戻っていく。