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葉月カイト

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村雨姉妹

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「由貴帰っちゃうのか」
「うん」



瑠衣が真剣な目をして言ってきた。



「由貴。泣きたい時は我慢しなくていいんだよ?夏がいる時は難しいかもしれないけどさ」
「それとさ由貴って女の子に興味ないよね?」
「なんで………」
「わかるよ。テレビ見てたらいつもあの俳優かっこいいとか言ってから」




最近俺も気づいた。
俺は女の子をあまり可愛いとは思わない。



「このタイミングで家に戻ってくれて良かったかも」
「なんで?」
「じゃないと俺、由貴を襲ってたかも」
「はぁ?」
「俺もそうだから。あ、おじさんたち待ってるよ。相談には乗るからいつでもメールしておいで」



中学入る前に俺は瑠衣の家から出て猪熊の家へと戻った。
中学には去年入学していた歌音たちがいた。



「「由貴ちゃん!」」
「由貴ちゃんは何着ても可愛いー」



歌音たちはいつもこうだよ。
何着ても可愛いって。




「あのさ俺もいるんだけど」
「よく入学できたわね」
「余計なお世話だ!!」



相変わらずなんだからこいつらは。
俺と純はテニス部に入った。
それからあっという間に夏休みに入った。



夏兄は週末は何故か帰ってきていた。
その間。
毎日毎日殴られた。



「なんだよ。抵抗しないなんてつまんねぇな」
「いいこと思いついた!」



夏兄は俺の服を掴み持ち上げた。



「な、夏兄。何するの?」
「こうするんだよ!」



そのまま階段から突き落とした。




「うわぁぁー」



こんな時に限って誰もいなかった。
痛くて動けなかった。



「情けない奴。たかがこんなことぐらいで」



ここまでで俺の記憶は途切れていた。



「由貴!目覚めたか?」
「良かった…………」



目を覚ますと病室にいた。
春兄の話によると階段から足を踏み外して家の廊下で倒れている俺を夏兄が見つけたと。
違う。
夏兄が俺を突き落としたんだ。




「俺としては夏のアホが突き落としたって思ってるけどな」



俺は右腕骨折と全身打撲で2週間ほど入院になった。



「由貴大丈夫か?」
「大丈夫だよ。このくらい」



骨折したのが右腕だから不便で仕方ない。
そして、7月半ば。



「父さん!通知表」



それを横から覗き見する夏兄。



「オール5取って当たり前じゃん」



夏兄の言い方はいらつかせる。
でも反論したら面倒だから我慢していた。





「夏は5どころか3すら取れてなかっただろう?」
「なっ!?」
「それに比べて由貴は凄いな」
「由貴。欲しいモノないか?」
「え?」
「親父は頑張ったご褒美やりたいんだよ」



怒られないかな。



「あのさ。俺、ケータイ欲しい」




ダメ元で言ってみた。



「じゃあ明日さっそく買いに行くか」
「俺がついて行ってやるよ」



そう言って夏兄に無理やり連れて行かれた。
そして。
夏兄名義で契約することになった。
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