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葉月カイト

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村雨姉妹

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俺がいた施設は色んなことを教えてくれた。
親が教えることを。
まるで変わりに教えてくれているかのように。




「由貴くん。今日はここの出身でピアニストの猪熊多紀くん」
「先生。新しい子?」
「そうよ。1年ぐらい前にきたの」


この日はピアノを教えてくれた。



「由貴くん。ピアノ好き?」
「うん。ピアノすきだよ!」
「弾いてみる?」
「うん」
「じゃあおいで」



多紀兄は俺を膝の上に乗せてピアノを弾かせてくれた。
凄く楽しかった。



「また来るね!由貴くんて俺のさ親戚の人にそっくりだよね」



帰り際。
多紀兄はそう言っていた。



俺を引き取りたいと父さんが言ってきたのは1年以上経ってから。




「由貴くん!園長先生が呼んでる」
「え!?お昼、お肉残したの怒ってる?」
「怒ってないよ。大切な話があるみたいよ?」



たいせつな?
なんだろ??




先生に連れられて園長室へ。




「由貴くん、来ましたね」




園長先生のところに行くと知らない男性がいた。




「猪熊さん。この子が由貴くんですよ」
「園長先生?」
「由貴くん。この方はあなたのお父さんですって」
「ぼくの?」



園長先生は笑いながらそう言っていた。



「由貴くん前にテレビ出たでしょう?それでわかったみたいよ?」
「それでね由貴くん。お父さんが迎えになら」
「ぼくいらない子じゃない?」
「いらなくなんかない」



父さんはずっと探していたと言ってくれた。



「お、おとーさん」
「何だ由貴」



今まで父親なんていなかったから。
父さんて呼んだはいいけどなんだか照れくさかった。



「な、何でもない!」



俺は先生の後ろに隠れた。



「あらあら」



園長先生はそう言いながら笑っていた。


「無理して一緒に暮らそうとしなくていい。だから由貴が一緒に居たいって思うようになったら教えて欲しい。また、来週くるから」



父さんはそれから毎週来てくれるようになった。
毎週必ずお土産持って。
俺自身アレルギーがよくわかっていなかった。



この日は鶏肉をいっぱい持ってきてくれた。



「今日は唐揚げと野菜スープだよ」
「ね、由貴くん。今日はお父さん時間あるらしいから一緒に食べたら?」
「嫌?」
「でもっっ」
「由貴くんいいのよ」
「裕子先生、一緒にいてあげて」
「はい」



裕子先生はよく俺の面倒を見てくれている先生。




「猪熊さん、よかったら由貴くんもこちらで」
「由貴おいで」



そう言って父さん手招きするから隣に座った。



「あのね、今日ね唐揚げなの!」
「由貴くんは唐揚げ好き?」
「わかんない。おかーさんはとりにくたべちゃダメっていってたよ」
「え?それって鶏肉アレ……由貴くん!?」
「ゴホッ」



あとになってわかったこと。
俺は鶏肉アレルギーだったらしい。
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