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葉月カイト

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颯太と翼

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『由貴は○○区○○2-3-4ここにいる。
場所わかるなら来いよ』



颯太に由貴のスマホからメールした。
颯太は罠だとわかっててきた。
しかも住所は俺のたまり場にしていた家だしな。




そして。
颯太がくるタイミングを見計らって由貴を襲った。
颯太に見せつけるために。
そして。



颯太がタイミングよく入ってきた。



「由貴くんに何してるの?」
「なんだよ。今いいとこなのに」



颯太が怒っているのがわかった。
俺だったらキレてる。


誰だって恋人が他の奴に襲われたらキレるだろうし。



由貴のことは恋愛として好きじゃない。
弟というか颯太と同じ好きじゃない。
今はな。
あの時は本気で好きだったんだ。



颯太が憎いなんて思っていないのに。
俺は颯太を蹴りつけた。



「大丈夫だから」



颯太はそう言いながら由貴をかばっていた。
まるで由貴のお腹を守るように。











お腹を守るようにってまるで妊娠しているみたいじゃないか。
由貴は確かβだったよな?
颯太はそれでも関係ないと言って由貴と付き合っていたよな。
ただ。
Ωみたいによく体調崩していたけど。




そして。
俺は颯太に切りかかる。



「死ねぇー颯太!」



 俺は颯太にそう言いながら切りかかった。
きっと颯太も俺を許さないだろう。




いや。
許してもらおうだなんて思っていない。




ただ。














陸。
お前を俺は許さないからな。 




きっと。
颯太ならいつか思い出してくれる。






そう願って。




そして。
颯太の親父さんがきた。




「適当に罪状でっちあげて刑務所にぶち込んどいて」




そして。
由貴と颯太は救急車で病院に。




そして「こいつも。こいつ妊娠してるんで」陸也がそう言った。



はぁ?
妊娠してる?



「由貴。お前βじゃ……」
「大学に入ってからわかったんだよ。Ωだって」



そうか由貴Ωで妊娠してるのか。
相手は颯太だよな。



なんだろう。
まるでじぶんのことのように嬉しい。



陸は勝ち誇ったかのような笑顔を向けた。




警察の奴らに連れて行かれる時。
陸は俺にしか聞こえないように言ってきた。




『残念だったな』と。



残念じゃないさ。
これからだ。
これでいいんだ。





俺が留置所に入れられて三日後。




「面会?」
「あぁ。早く行け」




俺に面会とか物好きって誰だ?




「やぁ。翼くん」



面会にきたのは……。





颯太の親父さんだった。



「……」
「とりあえず座りなさい」




颯太と一緒で何言っても通じない。




「どうしたんです?」
「颯太にいい加減話したらどうだい?」
「まだ、早いです」





まだ時期じゃない。




「奥さんと由貴くんとうちの馬鹿息子のためか?」





颯太の親父さんだけは全て知っている。
だから手を貸してくれている。




特に颯太のことを。
陸からの情報をそのまま。




「気の済むようにしなさい。話がある時は連絡くれたら手続きするから」




言いたいことだけ言って颯太の親父さんは帰っていった。
こういうとこは颯太と似ている。
颯太は認めたがらないけど。
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