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颯太と翼

3

『颯太。由貴は預かってる。返してほしければここに来い』


颯太に由貴から奪ったスマホでメールした。
由貴の奴全くロックしてないからすぐ解除できた。
少しは警戒してロックしとけよ。
由貴のスマホ触るのが颯太ぐらいだからだろうけど。



写真は全て颯太の写真。
しかも全部颯太の自撮り。
そういや少しあいつはナルシストなとこあったよな。






颯太のことだからきっと俺からだってわかるはず。
颯太はきっと来る。



由貴の中では、俺とのことは終わってる。



あの時。
結婚してるのを隠して由貴と付き合い、一番大切にしたかった家族を傷つけた。



そして。
由貴に既婚者なのかを聞かれた。




『翼。結婚してるって本当！？』




泣きながらそう言われた。
それと同時に奈々にもバレていた。



『翼。あんた、不倫してるってホント？』
『え！？誰から』
『颯太よ！颯太が翼が何も知らない子をたぶらかしているって』
『ごめん……』
『ごめんじゃないわよ！なんで！なんでそんなことするの！？』



ごまかすことができなくて全てを奈々に話した。
結婚しているのを隠していたこと。
奈々以外に好きな子がいること。



『奈々も好きだけど俺、由貴も好きなんだ』
『由貴！？翼、由貴が好きなの？』
『あぁ。由貴も好きなんだ』
『なんで何も知らない由貴をたぶらかすの？』
『好きになってしまったんだ』



奈々から離婚を切り出された。



『奈々。俺は別れたくない』
『何よそれ。私とは離婚したくない浮気相手も好き、別れたくもない。私に我慢しろと？』
『違う！そうじゃない！！』
『何よそれわけわかんない！』


そう言って奈々は家から飛び出して行った。


それからしばらくして。
由貴に言われた。
俺と別れてほしいって。
由貴の性格からしてそのまま付き合うことできないからわかっていた。




『翼、別れよう。翼には家族がいるんだから』
『いやだ』



俺は気がついたらそう言っていた。
奈々にあんな言われたのに。



『え？話？』
『由貴とあなたと話すの！』



それからしばらくして。
奈々と俺と由貴、そして何故か颯太もいたが話すことに。


それからしばらくして偶然聞いてしまったんだ。



『翼が別れてくれない？』
『うん』
『……じゃあ俺と付き合おうか？』
『え？』
『俺と付き合ったふりしたら翼も諦めるんじゃない？』



颯太。
お前、由貴が好きだったんだな。



そして。
話し合いの日。


『由貴。由貴はこの馬鹿が結婚してること』
『ごめんなさい。お姉ちゃん！』
『俺、翼が結婚してるの知らなかった！知ってたら付き合ったりしなかった』
『ホント？』
『奈々ちゃん。嘘じやないよ？俺翼に由貴くんは結婚してるの知らないはずだよ、どうするのって聞いたんたんだけどはぐらかされたんだよね』
『お姉ちゃん。俺、翼のこと好きじゃない』
『それに由貴くんは俺と付き合ってるんだよね？』



そう言って由貴にキスしていた。
そういや、こいつ。
こういうとこあったっけ。



『由貴。泣かないで、あんたを責めてないわよ？悪いのはこいつだから』




このあと俺は奈々と話し合いなんとか離婚は免れた。




今からすることはきっと颯太たちは許してくれないだろう。



でも。
陸の目を欺くためにはっ。
これしかないんだ。
ごめんな。
颯太、由貴。