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翼、ふたたび
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翌朝。
俺は事前研修へと向かう。
「じゃあ行ってくるね」
「行ってらっしゃい」
…………。
言ってみようかな?
由貴くん外では嫌がるんだよね。
「ね、嫌なら断っていいから。キスして?」
「え?でもっ」
可愛い。
由貴くんは俺とのキス嫌いじゃない。
外でしたくないだけ。
由貴くんも俺と付き合っているのを隠したいわけじゃない。
色々と俺が言われるのを気にしてのこと。
ホント可愛いんだから。
由貴くんは。
可哀想なくらい顔が真っ赤。
由貴くんがキスしやすいように少し屈む。
「嫌なら無理しなくていいから」
「っちょっとだけだからな!」
唇が触れるだけのキス。
それだけなのに嬉しくて仕方なかった。
「行ってきます。何かあったらメールでも電話でもいいからしてね」
俺は研修先へと向かう。
行きたくないな。
ホント事前研修とか面倒くさい。
今日来るメンバーが同期の奴らになるだろう。
どういう奴らがいるか楽しみだった。
ただ。
今日翼が出てくるというから心配で不安で仕方なかった。
次の日の夜。
陸からラインがきた。
『由貴の機種変する前のスマホ調べて見たぞ』
"で、どう?"
『お前が言った通り個人情報を抜き取ったり、居場所が感知できるアプリを入れられてる気配ある』
一昨日。
陸に可能性の話をした。
仕掛けてくるなら釈放された今だから。
俺は事前研修中だから動けない。
だから、陸と藤澤にたのんだ。
危険な翼を知る二人に。
由貴くんを守ることが出来ないのが悔しい。
それよりも。
早く、もっと早く翼を切り離しとくべきだった。
あの日。
去年、遊園地に行った日。
由貴くんは俺を好きだと言ってくれた。
その時には由貴くんの中では終わっていたんだ。
なのに、今までダラダラと。
翼がどんな奴かわかっていたのに。
嫌気がさす。
俺自身に。
翼。
もし、由貴くんに何かしたら俺は許さないから。
それだけは覚えとけよ。
それからしばらくして由貴くんからメールがきた。
「あれ?由貴くんからメール?」
何だろう?
嫌な予感がする。
『藤澤さんが前総長ってホント?』
「藤澤たちが言うわけない。きっと翼のボケナスがばらしたか」
翼。
懲りもせずにまた由貴くんに近づくとは。
「ホントだよ。黙っててごめんね」
『別にいいけど。今日、翼が大学にきてた』
え…………。
大学に!?
あれ?
大学教えてたっけ?
『颯太。大学行くのか?』
『行くよー』
そういや。
願書書いてる時、翼いたっけ。
クソッ!
そんなことより。
由貴くんに接触しただけじゃなくて、大学内に入り込むとは。
いい度胸してるね。
セキュリティを強化させないと。
『その時に藤澤さんが前総長だって喚いてた』
「藤澤がいたんなら大丈夫か」
翼がくるようになったか。
やっぱり断ればよかった。
でも。
無責任なことだけはしたくなかった。
"お前って変なとこ真面目だよな"
昔、陸に言われたっけ。
そんなことしたら由貴くんに嫌われちゃうからしないけどね。
何も起きないことを祈って研修を頑張らないと。
ただ。
翼のことを、何故か本気で嫌いにはなれないんだ。
何故かわからないけど。
俺は事前研修へと向かう。
「じゃあ行ってくるね」
「行ってらっしゃい」
…………。
言ってみようかな?
由貴くん外では嫌がるんだよね。
「ね、嫌なら断っていいから。キスして?」
「え?でもっ」
可愛い。
由貴くんは俺とのキス嫌いじゃない。
外でしたくないだけ。
由貴くんも俺と付き合っているのを隠したいわけじゃない。
色々と俺が言われるのを気にしてのこと。
ホント可愛いんだから。
由貴くんは。
可哀想なくらい顔が真っ赤。
由貴くんがキスしやすいように少し屈む。
「嫌なら無理しなくていいから」
「っちょっとだけだからな!」
唇が触れるだけのキス。
それだけなのに嬉しくて仕方なかった。
「行ってきます。何かあったらメールでも電話でもいいからしてね」
俺は研修先へと向かう。
行きたくないな。
ホント事前研修とか面倒くさい。
今日来るメンバーが同期の奴らになるだろう。
どういう奴らがいるか楽しみだった。
ただ。
今日翼が出てくるというから心配で不安で仕方なかった。
次の日の夜。
陸からラインがきた。
『由貴の機種変する前のスマホ調べて見たぞ』
"で、どう?"
『お前が言った通り個人情報を抜き取ったり、居場所が感知できるアプリを入れられてる気配ある』
一昨日。
陸に可能性の話をした。
仕掛けてくるなら釈放された今だから。
俺は事前研修中だから動けない。
だから、陸と藤澤にたのんだ。
危険な翼を知る二人に。
由貴くんを守ることが出来ないのが悔しい。
それよりも。
早く、もっと早く翼を切り離しとくべきだった。
あの日。
去年、遊園地に行った日。
由貴くんは俺を好きだと言ってくれた。
その時には由貴くんの中では終わっていたんだ。
なのに、今までダラダラと。
翼がどんな奴かわかっていたのに。
嫌気がさす。
俺自身に。
翼。
もし、由貴くんに何かしたら俺は許さないから。
それだけは覚えとけよ。
それからしばらくして由貴くんからメールがきた。
「あれ?由貴くんからメール?」
何だろう?
嫌な予感がする。
『藤澤さんが前総長ってホント?』
「藤澤たちが言うわけない。きっと翼のボケナスがばらしたか」
翼。
懲りもせずにまた由貴くんに近づくとは。
「ホントだよ。黙っててごめんね」
『別にいいけど。今日、翼が大学にきてた』
え…………。
大学に!?
あれ?
大学教えてたっけ?
『颯太。大学行くのか?』
『行くよー』
そういや。
願書書いてる時、翼いたっけ。
クソッ!
そんなことより。
由貴くんに接触しただけじゃなくて、大学内に入り込むとは。
いい度胸してるね。
セキュリティを強化させないと。
『その時に藤澤さんが前総長だって喚いてた』
「藤澤がいたんなら大丈夫か」
翼がくるようになったか。
やっぱり断ればよかった。
でも。
無責任なことだけはしたくなかった。
"お前って変なとこ真面目だよな"
昔、陸に言われたっけ。
そんなことしたら由貴くんに嫌われちゃうからしないけどね。
何も起きないことを祈って研修を頑張らないと。
ただ。
翼のことを、何故か本気で嫌いにはなれないんだ。
何故かわからないけど。
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