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葉月カイト

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由貴と義久

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『由貴。店の前に着いた』


着いたか。
じゃあ行かなきゃな。



あの人がいるのは面倒だけどな。




「じゃあ行ってくるから」



夜。
兄さんたちが迎えにきたから車で燐と向かう。



「おう。楽しんでこい」
「今日は帰って来ないからな……」



********



「なぁ、ゆっきー話しあるって言ってたけどなんだ?」



そういや春兄には言ってたっけ。




「……父さんがいる時に話すから」
「わかった」



そして。
父さんもやってきた。



「でもさ、父ちゃん。急にみんなでご飯食べようってどうしたんだよ?」
「親父がさこの間、家が広いなーとか言ってたんだよ」 


それでみんなでか。




「あ、あのさ…………」
「そういや。由貴、話があるって言ってなかった?」
「うん。あ、のさ、」
「なんだ?」
「父さんたちには言ってなかったけど、俺さ…………女に興味ないし今、付き合ってる奴がいるんだ」
「………」


なんだ?
なんで黙ってるんだ??




「やっと言ったか」
「だな」



は?
やっと言ったって??


「兄さん…………?」
「俺たちさ由貴がさ女に興味ないの知ってた。彼氏ができたのは知らなかったけどさ」



知ってたのか。
気のせいじゃなきゃ、春兄。
拗ねてないか?


「………もしかして」
「何?」
「陸也に言われたか?陸也は俺たちが知ってるのは知ってるぞ?」
「は?陸也に言われたぞ?」
「それは陸也の兄心だよ。俺たち由貴から言って欲しかったし」



くそ。
陸也のヤツめ。
騙しやがってぇぇっ!!




「で、彼氏って誰?誰?」
「兄さんたちも知ってるよ」
「……颯太?」
「な、なんで!?」
「由貴。気づいてないのか?颯太めっちゃラブラブ光線出してただろう?」


藤澤さんも言ってたっけ。
『由貴は鈍いよな。颯太の奴あんなにお前への好意ダダ漏れさせてたのに』って。



「帰ったら颯太に伝えて!近いうちに連絡するからって」
「連絡って」
「颯太ともたまにメールするんだよ!」



マジか。
変なこと言ったりしてないよな?




「連絡するのはいいけどさ、変なこと言うなよ?」
「わかってるって。あ、正月は颯太も連れてこいよ!」


兄さんたちは分かったて言ってたけど。
本当にわかったのか?



「颯太みたいな婿養子は大歓迎だぞ」
「俺、跡継がないし。婿養子なんか取らねぇよ」
「兄ちゃんは婿養子じゃなくてお嫁に行くんだよね?」
「はぁ!?何言って」
「違うの?ぼく、颯太さんは兄ちゃんと結婚するつもりだと思ってたけど」



燐よ。
父さんたちの前で何を言ってくれるよだよ!



「由貴。颯太が卒業したら一緒に暮らしちゃえば?」
「できねぇし。颯太卒業したら研修でしばらく北海道に行くらしいから」
「へぇー颯太。卒業後いないのか」



嫌な予感がした。
颯太が卒業後いないって言った時の夏兄の顔がおかしかったから。
何かを企んでいるんじゃないか。
そう思った。
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