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葉月カイト

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夏合宿

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「というわけで明日から合宿だけど。由貴は颯太と同じ部屋な」



合宿前日。
藤澤さんにそう言われた。




「嫌か?」
「別に嫌なわけじゃ…………」
「じゃあなんだ?颯太が他の奴と同じ部屋でもいいのか?」



それはそれで嫌だ。



「颯太には由貴に手出すなって言っといたから大丈夫だ」



そう。
去年の夏合宿の時、俺が拒否しなかったのをいいことに、毎日練習のあとにしてたら体が疲れたみたいで最終日に熱出して寝込んだんだよな。




「わかった」
「ホントお前は素直じゃないよな」
「別にいいじゃん」
「由貴、燐とダブルス組むのか?」
「燐がダブルス組みたいみたいだから」



それに関しては颯太に言われた。



『藤澤ー由貴くん捨てられた』なんて大げさなこと言ってたけど。

しかも。
嘘泣きつきで。



というかうちのサークルのメンバーには、俺たちのことが知れ渡っているから、誰も気にしていない。
またじゃれてるぐらいにしか見られていない。


「でも、由貴。次の試合はシングルスで出場な」
「何で?」
「俺がそれがいいって思ったから」



問答無用でシングルスで出場になった。



「あ、由貴くん」



颯太は俺にしか聞こえないように言ってきた。
抑制剤忘れないようにって。



俺がΩだと知っているのは藤澤さんと純と律ぐらい。


「……あのな。颯太?遊びじゃないんだけど」



今日から合宿。
花火やらをめっちゃ持ってきてた颯太に藤澤さんが小言いってた。




止めたんだけど颯太の奴大丈夫だからとか言って聞かなかったんだよな。




「何でこんなに遊ぶモン持ってきたんだよ!」
「今年で最後なんだよ?」
「颯太。あのな!由貴に嫌われても知らないからな」 


藤澤さんにあきられていた。



「由貴くん。荷物貸して?」
「え?」
「颯太に持たせとけ。無駄に馬鹿力だから」
「それとな颯太はな本当に好きな奴にはとことん尽くすからな」



知ってる。
颯太に言われた。



"俺はね好きでもない奴に優しくしたりしないから"
だから、覚えててって言われた。




「じゃあ飯食ったら練習だからな!」


合宿の間。
自分たちで飯作る。
4~5人で毎日作るんだそうだ。



みんなは文句言ってたけどな。


「なぁ、由貴て毎日会長に飯作ってんの?」
「何で?」
「だってお前たち付き合ってんだろう?」
「あぁ」
「だから由貴が作ってんのかなって」
「颯太が作る」
「会長が?想像できねー」



颯太と付き合いだしてからサークルの奴らは興味本意でこうやって聞いてくる。



まぁ。
別にいいけどな。




「なぁ、由貴たちってもうシたの?」
「何で?」
「関係ないじゃん」




颯太に好きだって言われてから一回もシてない。
しばらくは胃腸炎のせいで体調が良くなかったからだけど。
颯太の奴、キス以上してこない。
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