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虐待
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「当ててやろうか?」
「いいっ」
「俺が男相手売春行為してるとかそういう噂だろう?」
はぁぁー。
全く由貴くんこの子は。
「由貴くんはさ自分を守るってこと知らないよね?」
楓くんは言いたくなかったみたい。
なのに由貴くんてば。
「……別に。散々中学の時に言われたし。だから今さら……」
"中学の時に散々言われたし"
「だからあまり中学行かなかったの?」
「……そうだよ。俺はいいんだよ。何を言われてもさ……でも、燐たちが色々言われるのは嫌なんだよ」
由貴くんは優しいから。
自分はいいからって。
由貴くんは自分より他人優先。
悪いことじゃないんだけど。
ほどほどにしてほしいけど。
「兄ちゃん。何で寮に入ったの?」
「この家にいたくなかったんだよ」
「それって逃げてるだけじゃん。だってそうじゃん!」
「言いたいことはそれだけか?」
「そうだよ!たかがそのくらいで学校行かなくなるとか」
由貴くんが立ち上がりどこかに行く。
「ちょっと散歩してくる」
由貴くんが部屋から出ていくと。
タイミングを見計らったかのように燐くんがやって来た。
「楓!」
「なんだよ?」
「なんだよじゃないよ。お前はもう少し人の立場になって物事を言えよ」
「みんなして由貴兄、由貴兄って」
もしかして楓くん、由貴くんに構ってもらえなくて拗ねてる??
「由貴ー入るぞってあれ?」
「純くん!」
「ん?燐落ち着けよ」
純平は目で訴えてきた。
"何があったんだ"って。
「由貴くんが中学いかなかったり、寮に入ってたのは甘えじゃないかって」
「それ、本気か?」
「純兄?」
「それ由貴に言ったのか?」
「言ったよ!」
「楓!お前は由貴がどんなだったか知らないからそんなこと言えるんだよ」
珍しい。
由貴くんと同じくらい温厚な純平が。
そう、その純平が怒ってる。
「何があったの?」
「由貴。高三の時、家に連れ戻されたあと。由貴、何故か家にいるとさ過呼吸を引き起こすようになったんだ」
「え…………」
「高三の時は保健室登校だったしさ。今も家にいると苦しいんじゃないか?」
なのに。
楓くんのためにわざわざ。
それが由貴くんだからね。
自分のことより他人優先。
「ぼく明日にアパートに行く!」
「え?」
「かえなんか嫌い!」
「え…………」
「いいのか?燐」
「純くんも颯太さんも明日行こう!兄ちゃんはこの家にいちゃダメだよ」
「燐兄。何で兄ちゃんの肩持つんだよ!」
「……昨日兄ちゃんが殴られてるのみて怖かった。だって兄ちゃん抵抗もしないでじっと耐えてただもん。ぼくは兄ちゃんに傷ついて欲しくない」
燐くんはそう叫んでいた。
「いいっ」
「俺が男相手売春行為してるとかそういう噂だろう?」
はぁぁー。
全く由貴くんこの子は。
「由貴くんはさ自分を守るってこと知らないよね?」
楓くんは言いたくなかったみたい。
なのに由貴くんてば。
「……別に。散々中学の時に言われたし。だから今さら……」
"中学の時に散々言われたし"
「だからあまり中学行かなかったの?」
「……そうだよ。俺はいいんだよ。何を言われてもさ……でも、燐たちが色々言われるのは嫌なんだよ」
由貴くんは優しいから。
自分はいいからって。
由貴くんは自分より他人優先。
悪いことじゃないんだけど。
ほどほどにしてほしいけど。
「兄ちゃん。何で寮に入ったの?」
「この家にいたくなかったんだよ」
「それって逃げてるだけじゃん。だってそうじゃん!」
「言いたいことはそれだけか?」
「そうだよ!たかがそのくらいで学校行かなくなるとか」
由貴くんが立ち上がりどこかに行く。
「ちょっと散歩してくる」
由貴くんが部屋から出ていくと。
タイミングを見計らったかのように燐くんがやって来た。
「楓!」
「なんだよ?」
「なんだよじゃないよ。お前はもう少し人の立場になって物事を言えよ」
「みんなして由貴兄、由貴兄って」
もしかして楓くん、由貴くんに構ってもらえなくて拗ねてる??
「由貴ー入るぞってあれ?」
「純くん!」
「ん?燐落ち着けよ」
純平は目で訴えてきた。
"何があったんだ"って。
「由貴くんが中学いかなかったり、寮に入ってたのは甘えじゃないかって」
「それ、本気か?」
「純兄?」
「それ由貴に言ったのか?」
「言ったよ!」
「楓!お前は由貴がどんなだったか知らないからそんなこと言えるんだよ」
珍しい。
由貴くんと同じくらい温厚な純平が。
そう、その純平が怒ってる。
「何があったの?」
「由貴。高三の時、家に連れ戻されたあと。由貴、何故か家にいるとさ過呼吸を引き起こすようになったんだ」
「え…………」
「高三の時は保健室登校だったしさ。今も家にいると苦しいんじゃないか?」
なのに。
楓くんのためにわざわざ。
それが由貴くんだからね。
自分のことより他人優先。
「ぼく明日にアパートに行く!」
「え?」
「かえなんか嫌い!」
「え…………」
「いいのか?燐」
「純くんも颯太さんも明日行こう!兄ちゃんはこの家にいちゃダメだよ」
「燐兄。何で兄ちゃんの肩持つんだよ!」
「……昨日兄ちゃんが殴られてるのみて怖かった。だって兄ちゃん抵抗もしないでじっと耐えてただもん。ぼくは兄ちゃんに傷ついて欲しくない」
燐くんはそう叫んでいた。
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