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虐待
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「ごめん。兄ちゃん」
「ったく!」
楓の奴は。
「テスト赤点ばかりとか何やってんだよ」
「だって…………」
「ほら帰るぞ」
楓は俺の通ってた高校に進学した。
荷物を楓に持たせ俺たちは実家に帰る。
高校からバスで30分。
「あー疲れた」
「疲れたは俺の台詞だっ」
「だって先生、話が長いんだよだもん」
だもんじゃねぇし。
仕方のない奴。
「……楓。何か買ってやる」
「やったー。じゃあスタバ行こう」
燐たちにお土産を買って帰ると…………。
「由貴。帰ってきたのかい?」
「……」
思わず母さんって呼びそうになる。
わかってる。
約束だから。
仕方ないから。
「っ楓。俺の部屋にこれ持って行ってて」
「うん」
「……楓の高校から連絡が来たんです。兄さんたちに連絡とれないから」
この人といると思わず本当のことを言いそうになる。
でも。
約束だから。
それから。
高校の時。
俺は一時期この人を前にすると過呼吸を起こしていた。
あの人からのプレッシャーに負けて。
多少マシになったかと思ったけど。
ちょっとだけ、息が苦しい。
本当のことを言えないから。
「なんだい、その顔は。言いたいことあるならはっきり言ったらどうだい」
「……何もありませんよ」
決めたんだ。
あの人を欺く為に。
俺はこの人からの虐待を受け耐えるって。
正確にはフリだけど。
あの人が俺たちに興味なくなるまでは。
「なんなんだいお前はっ」
「っ…………」
今さら。
殴られるのも蹴られるのも慣れてる。
本気で殴ったりしていないから。
痛くもないし。
気がすむまで殴ればいい。
俺が抵抗しなければすぐ終わるから。
ここには颯太たちもいないから心配もかけないし。
「何とか言ったらどうなんだよ」
「ただいま……って母さん!何してんだよっ」
ちっ!
燐が帰ってきたか。
こんなの見られたくなかったのに。
「兄ちゃんをこれ以上痛め付けるならぼくが許さないから」
「何が許さないなんだい?」
「っ!?」
この気配は夏兄か?
なんでいるんだよ。
弥生義姉さんたちのとこに帰れよ。
お願いだから母さんにこんなことさせないでくれよ!
!!
ヤバ、落ちるっっ!
「兄ちゃんっ!」
最悪。
滑って落ちるとか。
それよりも打ちどころが悪いからか。
腕が痛む。
どこかさらにヒビでも入ったか。
あの人は俺にトドメで蹴ってきた。
蹴るというか転がすというか。
「っ…………」
俺が耐えればいいんだ。
そのうち終わるから…………。
あの人の気配が消えれば終わるから。
母さんはこんなことしたくてしてるんじゃない。
燐やひかり、楓にまで嘘ついて。
本当は誰よりも俺たちを心配しているんだから。
全身痛む。
いつのまにか寝てたのか。
「今、何時だ?」
「兄ちゃん!」
「燐?」
「よかった。目覚ましたんだね」
「っ」
起きあがると体がめっちゃ痛む。
「燐。颯太たちには何も言うな」
「何で!?」
「こんな姿見せてみろ!心配させるだろう?」
「……わかった。ぼく、救急箱持ってくるから」
燐は救急箱を取りに行く。
つか、マジメチャクチャ痛い。
「由貴様。起きてらっしゃいますか?ご学友がお見栄ですが」
誰だ?
このタイミング。
めっちゃ嫌な予感しかしない。
「誰?」
「橘颯太様です」
はぁ。
やっぱり…………。
燐じゃないなら。
多分。
「入ってもらって」
「橘様。どうぞごゆるりと」
部屋に入るなり颯太は大げさなため息を吐く。
「だから言ったのに」
「来て早々小言かよ。携帯取って」
かける相手は…………。
ただ1人。
「純、お前誰かにバラしたろ?」
『なんことだ?』
こいつはっ。
とぼけやがって!!
「今すぐ家に来やがれ!」
俺は一方的に電話を切った。
「純平だってよくわかったね」
「燐には口止めした。あんたに情報を与えれて俺のことをしってる人物は一人しかいない」
燐じゃなくて純を口止めしとくべきだったか。
「兄ちゃん!救急箱持って、あ!颯太さん」
「こんばんは。燐くん」
「何で?あ、愛の力?」
「アホか。純がばらしたんだよ!」
「颯太さん。兄ちゃんの傷の手当てお願いしてもいいですか?」
「いいよ」
「やだ。燐がいいっ」
「兄ちゃん、わがまままほどほどにしてよ。それにぼくも暇じゃないんだよね」
「燐。そこに袋あっだろ?ひかりと半分にしろ」
「兄ちゃん。楓のバカにねだられたからって。兄ちゃん優しすぎるのもどうかと思うよ?」
燐は言いたいこと言って部屋に戻った。
「ったく!」
楓の奴は。
「テスト赤点ばかりとか何やってんだよ」
「だって…………」
「ほら帰るぞ」
楓は俺の通ってた高校に進学した。
荷物を楓に持たせ俺たちは実家に帰る。
高校からバスで30分。
「あー疲れた」
「疲れたは俺の台詞だっ」
「だって先生、話が長いんだよだもん」
だもんじゃねぇし。
仕方のない奴。
「……楓。何か買ってやる」
「やったー。じゃあスタバ行こう」
燐たちにお土産を買って帰ると…………。
「由貴。帰ってきたのかい?」
「……」
思わず母さんって呼びそうになる。
わかってる。
約束だから。
仕方ないから。
「っ楓。俺の部屋にこれ持って行ってて」
「うん」
「……楓の高校から連絡が来たんです。兄さんたちに連絡とれないから」
この人といると思わず本当のことを言いそうになる。
でも。
約束だから。
それから。
高校の時。
俺は一時期この人を前にすると過呼吸を起こしていた。
あの人からのプレッシャーに負けて。
多少マシになったかと思ったけど。
ちょっとだけ、息が苦しい。
本当のことを言えないから。
「なんだい、その顔は。言いたいことあるならはっきり言ったらどうだい」
「……何もありませんよ」
決めたんだ。
あの人を欺く為に。
俺はこの人からの虐待を受け耐えるって。
正確にはフリだけど。
あの人が俺たちに興味なくなるまでは。
「なんなんだいお前はっ」
「っ…………」
今さら。
殴られるのも蹴られるのも慣れてる。
本気で殴ったりしていないから。
痛くもないし。
気がすむまで殴ればいい。
俺が抵抗しなければすぐ終わるから。
ここには颯太たちもいないから心配もかけないし。
「何とか言ったらどうなんだよ」
「ただいま……って母さん!何してんだよっ」
ちっ!
燐が帰ってきたか。
こんなの見られたくなかったのに。
「兄ちゃんをこれ以上痛め付けるならぼくが許さないから」
「何が許さないなんだい?」
「っ!?」
この気配は夏兄か?
なんでいるんだよ。
弥生義姉さんたちのとこに帰れよ。
お願いだから母さんにこんなことさせないでくれよ!
!!
ヤバ、落ちるっっ!
「兄ちゃんっ!」
最悪。
滑って落ちるとか。
それよりも打ちどころが悪いからか。
腕が痛む。
どこかさらにヒビでも入ったか。
あの人は俺にトドメで蹴ってきた。
蹴るというか転がすというか。
「っ…………」
俺が耐えればいいんだ。
そのうち終わるから…………。
あの人の気配が消えれば終わるから。
母さんはこんなことしたくてしてるんじゃない。
燐やひかり、楓にまで嘘ついて。
本当は誰よりも俺たちを心配しているんだから。
全身痛む。
いつのまにか寝てたのか。
「今、何時だ?」
「兄ちゃん!」
「燐?」
「よかった。目覚ましたんだね」
「っ」
起きあがると体がめっちゃ痛む。
「燐。颯太たちには何も言うな」
「何で!?」
「こんな姿見せてみろ!心配させるだろう?」
「……わかった。ぼく、救急箱持ってくるから」
燐は救急箱を取りに行く。
つか、マジメチャクチャ痛い。
「由貴様。起きてらっしゃいますか?ご学友がお見栄ですが」
誰だ?
このタイミング。
めっちゃ嫌な予感しかしない。
「誰?」
「橘颯太様です」
はぁ。
やっぱり…………。
燐じゃないなら。
多分。
「入ってもらって」
「橘様。どうぞごゆるりと」
部屋に入るなり颯太は大げさなため息を吐く。
「だから言ったのに」
「来て早々小言かよ。携帯取って」
かける相手は…………。
ただ1人。
「純、お前誰かにバラしたろ?」
『なんことだ?』
こいつはっ。
とぼけやがって!!
「今すぐ家に来やがれ!」
俺は一方的に電話を切った。
「純平だってよくわかったね」
「燐には口止めした。あんたに情報を与えれて俺のことをしってる人物は一人しかいない」
燐じゃなくて純を口止めしとくべきだったか。
「兄ちゃん!救急箱持って、あ!颯太さん」
「こんばんは。燐くん」
「何で?あ、愛の力?」
「アホか。純がばらしたんだよ!」
「颯太さん。兄ちゃんの傷の手当てお願いしてもいいですか?」
「いいよ」
「やだ。燐がいいっ」
「兄ちゃん、わがまままほどほどにしてよ。それにぼくも暇じゃないんだよね」
「燐。そこに袋あっだろ?ひかりと半分にしろ」
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燐は言いたいこと言って部屋に戻った。
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