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陸也と颯太と由貴
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「風邪だけど、一応、インフルの検査しとく?」
「しといて下さい」
颯太はあのあと俺の服を買いに行ってたようだ。
それに着替えて病院に来たんだけど目は回るしでそれどころじゃない。
検査をしてもらい、インフルエンザじゃなかったみたい。
あまりにも熱が高いから点滴と一晩入院することに。
「ね、由貴くん。ご両親に連絡取れないって嘘でしょ?」
バレてる。
「父さんは忙しいから連絡つかない。あの人には連絡取りたくない」
連絡したら心配して春兄がとんでくる。
春兄はとんでもなく心配性なんだよな。
というかいい加減弟離れして欲しい。
「わかった。じゃあ大人しく寝とくんだよ。明日、陸が迎えに来るってさ」
どうやら陸也が保護者代わりになってくれたようだ。
颯太が勝手に書いたんだろうけど。
颯太が帰っていきしばらくして眠気がきた。
そして。
目を覚ますとだるさと体が熱いのはなくなっていた。
ずっと寝ていたせいか、全く眠くならなかった。
「はぁ…………」
病院は俺が小さかった頃を思い出す。
まだ母さんが生きていた頃。
俺は体が弱くよく入院していた。
いつからか、消毒液の匂いが嫌いになった。
***************
「由貴ー帰るぞ」
翌朝。
陸也と颯太が迎えに来た。
「由貴くん?」
「え?」
「辻本由貴くんよね?」
「…………あ。母さんが入院していた時の」
この女性は母さんが入院していた時の看護師さん。
変わってなくてすぐわかった。
「大きくなったね!今何歳?」
「もうすぐ19だよ」
「お母さん残念だったけど。由貴くん元気そうで安心した」
「俺は元気だよ」
「私、今ここの病院にいるから」
そう言って病院の中に入っていく。
「今の誰?」
「母さんが入院してた時にお世話になった看護師だよ」
「どっちのお母さん?」
「俺の本当の母さん」
「本当のお母さん?」
「??誰からも聞いてないのか?」
「知らない」
「え?颯太は俺のこと知ってたぞ」
「…………由貴。橘って聞いて思い浮かぶのは?」
「橘コーポレーション?」
「そう。颯太はわけありの御曹司」
「今だから言うけどさ、由貴くんとたまり場で会う前に会ったことあるんだよ」
「え?」
「て言ってもちょっと挨拶した程度だけどね」
いつだ?
全く覚えてない。
「しといて下さい」
颯太はあのあと俺の服を買いに行ってたようだ。
それに着替えて病院に来たんだけど目は回るしでそれどころじゃない。
検査をしてもらい、インフルエンザじゃなかったみたい。
あまりにも熱が高いから点滴と一晩入院することに。
「ね、由貴くん。ご両親に連絡取れないって嘘でしょ?」
バレてる。
「父さんは忙しいから連絡つかない。あの人には連絡取りたくない」
連絡したら心配して春兄がとんでくる。
春兄はとんでもなく心配性なんだよな。
というかいい加減弟離れして欲しい。
「わかった。じゃあ大人しく寝とくんだよ。明日、陸が迎えに来るってさ」
どうやら陸也が保護者代わりになってくれたようだ。
颯太が勝手に書いたんだろうけど。
颯太が帰っていきしばらくして眠気がきた。
そして。
目を覚ますとだるさと体が熱いのはなくなっていた。
ずっと寝ていたせいか、全く眠くならなかった。
「はぁ…………」
病院は俺が小さかった頃を思い出す。
まだ母さんが生きていた頃。
俺は体が弱くよく入院していた。
いつからか、消毒液の匂いが嫌いになった。
***************
「由貴ー帰るぞ」
翌朝。
陸也と颯太が迎えに来た。
「由貴くん?」
「え?」
「辻本由貴くんよね?」
「…………あ。母さんが入院していた時の」
この女性は母さんが入院していた時の看護師さん。
変わってなくてすぐわかった。
「大きくなったね!今何歳?」
「もうすぐ19だよ」
「お母さん残念だったけど。由貴くん元気そうで安心した」
「俺は元気だよ」
「私、今ここの病院にいるから」
そう言って病院の中に入っていく。
「今の誰?」
「母さんが入院してた時にお世話になった看護師だよ」
「どっちのお母さん?」
「俺の本当の母さん」
「本当のお母さん?」
「??誰からも聞いてないのか?」
「知らない」
「え?颯太は俺のこと知ってたぞ」
「…………由貴。橘って聞いて思い浮かぶのは?」
「橘コーポレーション?」
「そう。颯太はわけありの御曹司」
「今だから言うけどさ、由貴くんとたまり場で会う前に会ったことあるんだよ」
「え?」
「て言ってもちょっと挨拶した程度だけどね」
いつだ?
全く覚えてない。
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