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第3話 緊急会議① どうしてこうなった?
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「そもそも何でグランザは、自分が四天王最弱なんて言ったんでしょうか」
三人は円卓の片側に集まって顔を近づけあってコソコソ話を始めた。
ファイレーンは冷静になろうと努めながら、しかしいつもの様子と比べて明らかに落ち着きがない。
「ぶっちゃけグランザは四天王の中でぶっちぎりで最強でしたよね」
「そうだよね!?今までもいろんな強敵と戦ってきたけど、ボク達じゃキツい!って思う相手でもグランザなら倒せてたし。」
シルフィアも同意する。
「まあでも冷静に考えると・・・」
ファイレーンは実際、少し落ち着いた口調で話し始めた。
「グランザが最強だったとして、わざわざ勇者に言いませんよね?
俺が最強で、残りの三人は俺より弱いぞー。って。
それよりは、嘘でもいいから
俺より強い奴があと三人もいるぞ!
って言った方が勇者をビビらせられるから、そう言ったのでは?」
「うーん確かにそれはそうだけど・・・」
シルフィアは目を閉じて唸った。
「でもグランザって天然なところあるから、本気で自分が最弱だと思ってたのかも。
だってウォーバル、いつも
俺の方が強い!
ってグランザに言ってたじゃない」
いきなり話を振られて、それまで黙っていたウォーバルはうろたえた。
「バッ!そ、それは・・・!」
「って言うか実際のところ、本当に自分の方が強いと思ってたの?いつも偉そうにしていたけど。
見てるこっちはいろんな意味でドキドキしてたんだけど。」
ウォーバルはかなり触れてほしくないところ、つまりプライドに関わる質問をされたらしく、答えを避けて反撃に出た。
「それならお前らだって、四天王の中で誰が強いかって話は、ごまかして有耶無耶にしてたじゃないか!」
「そりゃそうでしょー!強さの序列をハッキリさせて、わざわざ自分の地位が危うくなるようなことするわけないじゃん!
こっちだって部下がいるんだから、偉そうにしてないといけないんだから!」
「恥ずかしながら、その通りですね。曖昧にしておいた方がいいってことが、世の中には沢山あるんです」
シルフィアはまだしも、半ば開き直ったように眼鏡を光らせるファイレーンの態度にツッコみたい気持ちがウォーバルにはあったが、自分に反撃が返ってくると困るので我慢して話題をそらそうとした。
「ハッ!とにかく、天然なのか計算なのかはともかく、
グランザが自分のことを最弱なんて言った理由はこの際どうでもいいだろ?
これからどうするかだ!」
「まあそうだよね。ボク達だけで勇者を倒せるか?」
四天王と言われているのは伊達ではない。
シルフィアもファイレーンもウォーバルも、別に弱いのに偉そうにしているというわけではないのだ。
実際これまで人間軍に後れを取ったことはなく、恐怖の対象となっている。
シルフィアは風の魔力を自在に操り、敵の大軍に一気に大打撃を与えることができる。
ファイレーンは魔術で生み出したモンスターの大軍の物量で敵を蹂躙する。
ウォーバルは水の魔力を纏った神出鬼没の肉弾戦で、敵の大将を直接葬り去ることができる。
しかし・・・。
「グランザと勇者の戦いを実際に見てしまいましたからね・・・。私の頭脳をもってしても、勝ち目が見当たりません・・・」
ファイレーンはゴクリとつばを飲み込んだ。
グランザは大地の魔力を操り、無数の剣を生み出し自在に操るというシンプルな能力だ。
シンプルだが、生み出した剣は固いしよく切れるし、とにかく数が多い。
それを近距離でも広範囲でも自在に操れる。
簡単に言うと、シルフィアとファイレーンとウォーバルができることを一人で全部できるのだ。
「凄かったよね・・・勇者・・・。
高速で飛び回る刃物の嵐の中を、飛んだり跳ねたり斬り落としたり、時々剣の上に乗って一緒に飛び回ったりして」
「1時間ぐらいそれやった後に、四方八方から同時に突き刺してくる大量の剣を、たった一本の剣で全部叩き落した時は、逆に関心してしまいましたよ・・・」
「もうあんなの人間じゃねぇよ・・・」
プライドの高いウォーバルも、思い出しただけで青ざめている。
むしろ最初に見たときに部下たちに悟られないように平静を保っていたのが偉いくらいである。
「その後も凄かったよね。最終的にグランザと接近戦にまで持ち込んだんだけど、さすがに勇者もそれまでの攻撃で満身創痍だったから、一度はグランザの剣でとどめを!ってところまで行ったんだけど・・・」
「なんか急に勇者がピカーって光りだして、急に元気になってそのまま一撃でグランザの剣ごとグランザを斬りやがった・・・」
「勇者も『な、なんだこの力・・・!』
とか言ってたけど、それはこっちのセリフですよ!
何あれ!?何かの覚醒?神様的な何かの力!?」
「とにかく、グランザのとの戦いで、勇者はさらに成長したってことか・・・」
グランザが負けた時の事を思い出し、三人は改めて絶望的な気持ちになった。
「・・・でもなぁ。何とかするしか無いんだったら・・・」
しばらくして口を開いたのはシルフィアだった。
「やろうか・・・!暗殺・・・!!」
三人は円卓の片側に集まって顔を近づけあってコソコソ話を始めた。
ファイレーンは冷静になろうと努めながら、しかしいつもの様子と比べて明らかに落ち着きがない。
「ぶっちゃけグランザは四天王の中でぶっちぎりで最強でしたよね」
「そうだよね!?今までもいろんな強敵と戦ってきたけど、ボク達じゃキツい!って思う相手でもグランザなら倒せてたし。」
シルフィアも同意する。
「まあでも冷静に考えると・・・」
ファイレーンは実際、少し落ち着いた口調で話し始めた。
「グランザが最強だったとして、わざわざ勇者に言いませんよね?
俺が最強で、残りの三人は俺より弱いぞー。って。
それよりは、嘘でもいいから
俺より強い奴があと三人もいるぞ!
って言った方が勇者をビビらせられるから、そう言ったのでは?」
「うーん確かにそれはそうだけど・・・」
シルフィアは目を閉じて唸った。
「でもグランザって天然なところあるから、本気で自分が最弱だと思ってたのかも。
だってウォーバル、いつも
俺の方が強い!
ってグランザに言ってたじゃない」
いきなり話を振られて、それまで黙っていたウォーバルはうろたえた。
「バッ!そ、それは・・・!」
「って言うか実際のところ、本当に自分の方が強いと思ってたの?いつも偉そうにしていたけど。
見てるこっちはいろんな意味でドキドキしてたんだけど。」
ウォーバルはかなり触れてほしくないところ、つまりプライドに関わる質問をされたらしく、答えを避けて反撃に出た。
「それならお前らだって、四天王の中で誰が強いかって話は、ごまかして有耶無耶にしてたじゃないか!」
「そりゃそうでしょー!強さの序列をハッキリさせて、わざわざ自分の地位が危うくなるようなことするわけないじゃん!
こっちだって部下がいるんだから、偉そうにしてないといけないんだから!」
「恥ずかしながら、その通りですね。曖昧にしておいた方がいいってことが、世の中には沢山あるんです」
シルフィアはまだしも、半ば開き直ったように眼鏡を光らせるファイレーンの態度にツッコみたい気持ちがウォーバルにはあったが、自分に反撃が返ってくると困るので我慢して話題をそらそうとした。
「ハッ!とにかく、天然なのか計算なのかはともかく、
グランザが自分のことを最弱なんて言った理由はこの際どうでもいいだろ?
これからどうするかだ!」
「まあそうだよね。ボク達だけで勇者を倒せるか?」
四天王と言われているのは伊達ではない。
シルフィアもファイレーンもウォーバルも、別に弱いのに偉そうにしているというわけではないのだ。
実際これまで人間軍に後れを取ったことはなく、恐怖の対象となっている。
シルフィアは風の魔力を自在に操り、敵の大軍に一気に大打撃を与えることができる。
ファイレーンは魔術で生み出したモンスターの大軍の物量で敵を蹂躙する。
ウォーバルは水の魔力を纏った神出鬼没の肉弾戦で、敵の大将を直接葬り去ることができる。
しかし・・・。
「グランザと勇者の戦いを実際に見てしまいましたからね・・・。私の頭脳をもってしても、勝ち目が見当たりません・・・」
ファイレーンはゴクリとつばを飲み込んだ。
グランザは大地の魔力を操り、無数の剣を生み出し自在に操るというシンプルな能力だ。
シンプルだが、生み出した剣は固いしよく切れるし、とにかく数が多い。
それを近距離でも広範囲でも自在に操れる。
簡単に言うと、シルフィアとファイレーンとウォーバルができることを一人で全部できるのだ。
「凄かったよね・・・勇者・・・。
高速で飛び回る刃物の嵐の中を、飛んだり跳ねたり斬り落としたり、時々剣の上に乗って一緒に飛び回ったりして」
「1時間ぐらいそれやった後に、四方八方から同時に突き刺してくる大量の剣を、たった一本の剣で全部叩き落した時は、逆に関心してしまいましたよ・・・」
「もうあんなの人間じゃねぇよ・・・」
プライドの高いウォーバルも、思い出しただけで青ざめている。
むしろ最初に見たときに部下たちに悟られないように平静を保っていたのが偉いくらいである。
「その後も凄かったよね。最終的にグランザと接近戦にまで持ち込んだんだけど、さすがに勇者もそれまでの攻撃で満身創痍だったから、一度はグランザの剣でとどめを!ってところまで行ったんだけど・・・」
「なんか急に勇者がピカーって光りだして、急に元気になってそのまま一撃でグランザの剣ごとグランザを斬りやがった・・・」
「勇者も『な、なんだこの力・・・!』
とか言ってたけど、それはこっちのセリフですよ!
何あれ!?何かの覚醒?神様的な何かの力!?」
「とにかく、グランザのとの戦いで、勇者はさらに成長したってことか・・・」
グランザが負けた時の事を思い出し、三人は改めて絶望的な気持ちになった。
「・・・でもなぁ。何とかするしか無いんだったら・・・」
しばらくして口を開いたのはシルフィアだった。
「やろうか・・・!暗殺・・・!!」
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