あなたの婚約者は、わたしではなかったのですか?

りこりー

文字の大きさ
上 下
20 / 25

20.

しおりを挟む
 昨晩は横になりながら色々なことを考えていたら、いつの間にか眠ってしまったようだ。
 ベッドから抜け出して洗面台の前に立つと、鏡の奥には酷い顔をした自分の姿が映し出されていた。
 それを見てオリヴィアは思わず苦笑した。
 昨日起こった出来事は、紛れもない現実なのだと突き付けられているような気分だった。
 
「酷い顔……。とりあえず支度を済ませて邸に戻らないと」

 皮肉なことに、今日もこのドレスを着たまま帰らなくてはならない。 
 本当は今すぐにでも別の召し物に着替えてしまいたいが、他に代用品がないのだから我慢するしかなかった。

 オリヴィアは準備を終えると部屋から出て、廊下を歩いて行く。
 本当は世話になった王妃に挨拶をしてから行くべきなのだろうが、わざわざ起こすのも申し訳ないと思い、今日は会わないまま帰ることにした。
 馬車は待機して貰っているので、乗り場にさえ辿り着けば後は邸まで送ってくれるはずだ。

(こんなに朝早くに起きるのは初めてかもしれないわ。というか、完全に明け方前よね)

 外は薄暗く、まだ太陽の光が隠れているような時間だ。
 皆寝静まっているのか、外は静寂に包まれている。
 この時間ならば、誰の目にも付くことなく帰れるはずだ。

 離宮の出口が見え始めると、傍に一台の馬車が待機してあった。
 恐らく王妃が用意してくれたものなのだろう。

(あれね……。本当に王妃様には感謝しかないわ……。帰ったらお礼の手紙を早速書こう)

 そんなことを思いながら馬車に近づこうとすると、何者かの会話が突然耳に入り込んできた。

「そろそろ太陽が昇る時間ですし、目的の令嬢はそろそろおいでになりますかね」
「ああ、そうだな。乗せるまでは怪しまれるような行動は絶対にするなよ。昨日は失敗したからな。もう後はない。これで失敗したら、俺達全員消されるぞ」

 オリヴィアは物騒な会話を聞いてしまうと、慌てて口元を手で塞いでゆっくりと前を向いたまま後退していった。

(うそ……。今話していた令嬢って、わたしのこと……?)

 この状況から考えてそうとしか思えない。
 昨日のことがあまりにもショックで忘れていたが、オリヴィアの誘拐計画が行われようとしていたことを今になって思い出した。
 恐怖のあまりオリヴィアの体は震えて、足も竦んでしまい少しづつしか動くことが出来ない。
 せめてもの救いは、闇に紛れて姿を隠せていることだ。
 しかし早く戻らなくては、オリヴィアがここにいることがあの男達に気付かれてしまう。

(怖い……、もういや、だれか、助けて……)

 オリヴィアは心の中で必死に助けを呼ぼうとしていた。
 今は声を出すことさえ叶わないし、音を少しでも立ててしまえば直ぐに見つかってしまうだろう。
 しかし後ろ向きに歩いていたことも有り、軸が傾き体が斜めに蹌踉よろめいた。

「きゃっ……」

 オリヴィアは転びそうになり、その瞬間僅かに声を上げてしまった。

「……誰か、いるのか?」
「まさか、……ブリーゲル公爵令嬢様ですか?」

 転ばすには済んだが、男達にオリヴィアの声は届いてしまったようだ。 
 二人は機嫌を取るような優しい声を出しながら、オリヴィアのことを探すように、こちらへと近づいて来る。
 彼女の足は恐怖から完全に竦み、その場から動くことが出来なくなっていた。

(うそ……足が、動かない。どうして……。いや、来ないでっ!!)


「にゃー」


 そんな時、庭の方から猫の鳴き声が響いた。

「なんだ、猫かよ。驚かせるなよ」
「そう言えば王妃様は猫を数匹飼っているって聞いたことがあったな」

 男達は先程の声は猫のものだと勘違いしてくれたようで、馬車の方へと戻っていった。
 しかしオリヴィアの足は固まっていて、その場から動くことが出来ない。
 この場にいれば遅かれ早かれあの二人に存在が見つかってしまうため、なんの解決にもなっていない。

 そんな時、どこからか私の名前を呼ぶような声が聞こえた気がした。

『リヴィ、聞こえているか? 近づくけど、声は出さないでくれ』

(え……?)

 僅かに聞こえて来る声は良く聞き取れなかったが、知っている者の声質に似ているような気がした。

(ジーク、さま……?)

『リヴィ、こちらに来れるか? あの者達に見つからないように』

 声のする方向に視線を向けると、闇の中にジークヴァルトの姿は確かにあった。
 オリヴィアは泣きそうな顔で、顔を横に振った。
 彼に会いたくないからではなく、足が動かないことを必死に伝えようとしていたのだ。
 たしかに昨日までは彼に会いたくないと思っていたが、こんな状況なので今はそんなことよりも、この場から助け出して貰いたい気持ちでいっぱいだった。

『リヴィ……?』

 オリヴィアは足を指さして、首を横に振る素振りを何度も繰り返していた。
 声が出せない以上、身振りで気付いて貰うしか方法はない。
 その間にも、闇は少しづつ薄くなっていく。

(ジーク様、足が動かないことにどうか気付いて……)

 何度か繰り返した後、ジークヴァルトは漸く理解してくれたのか忍び足で彼女の元に近づいた。

『体を持ち上げるから、声は上げないでくれるか?』

 その言葉にオリヴィアは小さく頷いた。
 急にジークヴァルトとの距離が近くなり、こんな時だというのにドキドキしてしまう。
 同じようなことを昨日体験したが、イヴァンに抱きかかえられた時とは明らかに何かが違っていた。
 オリヴィアは昨日の時のように彼の首に掴まると、そのタイミングを見計らってジークヴァルトは彼女の体をふわっと持ち上げた。 
 浮遊する瞬間、一瞬声が漏れそうになったがそこは必死に耐えた。

『いい子だな。もう大丈夫だ』

 彼は優しい表情を見せると、ゆっくりと部屋のある方向へと歩いて行った。


 ***


 オリヴィアが連れて行かれたは部屋は、昨晩泊まっていた場所とは別のところだった。
 応接間のようで、オリヴィアがいた部屋よりも随分と狭い。
 そしてソファーの上には毛布のようなものが一枚置かれていた。

(もしかして、ジーク様は昨晩ここに泊まられたの……?)

「ここまで来れば安心だな。ゆっくりと体を下ろすから、まだ手は離すなよ」
「……はい」

 ジークヴァルトはそう声をかけると、ゆっくりとソファーの上に彼女の体を下ろしていった。

「もう離しても構わない」
「……っ」

 オリヴィアはそう言われても、彼の首に回した手を離そうとはしなかった。
 それどころか、彼の体にぎゅっとしがみつくように掴まっている。
 そして彼女の体は小さく揺れていた。

「……怖かったよな」
「うっ……、こわ、かった………。どうしてわたしばかり、こんな目に遭わなければならないんですかっ……」

 オリヴィアは震えた声で答えると、そのまま泣き出してしまった。
 彼はそんなオリヴィアのことを包み込むように抱きしめると、何度も「すまない」と謝り続けていた。

 ジークヴァルトの腕の中はとても温かくて、オリヴィアに安心感を与えた。
 ずっとこの腕の中に包まれていたいと彼女は強く思い、その気持ちから手を離すことは無かった。

 その時、オリヴィアは思い知った。
 今でもジークヴァルトに強い恋心を抱いているということに。
 離れたくなくて、奪われたくなくて、縋るかのように彼の体に必死にしがみついていた。
 例え彼が心変わりしたとしても、手放したくはなかったのだろう。

 以前リーゼルに対して、恋心だけでは王太子妃は成り立たないと話したことを思い出した。
 今更ではあるが、自分もそうだったのではないかと思えてきてしまう。
 オリヴィアが今まで努力して来れたのは、全てジークヴァルトのためであり、根底には彼を慕う気持ちが強く存在していたからだ。
 この気持ちが大きかったからこそ、今のオリヴィアがあるのだろう。

(やっぱり、ジーク様と離れるなんて嫌……)

 それからオリヴィアが泣き止むまで、ジークヴァルトはずっと抱きしめていてくれた。
 彼女が落ち着いたことに気付くと、ゆっくりと体を剥がしていく。 
 そして心配そうにオリヴィアの顔を覗き込み、真っ赤に腫れた目元に指を這わせていく。

「随分と腫れ上がっているな。冷やすか?」
「……大丈夫です」

「そうか。こんな風に沢山泣かせてしまったのは、恐らく私のせいなのだろうな。本当にごめん……」

 彼は後悔を滲ませるような表情を浮かべると、オリヴィアに向けて深々と頭を下げた。

「顔を上げてください。わたしなら、大丈夫です」

 オリヴィアは落ち着きを取り戻し、穏やかな声で答えた。
 彼の前では大丈夫でなくても強がってしまうようだ。
 それは今に始まったことではない。
 それに気付いていたのか、ジークヴァルトは顔を上げると困ったような表情を浮かべていた。
 
「今は無理をする必要なんてない。私を愚か者だとののしってくれても構わない。言いたいことがあるのならば、全て言ってくれ」
「……それなら一つだけ、宜しいでしょうか?」

 言いたいことなら山のようにあるが、オリヴィアが知りたかったことは一つだけだった。

「ああ、構わない」
「わたしは今でもジーク様のことを、信じていていいのですよね?」

 それは以前した質問と同じ言葉だった。
 オリヴィアの言葉を聞いて、ジークヴァルトは僅かに目を細めた。
 そしてまた直ぐには返事をくれなかった。

「ジーク様、答えてください」
「リヴィ……、私もリヴィに伝えなければならないことがある」

 ジークヴァルトはオリヴィアの言葉には応えず、真っ直ぐに彼女の瞳を見つめながら静かに言った。
 何か分からなかったが、オリヴィアは胸騒ぎを感じていた。

「私の質問に答えてくださいっ!」

 嫌な予感がして、オリヴィアは声を荒げるようにして繰り返した。

「リヴィ、聞いて欲しい」
「いや、聞きたくないっ……」

 彼女は表情を歪めると、耳を自身の手で塞いだ。
 しかしジークヴァルトは困ったような表情を浮かべると、彼女の手を引き剥がした。
 そして再び塞がないようにと手を握った。

「リヴィ、聞いてくれ」
「……っ」

 オリヴィアが泣きそうな表情を見せると、彼の顔も僅かに歪み苦しげな表情を浮かばせた。
 こんな顔をしているくらいだから、きっと良い話ではないのだろう。

「悔しいが、今の私の力ではリヴィのことを守ることが出来ない……。だから、婚約を白紙に戻そう。そうすればもうリヴィが襲われる事はないかと思う」

 オリヴィアは目を丸くさせ、驚いたような顔を見せていた。
 しかしその表情はすぐにぐちゃぐちゃに歪み、彼女の瞳からは大粒の涙が零れ落ちていく。
 オリヴィアは握られている手を力づくで引き剥がすと、反発する様に彼の胸を拳で何度も叩いた。
 彼女の手は震えているので、全然痛みなど与えることは出来ていないのだろう。
 それでもオリヴィアは続けた。
 絶対に受け入れたくなかったから。

「いや……、それだけは、絶対に……いや……」

 オリヴィアは泣きながら、縋るように必死に声を上げ続けてた。
 彼女にとって、ジークヴァルトと離れることが何よりも辛いことだったからだ。
 ここで受け入れてしまえば、絶対に後悔するとオリヴィアは分かっていたのだろう。
 
「私だって、リヴィと離れるなんて考えたくはない。だけど、お前を守るためには他に方法が……」

 先程の御者のことといい、まだオリヴィアを付け狙っている人間が近くに潜んでいることは確かのようだ。
 そして今回は危ういところで食い止められたが、次回も同じように止められるかは分からない。
 ジークヴァルトは恐らくそのように感じているのだろう。

 オリヴィアもその事が分かっているからこそ、余計に辛かった。
 あんな怖い目になんて二度と遭いたくはないし、ジークヴァルトとも離れたくない。
 
「ジーク様の考えを……聞かせて、ください」

 オリヴィアは涙を自身の指で拭うと、昂ぶった感情を抑えて言葉を繋げた。
 そして逃げないように、彼の掌をぎゅっと強く握りしめた。

(あんな卑怯なことをする者達になんて負けたくない。そんなことで、わたしの今までの努力を……、想いを絶対に無駄になんてさせない……)

 昨日まではあんなにも弱気だったはずなのに、彼の顔を見ているとそんな気持ちが強まっていく。
 やはりオリヴィアにとって、ジークヴァルトの存在は大きいようだ。

「……わかった」

 彼女の強い意志を感じ取ったのか、ジークヴァルトはオリヴィアの言葉を受け入れてくれた。

「元々リヴィには全て話すつもりでいたからな。私の話を聞いてくれるか? 今更言い訳のようになってしまうかもしれないが……」
「構いません。全て聞かせてください」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ひとりぼっち令嬢は正しく生きたい~婚約者様、その罪悪感は不要です~

参谷しのぶ
恋愛
十七歳の伯爵令嬢アイシアと、公爵令息で王女の護衛官でもある十九歳のランダルが婚約したのは三年前。月に一度のお茶会は婚約時に交わされた約束事だが、ランダルはエイドリアナ王女の護衛という仕事が忙しいらしく、ドタキャンや遅刻や途中退席は数知れず。先代国王の娘であるエイドリアナ王女は、現国王夫妻から虐げられているらしい。 二人が久しぶりにまともに顔を合わせたお茶会で、ランダルの口から出た言葉は「誰よりも大切なエイドリアナ王女の、十七歳のデビュタントのために君の宝石を貸してほしい」で──。 アイシアはじっとランダル様を見つめる。 「忘れていらっしゃるようなので申し上げますけれど」 「何だ?」 「私も、エイドリアナ王女殿下と同じ十七歳なんです」 「は?」 「ですから、私もデビュタントなんです。フォレット伯爵家のジュエリーセットをお貸しすることは構わないにしても、大舞踏会でランダル様がエスコートしてくださらないと私、ひとりぼっちなんですけど」 婚約者にデビュタントのエスコートをしてもらえないという辛すぎる現実。 傷ついたアイシアは『ランダルと婚約した理由』を思い出した。三年前に両親と弟がいっぺんに亡くなり唯一の相続人となった自分が、国中の『ろくでなし』からロックオンされたことを。領民のことを思えばランダルが一番マシだったことを。 「婚約者として正しく扱ってほしいなんて、欲張りになっていた自分が恥ずかしい!」 初心に返ったアイシアは、立派にひとりぼっちのデビュタントを乗り切ろうと心に誓う。それどころか、エイドリアナ王女のデビュタントを成功させるため、全力でランダルを支援し始めて──。 (あれ? ランダル様が罪悪感に駆られているように見えるのは、私の気のせいよね?) ★小説家になろう様にも投稿しました★

殿下が私を愛していないことは知っていますから。

木山楽斗
恋愛
エリーフェ→エリーファ・アーカンス公爵令嬢は、王国の第一王子であるナーゼル・フォルヴァインに妻として迎え入れられた。 しかし、結婚してからというもの彼女は王城の一室に軟禁されていた。 夫であるナーゼル殿下は、私のことを愛していない。 危険な存在である竜を宿した私のことを彼は軟禁しており、会いに来ることもなかった。 「……いつも会いに来られなくてすまないな」 そのためそんな彼が初めて部屋を訪ねてきた時の発言に耳を疑うことになった。 彼はまるで私に会いに来るつもりがあったようなことを言ってきたからだ。 「いいえ、殿下が私を愛していないことは知っていますから」 そんなナーゼル様に対して私は思わず嫌味のような言葉を返してしまった。 すると彼は、何故か悲しそうな表情をしてくる。 その反応によって、私は益々訳がわからなくなっていた。彼は確かに私を軟禁して会いに来なかった。それなのにどうしてそんな反応をするのだろうか。

大好きなあなたを忘れる方法

山田ランチ
恋愛
あらすじ  王子と婚約関係にある侯爵令嬢のメリベルは、訳あってずっと秘密の婚約者のままにされていた。学園へ入学してすぐ、メリベルの魔廻が(魔術を使う為の魔素を貯めておく器官)が限界を向かえようとしている事に気が付いた大魔術師は、魔廻を小さくする事を提案する。その方法は、魔素が好むという悲しい記憶を失くしていくものだった。悲しい記憶を引っ張り出しては消していくという日々を過ごすうち、徐々に王子との記憶を失くしていくメリベル。そんな中、魔廻を奪う謎の者達に大魔術師とメリベルが襲われてしまう。  魔廻を奪おうとする者達は何者なのか。王子との婚約が隠されている訳と、重大な秘密を抱える大魔術師の正体が、メリベルの記憶に導かれ、やがて世界の始まりへと繋がっていく。 登場人物 ・メリベル・アークトュラス 17歳、アークトゥラス侯爵の一人娘。ジャスパーの婚約者。 ・ジャスパー・オリオン 17歳、第一王子。メリベルの婚約者。 ・イーライ 学園の園芸員。 クレイシー・クレリック 17歳、クレリック侯爵の一人娘。 ・リーヴァイ・ブルーマー 18歳、ブルーマー子爵家の嫡男でジャスパーの側近。 ・アイザック・スチュアート 17歳、スチュアート侯爵の嫡男でジャスパーの側近。 ・ノア・ワード 18歳、ワード騎士団長の息子でジャスパーの従騎士。 ・シア・ガイザー 17歳、ガイザー男爵の娘でメリベルの友人。 ・マイロ 17歳、メリベルの友人。 魔素→世界に漂っている物質。触れれば精神を侵され、生き物は主に凶暴化し魔獣となる。 魔廻→体内にある魔廻(まかい)と呼ばれる器官、魔素を取り込み貯める事が出来る。魔術師はこの器官がある事が必須。 ソル神とルナ神→太陽と月の男女神が魔素で満ちた混沌の大地に現れ、世界を二つに分けて浄化した。ソル神は昼間を、ルナ神は夜を受け持った。

わたしがお屋敷を去った結果

柚木ゆず
恋愛
 両親、妹、婚約者、使用人。ロドレル子爵令嬢カプシーヌは周囲の人々から理不尽に疎まれ酷い扱いを受け続けており、これ以上はこの場所で生きていけないと感じ人知れずお屋敷を去りました。  ――カプシーヌさえいなくなれば、何もかもうまく行く――。  ――カプシーヌがいなくなったおかげで、嬉しいことが起きるようになった――。  関係者たちは大喜びしていましたが、誰もまだ知りません。今まで幸せな日常を過ごせていたのはカプシーヌのおかげで、そんな彼女が居なくなったことで自分達の人生は間もなく180度変わってしまうことを。  体調不良により、現在感想欄を閉じております。

【完結】貴方が好きなのはあくまでも私のお姉様

すだもみぢ
恋愛
伯爵令嬢であるカリンは、隣の辺境伯の息子であるデュークが苦手だった。 彼の悪戯にひどく泣かされたことがあったから。 そんな彼が成長し、年の離れたカリンの姉、ヨーランダと付き合い始めてから彼は変わっていく。 ヨーランダは世紀の淑女と呼ばれた女性。 彼女の元でどんどんと洗練され、魅力に満ちていくデュークをカリンは傍らから見ていることしかできなかった。 しかしヨーランダはデュークではなく他の人を選び、結婚してしまう。 それからしばらくして、カリンの元にデュークから結婚の申し込みが届く。 私はお姉さまの代わりでしょうか。 貴方が私に優しくすればするほど悲しくなるし、みじめな気持ちになるのに……。 そう思いつつも、彼を思う気持ちは抑えられなくなっていく。 8/21 MAGI様より表紙イラストを、9/24にはMAGI様の作曲された この小説のイメージソング「意味のない空」をいただきました。 https://www.youtube.com/watch?v=L6C92gMQ_gE MAGI様、ありがとうございます! イメージが広がりますので聞きながらお話を読んでくださると嬉しいです。

【完結】さよなら私の初恋

山葵
恋愛
私の婚約者が妹に見せる笑顔は私に向けられる事はない。 初恋の貴方が妹を望むなら、私は貴方の幸せを願って身を引きましょう。 さようなら私の初恋。

「わかれよう」そうおっしゃったのはあなたの方だったのに。

友坂 悠
恋愛
侯爵夫人のマリエルは、夫のジュリウスから一年後の離縁を提案される。 あと一年白い結婚を続ければ、世間体を気にせず離婚できるから、と。 ジュリウスにとっては亡き父が進めた政略結婚、侯爵位を継いだ今、それを解消したいと思っていたのだった。 「君にだってきっと本当に好きな人が現れるさ。私は元々こうした政略婚は嫌いだったんだ。父に逆らうことができず君を娶ってしまったことは本当に後悔している。だからさ、一年後には離婚をして、第二の人生をちゃんと歩んでいくべきだと思うんだよ。お互いにね」 「わかりました……」 「私は君を解放してあげたいんだ。君が幸せになるために」 そうおっしゃるジュリウスに、逆らうこともできず受け入れるマリエルだったけれど……。 勘違い、すれ違いな夫婦の恋。 前半はヒロイン、中盤はヒーロー視点でお贈りします。 四万字ほどの中編。お楽しみいただけたらうれしいです。 ※本編はマリエルの感情がメインだったこともあってマリエル一人称をベースにジュリウス視点を入れていましたが、番外部分は基本三人称でお送りしています。

偽りの愛に終止符を

甘糖むい
恋愛
政略結婚をして3年。あらかじめ決められていた3年の間に子供が出来なければ離婚するという取り決めをしていたエリシアは、仕事で忙しいく言葉を殆ど交わすことなく離婚の日を迎えた。屋敷を追い出されてしまえば行くところなどない彼女だったがこれからについて話合うつもりでヴィンセントの元を訪れる。エリシアは何かが変わるかもしれないと一抹の期待を胸に抱いていたが、夫のヴィンセントは「好きにしろ」と一言だけ告げてエリシアを見ることなく彼女を追い出してしまう。

処理中です...