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放課後の教室は日中の賑やかな光景とは一変し、ガランと静まり返っていた。
そんな教室の中で、たった一人佇んでいたのはオリヴィアだった。
本来であれば、この時間は婚約者と過ごしたり、王妃教育を受けるために王宮へと出向いているはずだった。
どちらとも今は出来なくなってしまい、彼女は時間を持て余していた。
つい最近彼女の父親である公爵から、頑張りすぎるなと釘をさされたばかりだ。
あれから深夜の予習はやめたが、それ以外の時間でも見張られているような気がして、屋敷で過ごすことが落ち着かなくなっていた。
今までのオリヴィアは、王妃教育や勉学に多大なる時間を費やしてきた。
それ故に趣味と言えるものがあまりなかったのだ。
読書という絶好な暇潰しもあるが、直ぐに他のことが気になってしまい、ページを捲っていても中々頭に入ってこない。
そんな時、彼女は良いことを思いついたのだった。
オリヴィアは薬学科にいるので、ここならば薬を作るための材料が豊富に揃っている。
回復薬を今から作り溜めておけば、突然の災難に襲われた時、必ず役に立つはずだ。
彼女の起こした功績は、婚約者であるジークヴァルトの評価にも直結する。
そうすればきっと彼に褒めて貰えるはずだ。
「さあ、今日も作るわよ!」
オリヴィアは気合いを入れるように、自分に向けてそう言い放った。
作り始めて数分が経過した頃、突然奥の扉が勢い良くガラッと開いた。
オリヴィアは驚いて慌てるように顔を後ろへと向ける。
「あれ、君……残って何をしているの?」
「イヴァン様」
そこに立っていたのはクラスメイトである、イヴァン・セテアスだった。
彼は隣国アルティナ帝国からの留学生だ。
たしか伯爵家の生まれだと聞いている。
銀色の髪は猫毛のようにふわっとしていて、毛先がくるんと丸まっていのはきっとくせ毛のせいだろう。
顔立ちは端麗なのだが、普段から緩まっている表情は少し可愛らしくも見えてしまう。
愛想が良く、周囲の生徒達とは自然に溶け込み、男女問わず好かれている存在だ。
成績についても、オリヴィアに次ぐ二位を常にキープしていて、良く他の生徒から質問を受けているようだ。
「その材料から……回復薬を作っているのかな」
「……はい。イヴァン様はどうしてこちらに?」
イヴァンはオリヴィアの方へと近づいていくと、机の上に置かれている材料を見て言い当てた。
「僕は忘れ物をしてしまってね。明日までの課題だから、取りに戻るしかなかったってところかな」
「たしかに、それならば仕方ないですね」
イヴァンには悪いが、抜けているところが少し可愛らしいなとオリヴィアは思ってしまった。
「……で、来てみたら君がいて驚いたよ。ねえ、いつもここで薬を作っているの?」
敢えて『いつも』と言われてオリヴィアは困った顔を浮かべた。
たまたま今日だけ作っていたとも考えられるのに、イヴァンはそうは言わなかった。
「いつもと言うわけではありませんが……、やることが他に無かったので」
本当の理由をイヴァンに話すことも出来ないので、オリヴィアは適当な理由を伝えた。
きっと彼は忘れ物を取りに来ただけだから、直ぐにでもこの部屋から出て行くはずだ。
「やることがないとは、さすがの発言だね。君が休学中の間は首席でいられたけど、戻ってきたら簡単に奪い返されてしまったな」
「……っ」
先日行われた試験の結果が今日貼り出された。
そこでオリヴィアは最高点を取り首位奪還を果たした。
今回の試験は復学後直ぐに行われたこともあり、不安から深夜まで予習復習をしていた。
父親からは心配されて怒られてしまったが、それでも成果が出せたことにオリヴィアは安堵していた。
そうではあるがイヴァンにそんな風に言われてしまうと、少し罪悪感を覚えてしまう。
「そんな風に困った顔はしないで。これは僕の努力が足りなかったことと、君がすごく頑張ったっていう結果だからね」
頑張ったという言葉に、オリヴィアの表情は次第に明るくなっていった。
誰かに認めて貰えたことが、素直に嬉しかった。
努力が無駄にならなくて良かったと、オリヴィアはほっと肩をなでおろした。
「そんな風な顔、するんだね」
「え?」
「ううん、なんでもない。僕も君の手伝いをしてもいい?」
「……?」
突然思いも寄らない言葉が返ってきて、オリヴィアは顔を顰めてしまう。
するとイヴァンは「えー、そんな嫌そうな顔しないでよ」と拗ねたように呟いた。
その姿があまりにも面白く見えてしまい、オリヴィアはクスクスと笑ってしまった。
「なんでそこで笑うの? 何かおかしなこと言ったかな?」
「ごめんなさい。少し可愛らしいなって思ってしまって」
オリヴィアは失礼なことをしてしまったと焦り、直ぐに謝った。
「可愛いって……。男の僕が言われても、全然嬉しくは感じないな。それに、本当に可愛らしいのは君の方じゃない? そうやって楽しそうにしている姿、初めて見た気がするよ」
イヴァンは困った様に溜息を吐いた。
そしてオリヴィアの顔をじっと見つめてそんなことを言い始めたので、彼女は少し戸惑ってしまう。
可愛いなんて言ってくれるのは、家族を覗けばジークヴァルトくらいだ。
「……そう、ですか?」
「うん。いつもキリッとした顔をしていて、僕達には一切隙を見せないって言うか、一線を引いているように感じていたからね。まあ、王太子殿下の婚約者なのだから、恐れ多い存在であることには違いないんだけど」
「そんなことはっ……。学園内では身分は平等とされてますし、わたしに変な気を遣う必要なんてありません」
「うん、それは分かってる。だから今君にこんなに馴れ馴れしい口調で話しているんだよ。これが学園の外だったら、大変な事になっているかもしれないね」
彼は冗談めいてそんなことを言ってきた。
馴れ馴れしい態度と言われたらそうなのかもしれないが、嫌な感じは一切受けなかった。
そんなことよりも気を抜いて話せることが、オリヴィアには楽しく感じていた。
この学園という場所は、オリヴィアにとって気を抜ける数少ない時間でもあった。
王宮にいる間は常に気を張っていなければならなかったし、ジークヴァルトの傍にいる時は淑女らしい態度を心がけなければならない。
教室にいると誰かの視線が気になることもあったが、ここでは王太子の婚約者ではなく、オリヴィアという一人の令嬢として皆が扱ってくれる。
入学仕立ての頃は、周囲から特別な視線を向けられ、どこか遠ざけられているような気がしていた。
そんな時、イヴァンが今のような口調でオリヴィアに話しかけてきた。
そのことで周りの空気は変わり、今では普通に話しかけてくれるようになった。
イヴァンは見た目だけで判断すれば、随分とのんびりしてそうなイメージだが、実は結構肝が据わっているのかもしれない。
「あのさ、君もあの噂のことは知っているよね?」
「……まあ、勝手に耳に入ってきますので」
あの噂と言うのは、今学園内で持ちきりになっている話だ。
当然オリヴィアの耳にも入ってきており、何人かのクラスメイトからは心配までされてしまった。
「ジークヴァルト殿下と、リーゼル男爵令嬢のことよね」
「……うん。僕は憶測が飛び交って、勝手に話が大きくなっているだけだと思っているけど、最近君は殿下に会いに行っていないよね?」
「わたしのこと、良く見ているのね」
「見ているというか、いつも教室にいるからね」
イヴァンの言うとおり、休学前のオリヴィアであったら昼休みはいつもジークヴァルトのいる校舎へと出向いて、昼食を一緒に摂っていた。
二人の仲が円満であることを、周囲に認めさせるという思惑もあってのことだった。
学科が違うが同じ学園に通っている以上、不仲だと思われては些か体裁が悪い。
そこで、こうすることをジークヴァルトが提案してきたのだ。
オリヴィアは当然喜んで受け入れた。
体面的な理由だけではなく、ジークヴァルトの傍にいられる時間を貰えて嬉しかった。
ずっと続けて来たことを急にやめてしまったことで、周囲は疑問を持ち始めたのだろう。
それに加えるように、ジークヴァルトの傍には男爵令嬢がいる。
オリヴィアが学園を離れている間に、彼が心変わりしたのではないかと思っている者もいるようだ。
それに尾鰭がついて、更に話が大きくなってしまった。
「イヴァン様もあの噂を信じているの?」
「きっと何か思惑があってのことだとは思っている。あの聡明な殿下が、意味もなく人前で他の令嬢と親しくするのには違和感しかないっていうか、明らかにおかしいからな」
「随分と殿下のことを買っているのね。イヴァン様はこの国の人間ではないのに」
「ん-、そうなんだけど。友人ではあるからね」
「え? そうでしたの?」
「うん、少しだけね」
イヴァンとジークヴァルトが友人だったなんて、オリヴィアは初耳だった。
一体いつ二人は知り合ったのだろう。
そんな教室の中で、たった一人佇んでいたのはオリヴィアだった。
本来であれば、この時間は婚約者と過ごしたり、王妃教育を受けるために王宮へと出向いているはずだった。
どちらとも今は出来なくなってしまい、彼女は時間を持て余していた。
つい最近彼女の父親である公爵から、頑張りすぎるなと釘をさされたばかりだ。
あれから深夜の予習はやめたが、それ以外の時間でも見張られているような気がして、屋敷で過ごすことが落ち着かなくなっていた。
今までのオリヴィアは、王妃教育や勉学に多大なる時間を費やしてきた。
それ故に趣味と言えるものがあまりなかったのだ。
読書という絶好な暇潰しもあるが、直ぐに他のことが気になってしまい、ページを捲っていても中々頭に入ってこない。
そんな時、彼女は良いことを思いついたのだった。
オリヴィアは薬学科にいるので、ここならば薬を作るための材料が豊富に揃っている。
回復薬を今から作り溜めておけば、突然の災難に襲われた時、必ず役に立つはずだ。
彼女の起こした功績は、婚約者であるジークヴァルトの評価にも直結する。
そうすればきっと彼に褒めて貰えるはずだ。
「さあ、今日も作るわよ!」
オリヴィアは気合いを入れるように、自分に向けてそう言い放った。
作り始めて数分が経過した頃、突然奥の扉が勢い良くガラッと開いた。
オリヴィアは驚いて慌てるように顔を後ろへと向ける。
「あれ、君……残って何をしているの?」
「イヴァン様」
そこに立っていたのはクラスメイトである、イヴァン・セテアスだった。
彼は隣国アルティナ帝国からの留学生だ。
たしか伯爵家の生まれだと聞いている。
銀色の髪は猫毛のようにふわっとしていて、毛先がくるんと丸まっていのはきっとくせ毛のせいだろう。
顔立ちは端麗なのだが、普段から緩まっている表情は少し可愛らしくも見えてしまう。
愛想が良く、周囲の生徒達とは自然に溶け込み、男女問わず好かれている存在だ。
成績についても、オリヴィアに次ぐ二位を常にキープしていて、良く他の生徒から質問を受けているようだ。
「その材料から……回復薬を作っているのかな」
「……はい。イヴァン様はどうしてこちらに?」
イヴァンはオリヴィアの方へと近づいていくと、机の上に置かれている材料を見て言い当てた。
「僕は忘れ物をしてしまってね。明日までの課題だから、取りに戻るしかなかったってところかな」
「たしかに、それならば仕方ないですね」
イヴァンには悪いが、抜けているところが少し可愛らしいなとオリヴィアは思ってしまった。
「……で、来てみたら君がいて驚いたよ。ねえ、いつもここで薬を作っているの?」
敢えて『いつも』と言われてオリヴィアは困った顔を浮かべた。
たまたま今日だけ作っていたとも考えられるのに、イヴァンはそうは言わなかった。
「いつもと言うわけではありませんが……、やることが他に無かったので」
本当の理由をイヴァンに話すことも出来ないので、オリヴィアは適当な理由を伝えた。
きっと彼は忘れ物を取りに来ただけだから、直ぐにでもこの部屋から出て行くはずだ。
「やることがないとは、さすがの発言だね。君が休学中の間は首席でいられたけど、戻ってきたら簡単に奪い返されてしまったな」
「……っ」
先日行われた試験の結果が今日貼り出された。
そこでオリヴィアは最高点を取り首位奪還を果たした。
今回の試験は復学後直ぐに行われたこともあり、不安から深夜まで予習復習をしていた。
父親からは心配されて怒られてしまったが、それでも成果が出せたことにオリヴィアは安堵していた。
そうではあるがイヴァンにそんな風に言われてしまうと、少し罪悪感を覚えてしまう。
「そんな風に困った顔はしないで。これは僕の努力が足りなかったことと、君がすごく頑張ったっていう結果だからね」
頑張ったという言葉に、オリヴィアの表情は次第に明るくなっていった。
誰かに認めて貰えたことが、素直に嬉しかった。
努力が無駄にならなくて良かったと、オリヴィアはほっと肩をなでおろした。
「そんな風な顔、するんだね」
「え?」
「ううん、なんでもない。僕も君の手伝いをしてもいい?」
「……?」
突然思いも寄らない言葉が返ってきて、オリヴィアは顔を顰めてしまう。
するとイヴァンは「えー、そんな嫌そうな顔しないでよ」と拗ねたように呟いた。
その姿があまりにも面白く見えてしまい、オリヴィアはクスクスと笑ってしまった。
「なんでそこで笑うの? 何かおかしなこと言ったかな?」
「ごめんなさい。少し可愛らしいなって思ってしまって」
オリヴィアは失礼なことをしてしまったと焦り、直ぐに謝った。
「可愛いって……。男の僕が言われても、全然嬉しくは感じないな。それに、本当に可愛らしいのは君の方じゃない? そうやって楽しそうにしている姿、初めて見た気がするよ」
イヴァンは困った様に溜息を吐いた。
そしてオリヴィアの顔をじっと見つめてそんなことを言い始めたので、彼女は少し戸惑ってしまう。
可愛いなんて言ってくれるのは、家族を覗けばジークヴァルトくらいだ。
「……そう、ですか?」
「うん。いつもキリッとした顔をしていて、僕達には一切隙を見せないって言うか、一線を引いているように感じていたからね。まあ、王太子殿下の婚約者なのだから、恐れ多い存在であることには違いないんだけど」
「そんなことはっ……。学園内では身分は平等とされてますし、わたしに変な気を遣う必要なんてありません」
「うん、それは分かってる。だから今君にこんなに馴れ馴れしい口調で話しているんだよ。これが学園の外だったら、大変な事になっているかもしれないね」
彼は冗談めいてそんなことを言ってきた。
馴れ馴れしい態度と言われたらそうなのかもしれないが、嫌な感じは一切受けなかった。
そんなことよりも気を抜いて話せることが、オリヴィアには楽しく感じていた。
この学園という場所は、オリヴィアにとって気を抜ける数少ない時間でもあった。
王宮にいる間は常に気を張っていなければならなかったし、ジークヴァルトの傍にいる時は淑女らしい態度を心がけなければならない。
教室にいると誰かの視線が気になることもあったが、ここでは王太子の婚約者ではなく、オリヴィアという一人の令嬢として皆が扱ってくれる。
入学仕立ての頃は、周囲から特別な視線を向けられ、どこか遠ざけられているような気がしていた。
そんな時、イヴァンが今のような口調でオリヴィアに話しかけてきた。
そのことで周りの空気は変わり、今では普通に話しかけてくれるようになった。
イヴァンは見た目だけで判断すれば、随分とのんびりしてそうなイメージだが、実は結構肝が据わっているのかもしれない。
「あのさ、君もあの噂のことは知っているよね?」
「……まあ、勝手に耳に入ってきますので」
あの噂と言うのは、今学園内で持ちきりになっている話だ。
当然オリヴィアの耳にも入ってきており、何人かのクラスメイトからは心配までされてしまった。
「ジークヴァルト殿下と、リーゼル男爵令嬢のことよね」
「……うん。僕は憶測が飛び交って、勝手に話が大きくなっているだけだと思っているけど、最近君は殿下に会いに行っていないよね?」
「わたしのこと、良く見ているのね」
「見ているというか、いつも教室にいるからね」
イヴァンの言うとおり、休学前のオリヴィアであったら昼休みはいつもジークヴァルトのいる校舎へと出向いて、昼食を一緒に摂っていた。
二人の仲が円満であることを、周囲に認めさせるという思惑もあってのことだった。
学科が違うが同じ学園に通っている以上、不仲だと思われては些か体裁が悪い。
そこで、こうすることをジークヴァルトが提案してきたのだ。
オリヴィアは当然喜んで受け入れた。
体面的な理由だけではなく、ジークヴァルトの傍にいられる時間を貰えて嬉しかった。
ずっと続けて来たことを急にやめてしまったことで、周囲は疑問を持ち始めたのだろう。
それに加えるように、ジークヴァルトの傍には男爵令嬢がいる。
オリヴィアが学園を離れている間に、彼が心変わりしたのではないかと思っている者もいるようだ。
それに尾鰭がついて、更に話が大きくなってしまった。
「イヴァン様もあの噂を信じているの?」
「きっと何か思惑があってのことだとは思っている。あの聡明な殿下が、意味もなく人前で他の令嬢と親しくするのには違和感しかないっていうか、明らかにおかしいからな」
「随分と殿下のことを買っているのね。イヴァン様はこの国の人間ではないのに」
「ん-、そうなんだけど。友人ではあるからね」
「え? そうでしたの?」
「うん、少しだけね」
イヴァンとジークヴァルトが友人だったなんて、オリヴィアは初耳だった。
一体いつ二人は知り合ったのだろう。
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