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第94話 俺、豚とお話する
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俺はリンをお姫様抱っこし、超巨大天使内部へと侵入する。
俺達が降り立ったのは異様に巨大な規模の教会の様な場所だった。
白一色に染められた外壁、目の前には木製の長椅子が幾つも均等に並べられており、
奥には巨大なパイプオルガンの様な楽器が設置され、その前には金色の十字架が空中で静止していた。
「何だここは? 教会か? なんでこんなもんを内部に?」
俺はリンを降ろし、木製の椅子に手をかけながら徐に十字架へと近づく。
「あ、先輩! 右と左に階段があるッスよ! 右の階段が上へと続いているみたいっす」
静止している十字架に触ろうと思ったが、それを取りやめてリンの元へと向かう。
「おう、考えていても仕方ないか。とりあえず上へ向かうとしよう」
「下には行かないんすか?」
「馬鹿と何とやらは高いところが好きっつーだろう? こういうのは大体最上階にいるもんだ」
「おぉ~! マスクドブレイバー隼最終話で敵の首領も無駄に高いビルの最上階にいましたッスよね! 了解ッス!」
俺はリンと共に上へと続く階段を登り始める。
「お前マスクドブレイバーは隼が好きなの? 新しめの奴だよな? 鳥類がモチーフなんだっけ」
「先輩も特撮見るんすか!?」
「そりゃ見てるよ。特撮とロボットが嫌いな男はそういないよ」
「先輩はどのシリーズが好きなんすか!?」
「俺ぇ? 俺はやっぱ神かなぁ」
「古ッ!! それってシリーズ始まって4つ目位のやつッスよね? あの神様の力宿して戦うやつ!! でもあれって確か……」
「それそれ。中々良かったけど何かライバル役のマスクドブレイバー盧鬼役の俳優さんが、
最終章開始直前って所で、児童買春だったかで捕まちゃったんだよね。
その影響で未登場だった怪人とか幹部連中最終話前の話で全員登場させてさ、神1人で全員ボコボコにして無理やり終わらせたんだよね。
リアルで見てて吹いたわ。後にも先にもあれだけでしょ。あんな無茶苦茶なマスクドブレイバー。
見た目もかっこいいし、何より神をケツに敷いてるみたいでコンセプトがナイスだったね。それとあの終盤の無茶苦茶ぶりも含めて好きだなー俺は」
「ロキの文字弄ってマスクドブレイバーロリって俗称付いちゃったンすよね」
「あ~、懐かしいんじゃあ~。あの事件以来仕事貰えなくなちゃって俳優さん高層ビルから飛び降り自殺したんだよなぁ」
「エグい最後ッスよね……」
「ロリータにはノータッチが一番だってはっきりわかんだね」
「所でいつまでこの階段続くんンすか……」
「さぁ? 上ってりゃそのうち着くでしょ」
――ダベりながら階段を乗り続けて3時間後――。
「長すぎぃ!」
「もう足パンパンなンすけど……」
「ざっけんなよマジで! 長ぇにも程があんだろ! あの図体のデカさからちょっと嫌な予感してたけどこれはねぇわ!
見ろよ! 終わりが全ッ然見えねぇ! 話題も尽きちゃったしよぉ!」
「いや、もうマジできついッス。一回休憩しませんッスか?」
「もう怒った。頭に来たわ」
「何するつもりなンすか? ちょ――」
俺はリンをお姫様抱っこで抱きかかえると同時に脚部のミニマムブースターと背中のブースターをを起動させる。
「ブースターを起動させた。これで思いっきり最上階まで駆け上がる。だいぶ揺れると思うが我慢してくれ」
「了解ッス」
「よっしゃ! 行くぞオラアアアアアアアアアアアア!!」
俺は脚部と背中のブースター吹か階段スレスレを超高速で飛び、体感時間にして40分程かかったが無事最上階まで上り詰める事ができた。
俺達は全てを拒絶するかの如く固く閉ざされた無駄に巨大な銀の扉の前に立っている。
「いやー! 流石先輩! 早いっすね!」
「まぁな。早いと言っても40分位飛んでたわけだが」
「よいしょっと。あ~、ずっとお姫様抱っこされてたんで躰痛いッス!」
リンは俺から降りると腰を左右に捻じ曲げストレッチを始めた。
俺はそれを尻目に扉の前へと近づき、扉に付いている丸い銀の取っ手を掴み軽く右手で引いてみる。
「どうっスか?」
「案の定閉まってんな。フンッ!」
俺は取っ手を掴んだまま力任せに扉をこじ開けた。
バキッという音と共に重い扉が開く。
室内には白いローブを着た豚が一匹ベッドに寝そべりながらこちらを見ている様だ。
豚のローブ見覚えのある金色の目ン玉に水色の水滴のマークが描かれている。
その傍らには同じデザインのアイマスクをしたオレンジ色のショートカットの少女がいた。
何故か水色のギャグボールをはめさせられ、ただベッドの上に人形の様に座っている。
「き、貴様らは何者だ!? ど、どうやってここへ? ハッ!? 黒い躰……黒き破壊の権化! 聖女様の予言にあった黒き災厄か!」
俺はブヒブヒ煩く鳴く豚を無視し少女へと近づく。
「なんだ? この娘? 何処かで見覚えが……う~ん、思い出せん。何故だ? 初めて会うはずなのに……」
「貴様! 聖女に触れるなぁ! 彼女に触れていいのはこの世界でたった一人私だけなのだぁ!」
「うっせぇな! さっきからブヒブヒよぉ! おい! てめぇが親玉か!? だとしたら俺の質問に答えろ!」
俺は少女を持ち上げリンに渡し、そのまま向き直ると少女がいた場所に腰かける。
「聖女を返せ! 何人もその者に触れてはならぬ!」
「おい人間オークよく聞け? 俺は遥々予定を中断してここにやってきた。
本当ならさっさと帰ってダンジョン攻略に勤しみたいんだ。
だが、お前が今いるここについてどうしても気になることができたからお前に質問する。
いいか? 理解したか? 最後に言うが俺の質問に30秒以内に答えろ。さもなくば――指をへし折るからな」
「な、何ィ!?? き、貴様!」
「誰が勝手に喋っていいと言った? はい、俺が喋っていいと言っていないのに勝手に喋べったペナルティとして30秒から15秒に変更。
第一問、このパワードギアは何だ? お前が作ったのか?」
「フッ、愚かな男よ! 貴様に絶望に嵐がああああああああああああああ!!」
俺はブヒブヒ泣いている人間オークの鼻の中に指を瞬速でツッコミ鼻毛を4本程思いっきり抜いた。
「チッ、きったねぇな! おい! 俺の話聞いてたか? 誰が関係ねぇこと喋っていいつった? あぁ?
今度意味わからんことほざいたら、マジで小指へし折るぞ? 改めて聞く。このパワードギアはお前が作ったのか?」
「パワードギアとは何の事だ!? そんなもの知らぬ!」
「あ、そっかぁ。ついうっかりしてたわぁ。この天使だよ! 天使はお前が作ったのか? あぁ? どうなんだコラ?」
「絶対わざとッスね……。間違いない」
「こ、これはさる御方から頂いた我らが居城だ!」
「ほーん、でそのさる御方ってのは? どこの誰よ?」
「し、知らぬ!」
「あっそ」
俺は小指に手を掛け思いっきり逆方向にひん曲げた。
「うぎゃああああああああ!! ほ、本当に貴様ああああああ!!」
「人間にはなぁ! 215本も骨があるんだよ! 一本くらいでギャアギャア騒ぐんじゃねぇ! とっとと答えろ豚ァ!!」
「た、鷹の顔をした少年だ! それ以外のことは本当に知らぬ!」
「ハァ? 何だ……そりゃあ? 俺やあいつみたいな格好してる奴ではねぇのか!?」
俺はリンの方を指差し、豚の胸ぐらをつかむ。
「違う! 本当だ! 嘘ではない! そ、そうだ! 右半身があの者のような姿になっていた! 確かそうだった記憶がある!」
「わ、私ッスか!?」
「何……? なんだって? 右半身がヒーローで鷹の顔した少年だと……!?
どういう……事だ? いや、今はそのことよりも聞きたい事がある。何故王都にちょっかいを出す?」
「王都に眠る隠し財産を手に入れる為だ! 活動し続けるには金がいる!」
「ハッ! 新興宗教にありがちな悩みだな! 城にスパイを潜り込ませて隠し財産があるのはわかったが、結局見つからず実力行使に出たが失敗したって訳か」
「あのさるお方が言っていたんだ! 王都の隠し財産に、聖女の全てを予知し暴かれる能力、そしてこの巨大天使エンジェルヘイローがあれば世界を征服することだってできると!」
「つまりお前はその鷹の顔したガキに唆されたって訳か」
「そうだ! もういいだろう! 許してくれ!」
「それを決めるのは俺じゃねぇ。王都の王様に言うんだな。最後に1つ、その鷹の顔したガキと最後にどこで出会った?」
「あ、あのお方と最後に出会ったのは蒸気都市エルイーザだ! 本当だ! 指を折るのは勘弁してくれ!」
「どうでもいいけど素が出てるぞ。まぁ、いいか。あらかた聞きたい事は聞いたし殆ど用事は済んだ」
俺はベッドから離れるとリンの隣でピクリとも動かず、ただ突っ立っている少女を小脇に抱えると空いている手で扉の取っ手を掴む。
「まままままま待て!! 聖女様をどうする気だ!」
「いや、何かこの娘使えそうなんで借りていくわ、じゃ!」
「待てえええええええええええええええええ!! 聖女様を起こしては駄目だ! 恐ろしいことが起きるぞ!」
「え? え? なんだって? なーんも聞こえなーい。行くぞ、もうここに用はない」
「いいんすかね? さいなら~」
ブヒブヒ騒ぐ人間オークを無視し、俺達は巨大天使を後にするのだった。
俺達が降り立ったのは異様に巨大な規模の教会の様な場所だった。
白一色に染められた外壁、目の前には木製の長椅子が幾つも均等に並べられており、
奥には巨大なパイプオルガンの様な楽器が設置され、その前には金色の十字架が空中で静止していた。
「何だここは? 教会か? なんでこんなもんを内部に?」
俺はリンを降ろし、木製の椅子に手をかけながら徐に十字架へと近づく。
「あ、先輩! 右と左に階段があるッスよ! 右の階段が上へと続いているみたいっす」
静止している十字架に触ろうと思ったが、それを取りやめてリンの元へと向かう。
「おう、考えていても仕方ないか。とりあえず上へ向かうとしよう」
「下には行かないんすか?」
「馬鹿と何とやらは高いところが好きっつーだろう? こういうのは大体最上階にいるもんだ」
「おぉ~! マスクドブレイバー隼最終話で敵の首領も無駄に高いビルの最上階にいましたッスよね! 了解ッス!」
俺はリンと共に上へと続く階段を登り始める。
「お前マスクドブレイバーは隼が好きなの? 新しめの奴だよな? 鳥類がモチーフなんだっけ」
「先輩も特撮見るんすか!?」
「そりゃ見てるよ。特撮とロボットが嫌いな男はそういないよ」
「先輩はどのシリーズが好きなんすか!?」
「俺ぇ? 俺はやっぱ神かなぁ」
「古ッ!! それってシリーズ始まって4つ目位のやつッスよね? あの神様の力宿して戦うやつ!! でもあれって確か……」
「それそれ。中々良かったけど何かライバル役のマスクドブレイバー盧鬼役の俳優さんが、
最終章開始直前って所で、児童買春だったかで捕まちゃったんだよね。
その影響で未登場だった怪人とか幹部連中最終話前の話で全員登場させてさ、神1人で全員ボコボコにして無理やり終わらせたんだよね。
リアルで見てて吹いたわ。後にも先にもあれだけでしょ。あんな無茶苦茶なマスクドブレイバー。
見た目もかっこいいし、何より神をケツに敷いてるみたいでコンセプトがナイスだったね。それとあの終盤の無茶苦茶ぶりも含めて好きだなー俺は」
「ロキの文字弄ってマスクドブレイバーロリって俗称付いちゃったンすよね」
「あ~、懐かしいんじゃあ~。あの事件以来仕事貰えなくなちゃって俳優さん高層ビルから飛び降り自殺したんだよなぁ」
「エグい最後ッスよね……」
「ロリータにはノータッチが一番だってはっきりわかんだね」
「所でいつまでこの階段続くんンすか……」
「さぁ? 上ってりゃそのうち着くでしょ」
――ダベりながら階段を乗り続けて3時間後――。
「長すぎぃ!」
「もう足パンパンなンすけど……」
「ざっけんなよマジで! 長ぇにも程があんだろ! あの図体のデカさからちょっと嫌な予感してたけどこれはねぇわ!
見ろよ! 終わりが全ッ然見えねぇ! 話題も尽きちゃったしよぉ!」
「いや、もうマジできついッス。一回休憩しませんッスか?」
「もう怒った。頭に来たわ」
「何するつもりなンすか? ちょ――」
俺はリンをお姫様抱っこで抱きかかえると同時に脚部のミニマムブースターと背中のブースターをを起動させる。
「ブースターを起動させた。これで思いっきり最上階まで駆け上がる。だいぶ揺れると思うが我慢してくれ」
「了解ッス」
「よっしゃ! 行くぞオラアアアアアアアアアアアア!!」
俺は脚部と背中のブースター吹か階段スレスレを超高速で飛び、体感時間にして40分程かかったが無事最上階まで上り詰める事ができた。
俺達は全てを拒絶するかの如く固く閉ざされた無駄に巨大な銀の扉の前に立っている。
「いやー! 流石先輩! 早いっすね!」
「まぁな。早いと言っても40分位飛んでたわけだが」
「よいしょっと。あ~、ずっとお姫様抱っこされてたんで躰痛いッス!」
リンは俺から降りると腰を左右に捻じ曲げストレッチを始めた。
俺はそれを尻目に扉の前へと近づき、扉に付いている丸い銀の取っ手を掴み軽く右手で引いてみる。
「どうっスか?」
「案の定閉まってんな。フンッ!」
俺は取っ手を掴んだまま力任せに扉をこじ開けた。
バキッという音と共に重い扉が開く。
室内には白いローブを着た豚が一匹ベッドに寝そべりながらこちらを見ている様だ。
豚のローブ見覚えのある金色の目ン玉に水色の水滴のマークが描かれている。
その傍らには同じデザインのアイマスクをしたオレンジ色のショートカットの少女がいた。
何故か水色のギャグボールをはめさせられ、ただベッドの上に人形の様に座っている。
「き、貴様らは何者だ!? ど、どうやってここへ? ハッ!? 黒い躰……黒き破壊の権化! 聖女様の予言にあった黒き災厄か!」
俺はブヒブヒ煩く鳴く豚を無視し少女へと近づく。
「なんだ? この娘? 何処かで見覚えが……う~ん、思い出せん。何故だ? 初めて会うはずなのに……」
「貴様! 聖女に触れるなぁ! 彼女に触れていいのはこの世界でたった一人私だけなのだぁ!」
「うっせぇな! さっきからブヒブヒよぉ! おい! てめぇが親玉か!? だとしたら俺の質問に答えろ!」
俺は少女を持ち上げリンに渡し、そのまま向き直ると少女がいた場所に腰かける。
「聖女を返せ! 何人もその者に触れてはならぬ!」
「おい人間オークよく聞け? 俺は遥々予定を中断してここにやってきた。
本当ならさっさと帰ってダンジョン攻略に勤しみたいんだ。
だが、お前が今いるここについてどうしても気になることができたからお前に質問する。
いいか? 理解したか? 最後に言うが俺の質問に30秒以内に答えろ。さもなくば――指をへし折るからな」
「な、何ィ!?? き、貴様!」
「誰が勝手に喋っていいと言った? はい、俺が喋っていいと言っていないのに勝手に喋べったペナルティとして30秒から15秒に変更。
第一問、このパワードギアは何だ? お前が作ったのか?」
「フッ、愚かな男よ! 貴様に絶望に嵐がああああああああああああああ!!」
俺はブヒブヒ泣いている人間オークの鼻の中に指を瞬速でツッコミ鼻毛を4本程思いっきり抜いた。
「チッ、きったねぇな! おい! 俺の話聞いてたか? 誰が関係ねぇこと喋っていいつった? あぁ?
今度意味わからんことほざいたら、マジで小指へし折るぞ? 改めて聞く。このパワードギアはお前が作ったのか?」
「パワードギアとは何の事だ!? そんなもの知らぬ!」
「あ、そっかぁ。ついうっかりしてたわぁ。この天使だよ! 天使はお前が作ったのか? あぁ? どうなんだコラ?」
「絶対わざとッスね……。間違いない」
「こ、これはさる御方から頂いた我らが居城だ!」
「ほーん、でそのさる御方ってのは? どこの誰よ?」
「し、知らぬ!」
「あっそ」
俺は小指に手を掛け思いっきり逆方向にひん曲げた。
「うぎゃああああああああ!! ほ、本当に貴様ああああああ!!」
「人間にはなぁ! 215本も骨があるんだよ! 一本くらいでギャアギャア騒ぐんじゃねぇ! とっとと答えろ豚ァ!!」
「た、鷹の顔をした少年だ! それ以外のことは本当に知らぬ!」
「ハァ? 何だ……そりゃあ? 俺やあいつみたいな格好してる奴ではねぇのか!?」
俺はリンの方を指差し、豚の胸ぐらをつかむ。
「違う! 本当だ! 嘘ではない! そ、そうだ! 右半身があの者のような姿になっていた! 確かそうだった記憶がある!」
「わ、私ッスか!?」
「何……? なんだって? 右半身がヒーローで鷹の顔した少年だと……!?
どういう……事だ? いや、今はそのことよりも聞きたい事がある。何故王都にちょっかいを出す?」
「王都に眠る隠し財産を手に入れる為だ! 活動し続けるには金がいる!」
「ハッ! 新興宗教にありがちな悩みだな! 城にスパイを潜り込ませて隠し財産があるのはわかったが、結局見つからず実力行使に出たが失敗したって訳か」
「あのさるお方が言っていたんだ! 王都の隠し財産に、聖女の全てを予知し暴かれる能力、そしてこの巨大天使エンジェルヘイローがあれば世界を征服することだってできると!」
「つまりお前はその鷹の顔したガキに唆されたって訳か」
「そうだ! もういいだろう! 許してくれ!」
「それを決めるのは俺じゃねぇ。王都の王様に言うんだな。最後に1つ、その鷹の顔したガキと最後にどこで出会った?」
「あ、あのお方と最後に出会ったのは蒸気都市エルイーザだ! 本当だ! 指を折るのは勘弁してくれ!」
「どうでもいいけど素が出てるぞ。まぁ、いいか。あらかた聞きたい事は聞いたし殆ど用事は済んだ」
俺はベッドから離れるとリンの隣でピクリとも動かず、ただ突っ立っている少女を小脇に抱えると空いている手で扉の取っ手を掴む。
「まままままま待て!! 聖女様をどうする気だ!」
「いや、何かこの娘使えそうなんで借りていくわ、じゃ!」
「待てえええええええええええええええええ!! 聖女様を起こしては駄目だ! 恐ろしいことが起きるぞ!」
「え? え? なんだって? なーんも聞こえなーい。行くぞ、もうここに用はない」
「いいんすかね? さいなら~」
ブヒブヒ騒ぐ人間オークを無視し、俺達は巨大天使を後にするのだった。
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