アーマード勇者育成記 産業革命遺産チート! 世界観ガン無視完全無敵の俺が無双する件 剣と魔法?よろしいならばこちらは強化外骨格だ。

からくり8

文字の大きさ
上 下
92 / 151

第92話 俺、尋問する

しおりを挟む
「さて? 何処かな~?」
「ゲインさん、一体何をやってるんですか?」

 今、俺とリズロ君の眼前には巨大な白い鉄の塊が横たわっている。
 臨戦態勢を解除した俺達は巨大天使に降り立つ。
 鬱蒼とした森にミスマッチな白く輝く鋼を俺は軽く叩くと、カンカンという音が俺の耳に届いた。

「いや、どうにかして中に入れないかなって」
「え? 中に入るんですか? 入ってどうするんです?」
「いや、ネメシスの話によると、生命反応があるらしい。色々聞きたい事もあるし、どうにか出来ないかなって」
「え!? この天使の中に人が乗ってるんですか?」

 リズロ君は目を見開きながら天使を見つめる。

「そりゃあそうよ。基本的にスーパーロボットタイプのパワードギアは人が操縦する様になってる。でか過ぎて普通のフィールドじゃ使えないから、もっぱらレイド戦専用みたいな位置付けだけど。一応手加減したし、サイクロン・カイゼル・クラッシュの始動技で上空にぶっ飛ばしただけだから、死んではいないと思う」
「大変だ! はやく助けないと!」
「まぁ、俺もこの機体の事聞きたいしとっとと入り口探して中入ろう。ネメシス、自分で探すのダルくなったから入り口をサルベージしてくれ」
「承知しました。顔部分にそれらしき入り口がある様です」
「さ、流石ですね……」
「当然です」
(すっごいドヤ顔してる。煽ったら拗ねるんだろうなぁ……)

 俺は煽りたい気持ちを抑えつつ、リズロ君と共に巨大天使の顔へと移動する。
 この機体の顔は女性の顔を模したデザインとなっている。よく見ると左目だけ水色にペイントが施されており、そこが入り口となっていた。取っ手が付いており、上に上げると簡単に中に入る事が出来た。

 操縦席の横には薄水色のローブを着込んだ人が倒れていた。
 俺はローブの人物に駆け寄り、頭のかかったローブを退けるとピンクの髪に真っ青なメッシュが入ったド派手な髪が目にする。顔の覆っていた白い仮面を外す。額から血を流す彼女の顔には見覚えがあった。

「女性じゃないですか!? い、生きてるんですよね!?」
「あぁ……。そうだね……」

 俺は彼女を抱えると、ルームキーを取り出し、回すと白く輝く扉が現れた。

「何を!?」
「怪我直して目を覚ましたら、彼女を尋問する」
「尋問!? 何のために!?」
「さっき言ったでしょ。色々聞きたい事があるって」
「どういう事ですか……?」
「このローブと女に見覚えがある。この女は王女の侍女やってた奴だ。大方、王女の暗殺に失敗したんで鉄砲玉にされたんだろ。リズロ君は王都に戻った方がいい。これ以上首突っ込むと面倒な事になるよ。無理やり連れ出して悪かった。王都に戻ったら、極力外出するなと皆に言っといてくれ」

 俺は扉を足で開けると扉を潜り、ロビーの螺旋階段を昇っていき、自室へ入ると椅子に女性を座らせる。
 俺は、インベントリからロープを取り出し、彼女の躰にロープを巻き椅子と彼女をガッチリ固定させる。

「おい、起きろ」

 俺は彼女の頬を軽く手の平で叩く。

「う、ここは? 一体……?」
「ここは俺の部屋だ。お前に聞きたい事がある」
「フッ、馬鹿な異教徒めがッ! 私が口を割ると思っているのか!」

 俺は喋っている彼女の口に指を思いっきり突っ込む。

「舌噛んで死のうとしても無駄だ、やめときな。できれば手荒な事はしたくない。教えてくれないか? あの機体はどうやって手に入れた?」
「おひえるわけないふぁろ。わがめ!」
「そうか……、しかたない。リン! ちょっと来てくれ!」

 俺が声を張り上げるとドアが開き、ツインテールの女の子が入ってきた。

「呼んだッスか? 先輩? ファッ!? どういう状況ッスか!? その女の人誰ッスか!? 何で口の中に指突っ込んでるッスか!?」
「説明しなきゃ駄目か!? 凄く難しいんだが!?」
「エロ同人ッスか!?」
「お前そのフレーズ大好きかよ!? でも、違うぞ! 断じて違う! 今この女が舌を噛み切ろうとしたので、仕方なく指を突っ込んだのだ! で、頼みというのはちょっと代わって欲しい!」
「嫌ッスよ! 何で私が! てか、誰何すかその人? 変なローブッスね? まるでマスクドブレイバーFに出てきた敵幹部みたいッス」
「そうか! その手があった! 良いかよく聞け! こいつは悪の首領に鉄砲玉にされた所を俺が捕まえたのだ!」
「き、きふぁま!! らいしきょうしゃまにむふぁっれ!!」
「悪の首領!? マジッスか!? 特撮ヒーローみたいッス! わかったッス! 手伝うッス!」

 リンが女の後ろに立つと両手の人差し指と薬指を口の中に突っ込んだ。
 俺は人差し指を引っ込め、インベントリからある物を取り出す。

「まさか、こいつをこんな事に使う羽目になるとは……」
「なんすか? その真っ青なバナナは?」
「こいつはオレンナっていうバナナの形したオレンジなんだよ」
「へぇ、美味そうッスね」

 俺はオレンナを1本千切り、皮を全部剥ききると、女の口の中に勢い良く突っ込んだ。

「モガッ!?」
「これを使って今からお前を尋問するからな」
「女の人の顔真っ赤になってるんすけど、大丈夫なんすか?」
「今、俺が食わしたオレンナとかいうフルーツはだな? 皮を全部剥いて食べると……」
「食べると?」
「この世のモノとは思えないくらい酸っぱくなるらしい。彼女にはそれを堪能してもらうと思う」
「いいすかね……? ヒーローっぽくない気が……」
「良いか? こういうのはコラテラルダメージと言ってな、必要な犠牲なのだよ。大人の世界とは残酷なのだ」
「やっぱり何かヒーローっぽくないッス……」
「シャラップ! 俺はこれでも手加減してるんだぞ! 男だったらば、小指の骨1本へし折って聞き出してやろうと思っていたのに! 何で女なんだ! これ以外に良い手が思い付かんのだ! さぁ、とっとと言わなければますます苦しくなるぞ!」

 ――それから10分後――。

「すげぇ! あれだけあったオレンナがあと1本だぞ!」
「先輩、10分前とテンション違くないッスか?」

 俺部屋にはちょっとした青い房の束が出来ていた。彼女はたった1人でオレンナを食べ続けている。

「女スパイ君! ここは完食しよう!」
「きふぁま! わらひをなんらとおもっへいるろふぁ! かはらずれんはつがきふぁまにおひるれあろう!」
「天罰だが何だが知らんが、とにかく良し! 最後の1本だ!」

 俺は最後の1本を女性の口に突っ込む。

「ムガアアアアアアア! れったいこうかいふぁふぇてやるううううう!!」

 口に入れた瞬間、女は白目をひん剥き、口からオレンジ色の泡を吹いて動かなくなった。

「素晴らしい根性! 俺は君に敬意を表する!」
「で、どうするんスか? この人?」
「ヤベ、結局何の情報も得られてないじゃん! どうしてくれんのこれ!」
「私に言われても知らないッスよ!」
「1つ宜しいでしょうか」
「ネメシスどうした?」
「彼女を束縛に成功した時点で、サイコメトリーを使い、脳から直接情報を読み取れば良かったのでは?」
「あっ……」
「え、先輩そんな事が出来るんスか?」
「忘れてた……」
「えぇ……」
「地味なスキルとか一々覚えてないからね。しょうがないね」

 俺が開き直った瞬間、画面上に通知音のアイコンが点滅した。

「もしもし、リズロ君どうしたー?」
「大変です! 外! 外見てください! また来たんです!」
「また天使かぁ、壊れるなぁ。まぁ、尋問失敗しちゃったしちょうどいいかな」
「どうしたんスか?」
「敵だよ敵」
「私も一緒に行くッス!」
「ああ、良いよ」

 俺は無詠唱でエクストラヒールを起動し、額の傷を治し、女性を肩で担ぎリンと共に自室を出て、そのままホームを後にする。
 外に出た俺が見たものは全長1000メートルをゆうに超える、雲を突き抜ける超巨大な白い謎の物体だった。
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷

くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。 怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。 最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。 その要因は手に持つ箱。 ゲーム、Anotherfantasia 体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。 「このゲームがなんぼのもんよ!!!」 怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。 「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」 ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。 それは、翠の想像を上回った。 「これが………ゲーム………?」 現実離れした世界観。 でも、確かに感じるのは現実だった。 初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。 楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。 【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】 翠は、柔らかく笑うのだった。

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜

EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」 優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。 傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。 そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。 次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。 最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。 しかし、運命がそれを許さない。 一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか? ※他サイトにも掲載中

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

処理中です...