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第89話 俺、皆を部屋に呼ぶ
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「おわー! すっごい豪華なホームッスね! これロイヤルキャッスルッスか!?」
「おう、そうだよ。ホームで最も高いやつな。それはともかく、俺の部屋へ今から案内するから」
「何スか? 乱暴する気ッスか!? エロ同人スか!?」
手で胸を隠すリンを無視し、俺は自室の前まで行きドアを開け、親指を突き立て催促する。
「アホな事言ってねぇで入ってくれる? これから知り合い呼ばなきゃならんのよ。一々ボケに付き合ってる暇ないんで」
「渾身のボケにマジレスするとか、先輩空気読んで下さいッス!」
「ハイハイ、今度ね。入ったら好きな所に座っといて」
リンが渋々といった感じで部屋に入っていくのを見届け、俺はアドレスを起動させ、とある人に連絡を取る為、名前をタップした。
「すっごい久々じゃない? どうしたのよ?」
「どうも、イシスさん。実は神についてとんでもない事がわかりましてね? 話し合いしたいんで一度そっちに行ってから俺の部屋に来てもらえます?」
「ほ、本当に!? 今すぐ来て!」
俺は通信を切り、インベントリから赤い宝石の付いた杖を取り出す。王との謁見に行く時に使ったファストトラベルの杖だ。俺はそれを地面に突き立て、赤い魔法陣が展開されると鬱蒼とした森の中に景色が切り替わった。目の前には赤い屋根の木造住宅。俺はその玄関前に立っていた。ノックしようとした瞬間、扉が開かれボンテージ姿の女性が現れた。ポニーテールに燃えるような赤い髪が良く似合っている。相当焦っていたのか、前髪が少し乱れている。
「お久し――」
「挨拶なんていつでも出来るでしょ! 早く連れってて!」
「お、おう。じゃ、入ってどうぞ」
俺はルームキーを回し、イシスさんと共に扉を潜る。
「とりあえず、俺の部屋へ案内するからそこで待っててくれる? まだ全員揃ってないんでね」
「わかったわ! なるべくはやくね!」
俺は自室の扉を開け、さっきと同じ様にイシスさんが室内に入っていくのを見届けるとアドレスを起動させ、リズロ君とキズナさん両名と連絡をとり、広場で待ち合わせする事となった。ファストトラベルの杖を使い、景色が変わると、既に両名は広場のベンチに座っていた。
「元気~?」
「ゲインさん! お久しぶりです!」
「お久しぶり」
キズナさんは普段着にエプロン姿、リズロ君は王立騎士団の甲冑を着ている。
「お! リズロ君、甲冑にあってんじゃん!」
「それが聞いてください! 面接で名前言っただけで合格しちゃったんですよ! 今はファース副隊長とコンビ組んで治安維持の任務に就いてます! ファース副隊長の尻尾の毛並みってすっごい綺麗なんですよ~」
「へ、へぇ~、そ、そうなんだ~。良かったね……。とりあえずちゃっちゃと俺ん家入ろうか。そこで色々話したいんで」
俺はこれまたルームキーを回し、2人を共に扉を潜り、自室へと案内した。
「よし、最後にして最も難関臭いがどう出るか!」
俺はファストトラベルの杖を強めに突き立てる。魔法陣が展開され、目の前に日本家屋の一軒家が現れた。俺は引き戸の横に設置されたチャイムを鳴らす。『ピンポーン』という音が鳴り響くと引き戸が勢い良く開き、ツインテールの女の子が顔を出した。
「ハイ、どちら様ー?」
「どうも、お嬢ちゃん久しぶり。前と格好全然違うけど覚えてるかな?」
「パパとお話し相手になってくれたお兄ちゃん! 久しぶり! どうしたの?」
「うん、また大賢者とお話ししたいんだけど居るかな?」
「いるよー! 入ってー!」
「お邪魔しますー」
引き戸を開け、レギンスを脱ぎ、そのまま通路を歩いて階段を昇り、ドアを開ける。見ると相変わらず薄暗い部屋の中で布団を被ったまま、ヘッドギアを付け、ゲームに勤しむ大賢者の姿があった。
「あの~、もしも~し?」
「おぉ~、良え感じや。あともうちょいでミーコたんのパンツが見えそう……。あ~、たまらんでホンマ。ぐほほ」
「真っ昼間からエロゲやってんじゃねーよ! このロリコン!」
俺は大賢者が頭に付けているヘッドギアを無理やり引っぺがす。
「あー! ミーコたんがああああ!! 誰や!? ワイとミーコたんのラブラブタイムを邪魔したんは!? ってあんちゃん!? 何してくれんねん!? あともうちょいでCGコンプやってんぞ!!」
「知るか!! お前と話したい事がある! 今すぐ俺と来てくれ!」
「ハァ、まぁええか。今何時や?」
「今!? あとちょいで12時だよ!!」
「あかん。なら、今は行かれへん」
「はぁ!? なんで!?」
「これ見てみぃ」
大賢者がマウスを動かすとデスクトップが表示された。壁紙にはニチアサアニメのヒロインである、魔女っ子プリンセスマジカル★プリンがデカデカと映し出されていた。ピンクのツインテールに眼の中に星マークがあり、ど派手な装飾がなされたピンクのローブを着込んだ女の子がホウキに跨っている。
大賢者はデスクトップに並んだ1つのアイコンをダブルクリックした。
馬の横顔を模った青いマークが画面中央に現れる。
「ん? そのアイコンは……」
「流石、あんちゃんもよう知っとるやろ。海外のゲーム販売エンジン、ジョッキーや。12時から大規模セールタイムやねん。オマケに円高ドル安の影響で更に安く買えるオマケ付きよ」
大賢者がIDとパスを入力し、画面がゲーム販売画面へと切り替わる。
「お、大乱戦! 腐れ外道シスターズめっちゃ安くなってるやんけ! ポチったろ!」
大乱戦! 腐れ外道シスターズシリーズは武器を持った女の子達が戦い合う格闘ゲームだ。バランスはかなり大味だが、お仕置きパニッシュメントという必殺技が必ず搭載されており、体力をゼロにした状態で特定のコマンドを入力すると、可愛い見た目の女の子が一切容赦のないトドメを刺す。という、洋ゲーもびっくりの超過激なグロ表現で話題となった、リョナラーに大変人気なシリーズであり、かなりニッチな格ゲーでありながら未だにシリーズが出続けているという、バ格ゲーである。
「おい! もういい加減にしてくれ! こっちはマジで急いでんだ!」
「まぁまぁ、そう急がんと。ほら、あんちゃんの好きなブレイバー・ジ・ゲームも1000円やて」
「何!? マジでか! ちょっと見せて!」
画面では往年の特撮ヒーローであるニチアサヒーローのマスクドブレイバーが敵を一気になぎ倒すシーンの映像が流れている。
「クッソオオオオオオオオ!! やりてええええええええ!! しかもこれ最新作じゃねぇかああああああ!!!」
「やるかわからんけどポチったろ」
「良いなぁ……」
「やりたいんか?」
「すごく」
「しゃーないなぁ。アンリミテッドクリエイト!」
大賢者の両手から虹色の光が漏れ出すと、俺の前にハンディゲーム機のエグゼルボーイとブレイバー・ジ・ゲームのパッケージ、そしてインスタントカメラが目の前に現れた。
「マジでか!? マジで貰っていいの!?」
「おいおい、あんちゃん? この世にタダより高いものはないんやで? 対価を払ってもらわなあかん」
「どうすりゃ良いんだ?」
「インスタントカメラあるやろ? それでエルメンテたんの写真1枚と交換な」
「……そういう事か、仕方ない。エルならきっと頼めば協力してくれるだろう。憧れの大賢者様だもんな」
「よっしゃ! じゃ、連れてってくれや!」
俺はルームキーを回し大賢者と一緒に扉を潜り、そのまま自室へと入る。部屋の中に入った瞬間、皆が一斉に俺の方を向いた。
「「「「遅い!」」」」
「センセンシャル!」
このあと皆にめちゃくちゃ怒られた。
「おう、そうだよ。ホームで最も高いやつな。それはともかく、俺の部屋へ今から案内するから」
「何スか? 乱暴する気ッスか!? エロ同人スか!?」
手で胸を隠すリンを無視し、俺は自室の前まで行きドアを開け、親指を突き立て催促する。
「アホな事言ってねぇで入ってくれる? これから知り合い呼ばなきゃならんのよ。一々ボケに付き合ってる暇ないんで」
「渾身のボケにマジレスするとか、先輩空気読んで下さいッス!」
「ハイハイ、今度ね。入ったら好きな所に座っといて」
リンが渋々といった感じで部屋に入っていくのを見届け、俺はアドレスを起動させ、とある人に連絡を取る為、名前をタップした。
「すっごい久々じゃない? どうしたのよ?」
「どうも、イシスさん。実は神についてとんでもない事がわかりましてね? 話し合いしたいんで一度そっちに行ってから俺の部屋に来てもらえます?」
「ほ、本当に!? 今すぐ来て!」
俺は通信を切り、インベントリから赤い宝石の付いた杖を取り出す。王との謁見に行く時に使ったファストトラベルの杖だ。俺はそれを地面に突き立て、赤い魔法陣が展開されると鬱蒼とした森の中に景色が切り替わった。目の前には赤い屋根の木造住宅。俺はその玄関前に立っていた。ノックしようとした瞬間、扉が開かれボンテージ姿の女性が現れた。ポニーテールに燃えるような赤い髪が良く似合っている。相当焦っていたのか、前髪が少し乱れている。
「お久し――」
「挨拶なんていつでも出来るでしょ! 早く連れってて!」
「お、おう。じゃ、入ってどうぞ」
俺はルームキーを回し、イシスさんと共に扉を潜る。
「とりあえず、俺の部屋へ案内するからそこで待っててくれる? まだ全員揃ってないんでね」
「わかったわ! なるべくはやくね!」
俺は自室の扉を開け、さっきと同じ様にイシスさんが室内に入っていくのを見届けるとアドレスを起動させ、リズロ君とキズナさん両名と連絡をとり、広場で待ち合わせする事となった。ファストトラベルの杖を使い、景色が変わると、既に両名は広場のベンチに座っていた。
「元気~?」
「ゲインさん! お久しぶりです!」
「お久しぶり」
キズナさんは普段着にエプロン姿、リズロ君は王立騎士団の甲冑を着ている。
「お! リズロ君、甲冑にあってんじゃん!」
「それが聞いてください! 面接で名前言っただけで合格しちゃったんですよ! 今はファース副隊長とコンビ組んで治安維持の任務に就いてます! ファース副隊長の尻尾の毛並みってすっごい綺麗なんですよ~」
「へ、へぇ~、そ、そうなんだ~。良かったね……。とりあえずちゃっちゃと俺ん家入ろうか。そこで色々話したいんで」
俺はこれまたルームキーを回し、2人を共に扉を潜り、自室へと案内した。
「よし、最後にして最も難関臭いがどう出るか!」
俺はファストトラベルの杖を強めに突き立てる。魔法陣が展開され、目の前に日本家屋の一軒家が現れた。俺は引き戸の横に設置されたチャイムを鳴らす。『ピンポーン』という音が鳴り響くと引き戸が勢い良く開き、ツインテールの女の子が顔を出した。
「ハイ、どちら様ー?」
「どうも、お嬢ちゃん久しぶり。前と格好全然違うけど覚えてるかな?」
「パパとお話し相手になってくれたお兄ちゃん! 久しぶり! どうしたの?」
「うん、また大賢者とお話ししたいんだけど居るかな?」
「いるよー! 入ってー!」
「お邪魔しますー」
引き戸を開け、レギンスを脱ぎ、そのまま通路を歩いて階段を昇り、ドアを開ける。見ると相変わらず薄暗い部屋の中で布団を被ったまま、ヘッドギアを付け、ゲームに勤しむ大賢者の姿があった。
「あの~、もしも~し?」
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「ハァ、まぁええか。今何時や?」
「今!? あとちょいで12時だよ!!」
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大賢者がマウスを動かすとデスクトップが表示された。壁紙にはニチアサアニメのヒロインである、魔女っ子プリンセスマジカル★プリンがデカデカと映し出されていた。ピンクのツインテールに眼の中に星マークがあり、ど派手な装飾がなされたピンクのローブを着込んだ女の子がホウキに跨っている。
大賢者はデスクトップに並んだ1つのアイコンをダブルクリックした。
馬の横顔を模った青いマークが画面中央に現れる。
「ん? そのアイコンは……」
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大賢者がIDとパスを入力し、画面がゲーム販売画面へと切り替わる。
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「おい! もういい加減にしてくれ! こっちはマジで急いでんだ!」
「まぁまぁ、そう急がんと。ほら、あんちゃんの好きなブレイバー・ジ・ゲームも1000円やて」
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