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第85話 俺、生中継される
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脱衣所へと到着した俺は服を脱ぎ捨てると、タオルと風呂桶を持って風呂場へ入る。幾つもある大きな浴槽の中の1つにアーサーが入っていた。
「お師匠様! 地面から泡がいっぱい出てきます!」
「まぁ、泡風呂だからな。あ~たまらねぇぜ。やはり風呂は最高や」
「あの……お師匠様?」
「なに?」
アーサーが何故か恥ずかしそうにしながら俺を見ていた。
「お、泳いでも良い……ですか?」
「どうぞ、ご勝手に」
「ありがとうございます!」
そう言うとアーサーはバタ足で泳ぎ始めた。
(いや、しかしアーサーと俺が旅を始めて結構経つな。まさかこの異世界に来た当初はこんな事になるなんて思いもしなかったなぁ。アーサーと言えばハガセンじゃ厄介者だもんなぁ。俺も何人不意打ちで殺したかわからん。そういや忘れてたがアーサーの元々のパーティメンバーは存在するのだろうか?)
「なぁ、アーサー?」
「ハイ? なんでしょう?」
バタつかせていた足を止め、アーサーはいつもの様にニッコリ微笑みながら俺を見ている。
「えっと、突然で悪いんだけどお前って昔親しかった友人とかいた?」
「いましたよ。セリーニアっていう女の子がいまして幼少時代良く一緒に遊んでました。凄く元気な女の子だったんですよ」
「ッ!」
一瞬口から心臓が飛び出るかと思うくらい驚愕する。セリーニアとはハガセンにおける勇者御一行様の元々のパーティにいた名だからだ。
「セリーニアちゃん……ね。今も連絡取ってたりはするの?」
「それがいつからか、急に居なくなちゃったんです」
「居なくなった……とは?」
「言葉の通りです。引っ越したのかそれっきり」
(例の神を名乗る球体に消された? いや、話によると記憶そのものがなくなるくさいからな。関係は薄いか?)
「そうか……悪い事を聞いたな」
「いえ、良いんです! 彼女ならきっと大丈夫ですよ。セリーニア凄いんですよ! 見てもいないのに明日の天気をズバリ言い当てたり、簡単な嘘ならすぐ見破っちゃうんです!」
「へぇ~、それはユニークスキルか?」
「わかりません。墨も当時はユニークスキルの存在を知らなかったので」
俺は湯船から出ると近くにあった椅子に腰を下ろした。
「友達かぁ。また会えるといいな……」
「はい。あっ、お師匠様のご友人の話とか是非聞きたいです!」
「俺の友達? 友達っていうよりは戦友。そういう奴等ならいたよ」
「お師匠様のご戦友!? さぞかしお強い方々でしょう!? 聞きたいです!」
「そりゃあね、強かったよ。まぁ強者というより、狂人の集まりだったけどな。ドラゴンの尻尾を振り回しまくってバターみたいに溶かし殺したり、ボス級のモンスター引き連れてわざと他のギルド連中の本部にモンスター放置、戦争引き起こしたりもしてたな。
ある時仲間の一人が貴重な素材が取れる場所にわざと店を構えてさ、独占して武器の価格暴落させたりな。ともかく俺の仲間って変な事ばっかやってて俺一人じゃどうにもならんって時に助けてくれる優しい奴が一人居てさ、そいつとつるんでた頃が1番楽しかったかなぁ……」
「その人とはもう会っていないですか?」
「前にも言った記憶あるけど、あまりに遠すぎて会いたくても会えないんだよね。き――」
「アツゥイ!?」
突如、女風呂の方から悲痛(?)めいた叫び声が風呂場に響き渡った。
「なに今の悲鳴は?」
◆◆◆◆
女風呂にて――。
「熱すぎる! もうちょっと水で薄めていいか?」
「ダメ……、これ以上下げたらぬる過ぎる」
「そ、そうか……。よし、これも修行だ! この地獄の様な修行が終わったらお兄様とセ――」
「ねぇ、頼みがある」
「頼みだと?」
エルがエスカに近づき耳打ちする。
「ゴニョゴニョ」
「ほう……、そんな事を? 面白い! 私は一向に構わないぞ!」
「ん……お願いする」
「よし、では準備をするからもう出るぞ。言っとくけど熱いのが嫌で逃げるわけじゃないからな!」
◆◆◆◆
「あの叫び声はエスカか? まぁ、いいや。そろそろ躰洗って俺はでるな」
躰を石鹸で洗い桶に貯めた湯で泡を洗い流し俺は風呂を後にする。
「メイド俺以外の奴等の躰を洗ってやれ。あと風呂場の清掃もやっといてくれ」
「承知しました」
メイドに後を頼み、ロビーへ行くと既にエスカとエルが風呂から出ていた。
「お、お兄様! あの少し待って貰っても良いですか? 5分後私の部屋に来てください!」
「お、おう。わかった」
――5分後。
「エスカ入るぞ」
俺はエスカの扉を開ける。
室内空間にはネグリジェを着たエスカと何故かエルがいた。
「え?」
「どうも……」
「いや、ごめん。エル何やってるの?」
「お気になさらず」
エルは部屋の隅にある椅子に座り羊皮紙と羽ペンを手にしていた。
「あの……エルメンテさん? 貴女はここで何をしていらっしゃるのですか?」
「今小説の……執筆中で……濡れ場のシーンを書いてる」
「そ、そうか。自室で書こう?」
「いや、せっかく……本物が見れる機会ができるなら本物を
見せて貰おうかと……」
「……」
俺は無言でエスカの方に首を向けた。
「いけませんでしたか!? エルがどうしてもと!」
「えっ……、エスカも乗る気だったよ」
「もうどうにでもな~れ~」
その後、エスカがハッスルする中でエルの実況生中継が行われた。
「お師匠様! 地面から泡がいっぱい出てきます!」
「まぁ、泡風呂だからな。あ~たまらねぇぜ。やはり風呂は最高や」
「あの……お師匠様?」
「なに?」
アーサーが何故か恥ずかしそうにしながら俺を見ていた。
「お、泳いでも良い……ですか?」
「どうぞ、ご勝手に」
「ありがとうございます!」
そう言うとアーサーはバタ足で泳ぎ始めた。
(いや、しかしアーサーと俺が旅を始めて結構経つな。まさかこの異世界に来た当初はこんな事になるなんて思いもしなかったなぁ。アーサーと言えばハガセンじゃ厄介者だもんなぁ。俺も何人不意打ちで殺したかわからん。そういや忘れてたがアーサーの元々のパーティメンバーは存在するのだろうか?)
「なぁ、アーサー?」
「ハイ? なんでしょう?」
バタつかせていた足を止め、アーサーはいつもの様にニッコリ微笑みながら俺を見ている。
「えっと、突然で悪いんだけどお前って昔親しかった友人とかいた?」
「いましたよ。セリーニアっていう女の子がいまして幼少時代良く一緒に遊んでました。凄く元気な女の子だったんですよ」
「ッ!」
一瞬口から心臓が飛び出るかと思うくらい驚愕する。セリーニアとはハガセンにおける勇者御一行様の元々のパーティにいた名だからだ。
「セリーニアちゃん……ね。今も連絡取ってたりはするの?」
「それがいつからか、急に居なくなちゃったんです」
「居なくなった……とは?」
「言葉の通りです。引っ越したのかそれっきり」
(例の神を名乗る球体に消された? いや、話によると記憶そのものがなくなるくさいからな。関係は薄いか?)
「そうか……悪い事を聞いたな」
「いえ、良いんです! 彼女ならきっと大丈夫ですよ。セリーニア凄いんですよ! 見てもいないのに明日の天気をズバリ言い当てたり、簡単な嘘ならすぐ見破っちゃうんです!」
「へぇ~、それはユニークスキルか?」
「わかりません。墨も当時はユニークスキルの存在を知らなかったので」
俺は湯船から出ると近くにあった椅子に腰を下ろした。
「友達かぁ。また会えるといいな……」
「はい。あっ、お師匠様のご友人の話とか是非聞きたいです!」
「俺の友達? 友達っていうよりは戦友。そういう奴等ならいたよ」
「お師匠様のご戦友!? さぞかしお強い方々でしょう!? 聞きたいです!」
「そりゃあね、強かったよ。まぁ強者というより、狂人の集まりだったけどな。ドラゴンの尻尾を振り回しまくってバターみたいに溶かし殺したり、ボス級のモンスター引き連れてわざと他のギルド連中の本部にモンスター放置、戦争引き起こしたりもしてたな。
ある時仲間の一人が貴重な素材が取れる場所にわざと店を構えてさ、独占して武器の価格暴落させたりな。ともかく俺の仲間って変な事ばっかやってて俺一人じゃどうにもならんって時に助けてくれる優しい奴が一人居てさ、そいつとつるんでた頃が1番楽しかったかなぁ……」
「その人とはもう会っていないですか?」
「前にも言った記憶あるけど、あまりに遠すぎて会いたくても会えないんだよね。き――」
「アツゥイ!?」
突如、女風呂の方から悲痛(?)めいた叫び声が風呂場に響き渡った。
「なに今の悲鳴は?」
◆◆◆◆
女風呂にて――。
「熱すぎる! もうちょっと水で薄めていいか?」
「ダメ……、これ以上下げたらぬる過ぎる」
「そ、そうか……。よし、これも修行だ! この地獄の様な修行が終わったらお兄様とセ――」
「ねぇ、頼みがある」
「頼みだと?」
エルがエスカに近づき耳打ちする。
「ゴニョゴニョ」
「ほう……、そんな事を? 面白い! 私は一向に構わないぞ!」
「ん……お願いする」
「よし、では準備をするからもう出るぞ。言っとくけど熱いのが嫌で逃げるわけじゃないからな!」
◆◆◆◆
「あの叫び声はエスカか? まぁ、いいや。そろそろ躰洗って俺はでるな」
躰を石鹸で洗い桶に貯めた湯で泡を洗い流し俺は風呂を後にする。
「メイド俺以外の奴等の躰を洗ってやれ。あと風呂場の清掃もやっといてくれ」
「承知しました」
メイドに後を頼み、ロビーへ行くと既にエスカとエルが風呂から出ていた。
「お、お兄様! あの少し待って貰っても良いですか? 5分後私の部屋に来てください!」
「お、おう。わかった」
――5分後。
「エスカ入るぞ」
俺はエスカの扉を開ける。
室内空間にはネグリジェを着たエスカと何故かエルがいた。
「え?」
「どうも……」
「いや、ごめん。エル何やってるの?」
「お気になさらず」
エルは部屋の隅にある椅子に座り羊皮紙と羽ペンを手にしていた。
「あの……エルメンテさん? 貴女はここで何をしていらっしゃるのですか?」
「今小説の……執筆中で……濡れ場のシーンを書いてる」
「そ、そうか。自室で書こう?」
「いや、せっかく……本物が見れる機会ができるなら本物を
見せて貰おうかと……」
「……」
俺は無言でエスカの方に首を向けた。
「いけませんでしたか!? エルがどうしてもと!」
「えっ……、エスカも乗る気だったよ」
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