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第73話 俺、王女のお茶会に招かれる
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王女が退室した事で自動的にお開きとなったのか、騎士団の面々は頭の甲冑を小脇に抱え、談笑を楽しんでいる。
エスカは女性陣の騎士達に囲まれている。
様子を見るに相当慕われている様だ。
超美人で格好良くて面倒見の良い女性の副隊長と言う訳だ。
「今まであんな感じで相談とかのってあげてたんだろうなぁ。ん?」
俺はエスカの後方にもう一つの集団を発見する。
見ると男性陣の騎士達だろうか? 恨めしそうに女性に囲まれたエスカを見ているのが目に入る。
何人かは声を殺しながら血の涙を流していている。
「……ああ、高嶺の花だったんだろうなぁ。すまんな騎士団諸君」
俺は騎士団の面々を見渡し、心の中で敬礼のポーズを取った。
「何をぼーっとしているのであるか?」
いつの間にか俺の隣にはアンドリューが突っ立っていた。相変わらず金ピカの派手な甲冑だ。いつも下がっているバイザーが上がっているので俺は肉眼で初めてアンドリューの素顔を確認する。
左の頬に大きな傷がガッツリ刻まれており痛々しい印象を見受けるが、それがなければハリウッドスター並のビジュアルをしている。青く透き通った宝石の様な目が俺を見据えていた。
「お前めっちゃイケメンやんけ! 色々と残念過ぎるわ!」
「何であるか!? 藪から棒に!? それよりも王女様の自室なら某それがしが知っている。良ければ案内しよう」
「おっ、そうか。んじゃ、よろしく頼む」
「うむ、――全騎士団! 整列陣形!」
突然アンドリューが叫んだかと思うと、今まで好きずきに会話していた騎士団の全員が一斉に動き出しほぼ一瞬で綺麗な列が出来上がった。
「うむ! これにて後任の儀を閉めとする! 皆、自由にして良し! 新たに副隊長となったファースは某と共に王女様の自室へ勇者様達を案内するのだ。これが副隊長としての最初の仕事である! 緊張感を持つように!」
「はい! エスカ副隊長の様になれる様頑張ります!」
「うむ! エスカも並んでないでこちらへ来るのである」
「ハッ!? つい癖で整列してしまった!」
最前列からエスカが小走りで俺の元へと近づいてきた。
「ち、違うんです。これは……つい体が勝手に」
「職業病って奴か。お前も苦労してんだなぁ」
俺は肩ポンしながら焦って顔が赤くなっているエスカを激励する。
「んじゃ、エスカ案内よろしく」
「はい! お任せ下さい!」
「アーサーにエル、お喋りはその辺しとけ。王女様に会いに行くぞ」
「ハイ! わかりました!」
「ん……わかった」
「では、行きましょう。こちらです」
エスカが歩き出した為、それに付いていき大広間を出た所でアンドリューとファースが俺達に近づいてくる。
「某達を無視して勝手に行くな!」
「そうですよ! 僕の初仕事なんですから」
「わ、悪かった。じゃ、お前らが先に行け。付いてくから」
「うむ、では我々び付いてくるように」
俺は先を行くアンドリュー、ファース、エスカに付いていく形で大広間を出る。長い廊下を歩き、幾つもの階段を昇り降りし、先を行く3人はある扉の前で立ち止まった。取っ手が金色で出来ており、明らかに他とは雰囲気が違った。
「この扉の先が王女様の自室である。粗相のないように」
「大丈夫大丈夫、ヘーキヘーキ! ちゃんとするから!」
「もの凄く不安なのであるが……」
渋々といった感じでアンドリューが扉を開ける。王女の部屋はかなり広く感じた。30人程入れる位の大きさがあり大きめの赤いソファーや、部屋の済にキングサイズのベッド、その隣に小さな椅子とテーブルがあり王女は椅子に座りティーカップをひとり傾けていた。
「ようこそ、おいでくださいました。申し訳ございません。殺風景な部屋で」
「い、いえ、ごちゃごちゃしてるよりは良いんじゃないッスかね……」
確かに王女の自室にしては殺風景な印象を受ける。必要最低限の物しか置いてなさそうだからだ。唯一の例外が壁に掛けられた絵だろう。王冠を被った白髪の髪と髭モジャの王様が立っており、その隣に椅子に座った王女と同じ髪の色をした女性が座っている。
「さ、どうぞ。くつろいで下さい」
王女に催促され俺、アーサー、エルの3人がソファーへと腰を下ろす。エスカや騎士団の2人は突っ立ったままだ。
「ようやく、落ち着いて話ができますね。王都を危機を2度も救って頂き感謝しています。それに貴方様と是非個人的にお話してみたかったのです」
王女はニッコリ微笑むと俺の手を握ってきた。
「いや、良いんすよ。聞けばアーサーの生まれ故郷って言うじゃないッスか。まぁ、それ以外にもここには俺の同郷って言いますか知り合いもいるんで。そうだ、ロンメルが王女様に言付けがあるんだった。」
「言付け? 私に?」
「はい、すいませんでしたと」
「そうですか……彼が……そんな事を」
「全くあの馬鹿者め。悩みがあるならあると言えば良かったのだ! 所でゲイン殿! いつまで手を握っているのであるか! 不敬であるぞ!」
取り乱したアンドリューの突き出した黄金の人差し指がぷるぷると震えながら俺を捉えていた。
「お、落ち着け! 俺は何もしてないだろうが!」
「何かが起こってからでは遅いのである!」
「なんだそりゃ! 人聞きの悪い事言うな!」
俺が大声を上げると同時に出入り口のドアがノックされ、4人のメイドが入ってきた。それぞれ食器カートをひいておりティーセットが置かれている。
4人のメイドは分担してテキパキと動き、テーブルの上にティーセットを置いて王女に挨拶をして部屋から退室した。
「丁度いいタイミングですね。皆さんお茶をどうぞ」
皆はテーブルの前に集まりカップに紅茶を注ぎ飲み始めた。
俺は首の付け根辺りを指で押し込む。内部の空気が排出され、いつものうるさい音と共に兜がスルリと外れる。兜を小脇に抱えカップに手を付け、口元へと運ぶ。
「お味は如何です?」
「美味いッスねこれ!」
「お口にあって良かったです。私紅茶を飲むのが大好きなんですよ」
「へぇ~、そうなんすね~」
俺が王女と会話しているとアンドリューが俺と王女の間に割り込んできた。
「うぉっほん! お話の途中申し訳ありません。ロンメルの後釜を決める選抜の件があるのですが如何いたしますか?」
「そうですね。何とかしなければなりません」
「選抜?」
「ええ、騎士団は基本的にこの国の者から選抜するんです。この国に住んでたら誰でも騎士団に入れる可能性があります。参加を募りそこから選抜します」
「へぇ~。ん? 今誰でもって言ったよね?」
「え? ええ、この国に住んでいるなら」
俺の頭の電球が光った。
「あの、俺の知り合いがこの国に1人住んでるんスけどおすすめですよ。俺程ではないですけどかなり強いと思います。きっと良い戦力になりますよ」
「え! 貴方様の様な強者が他にもこの国に!?」
「はい。ちょっと連絡取りますね」
「今から!?」
俺は席を立ち、部屋を出てコールを起動させる。
「もしもし、リズロ君? ちょっと耳寄りな話があるんだけど。騎士団って知ってる?」
「知ってますよ。前世でいう警察みたいな組織ですよね」
「そうそう、それに参加してみる気ない?」
「え、僕が? 騎士団に? でもなぁ」
「嫌なの? 入った方がいいと思うけどなぁ。今の君の状況って俗に言うヒモだよ? 男してそれはよろしくないよ。それに騎士団って国のお抱えじゃん。前世で言ったら公務員みたいなもんだよ? 食いっぱぐれる心配もないし、何より男だったらけじめ着けようよ。この国下手したら君のビッグ・アントで壊滅してたかもなんだぜ?」
「う、う~ん」
リズロ君の唸り声がおれの耳へと届く。
「わかった、もう良いよ。この話はなかったという事で。残念だな、新しい副隊長は犬獣人できっと君と良い仲になれると思ったんだが」
「待ってください! 今なんと?」
「いや、だからこの話はなかったに――」
「その後です!」
「副隊長は犬獣人……あっ、気になっちゃう感じ? えっとね、顔は普通なんだけど耳が犬耳でねデカイしっぽが生えてるよ。もふもふだよ! もふもふ!」
「今すぐ行きます! どこでやってるんですか!」
さっきとはうって変わって興奮気味のリズロ君の声が耳に届く。
「切り替え早くなぁい? まだいつ始まるとか聞いてないから。とりあえず落ち着こう。選抜に参加するって事でいい?」
「ハイ! 絶対騎士団に入ってみせます!」
「お、おう。じゃ、伝えとくね」
俺はコールを切り、王女の自室へ入り椅子へ着席する。
「お知り合いの方はなんと?」
「是非、よろしくお願いしますと言っていました」
「そうですか。ゲイン様の推薦なら無視する訳には参りませんね」
「本人も凄いやる気出してました。リズロという名前で髪は緑っぽい色をしてます。黒い炎のタトゥーを目の横っちょに入れてるのですぐわかるかと思います。彼は住宅区の大衆酒場に身を置いてる様です」
「わかりました。留意しておきます。皆さん、今日は私のティータイムに付き合ってくれてありがとう。きっと父と母も喜んでくれていると思います」
明らかにお開きという雰囲気の中、俺は恐る恐る手を上げる。
「あの、気になってた事があるんすけど聞いても?」
「はい? なんでしょうか?」
「王都は王女様お一人で統治してるんすか? 王様とか女王様は?」
「……眠っています。永遠に覚めることのないであろう、深い眠りに……」
「あっ、いや、そのすんません!」
「いえ、死んでいる訳ではないのです。本当に眠っているのです。今から3年程前から突如として父も母も眠ったまま起きなくなってしまって……。医者や宮廷魔術師に見せましたが原因すら掴めずじまいで……」
空気が一気に重いものへと変わった気がした。
「お労しや……きっと某達が何とかしてみせます!」
「そうです! 僕も副隊長として尽力します!」
「僕も手伝います! 勇者アーサーに何なりとお申し付け下さい!」
「わ、私だってもう副隊長ではないが王女様には恩義がある! 勿論、協力は惜しみません!」
「それ何とかできるかもしれないッス」
ここにいる、俺以外の全員がフリーズしたかの様に動きが止まった。
エスカは女性陣の騎士達に囲まれている。
様子を見るに相当慕われている様だ。
超美人で格好良くて面倒見の良い女性の副隊長と言う訳だ。
「今まであんな感じで相談とかのってあげてたんだろうなぁ。ん?」
俺はエスカの後方にもう一つの集団を発見する。
見ると男性陣の騎士達だろうか? 恨めしそうに女性に囲まれたエスカを見ているのが目に入る。
何人かは声を殺しながら血の涙を流していている。
「……ああ、高嶺の花だったんだろうなぁ。すまんな騎士団諸君」
俺は騎士団の面々を見渡し、心の中で敬礼のポーズを取った。
「何をぼーっとしているのであるか?」
いつの間にか俺の隣にはアンドリューが突っ立っていた。相変わらず金ピカの派手な甲冑だ。いつも下がっているバイザーが上がっているので俺は肉眼で初めてアンドリューの素顔を確認する。
左の頬に大きな傷がガッツリ刻まれており痛々しい印象を見受けるが、それがなければハリウッドスター並のビジュアルをしている。青く透き通った宝石の様な目が俺を見据えていた。
「お前めっちゃイケメンやんけ! 色々と残念過ぎるわ!」
「何であるか!? 藪から棒に!? それよりも王女様の自室なら某それがしが知っている。良ければ案内しよう」
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「はい! エスカ副隊長の様になれる様頑張ります!」
「うむ! エスカも並んでないでこちらへ来るのである」
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「はい! お任せ下さい!」
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エスカが歩き出した為、それに付いていき大広間を出た所でアンドリューとファースが俺達に近づいてくる。
「某達を無視して勝手に行くな!」
「そうですよ! 僕の初仕事なんですから」
「わ、悪かった。じゃ、お前らが先に行け。付いてくから」
「うむ、では我々び付いてくるように」
俺は先を行くアンドリュー、ファース、エスカに付いていく形で大広間を出る。長い廊下を歩き、幾つもの階段を昇り降りし、先を行く3人はある扉の前で立ち止まった。取っ手が金色で出来ており、明らかに他とは雰囲気が違った。
「この扉の先が王女様の自室である。粗相のないように」
「大丈夫大丈夫、ヘーキヘーキ! ちゃんとするから!」
「もの凄く不安なのであるが……」
渋々といった感じでアンドリューが扉を開ける。王女の部屋はかなり広く感じた。30人程入れる位の大きさがあり大きめの赤いソファーや、部屋の済にキングサイズのベッド、その隣に小さな椅子とテーブルがあり王女は椅子に座りティーカップをひとり傾けていた。
「ようこそ、おいでくださいました。申し訳ございません。殺風景な部屋で」
「い、いえ、ごちゃごちゃしてるよりは良いんじゃないッスかね……」
確かに王女の自室にしては殺風景な印象を受ける。必要最低限の物しか置いてなさそうだからだ。唯一の例外が壁に掛けられた絵だろう。王冠を被った白髪の髪と髭モジャの王様が立っており、その隣に椅子に座った王女と同じ髪の色をした女性が座っている。
「さ、どうぞ。くつろいで下さい」
王女に催促され俺、アーサー、エルの3人がソファーへと腰を下ろす。エスカや騎士団の2人は突っ立ったままだ。
「ようやく、落ち着いて話ができますね。王都を危機を2度も救って頂き感謝しています。それに貴方様と是非個人的にお話してみたかったのです」
王女はニッコリ微笑むと俺の手を握ってきた。
「いや、良いんすよ。聞けばアーサーの生まれ故郷って言うじゃないッスか。まぁ、それ以外にもここには俺の同郷って言いますか知り合いもいるんで。そうだ、ロンメルが王女様に言付けがあるんだった。」
「言付け? 私に?」
「はい、すいませんでしたと」
「そうですか……彼が……そんな事を」
「全くあの馬鹿者め。悩みがあるならあると言えば良かったのだ! 所でゲイン殿! いつまで手を握っているのであるか! 不敬であるぞ!」
取り乱したアンドリューの突き出した黄金の人差し指がぷるぷると震えながら俺を捉えていた。
「お、落ち着け! 俺は何もしてないだろうが!」
「何かが起こってからでは遅いのである!」
「なんだそりゃ! 人聞きの悪い事言うな!」
俺が大声を上げると同時に出入り口のドアがノックされ、4人のメイドが入ってきた。それぞれ食器カートをひいておりティーセットが置かれている。
4人のメイドは分担してテキパキと動き、テーブルの上にティーセットを置いて王女に挨拶をして部屋から退室した。
「丁度いいタイミングですね。皆さんお茶をどうぞ」
皆はテーブルの前に集まりカップに紅茶を注ぎ飲み始めた。
俺は首の付け根辺りを指で押し込む。内部の空気が排出され、いつものうるさい音と共に兜がスルリと外れる。兜を小脇に抱えカップに手を付け、口元へと運ぶ。
「お味は如何です?」
「美味いッスねこれ!」
「お口にあって良かったです。私紅茶を飲むのが大好きなんですよ」
「へぇ~、そうなんすね~」
俺が王女と会話しているとアンドリューが俺と王女の間に割り込んできた。
「うぉっほん! お話の途中申し訳ありません。ロンメルの後釜を決める選抜の件があるのですが如何いたしますか?」
「そうですね。何とかしなければなりません」
「選抜?」
「ええ、騎士団は基本的にこの国の者から選抜するんです。この国に住んでたら誰でも騎士団に入れる可能性があります。参加を募りそこから選抜します」
「へぇ~。ん? 今誰でもって言ったよね?」
「え? ええ、この国に住んでいるなら」
俺の頭の電球が光った。
「あの、俺の知り合いがこの国に1人住んでるんスけどおすすめですよ。俺程ではないですけどかなり強いと思います。きっと良い戦力になりますよ」
「え! 貴方様の様な強者が他にもこの国に!?」
「はい。ちょっと連絡取りますね」
「今から!?」
俺は席を立ち、部屋を出てコールを起動させる。
「もしもし、リズロ君? ちょっと耳寄りな話があるんだけど。騎士団って知ってる?」
「知ってますよ。前世でいう警察みたいな組織ですよね」
「そうそう、それに参加してみる気ない?」
「え、僕が? 騎士団に? でもなぁ」
「嫌なの? 入った方がいいと思うけどなぁ。今の君の状況って俗に言うヒモだよ? 男してそれはよろしくないよ。それに騎士団って国のお抱えじゃん。前世で言ったら公務員みたいなもんだよ? 食いっぱぐれる心配もないし、何より男だったらけじめ着けようよ。この国下手したら君のビッグ・アントで壊滅してたかもなんだぜ?」
「う、う~ん」
リズロ君の唸り声がおれの耳へと届く。
「わかった、もう良いよ。この話はなかったという事で。残念だな、新しい副隊長は犬獣人できっと君と良い仲になれると思ったんだが」
「待ってください! 今なんと?」
「いや、だからこの話はなかったに――」
「その後です!」
「副隊長は犬獣人……あっ、気になっちゃう感じ? えっとね、顔は普通なんだけど耳が犬耳でねデカイしっぽが生えてるよ。もふもふだよ! もふもふ!」
「今すぐ行きます! どこでやってるんですか!」
さっきとはうって変わって興奮気味のリズロ君の声が耳に届く。
「切り替え早くなぁい? まだいつ始まるとか聞いてないから。とりあえず落ち着こう。選抜に参加するって事でいい?」
「ハイ! 絶対騎士団に入ってみせます!」
「お、おう。じゃ、伝えとくね」
俺はコールを切り、王女の自室へ入り椅子へ着席する。
「お知り合いの方はなんと?」
「是非、よろしくお願いしますと言っていました」
「そうですか。ゲイン様の推薦なら無視する訳には参りませんね」
「本人も凄いやる気出してました。リズロという名前で髪は緑っぽい色をしてます。黒い炎のタトゥーを目の横っちょに入れてるのですぐわかるかと思います。彼は住宅区の大衆酒場に身を置いてる様です」
「わかりました。留意しておきます。皆さん、今日は私のティータイムに付き合ってくれてありがとう。きっと父と母も喜んでくれていると思います」
明らかにお開きという雰囲気の中、俺は恐る恐る手を上げる。
「あの、気になってた事があるんすけど聞いても?」
「はい? なんでしょうか?」
「王都は王女様お一人で統治してるんすか? 王様とか女王様は?」
「……眠っています。永遠に覚めることのないであろう、深い眠りに……」
「あっ、いや、そのすんません!」
「いえ、死んでいる訳ではないのです。本当に眠っているのです。今から3年程前から突如として父も母も眠ったまま起きなくなってしまって……。医者や宮廷魔術師に見せましたが原因すら掴めずじまいで……」
空気が一気に重いものへと変わった気がした。
「お労しや……きっと某達が何とかしてみせます!」
「そうです! 僕も副隊長として尽力します!」
「僕も手伝います! 勇者アーサーに何なりとお申し付け下さい!」
「わ、私だってもう副隊長ではないが王女様には恩義がある! 勿論、協力は惜しみません!」
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