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第71話 俺、勧誘に遭う
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「もうあと少しで10時になっちゃうぞ? ちゃっちゃと城へ行こうね~」
ホームから出た俺はアーサーとエルの背を押しながら街道を突っ切り、城へ直行するべく早歩きで歩を進めていた。
街道は相変わらずとても賑わっている様だった。ありとあらゆる人間や亜人が道を行き交っているのが目に入った。
そんな中、広場へと出た俺はある一角に人集りが出来ているのを目にする。
人集りの中心にいる神父だろうか? 白い縦長の帽子を被っている。その帽子には金色の眼まなこに水色の水滴、その下には同じく金色で波紋の様な模様が描かれている。服装は薄水色のローブ、首に真っ白なマフラーをただ首に掛けただけに見える。
顔も目の辺りだけ黒く塗られた白い仮面を被っている。その姿はかなり異質で不気味な印象を俺は受けた。聴覚機能を拡張すると神父と周りに群がっている人達の声が聞こえてくる。
「司教様、お助け下さい! 足の痛みが引かないんです!」「司教様、娘が姿をくらませてもう3日も経つんです! どうかお助け下さい」
住民達が司教に対しヤイノヤイノ言っていると、司教は両手を広げ手をひらひらさせる。するとうるさく騒いでいた人達が静まり返った。
「――迷える子羊達よ、安心なさい。聖女様はあなた方の悩みを全てご承知です。さぁ、願いなさい! 慈悲深き聖女様は全ての願いを必ずや成就されるでしょう!」
「おぉ……聖女様!」「聖女様!」「聖女様ァ!!」
「さぁ、痛みや悩みのあるものは私の前へ。これから聖女様から賜った、聖女の涙を分け与えましょう!」
司教と呼ばれた謎の女性にらしき人物にまるでゾンビの様に群がり始める。よく見るといつの間にか司教の左手には小さな小瓶が握られていた。
小瓶には司教の帽子に描かれているシンボルマークと同じものが描かれている。それをさっき足がどうのとか言っていたおっさんに一滴顔に垂らした。
「おおおおおおおぉぉ!! 足の痛みが一瞬で消えた! 奇跡だ! 聖女様の奇跡だああああ!!」
さっきまで痛そうに顔を歪めていたおっさんが嘘のように元気になり、地べたに這いつくばると司教の足にキスをしだした。
それを見て周りの人達は余計に活気づく。
俺はその様子を引きながら見続ける。
「うわぁ、新興宗教だ」
「あれは宗教なのですか?」
アーサーが俺の方を首を傾げながら質問を投げかけてくる。
「いいかお前ら? あーゆー変なのは相手にしちゃダメだぞ? 口八丁手八丁で言いくるめてくるからな」
「え? いけないのですか? 凄く良いことをしているように思えるのですが? 悩める人々の言葉に耳を傾けるのは良い事だと思います」
アーサー目をキラキラさせながら司教の方を見ている。
「お前の言ってることは至極真っ当だ。でもな? あれは違う。あれはな? 所謂、カルトと言って上手いこと言って相手を洗脳して、あわよくばケツの毛までむしり取っていく。そういう奴らなんだ」
「そう……でしょうか? 僕には嘘を言っている様には――」
「それがあいつらの手口なんだ。アーサーお前は純粋で良い子だからわからんだろうがな――」
俺がアーサーに目線を合わせながら注意しているとエルが俺のマフラーを引っ張り始めた為、俺はアーサーから目線を外しエルを注視する。
「なんだエル?」
「あの……白仮面……こっち来てる」
「何ッ!?」
俺がアーサーに目線を合わせていた間に司教は俺のすぐ側まで来ていた。司教は俺の目の前で立ち止ると、大げさに両手を引きながら俺の方をガン見しながら喋りだした。
「迷える子羊よ、恥じることはありません。罪を告白なさい」
「すんませーん、悪いんスけど~俺、別に恥じてもいなければ迷ってなんかないし、告白する罪なんて微塵もないんで~。悪いんだけど急いでるんだわ。それに俺あいにくと無神論者なんで。じゃ、さいなら」
俺が司教の横を横切った瞬間、ガッと手を掴まれ俺は一瞬たじろいだ。俺の外格であるヤルダバオトⅧ式はオリハルコンの10億倍の強度を持つ。
司教はそんな俺の手を思いっきり握り締めているのだ。見ると皮膚が破け血が滴っている。
「素晴らしいッ!! 貴方は今この世の既存の神を否定なさいました!! 貴方!! 聖女様の御み使いになりませんか!? 是非そうするべきです! さぁ! 一緒に聖女様の元へ参りましょう!?」
「――ッ!? は、離せ! この○チガイ!!」
俺は握られた手を力任せに振りほどいた。その影響で司教は尻もちを着き、ほんの数秒間、静寂が周りを支配する。
「今だ!」
俺はそのスキに無詠唱でエクストラヒールを起動させ、司教の手の傷を治すと同時にエルとアーサーを抱えて城まで猛烈ダッシュし、この場を後にした。
ホームから出た俺はアーサーとエルの背を押しながら街道を突っ切り、城へ直行するべく早歩きで歩を進めていた。
街道は相変わらずとても賑わっている様だった。ありとあらゆる人間や亜人が道を行き交っているのが目に入った。
そんな中、広場へと出た俺はある一角に人集りが出来ているのを目にする。
人集りの中心にいる神父だろうか? 白い縦長の帽子を被っている。その帽子には金色の眼まなこに水色の水滴、その下には同じく金色で波紋の様な模様が描かれている。服装は薄水色のローブ、首に真っ白なマフラーをただ首に掛けただけに見える。
顔も目の辺りだけ黒く塗られた白い仮面を被っている。その姿はかなり異質で不気味な印象を俺は受けた。聴覚機能を拡張すると神父と周りに群がっている人達の声が聞こえてくる。
「司教様、お助け下さい! 足の痛みが引かないんです!」「司教様、娘が姿をくらませてもう3日も経つんです! どうかお助け下さい」
住民達が司教に対しヤイノヤイノ言っていると、司教は両手を広げ手をひらひらさせる。するとうるさく騒いでいた人達が静まり返った。
「――迷える子羊達よ、安心なさい。聖女様はあなた方の悩みを全てご承知です。さぁ、願いなさい! 慈悲深き聖女様は全ての願いを必ずや成就されるでしょう!」
「おぉ……聖女様!」「聖女様!」「聖女様ァ!!」
「さぁ、痛みや悩みのあるものは私の前へ。これから聖女様から賜った、聖女の涙を分け与えましょう!」
司教と呼ばれた謎の女性にらしき人物にまるでゾンビの様に群がり始める。よく見るといつの間にか司教の左手には小さな小瓶が握られていた。
小瓶には司教の帽子に描かれているシンボルマークと同じものが描かれている。それをさっき足がどうのとか言っていたおっさんに一滴顔に垂らした。
「おおおおおおおぉぉ!! 足の痛みが一瞬で消えた! 奇跡だ! 聖女様の奇跡だああああ!!」
さっきまで痛そうに顔を歪めていたおっさんが嘘のように元気になり、地べたに這いつくばると司教の足にキスをしだした。
それを見て周りの人達は余計に活気づく。
俺はその様子を引きながら見続ける。
「うわぁ、新興宗教だ」
「あれは宗教なのですか?」
アーサーが俺の方を首を傾げながら質問を投げかけてくる。
「いいかお前ら? あーゆー変なのは相手にしちゃダメだぞ? 口八丁手八丁で言いくるめてくるからな」
「え? いけないのですか? 凄く良いことをしているように思えるのですが? 悩める人々の言葉に耳を傾けるのは良い事だと思います」
アーサー目をキラキラさせながら司教の方を見ている。
「お前の言ってることは至極真っ当だ。でもな? あれは違う。あれはな? 所謂、カルトと言って上手いこと言って相手を洗脳して、あわよくばケツの毛までむしり取っていく。そういう奴らなんだ」
「そう……でしょうか? 僕には嘘を言っている様には――」
「それがあいつらの手口なんだ。アーサーお前は純粋で良い子だからわからんだろうがな――」
俺がアーサーに目線を合わせながら注意しているとエルが俺のマフラーを引っ張り始めた為、俺はアーサーから目線を外しエルを注視する。
「なんだエル?」
「あの……白仮面……こっち来てる」
「何ッ!?」
俺がアーサーに目線を合わせていた間に司教は俺のすぐ側まで来ていた。司教は俺の目の前で立ち止ると、大げさに両手を引きながら俺の方をガン見しながら喋りだした。
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「すんませーん、悪いんスけど~俺、別に恥じてもいなければ迷ってなんかないし、告白する罪なんて微塵もないんで~。悪いんだけど急いでるんだわ。それに俺あいにくと無神論者なんで。じゃ、さいなら」
俺が司教の横を横切った瞬間、ガッと手を掴まれ俺は一瞬たじろいだ。俺の外格であるヤルダバオトⅧ式はオリハルコンの10億倍の強度を持つ。
司教はそんな俺の手を思いっきり握り締めているのだ。見ると皮膚が破け血が滴っている。
「素晴らしいッ!! 貴方は今この世の既存の神を否定なさいました!! 貴方!! 聖女様の御み使いになりませんか!? 是非そうするべきです! さぁ! 一緒に聖女様の元へ参りましょう!?」
「――ッ!? は、離せ! この○チガイ!!」
俺は握られた手を力任せに振りほどいた。その影響で司教は尻もちを着き、ほんの数秒間、静寂が周りを支配する。
「今だ!」
俺はそのスキに無詠唱でエクストラヒールを起動させ、司教の手の傷を治すと同時にエルとアーサーを抱えて城まで猛烈ダッシュし、この場を後にした。
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