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第66話 俺、プチオフ会を開く
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ロンメルが天に召された後、ゴタゴタに紛れて謁見の間を捜索し赤い腕輪を見つけることが出来た。
見た目は何の特徴もない、何処にでもありそうな細めの腕輪だった。
俺は念のため腕輪に氷系等の魔法をかけ氷漬けにしてインベントリに突っ込み、そそくさと謁見の間から退室しホームへ入り自室へ篭った。
机の上に腕輪を放り投げ、しげしげと観察する。
「う~む、どう見ても真っ赤なただの腕輪だ」
俺は氷漬けとなった腕輪に手をかざし鑑定スキルをかける。
左側の画面に赤い文字でアンノウンと表示されブーッという不快SEを耳にし手を引っ込める。
「だめか、わからん。何故何も反応がないんだ? この世界完全オリジナルの代物なのか? 仮にそうだったらもうお手上げだぞ」
「ゲイン様、提案がございます」
脳裏にネメシスの可憐な顔が浮かび上がった。
「提案? まさかこいつを解析する手立てでもあんのか?」
「いえ、そういう訳ではございません。他の者の助力を仰ぐのが得策かと」
「助力を仰ぐって……俺がわからんのに、この世界の住人に聞いた所で結果は変わらんと思うぞ?」
俺がそう言うと、ネメシス待ってましたと言わんばかりにニッコリ笑う。
「王都には既にハガセンプレイヤーがゲイン様以外にも居られるではありませんか」
「そ、そうか! キズナさんか! 何でも入る君リュックサックverを作るほどの廃生産職の彼女なら何かわかるやもしれん!」
「その通りです」
「よし、どうせならリズロ君も呼んでプチオフ会したろ!」
俺はアドレス帳を開きキズナさんにコールする。
「もしもし、キズナさん今暇?」
「なに、急に掛けてきて。っていうかあんた王立騎士団のロンメルと戦ったのね。アーサーは大丈夫?」
俺はアーサーの無事と事の顛末をキズナさんに伝えた。
「そう、そんな事があったの。流石、私の子ね」
キズナさんの嬉しそうな声が耳に届く。
「あの~、所で本題なんだけど」
「わかったわ。その腕輪見せて頂戴。多分、なんとなると思う」
「マジか! 生産オタの死神は流石、格が違った!」
俺はその場で腕を振り上げガッツポーズを決める。
「やめて、前世の黒歴史を掘り返すのはやめて」
「え? 違ったか? 確かハガセンで生産ばっかやってた女が居て、生産オタの死神って呼ばれてた記憶があったから、てっきりキズナさんがそうだと思ってな」
「合ってる、それ私よ! あの頃の私は色々と黒歴史なんだからああああああ!!」
「なんていうか、その、しょうがないね。ま、まぁ人に言えない秘密くらい誰だって持ってるって! とにかく、今から会える? 住宅区の近くに大衆酒場あんじゃん? そこで落ち合おう」
「ハァ……わかったわ」
(大丈夫かよ、この人)
「あ! そうだ! もう一人呼ぶからよろしく」
「もう一人? その人も元同郷の人?」
「そうだ。一応合わせておいた方が良いと思ってな」
「わかったわ。じゃ、後で」
俺はコールを打ち切り、続いてリズロ君に連絡を取る。
「もしもし、リズロ君? 今暇?」
「え、ええ。大丈夫です」
「実は君以外にもう一人元ハガセンプレイヤーと知り合いなんだけど、暇なら3人でお茶でもしない?」
「なんか、ナンパみたいな誘い方ですね……良いですよ」
「じゃあ、例の大衆酒場で待ち合わせしてるから――あ! そういえばあのネーチャンとはその後どうなの?」
「じ、実はですね……付き合うことになりました!」
「それマジ? おめぇ、中々ぁやるじゃねぇか」
「エヘヘヘヘヘヘ、彼女も動物が好きみたいなんですよ~」
「その辺も会って話そうや」
「はい! 今、丁度例の酒場にいるので待ってます!」
「お、そうか。じゃ、そこで待っててくれ」
俺は通信を打ち切りホームから退出し、酒場に向けて歩き出した。
城を出て住宅区を突っ切り、大きな木造建築の建物が見えてきた。
入り口のすぐ側に、見覚えのある黒髪美女が立っていた。
「ちわ! 元気してる?」
「元気してるって、さっき喋ったじゃない」
「まぁまぁ、入ろうや」
「もう一人は?」
「酒場にもういるってよ」
俺はキズナさんを伴い酒場へと入っていく。
酒場内は相変わらずケルト系の曲が奏でられ、昼だというのに人でごった返している。
「で? もう一人のお友達は何処に居るの?」
「恐らく2階だ。ついてきてくれ」
2階へ行くと前回と全く同じ位置に彼はいた。
「あ! どうも、こんにちわ!」
「隣座っていい? とりあえず自己紹介して」
「良いですよ。初めまして、リズロです! ゲインさん以外の元ハガセンプレイヤーと会うのは初めてです」
リズロ君は手を伸ばしキズナさんに握手を求める。
キズナさんは俺達の向かいに立ち、すぐに手を取り握手に応じた。
「こちらこそよろしく。キズナよ」
「キズナ? どこかで聞いたような?」
「彼女はハガセンで生産オタの死神と呼ばれていた女性だよ」
俺の言葉にリズロ君はハッとしてキズナさんの方を見る。
「知ってます! ハガセンで最もクオリティが高い防具、武器、アクセサリーを生産し続けたって言われてる人ですよね!? めちゃくちゃクオリティが高いのにその辺の露店では考えられないくらい安値で売ってくれるっていう! でも、プレイヤースキルはからっきしで組んだら最後、どんなクエストだろうと失敗するって言われてて付いたあだ名が生産オタの死神!」
「あああああああああああああああああああああ!! そのアダ名で呼ぶなああああああああ!!」
「落ち着け! こんな所で大声出すな! めっちゃ目立ってるから!」
「ご、ごめんなさい」
キズナさんは恥ずかしいのか、顔を紅潮させながらゆっくりと席へ着く。
「挨拶も済んで早々で悪いが、これを見てくれ」
俺はインベントリから腕輪を取り出し、机の真ん中に置く。
「ふーん、これが話にあった腕輪ね」
「そうだ。何やってもうんともすんとも言わんのだ」
キズナさんが手を翳すと白い光が腕輪を包んだ。
「ふん、ほんと何の反応もなしね」
「だろ?」
「中身割って見たら良いんじゃ?」
「いや、やめたほうが良いだろう。こいつは見た目こそ普通の腕輪だが中身は激ヤバな代物だ。元王立騎士団のロンメルがこれを付けた瞬間、スライムみたいな化け物になりやがったんだ」
「もしかしてカース《呪い》アイテムなんじゃないですか?」
「……」
「貴方、まさか呪いアイテム忘れてたんじゃないでしょうね」
「イヤダナー、んなわけないじゃあん」
「忘れてたのね?」
キズナさんが俺をジト目を向けながら顔を覗き込んでくる。
「だって、しょうがないじゃん!? 俺、カース《呪い》アイテムなんてステと外格のパッシブスキルで無用の長物と化してんだもん! 俺にだって忘れてる事の2つや3つあるんだよ!」
「じゃ、鑑定じゃなくてカースチェックで良いわね?」
「よろしく頼む」
再びキズナさんは手を翳す。今度は黒く禍々光が腕輪を包んだ。
「出たわ。やっぱり呪いアイテムの一種のようね。名前はまんま【スライム化の腕輪】よ。でも、これ妙ね」
「妙って?」
「鑑定スキルやカースチェックをすると素材欄みたいなのが出てくるじゃない?」
「あー、あれな。気にしたことないわ。それが? とんでもない激レア素材でも使われてたのか?」
「素材の一部にロボットとヒーローの素材が使われてるわ」
「は? じょ、冗談だろ?」
「……」
俺は頭を抱えたくなり、両目の間の辺りを摘む。
「じゃ、何か? 絶滅扱いのロボット、ヒーローが生きてて、人間達を貶めようと密かに活動中ってか?」
「そんな事一言も言ってないでしょ」
「ロボットやヒーローってこの世界だと絶滅扱いなんですか?」
「いや、今となってはごく一部を除き、一般人はジョブの存在すら知らん筈だ。待てよ? ふたりとも俺のジョブは何か知ってるか?
「「フルメタラーでしょ(ですよね)?」」
「これを作ったのが俺のようにプレイヤーだったら――」
「ちょっと待って下さい! それって……敵は元ハガセンプレイヤーだって言うんですか!?」
「その可能性もあるって話だ」
「……」
「……」
小さな沈黙の後、キズナさんが席を立った。
「もう私お役御免でしょ? 私家に戻るわ。ごはん作らなきゃいけないし」
「じゃ、じゃあ僕もちょっとお暇させてもらおうかと」
釣られるようにリズロ君も席を立ち、二人揃って酒場を出て行った様だった。
「こんな事になるとは……考えもしなかった。俺はたとえ、一人になっても進むぞ。征く先に壁があるなら叩き潰して進行するのみ!」
外はいつの間にか夕方になっていた。
俺は一人、酒場で夕日を見ながら気合を入れるのだった。
見た目は何の特徴もない、何処にでもありそうな細めの腕輪だった。
俺は念のため腕輪に氷系等の魔法をかけ氷漬けにしてインベントリに突っ込み、そそくさと謁見の間から退室しホームへ入り自室へ篭った。
机の上に腕輪を放り投げ、しげしげと観察する。
「う~む、どう見ても真っ赤なただの腕輪だ」
俺は氷漬けとなった腕輪に手をかざし鑑定スキルをかける。
左側の画面に赤い文字でアンノウンと表示されブーッという不快SEを耳にし手を引っ込める。
「だめか、わからん。何故何も反応がないんだ? この世界完全オリジナルの代物なのか? 仮にそうだったらもうお手上げだぞ」
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俺がそう言うと、ネメシス待ってましたと言わんばかりにニッコリ笑う。
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「その通りです」
「よし、どうせならリズロ君も呼んでプチオフ会したろ!」
俺はアドレス帳を開きキズナさんにコールする。
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「なに、急に掛けてきて。っていうかあんた王立騎士団のロンメルと戦ったのね。アーサーは大丈夫?」
俺はアーサーの無事と事の顛末をキズナさんに伝えた。
「そう、そんな事があったの。流石、私の子ね」
キズナさんの嬉しそうな声が耳に届く。
「あの~、所で本題なんだけど」
「わかったわ。その腕輪見せて頂戴。多分、なんとなると思う」
「マジか! 生産オタの死神は流石、格が違った!」
俺はその場で腕を振り上げガッツポーズを決める。
「やめて、前世の黒歴史を掘り返すのはやめて」
「え? 違ったか? 確かハガセンで生産ばっかやってた女が居て、生産オタの死神って呼ばれてた記憶があったから、てっきりキズナさんがそうだと思ってな」
「合ってる、それ私よ! あの頃の私は色々と黒歴史なんだからああああああ!!」
「なんていうか、その、しょうがないね。ま、まぁ人に言えない秘密くらい誰だって持ってるって! とにかく、今から会える? 住宅区の近くに大衆酒場あんじゃん? そこで落ち合おう」
「ハァ……わかったわ」
(大丈夫かよ、この人)
「あ! そうだ! もう一人呼ぶからよろしく」
「もう一人? その人も元同郷の人?」
「そうだ。一応合わせておいた方が良いと思ってな」
「わかったわ。じゃ、後で」
俺はコールを打ち切り、続いてリズロ君に連絡を取る。
「もしもし、リズロ君? 今暇?」
「え、ええ。大丈夫です」
「実は君以外にもう一人元ハガセンプレイヤーと知り合いなんだけど、暇なら3人でお茶でもしない?」
「なんか、ナンパみたいな誘い方ですね……良いですよ」
「じゃあ、例の大衆酒場で待ち合わせしてるから――あ! そういえばあのネーチャンとはその後どうなの?」
「じ、実はですね……付き合うことになりました!」
「それマジ? おめぇ、中々ぁやるじゃねぇか」
「エヘヘヘヘヘヘ、彼女も動物が好きみたいなんですよ~」
「その辺も会って話そうや」
「はい! 今、丁度例の酒場にいるので待ってます!」
「お、そうか。じゃ、そこで待っててくれ」
俺は通信を打ち切りホームから退出し、酒場に向けて歩き出した。
城を出て住宅区を突っ切り、大きな木造建築の建物が見えてきた。
入り口のすぐ側に、見覚えのある黒髪美女が立っていた。
「ちわ! 元気してる?」
「元気してるって、さっき喋ったじゃない」
「まぁまぁ、入ろうや」
「もう一人は?」
「酒場にもういるってよ」
俺はキズナさんを伴い酒場へと入っていく。
酒場内は相変わらずケルト系の曲が奏でられ、昼だというのに人でごった返している。
「で? もう一人のお友達は何処に居るの?」
「恐らく2階だ。ついてきてくれ」
2階へ行くと前回と全く同じ位置に彼はいた。
「あ! どうも、こんにちわ!」
「隣座っていい? とりあえず自己紹介して」
「良いですよ。初めまして、リズロです! ゲインさん以外の元ハガセンプレイヤーと会うのは初めてです」
リズロ君は手を伸ばしキズナさんに握手を求める。
キズナさんは俺達の向かいに立ち、すぐに手を取り握手に応じた。
「こちらこそよろしく。キズナよ」
「キズナ? どこかで聞いたような?」
「彼女はハガセンで生産オタの死神と呼ばれていた女性だよ」
俺の言葉にリズロ君はハッとしてキズナさんの方を見る。
「知ってます! ハガセンで最もクオリティが高い防具、武器、アクセサリーを生産し続けたって言われてる人ですよね!? めちゃくちゃクオリティが高いのにその辺の露店では考えられないくらい安値で売ってくれるっていう! でも、プレイヤースキルはからっきしで組んだら最後、どんなクエストだろうと失敗するって言われてて付いたあだ名が生産オタの死神!」
「あああああああああああああああああああああ!! そのアダ名で呼ぶなああああああああ!!」
「落ち着け! こんな所で大声出すな! めっちゃ目立ってるから!」
「ご、ごめんなさい」
キズナさんは恥ずかしいのか、顔を紅潮させながらゆっくりと席へ着く。
「挨拶も済んで早々で悪いが、これを見てくれ」
俺はインベントリから腕輪を取り出し、机の真ん中に置く。
「ふーん、これが話にあった腕輪ね」
「そうだ。何やってもうんともすんとも言わんのだ」
キズナさんが手を翳すと白い光が腕輪を包んだ。
「ふん、ほんと何の反応もなしね」
「だろ?」
「中身割って見たら良いんじゃ?」
「いや、やめたほうが良いだろう。こいつは見た目こそ普通の腕輪だが中身は激ヤバな代物だ。元王立騎士団のロンメルがこれを付けた瞬間、スライムみたいな化け物になりやがったんだ」
「もしかしてカース《呪い》アイテムなんじゃないですか?」
「……」
「貴方、まさか呪いアイテム忘れてたんじゃないでしょうね」
「イヤダナー、んなわけないじゃあん」
「忘れてたのね?」
キズナさんが俺をジト目を向けながら顔を覗き込んでくる。
「だって、しょうがないじゃん!? 俺、カース《呪い》アイテムなんてステと外格のパッシブスキルで無用の長物と化してんだもん! 俺にだって忘れてる事の2つや3つあるんだよ!」
「じゃ、鑑定じゃなくてカースチェックで良いわね?」
「よろしく頼む」
再びキズナさんは手を翳す。今度は黒く禍々光が腕輪を包んだ。
「出たわ。やっぱり呪いアイテムの一種のようね。名前はまんま【スライム化の腕輪】よ。でも、これ妙ね」
「妙って?」
「鑑定スキルやカースチェックをすると素材欄みたいなのが出てくるじゃない?」
「あー、あれな。気にしたことないわ。それが? とんでもない激レア素材でも使われてたのか?」
「素材の一部にロボットとヒーローの素材が使われてるわ」
「は? じょ、冗談だろ?」
「……」
俺は頭を抱えたくなり、両目の間の辺りを摘む。
「じゃ、何か? 絶滅扱いのロボット、ヒーローが生きてて、人間達を貶めようと密かに活動中ってか?」
「そんな事一言も言ってないでしょ」
「ロボットやヒーローってこの世界だと絶滅扱いなんですか?」
「いや、今となってはごく一部を除き、一般人はジョブの存在すら知らん筈だ。待てよ? ふたりとも俺のジョブは何か知ってるか?
「「フルメタラーでしょ(ですよね)?」」
「これを作ったのが俺のようにプレイヤーだったら――」
「ちょっと待って下さい! それって……敵は元ハガセンプレイヤーだって言うんですか!?」
「その可能性もあるって話だ」
「……」
「……」
小さな沈黙の後、キズナさんが席を立った。
「もう私お役御免でしょ? 私家に戻るわ。ごはん作らなきゃいけないし」
「じゃ、じゃあ僕もちょっとお暇させてもらおうかと」
釣られるようにリズロ君も席を立ち、二人揃って酒場を出て行った様だった。
「こんな事になるとは……考えもしなかった。俺はたとえ、一人になっても進むぞ。征く先に壁があるなら叩き潰して進行するのみ!」
外はいつの間にか夕方になっていた。
俺は一人、酒場で夕日を見ながら気合を入れるのだった。
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