アーマード勇者育成記 産業革命遺産チート! 世界観ガン無視完全無敵の俺が無双する件 剣と魔法?よろしいならばこちらは強化外骨格だ。

からくり8

文字の大きさ
上 下
62 / 151

第62話 俺、城にカチコミをかける

しおりを挟む
「お前らなんで城の前でたむろってんの?」
「おお! ゲイン殿! 実は――」

 俺はアンドリューから事の顛末を聞く。

「ほーん。で、どうにも出来んからここで突っ立ってたわけか? 砕けばいいだけだろこんなもの。バリアブレイク属性のアイテム使ってもいいし、割れるまで殴り続けるのも手だ」

 バリアの前に立っていたギヌルベルが俺に近づいてくる。

「待って下され! これはアタックリフレクトバリアという魔障防壁で――」
「殴れば殴るほど硬くなるんだろ? 知ってるよ。でもな? こいつはバリアの中じゃ下の上位のバリアーで、ある一定量のダメージ食らわせると普通に割れるぞ? あと、バリアブレイク属性の前には無力だ」

 俺はインベントリから銀に塗装されたデリンジャーを一丁取り出す。

「はい、どいてどいて。あぶねぇから」

 俺はわざとらしく両手を左右に振り催促し、バリアの前に立ちデリンジャーの引き金を引く。
 けたたましい音と共に銃弾が射出されバリアに当たった瞬間、バリアの壁に大きくヒビが入ると同時にガラスが割れた様な音が響き、城を覆い尽くしていたバリアは跡形もなく消え去る。

「よし、バリアは消えたぞ。ってうお!?」

 後ろを向くとギヌルベルが目の前にいたため、俺は後ずさりする。

「なんという事か! その面妖な形! 本に載っていた武器とそっくりじゃ! 機甲騎士殿! もし、よろしければ手にとって見てみても?」
「え? あ、うん。どうぞ」

 俺がデリンジャーを手渡すと、ギヌルベルはしげしげと観察し始めた。

「形……大きさこそ違うが……なるほど。文献で見た通り、やりようによっては様々な種類の……なんという汎用性か」
「あ、あの、それやるからさ、そろそろ城の中入って王女様助けなきゃ」

 俺がそう言った瞬間、ギヌルベルの目が血走り、シワだらけの顔を俺に向けてくる。

「このような貴重な物を頂けるのですか!? この武器を解明し必ずや魔術師の地位向上に役立てたいと思います!」

 ギヌルベルハはデリンジャーをローブの中にしまうと早歩きで去っていった。

「行っちゃったよ。まぁ、良いか。よし、城の中へ行くぞ! カチコミだ!」

 俺達が中へ入ると一切の静寂が城内を支配していた。
 玄関前の大きなロビーには人っ子一人おらず、俺は不気味な空気を感じた。

「うむ、おかしいのである。静かすぎる」
「何処かに皆、囚われているのではないか?」
「う~む」

 アンドリューとエスカが会話をしているのを尻目で見ていると、ファースが走りながら二人の元へ近づいてきた。

「大変です! こちらへ来て下さい!」

 俺達がファースの後へ付いて行くと静寂の原因が判明した。皆石化により、モノ言わぬ石像と化していたからだ。

「こいつ等は……完全に石化してやがる。おい、ちょっと聞きたい事がある。お前らの話によると反逆者はロンメル一人だと言っていたな? それは本当なのか?」
「僕が察知した気配、そして嗅いだ匂いは王女様とロンメルさんの二人だけでした! 間違いありません!」

 今俺達がいるのは城内の東側の長廊下だ。幾人もの女中や兵士が石にされていた。
 これは一人でやるには広範囲型の石化魔法を使用する必要があるのは明白だった。
 俺達は石像と化した人々を尻目に見ながら慎重に慎重を重ね、ゆっくりと長廊下を歩く。

「この世界の魔術師にそんな事が可能なのか? まさかロンメルはハガセンプレイヤーである可能性が? 仮にそうだったとして何のメリットがある?」

 俺はロンメルがハガセンプレイヤーである仮説を立てたが、すぐに頭から消去する。

「いや、違うな。そんなことをするメリットが一切ない。この現象は恐らくアクセサリーか装備によるパッシブスキルの影響だろう。やっぱ、協力者かバックボーンが居ると思った方が良さそうだな」
「お兄様、失礼ながらその可能性は低いと思われます」

 俺が独り言を喋っているとエスカが口を挟んできた。

「ん? なんで?」
「ロンメルはプライドの高さ故に一匹狼を貫いていました。その為、同じ城に常駐している宮廷魔道士や兵士達を使うのすら躊躇っていたくらいで――あれはッ!」

 エスカが俺との会話を途中で打ち切ったかと思うと、一人の女中へ近づいていく。

「間違いない! ネア! お兄様! なんとか出来ませんか!?」
「落ち着けエスカ。石化された人間はすぐ死んだりしねぇよ」
「で、ですが! お願いします! 大切な友人なんです!」

 俺に懇願するエスカを見ると目に涙を貯めているのが目に入った。

「うッ……わかった。わかりました」

 俺はエスカの友人だというネアに向かってエクストラヒールを唱える。
 すると、石像はあっという間に一人の綺麗な女性へと変わる。
 鈍色の髪にツインテールが似合う。黄色の目をした女性だ。

「こ、ここは?」
「ネア! 怪我はないか!?」

 エスカはネアの肩を掴みながら確認しているようだ。

「エスカ様。怪我……でございますか? いいえ、私は大丈夫です」
「そうか! よかった」
「あの~、悪いんだけど君が覚えてる最後の記憶教えてくれるかな?」
「――思い出しました! ロンメル様が私達の後ろを横切って行く瞬間、影が広がったんです! 黒い布のように! そこから……覚えていません」
「黒い……布? なんだそりゃ?」

 エスカの友人ネアの予想外すぎる返答に俺は混乱した。
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜

EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」 優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。 傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。 そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。 次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。 最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。 しかし、運命がそれを許さない。 一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか? ※他サイトにも掲載中

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【3章開始】刀鍛冶師のリスタート~固有スキルで装備の性能は跳ね上がる。それはただの刀です~

みなみなと
ファンタジー
ただいま、【3章・魔獣激戦】を書いてます。【簡単な粗筋】レベルがない世界で武器のレベルをあげて強くなって、国を救う物語【ちゃんとした粗筋】その世界には【レベル】の概念がなく、能力の全ては個々の基礎能力に依存するものだった。刀鍛冶師兼冒険者である青年は、基礎能力も低く魔法も使えない弱者。──仲間に裏切られ、魔獣の餌になる寸前までは。「刀の峰に数字が?」数字が上がる度に威力を増す武器。進化したユニークスキルは、使えば使うだけレベルがあがるものだった。これは、少しお人好しの青年が全てをうしない──再起……リスタートする物語である。小説家になろうにも投稿してます

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます

海夏世もみじ
ファンタジー
 月一に開催されるリーヴェ王国最強決定大会。そこに毎回登場するアッシュという少年は、金をもらう代わりに対戦相手にわざと負けるという、いわゆる「八百長試合」をしていた。  だが次の大会が目前となったある日、もうお前は必要ないと言われてしまう。八百長が必要ないなら本気を出してもいい。  彼は手加減をやめ、“本当の力”を解放する。

処理中です...