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第47話 王立騎士団副隊長エスカの一日
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まただ。また、いつものあれがやってきた。
暗い何もない空間に、私は立っている。これは明晰夢というやつだ。
もう何千何万とこの夢を見てきた。私は小さくため息をつき気合を入れる。すると、暗闇が突然消え去り場面が変わる。
私が持っている記憶の中でも古い方の記憶だ。気付くと、草原に一人立っていたのを覚えている。
武器や防具は敬愛するお兄様から頂いたものをそのまま装備していた。
しかし、私が求めている記憶はこれではない。
もう一度私は気合を入れなおす。そうしてまた空間が切り替わる。私はガラス張りの筒の様なものの中にいる。
目の前には全身を漆黒の甲冑で身を包んだ騎士が立っている。この御方が私のお兄様、ゲイン兄様だ。
強力な効果を持つ武器や防具をくれた。
綺麗なドレスやアクセサリーをくれた。
一言お礼が言いたい。おもいっきり抱きついてありがとうございますと、しかしそれは叶わない。
言いたくとも体は完全に硬直しており、指先ひとつ動かすことすらままならない。
いつもそうだ。この明晰夢は必ず私がお礼を言おうとすると終わる。
どうせまた――
そう私が思った瞬間、お兄様が頭の甲冑を外し、笑いながら「相変わらずお前は美人だな」と言ったのだ。
「お兄様ッ!!」
私は叫び声を上げながら起床する。
周りを見渡すと、自室のベッドの上だった。私はベッドから出て寝間着を脱ぎ去り、クローゼットの中にある備え付けの服を着る。
部屋の隅にはお兄様から頂いた【ドラゴニック・スケイス】と【ニーベリングスレイヤ】が立てかけてある。
ドラゴニック・スケイスは魔防具と言われる物らしく、今の技術では人為的に創りだすのはほぼ不可能らしい。
真紅の美しい甲冑だ。特徴的なのは兜だ。猛々しいドラゴンの顔の様な装飾がなされている。
ニーベリングスレイヤは見た目はただの剣だが、この剣には面白いギミックが施されている。刀身が伸びるのだ。
所謂、ガリアンソードというやつだったか。
ドラゴニック・スケイスとニーベリングスレイヤはお兄様から頂いた最後の贈り物。私の宝だ。
ドラゴニック・スケイスの兜を被ったところで部屋の扉からノック音が聞こえた。どうやらメイドが来たようだ。
私の名はエスカ。今は王都にある城に身を置き、王立騎士団の副隊長をやっている。
「大丈夫だ。入ってきてくれ」
「おはよう御座います。エスカ様」
入ってきたのは私専属の使用人ネアだ。
「すまないが、甲冑付けるのを手伝ってくれ」
「勿論でございます」
ネアの手際がよく、あっという間に着ることが出来た。
「ありがとう。もう良いぞ」
「よくありません。さ、兜をお外しになってください。髪を整えさせて頂きます。エスカ様も少しは身だしなみに気を使うべきです」
「身だしなみなんてどうでもいいじゃないか。どうせ訓練や戦闘でボロボロになるんだし、私はダークエルフだから汚れも目立たない方だぞ?」
抵抗したが無駄だった。あれよあれよと兜を脱がされ、髪を解かされている。
「相変わらずとっても美しい褐色の肌そして銀の髪羨ましいです」
「そうか? どれも変わらないと思うが?」
「そんな事ありませんよ。とてもお綺麗です長い髪を横で結んであげますね。ずぼらなエスカ様でもこれなら簡単ですから」
私にとってネアは大切な友人だ。もうかれこれ15年以上一緒にいる。
「ありがとう。助かった、この髪型はなんて言うんだ?」
「サイドポニーテールといいます。お願いですから、もう少し女らしくして下さい」
「努力するよ。では行ってくる」
私は、自室を出て真っ直ぐ王女様の王室へと向かう。
王室の前に着いた私は大きめの声を上げる。
「サンティーヌ王女様! エスカです! 入ってもよろしいでしょうか!?」
「エスカですか? どうぞ入って下さい」
サンティーヌ王女様は私の恩人だ。王都に来たばかりの頃、右も左も分からない私を拾ってここに住まわせてくれたのだ。
「おはよう、エスカ。メイドがお茶を入れてくれました。貴女も一緒に飲みましょう」
「ハッ! 喜んでご一緒させて頂きます!」
私は王女様の向かいにゆっくりと座る。
「エスカ、堅いですよ。どうせ私達しかいないんですから」
「いえ、しかし……わかりました。では、お言葉に甘えて」
私達は紅茶を口にし、一息つく。
「例のあれは今日もあったの?」
「それが聞いて下さい! いつもとは最後が違ったんです! お兄様の声を確かに耳にしました!」
「まぁ、それは本当? 良かったわね。ということは、約束の日が近づいているのかもしれませんね」
「ハイ!」
私は紅茶を飲み終えた為立ち上がる。
「あら? もう行ってしまうの?」
「もう行きませんと。外回りと団員達を見なきゃなりませんので」
「そう、名残惜しいわ。頑張ってねエスカ」
私は立ち上がり、王女様に深々と礼をし部屋を出る。
王室を出た私は次に城の外にある兵舎へと西に向かう。
兵舎へと向かう途中、私を呼び止める声が後ろから聞こえた。
振り返るとそこには、団員のひとりである犬獣人のファースが走りながら近づいてきた。
「おはようございます! エスカ副隊長!」
「おはよう、ファース。今日も元気だな」
ファースは猛烈な勢いで尻尾を振っている。
「エスカ副隊長は何処に行かれるのですか?」
「ああ、見回りに行こうと思ってな」
ファースは同じ亜人である為か、私を異様に慕っている。慕われる様な要素など何一つないと思うのだが。
「では、行ってくる」
「お気をつけて!」
私は街を歩きつつ思い出していた。私がただの居候から騎士団の副隊長にまでなったあの事件を。
その日、私は王女様と共に街の視察をしていた。視察という名目だがただ単にお菓子を食べたりアクセサリーを見たりするだけの買い食いだ。
ただそれだけの筈だった――。街を歩いていると、突如上空から二体の巨大なグリフォンが襲ってきたのだ。この視察はほぼお忍びのようなものだった為、王女様を守れるのは私一人だけだった。
『守らなければ!』私の頭にはそれしかなかった。逃げ惑う人々をかき分け、私はグリフォンに向かってニーベリングスレイヤを振りかぶる。伸びた刀身が二体のグリフォンを一挙にズタズタに切り裂いたのだ。
私はこの功績を認められ騎士団の副隊長の任を王女様から直々に頂いたのだ。
「思えばあの頃からか、例のあれが始まったのも」
街へと繰り出したが、結局これといって大きなトラブルはなかった為、私は城の自室へと戻る。
これが私の大体のルーチンワークだ。余談だが、王都はあれから巨大な壁に四方を守られている。
暗い何もない空間に、私は立っている。これは明晰夢というやつだ。
もう何千何万とこの夢を見てきた。私は小さくため息をつき気合を入れる。すると、暗闇が突然消え去り場面が変わる。
私が持っている記憶の中でも古い方の記憶だ。気付くと、草原に一人立っていたのを覚えている。
武器や防具は敬愛するお兄様から頂いたものをそのまま装備していた。
しかし、私が求めている記憶はこれではない。
もう一度私は気合を入れなおす。そうしてまた空間が切り替わる。私はガラス張りの筒の様なものの中にいる。
目の前には全身を漆黒の甲冑で身を包んだ騎士が立っている。この御方が私のお兄様、ゲイン兄様だ。
強力な効果を持つ武器や防具をくれた。
綺麗なドレスやアクセサリーをくれた。
一言お礼が言いたい。おもいっきり抱きついてありがとうございますと、しかしそれは叶わない。
言いたくとも体は完全に硬直しており、指先ひとつ動かすことすらままならない。
いつもそうだ。この明晰夢は必ず私がお礼を言おうとすると終わる。
どうせまた――
そう私が思った瞬間、お兄様が頭の甲冑を外し、笑いながら「相変わらずお前は美人だな」と言ったのだ。
「お兄様ッ!!」
私は叫び声を上げながら起床する。
周りを見渡すと、自室のベッドの上だった。私はベッドから出て寝間着を脱ぎ去り、クローゼットの中にある備え付けの服を着る。
部屋の隅にはお兄様から頂いた【ドラゴニック・スケイス】と【ニーベリングスレイヤ】が立てかけてある。
ドラゴニック・スケイスは魔防具と言われる物らしく、今の技術では人為的に創りだすのはほぼ不可能らしい。
真紅の美しい甲冑だ。特徴的なのは兜だ。猛々しいドラゴンの顔の様な装飾がなされている。
ニーベリングスレイヤは見た目はただの剣だが、この剣には面白いギミックが施されている。刀身が伸びるのだ。
所謂、ガリアンソードというやつだったか。
ドラゴニック・スケイスとニーベリングスレイヤはお兄様から頂いた最後の贈り物。私の宝だ。
ドラゴニック・スケイスの兜を被ったところで部屋の扉からノック音が聞こえた。どうやらメイドが来たようだ。
私の名はエスカ。今は王都にある城に身を置き、王立騎士団の副隊長をやっている。
「大丈夫だ。入ってきてくれ」
「おはよう御座います。エスカ様」
入ってきたのは私専属の使用人ネアだ。
「すまないが、甲冑付けるのを手伝ってくれ」
「勿論でございます」
ネアの手際がよく、あっという間に着ることが出来た。
「ありがとう。もう良いぞ」
「よくありません。さ、兜をお外しになってください。髪を整えさせて頂きます。エスカ様も少しは身だしなみに気を使うべきです」
「身だしなみなんてどうでもいいじゃないか。どうせ訓練や戦闘でボロボロになるんだし、私はダークエルフだから汚れも目立たない方だぞ?」
抵抗したが無駄だった。あれよあれよと兜を脱がされ、髪を解かされている。
「相変わらずとっても美しい褐色の肌そして銀の髪羨ましいです」
「そうか? どれも変わらないと思うが?」
「そんな事ありませんよ。とてもお綺麗です長い髪を横で結んであげますね。ずぼらなエスカ様でもこれなら簡単ですから」
私にとってネアは大切な友人だ。もうかれこれ15年以上一緒にいる。
「ありがとう。助かった、この髪型はなんて言うんだ?」
「サイドポニーテールといいます。お願いですから、もう少し女らしくして下さい」
「努力するよ。では行ってくる」
私は、自室を出て真っ直ぐ王女様の王室へと向かう。
王室の前に着いた私は大きめの声を上げる。
「サンティーヌ王女様! エスカです! 入ってもよろしいでしょうか!?」
「エスカですか? どうぞ入って下さい」
サンティーヌ王女様は私の恩人だ。王都に来たばかりの頃、右も左も分からない私を拾ってここに住まわせてくれたのだ。
「おはよう、エスカ。メイドがお茶を入れてくれました。貴女も一緒に飲みましょう」
「ハッ! 喜んでご一緒させて頂きます!」
私は王女様の向かいにゆっくりと座る。
「エスカ、堅いですよ。どうせ私達しかいないんですから」
「いえ、しかし……わかりました。では、お言葉に甘えて」
私達は紅茶を口にし、一息つく。
「例のあれは今日もあったの?」
「それが聞いて下さい! いつもとは最後が違ったんです! お兄様の声を確かに耳にしました!」
「まぁ、それは本当? 良かったわね。ということは、約束の日が近づいているのかもしれませんね」
「ハイ!」
私は紅茶を飲み終えた為立ち上がる。
「あら? もう行ってしまうの?」
「もう行きませんと。外回りと団員達を見なきゃなりませんので」
「そう、名残惜しいわ。頑張ってねエスカ」
私は立ち上がり、王女様に深々と礼をし部屋を出る。
王室を出た私は次に城の外にある兵舎へと西に向かう。
兵舎へと向かう途中、私を呼び止める声が後ろから聞こえた。
振り返るとそこには、団員のひとりである犬獣人のファースが走りながら近づいてきた。
「おはようございます! エスカ副隊長!」
「おはよう、ファース。今日も元気だな」
ファースは猛烈な勢いで尻尾を振っている。
「エスカ副隊長は何処に行かれるのですか?」
「ああ、見回りに行こうと思ってな」
ファースは同じ亜人である為か、私を異様に慕っている。慕われる様な要素など何一つないと思うのだが。
「では、行ってくる」
「お気をつけて!」
私は街を歩きつつ思い出していた。私がただの居候から騎士団の副隊長にまでなったあの事件を。
その日、私は王女様と共に街の視察をしていた。視察という名目だがただ単にお菓子を食べたりアクセサリーを見たりするだけの買い食いだ。
ただそれだけの筈だった――。街を歩いていると、突如上空から二体の巨大なグリフォンが襲ってきたのだ。この視察はほぼお忍びのようなものだった為、王女様を守れるのは私一人だけだった。
『守らなければ!』私の頭にはそれしかなかった。逃げ惑う人々をかき分け、私はグリフォンに向かってニーベリングスレイヤを振りかぶる。伸びた刀身が二体のグリフォンを一挙にズタズタに切り裂いたのだ。
私はこの功績を認められ騎士団の副隊長の任を王女様から直々に頂いたのだ。
「思えばあの頃からか、例のあれが始まったのも」
街へと繰り出したが、結局これといって大きなトラブルはなかった為、私は城の自室へと戻る。
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