アーマード勇者育成記 産業革命遺産チート! 世界観ガン無視完全無敵の俺が無双する件 剣と魔法?よろしいならばこちらは強化外骨格だ。

からくり8

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第46話 俺、賢者とお話する

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「早く行きましょ! パパが待ってるの!」
「痛い! 痛い! 髪を引っ張らないで下さい!」

 俺は騒いでいる2人の間に割って入り無理やり引き剥がす。

「ちょっとお前等1回離れろ! お前が大賢者の使者か?」
「うん! そうだよ! 四つ目のお兄ちゃん! 私はねリリカって言うの!」

 俺は目に前にいる魔法少女を見て、大賢者はハガセンプレイヤーであることを確信した。彼女の背中に一部機械化された杖【機神杖アルテオン】が掛けられていたからだ。
 真ん中に黒い宝玉が浮いており、謎のプラグの様なものが取り込もうとしているかの如く宝玉の周りに張り付いている。
 あの杖は超高難度ダンジョンにて1000分の1で入手できる超レア武器だ。彼女は上下薄紫服を着ており、フリフリのスカートを翻し俺の向くとニカッと笑いながら俺に手を差し伸べてきた。

「まだ行くとは出来ないんだ。連れがまだ来てないし、この館の主人に別れの挨拶だってまだなんだ。頼むからもう少し待ってくれ」
「む~、わかった。早くね? ここで待ってる」

 俺はすぐそこにいたメイドさんを捕まえ、親父さんを呼んでくるように頼むと小走りで去っていき10程経ったところで親父さんは現れた。

「こ、これは使者様! この様な館に良く来てくださいました! 申し訳ございません! 飲み物も出さず!」
「大丈夫。それよりあたしは早くダイケンジャーの所に行きたいの! 人数が揃ってないっていうの!」
「わかった、行くよ。その前に親父さんお世話になりました。お礼ってわけじゃありませんがこれを」

 俺はインベントリから紙束を取り出し、親父さんに渡す。

「これは?」
「えっと、俺が居た客間に出来る限り調味料や香辛料を作り置きしておきました。その紙束はレシピですよ」
「よろしいのですか!? この様な貴重なものを頂いてしまって!?」
「いいですよ。どうせまた作ればいいだけなんで」

 親父さんは俺の手を両手で掴み握手してきた。

「ありがとうございます! 有効活用させて頂きます! よし!」

 親父さんは手を離し気合いを入れると去っていった。

「さて、行くとするか」
「はい! お師匠様!」
「うん」

 俺が屋敷を出る事を宣言すると、リリカが俺の前に立つ。

「や~っとなの! 待ちくたびれた! ワープ使ってちゃっちゃと行っちゃうね!」

 リリカが背負っている杖を手にし、地面を叩き付ける。

「ワープ!」

 俺達の周りに青い魔法陣が現れ足のつま先から徐々に青い光の粒子となって消えていく。
 アイーナとイクルナの方を見ると、一糸乱れぬ動きで俺に対しスカートの両端を摘み、小さくお辞儀するのが見える。アイーナとイクルナの顔は晴れやかな笑顔に見えた。
 2人の笑顔を見た瞬間、画面が急転換した様な錯覚を覚えると既にワープは完了していた。更地だ何もない。ふと、左を見ると薄い膜の様なものが張られているのがわかった。道行く人々が歩いているのが目に入る。

「ここは?」
「ここはね、パパ――じゃないダイケンジャーが作った幻の塔の中だよ! ついてきてね」

 俺達はリリカ後ろを付いていくとすぐに建築物が見えてきた。

「おいおい……マジかよ」

 その建築物は純和風の一軒家だった。

「……これはどうやって開けるんですか?」
「そいつは引き戸って言ってな、こうやって開けるんだ」

 おれは取っ手に手を掛け、力を軽く込めると何の抵抗もなく戸は左へスライドしていく。

「さ、入ってー」

 下を見ると白い大きめのサンダルの様なものと小さめの靴が4足あるだけだ。俺は足のサバトンを解除し玄関を上がる。

「アーサーにエル良く聞け。ここでは履いてるものを脱いでここに置くんだ。それがマナーだ」
「ハイ! わかりました!」
「うん」

 薄暗く細い廊下だ。廊下の途中にドアが1つ。最奥にまた扉がある。

 えっとね、途中の扉はトイレだよ。奥の扉はリビングだけどパパはそこじゃなくて2階の自室で貴方達を待ってるよ! 階段はリビングの隣にあるから」

 リリカはそう言うと、俺達を取り残してリビングがあるという扉を開けて行ってしまった。

「よし、お前達俺についてこい」

 薄暗い廊下を進み、扉の前に立つ。右を見ると急そうな階段が現れた。おれはその階段を昇る。階段を登り切るとまた扉が現れた。ここがどうやら大賢者の自室の様だ。俺はゆっくりとノブを回し扉開ける。

「……」

 部屋の中に入り俺は絶句のあまり言葉を失う。部屋の内部にはテレビ、冷蔵庫、エアコン、パソコンが設置されていた。部屋の電気を消し、布団を頭から被り、中性的な顔立ちの人物がパソコン画面を食い入る様に見つめていた。

「お、おい!」
「ん? お~! よー来はったな! ハッ! ゲフンゲフン……よく来てくれた、旅人よ。我こそが大賢者である」

 大賢者は起き上がりエルに握手をする。エルは緊張からか手が思いっきり震えている。

「だだだだだだだいけんじゃしゃまがあくあくあく……」

 それだけ言うとエルは口から泡を吹いて気絶した。

「おや? じゃあ、君はアーサー君だね。どうぞよろしく」
「わぁ~、僕の事もご存知何ですね! よろしくぉ……」

 アーサーとエルは同時に前のめりになり、大賢者がそれを肩で支えると2人をソファーへ寝かせる。

「悪いなぁ、こっから先は君達には聞かせる訳にはいかんねん。さぁて、改めてよう来たな」
「あぁ、あんたに会う為にちょっと苦労したぞ」
「そか、で? 何が聞きたいんや? まぁ、顔見たら大体検討つくわ。まぁ、そう焦らんと、ゆっくり説明したるわ」

 大賢者は冷蔵庫からキンキンに冷えた缶ビールを取り出し、俺に手渡してきた。

「まぁ、まずは飲もうや! いや、まさかハガセンプレイヤーと酒が飲めるとなぁ。めっちゃおもろいやんけ! なぁ! 乾杯!」
「まぁ、1杯位なら良いか」

 俺はヘッドの外格を解除し缶ビールを呷あおる

「何だ……こりゃ? マジもんのビールじゃねーか!?」
「当たり前やん。なんやジュースとちゃうで。ワイのユニークスキルの力よ。どや? 凄いやろ?」

 俺は辺りを見渡す。

「じゃあなにか! あのパソコンもテレビも全部本物なのか!?」
「せやで」

 パソコン画面にはあるものが映し出されていた。忘れる筈もない。映し出されていたもの、それはハガセンのログイン画面だった。

「ちょっとパソコン貸してくれ!」
「あ! おい、あんちゃん!」

 俺はキーボードを叩きアドレスとパスワードを打ち込み、エンターキーを押す。すると画面には【エラー!このアカウントは既に削除されているか 存在しません】と表示され、俺はうなだれる。

「せめて……せめてさよなら位言わせてくれたっていいじゃねーか……」
「あんちゃん……もうあっちの世界とはワイ等は死別してんねん。ワイだって何十回と試したんや。でも、結果はあんちゃんと一緒やった。ワイのユニークスキル【アンリミテッドクリエイト】は一切のコストなしで何でも作れるチートスキルや。でも、それでも前のアカウントだけは作ることがでひんかった。そう、まるで何かに邪魔されてるみたいに」

 俺は大賢者の肩を借りて立ち上がり、2人が寝ているソファーの端へ座る。

「すまん、少し興奮した」
「ええてええて、あんちゃんの気持ちはようわかる」

 俺は小さく深呼吸し、気合を入れ直す

「で、本題なんだが何でこの世界はヒーローとロボットがいないんだ? ハガセンの時代設定だったメイタリオが崩壊したってどういうだよ!? ヒーローやロボットいないのと何か関係あんのか!?」

 大賢者が目を閉じ、ゆっくりと口を開く。

「結論から言うたる。関係は……ある。そしてメイタリオを滅亡させたのは――ワイや」

 俺は反射的にローブの胸ぐらを掴む。

「喋り辛いやろが。離せ」
「何で滅亡させる必要がある!? 何考えてんだ! てめぇは!」

 大賢者が俺の顔に手を翳す。至近距離で強大な風圧が発生し、俺の体は壁に叩き付けられた。

「がッ……!」
「昔話をしたるわ。ワイがこの世界に来たのは4000年以上前や。そん時はヒーローもロボットもおったわ。ただな、ゲームと違ってこいつ等は生きとんねん。ワイが来た時はヒーローとロボットが戦争中の真っ只中やった。土地を隔ててな。北がヒーロー南がロボット、ワイはロボット側の土地に転生を果たした。直接のきっかけは軽い自慢話から始まったらしい。それがあれよあれよと喧嘩になり気付いた時にはもう誰も止められへん様になっとったらしいで。」
「いってぇな、お前はロボット側の陣営で戦ったのか?」

 大賢者はビールを呷ると再び話始めた。

「ああ、せやで。流石、ロボットとヒーローや。剣と魔法のファンタジーガン無視の光学兵器やら何やらをこれでもかと装備しとったわ。負けず劣らずヒーローも巨大ロボットみたいなのをだして徹底抗戦しとったな。この戦争は100年以上続いたんや。そりゃあそうや、ロボットは壊れない限り動き続けるし、ヒーローはヒーローで人造人間みたいなもんやから施設で幾らでも量産出来たらしいからな。でも、何にでもいつかは限界が来る。何をトチ狂ったのか、当時中立を貫いていた戦士や魔導師に矛先を変えよったんや。ワイは堪忍袋の緒が切れた。ワイはワイが覚えてる最強最悪の魔法スキルをロボットとヒーローの両陣営に向かって放った」
「まさかあれをやったのか?」
「ああ、せや」

 マジックロードの最大最悪の魔法スキルその名を【ワールドエンド】このスキルは魔術師の系統における全スキル全ジョブを覚えた者のみに与えられる超広範囲特殊魔法である。
 その効果はHPとMPの9割をコストに発動し、効果範囲内のものを強制的にモンスター化しすぐさま即死させるという魔法だ。このスキルはゲームでも同様の効果を発揮するが、まず使う事はできない。詠唱時間が10分以上掛かるのとコストに使うHPとMPのせいで一撃死する危険性があるからだ。
 しかし邪魔する者さえいなければ話は別だ。放ってしまえさえすればもう誰にも止めることは出来ないのである。

「信じらんねぇ……」
「ロボットとヒーローは文字通り全滅した。そしてHPとMPが尽きたワイは、最後のMPを使って別の大陸の草むらにワープし、すぐ様ホームへ入り眠りに付いたんや。起きたら数千年時が経過しとった。最初に驚いたのは文化の大幅な衰退やった。皆道端で馬場しとったんやぞ? 中立言うてロボットとヒーローの文化に頼っとったらしいからな、戦士や魔術師は。そっからはもう色々教えて回ったわ。んで、歩き回ってるうちにリリカと出会う事が出来て、二人で頑張ってるって感じやな。あ、なんか大陸の名称変わっとったけど誰が唱えたかは知らん。あと、ロボットとヒーローおった土地は今瘴気が漂っとるから誰も近づかんようになった。誰が呼んだが魔大陸って呼ばれとる」
「なんてこった」

 俺は足の力が抜けへたり込んでしまった。

「まぁ、そういうこっちゃ。気づいてるかも知れんけどリリカはワイのアナザーキャラやで」
「やっぱそうなのか。しかしコテッコテの魔法少女だな、このロリコンめ。あとそういえば聞いた話だとルギームに来た時は爺だったと仲間から聞いたが?」
「ああ、それはなスキンで顔変えとったんや。もし、ワイの事知った奴がおらんとも限らんと思ってな。まぁ杞憂やったけど。それとお前何言うてんねん。ロリータは正義やぞ。魔法少女は人生やぞ? お前だってアナザーキャラの一体はおるやろ?」
「意味わからん。まぁ、確かに俺にもいるけどな。待てよ、サラッと流されたけどやっぱアナザーキャラもこの世界でひとり歩きしてんの?」
「せやで? え? まだ会ってないんか?」
「ああ、なんとなく居るとは思ってたんだけどな。」

 アナザーキャラは課金する事で開放されるお助けNPCである。アナザーキャラにはプレイヤーが自由に設定を組み込むことが出来る。性別は勿論、性格、種族、武器、防具、アクセサリーetc
 ミートシステムというプログラムが内蔵しており100%必ず何処かでメインとアナザーは出会うことになっている。
 元々はソロプレイヤー救済の為に作られた要素だが、皆こぞって購入し殆どのプレイヤーは着せ替えを楽しむ為に購入する。
 閑話休題。

 大賢者は懇親のドヤ顔を俺に向ける。

「ダッサー。まだ会ってないん~? ダッサー」
「ぶん殴るぞ。そっかぁ、あいつがこの世界にね~。どこに居るのか想像もつかんわ」
「まぁ、ゆっくり探す事やな。ワイの昔話はこれで終いや。最後まで聞いてくれた礼や。取っとき」

 大賢者が両手を広げると、青、赤、緑の光の粒子が発生し眩い光を放つ。すると地面に四角い大きな物体と小さな四角い物体が落ちた。

「こ、これは!? 機動猟兵メウロスのブルーレイボックスじゃないか!?」
「あんた、ロボット物好きそうやったからな。フルメタラーなんてよっぽどロボットとヒーロー好きじゃないとなれんジョブやし。あとそのちっさいのはポータブルブルーレイディスクプレイヤーやで」

 俺は大賢者の手を取り思いっきり握手する。

「すまん。あんたの事誤解してたよ。血も涙もないクソったれサイコパス野朗だと思ってた。ごめんな」
「やっぱそれ返してくれへん?」

 俺は貰ったブルーレイボックスとプレイヤーをインベントリに入れる。

「お~、ちゃんとインベントリにはいるんだな。スゲーや。そういや充電はプレイヤーのどうすんだ?」
「そいつらは使用者の魔力で動くから充電要らずやで」
「割りとマジでチートだな」
「さて、話す事はもうな~んもない。そろそろ起こしたるわ」

 大賢者が指を鳴らすと、アーサーとエルが覚醒しだした。

「ハッ!?」
「う~ん、あれ? 僕いつの間に」

 大賢者は2人に近づき手を差し伸べる。

「よく眠っていた様ですね。お仲間と少し話し込んでしまいました。」
「2人とも行くぞ。もう聞きたい事は全部終わった」

 俺は大賢者の家を出ると同時にリリカが現れた。

「お兄ちゃん! パパと話相手になってくれてありがとー! じゃあワープするから行きたい場所とか会ったら言ってね。」
「ん~、じゃリーメルの喫茶店で頼む」
「うん! いいよー! じゃあねー!」

 空間が一瞬乱れると、俺達はリーメルの喫茶店の前に立っていた。

「どんな……話をしたの?」

 エルは俺のマフラー引っ張りながら聞いてきた。

「魔法少女は人生なんだって。あとマフラーを強めに引っ張るのやめて」
「魔……法少女? 人生?」

 エルはずっと首を傾げていた。
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