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第32話 魔術大会予選開始
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大会当日の朝になり、俺達は朝食をとるためリーメルの喫茶店ヘ来ている。店内を見渡すと客席はほぼ冒険者で埋まっていた。カウンター方へ歩いていき、リーメルに挨拶する。
「よう、おはようさん。全員大会参加者か? 流石に多いな」
「当たり前でしょ? この時期にルギームにいるってことはそういう事よ」
「ほ~ん。ま、どうでもええわ。それより朝食いつもの3人前ね」
「わかったわ。空いてる席へどうぞ」
俺はカウンターから離れ、丁度いい空席を見つけるとアーサーとエルを呼ぶ。
「アーサー! エル! こっち丁度空いてるぞ! 早く座れ! 席がなくなっちまうぞ!」
「ハイ! お師匠様! ありがとうございます!」
「ありがと」
「さぁて、大会の規模やばそうだよな。ここにいる全員敵とはな。そうだ、エルお前この街の出身なんだから大会のルールとか頭に入ってるだろ?」
「予選は……バトルロワイヤル……形式で行われる。大会開始前にワッペン……みたいなのが貰えるんだけど、それをより多く手に入れた者が予選を通過……できるの。ワッペンはチームの証にもなってて、チームの片割れがワッ………ペンを奪われたら……チームは強制的に失格になる。だった……筈」
「ふーん、参加者めちゃくちゃ多いもんな。そりゃそうなるか。ワッペンは何処で貰えるんだ?」
「冒険……者ギルドで一緒に水……晶に触るの。それ……で同じ色のワッペンが貰える」
「え? 今から? それだいぶ時間掛かるんじゃ?」
「一緒に触れ……るだけだから、すぐ終わる」
エルからあらかた情報を聞いたところで、リーメルが朝食を運んできた。
「ハイ、おまちどー。あんたホントに優勝するつもりでいるの?」
「当たり前だろ? この国にいる奴等なんぞ、俺からみれば雑兵の集まりよ」
「大した自信家ね。流石、タブーを思いっきり口に出す事あるわ」
「ゲ……インの強さは……本物。私も強力な魔法を幾つか教えてもらった」
「冗談でしょ?」
リーメルはエルの顔を見て、驚愕の表情を浮かべる。
「どんだけお前、俺の事ビッグマウスだと思ってたんだ。流石にちょっとショックだぞ」
「いや、頭のおかしい狂人だと思ってた。ごめん」
「余計ひどいやんけ!」
そんなこんなで朝食を終え、俺達はリーメルの喫茶店を出ようとしたところリーメルに呼び止められる。
「ちょっと待って、いい? エルに何かあったら許さないわよ? 私も一応魔術師の端くれ。もし、怪我でもさせたら貴方を呪い殺すわ」
「怖いなぁ~。大丈夫だって安心しろよ。怪我なんて一切させねぇから」
俺はリーメルの喫茶店を出るとエルの後について行き、ルギームの冒険者ギルドへ向かう。暫く歩き冒険者ギルドへ着くと凄い人だかりが出来ていたが、エルの言う通りあっという間に消化され、俺達の番がやってきた。ご多分に漏れずルギームの受付嬢も中々の美人さんだ。ウェーブが掛かったショートカットに、大きめの眼鏡がよく似合っている。
「ようこそ、ルギームの冒険者ギルドへ。どうなさいました?」
「魔術大会へ参加したのですが」
「それでしたら、卓上にございます水晶を一緒に参加する人と、同時に触れば登録完了です」
俺は、エルと同時に水晶へ触る。すると、水晶が紫に光りワッペンの様なものがローブの胸の辺りに張り付いていた。
「おめでとうございます。無事登録完了したようですね。他に何か御用はございますか?」
「えっと、予選はバトルロワイヤルって聞いたんですけど、戦闘はどんな場所で行われるんですか?」
「予選のバトルフィールドはこの国そのものです。一般人には一切攻撃が効きませんので、ご安心下さい。その為のワッペンでもあります」
「へぇ~、わかりました。ありがとうございます」
「私の名はシェイと申します。何かあたらお呼びください。ではご武運を」
俺達は受付嬢のシェイさんに、軽く会釈しギルドを出る。すると頭の中に声が響く。
《遂にやってまいりましたー! 5年に一度の祭典魔術大会! 私は、実況解説のギルと申しまーす! さぁ! 準備は良いですかー!? 間もなく予選が始まりまーす! 予選はバトルロワイヤルでーす! 参加者はランダムに選出され、この街全体で闘って頂きまーす! ワッペンを奪われたらその時点で失格となりまーす!殺して奪うもよし! 半殺しにして奪うもよし! 痛い目を見たくなければサレンダーも可能でーす! 尚、死んでしまった場合は完全に自己責任となります! ご注意下さーい! では、第197回魔術大会! 開始ーッ!!》
何かとんでもなく無責任な台詞が聞こえ、エルに聞こうと思った途端足元に魔法陣が現れ、俺とエルは離ればなれになってしまうのだった。
「よう、おはようさん。全員大会参加者か? 流石に多いな」
「当たり前でしょ? この時期にルギームにいるってことはそういう事よ」
「ほ~ん。ま、どうでもええわ。それより朝食いつもの3人前ね」
「わかったわ。空いてる席へどうぞ」
俺はカウンターから離れ、丁度いい空席を見つけるとアーサーとエルを呼ぶ。
「アーサー! エル! こっち丁度空いてるぞ! 早く座れ! 席がなくなっちまうぞ!」
「ハイ! お師匠様! ありがとうございます!」
「ありがと」
「さぁて、大会の規模やばそうだよな。ここにいる全員敵とはな。そうだ、エルお前この街の出身なんだから大会のルールとか頭に入ってるだろ?」
「予選は……バトルロワイヤル……形式で行われる。大会開始前にワッペン……みたいなのが貰えるんだけど、それをより多く手に入れた者が予選を通過……できるの。ワッペンはチームの証にもなってて、チームの片割れがワッ………ペンを奪われたら……チームは強制的に失格になる。だった……筈」
「ふーん、参加者めちゃくちゃ多いもんな。そりゃそうなるか。ワッペンは何処で貰えるんだ?」
「冒険……者ギルドで一緒に水……晶に触るの。それ……で同じ色のワッペンが貰える」
「え? 今から? それだいぶ時間掛かるんじゃ?」
「一緒に触れ……るだけだから、すぐ終わる」
エルからあらかた情報を聞いたところで、リーメルが朝食を運んできた。
「ハイ、おまちどー。あんたホントに優勝するつもりでいるの?」
「当たり前だろ? この国にいる奴等なんぞ、俺からみれば雑兵の集まりよ」
「大した自信家ね。流石、タブーを思いっきり口に出す事あるわ」
「ゲ……インの強さは……本物。私も強力な魔法を幾つか教えてもらった」
「冗談でしょ?」
リーメルはエルの顔を見て、驚愕の表情を浮かべる。
「どんだけお前、俺の事ビッグマウスだと思ってたんだ。流石にちょっとショックだぞ」
「いや、頭のおかしい狂人だと思ってた。ごめん」
「余計ひどいやんけ!」
そんなこんなで朝食を終え、俺達はリーメルの喫茶店を出ようとしたところリーメルに呼び止められる。
「ちょっと待って、いい? エルに何かあったら許さないわよ? 私も一応魔術師の端くれ。もし、怪我でもさせたら貴方を呪い殺すわ」
「怖いなぁ~。大丈夫だって安心しろよ。怪我なんて一切させねぇから」
俺はリーメルの喫茶店を出るとエルの後について行き、ルギームの冒険者ギルドへ向かう。暫く歩き冒険者ギルドへ着くと凄い人だかりが出来ていたが、エルの言う通りあっという間に消化され、俺達の番がやってきた。ご多分に漏れずルギームの受付嬢も中々の美人さんだ。ウェーブが掛かったショートカットに、大きめの眼鏡がよく似合っている。
「ようこそ、ルギームの冒険者ギルドへ。どうなさいました?」
「魔術大会へ参加したのですが」
「それでしたら、卓上にございます水晶を一緒に参加する人と、同時に触れば登録完了です」
俺は、エルと同時に水晶へ触る。すると、水晶が紫に光りワッペンの様なものがローブの胸の辺りに張り付いていた。
「おめでとうございます。無事登録完了したようですね。他に何か御用はございますか?」
「えっと、予選はバトルロワイヤルって聞いたんですけど、戦闘はどんな場所で行われるんですか?」
「予選のバトルフィールドはこの国そのものです。一般人には一切攻撃が効きませんので、ご安心下さい。その為のワッペンでもあります」
「へぇ~、わかりました。ありがとうございます」
「私の名はシェイと申します。何かあたらお呼びください。ではご武運を」
俺達は受付嬢のシェイさんに、軽く会釈しギルドを出る。すると頭の中に声が響く。
《遂にやってまいりましたー! 5年に一度の祭典魔術大会! 私は、実況解説のギルと申しまーす! さぁ! 準備は良いですかー!? 間もなく予選が始まりまーす! 予選はバトルロワイヤルでーす! 参加者はランダムに選出され、この街全体で闘って頂きまーす! ワッペンを奪われたらその時点で失格となりまーす!殺して奪うもよし! 半殺しにして奪うもよし! 痛い目を見たくなければサレンダーも可能でーす! 尚、死んでしまった場合は完全に自己責任となります! ご注意下さーい! では、第197回魔術大会! 開始ーッ!!》
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