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第31話 俺、エルとの修行の最終調整する
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エルの修行を開始し、1週間が経った。
彼女にはこの1週間で覚えている全ての魔法スキルを【無詠唱】で、それなりの威力が出せる様になってもらう事が俺の目的だった。
今では【無詠唱】で俺の動きを止めようとグラビティ・スタンプを連発し、隙あらば様々な攻撃魔法で俺を襲ってくる。
魔法スキルの詠唱スタイルには3つの段階が存在する。威力が最も高いが隙を晒す為、仲間に掩護して貰う必要がある。【完全詠唱】詠唱を破棄し、魔法スキルの名称のみで発動する。雑魚戦やPVPなどではこちらが主流である。【半詠唱】そして一切詠唱しない為、魔法スキルの発動スピードは早いが、威力が弱い【無詠唱】の3つである。無詠唱はこの3つの中でぶっちぎりの不人気なのだが、事グラビティ・スタンプに限り、話が変わってくる。 これにはグラビティ・スタンプの元々の性能が関係してくる。グラビティ・スタンプの攻撃魔法としての性能は、距離を設定した後1メートルから3メートル円柱状の範囲内へ入った者を超加圧された重力による束縛兼攻撃であるが、グラビティ・スタンプの発生には予備動作の様な物がなく、即座に効果が発揮される。強力な魔術師が無詠唱でグラビティ・スタンプを連発すると、敵は何も出来なくなってしまい、一方的にボコボコされる。この状況はハガセンでは、俗に【グラハメ】と呼ばれ恐れられていた。
閑話休題
俺はエルの攻撃を避け続けている。
前後左右からグラビティ・スタンプで動きを封じられ、ありとあらゆる攻撃魔法が俺に向かってくる。グラビティ・スタンプの発生が早すぎる為、見てから避けるのは非常に困難なのだ。今のエルはさながら固定砲台である。
「相変わらず、この戦法はエグいぜ。でも、まだまだだな。ずっと遠距離攻撃を続けるつもりか?」
「……OEW!」
エルはOEWを発動させる。どうやら、俺の煽りに反応した様だ。エルの周りに7つの武器が浮いている。
俺とエルには、4メートル程の距離がありエルは少しずつ、だが確実に俺に近づく。
「……ッ!!」
俺の前後左右に今までに無いような位強力な重力がのしかかる。
「OEWを発動させてどうするんだ? まさか俺の動きを封じ、接近戦を挑む気か? 魔術師のお前が? HAHAHA! ちゃんちゃらおか――え?」
エルを煽った瞬間、俺は信じられないモノを目にし、一瞬思考が止まる。
グラビティ・スタンプは発生させると紫色の円柱状のエフェクトが付くのだが、それが空中に現れたのだ。おまけにそのエフェクトを見るにエルは自分自身に向かってグラビティ・スタンプを空中で発動。OEWで召喚した大鎌を構えると、そのまま重力に引っ張られ、俺に向かってとてつもないスピードで加速。いや、落下してきたのだ。
「な、何だそりゃあああああ!? クッ、クソ!避けられねぇ!」
「えああああああああ!!」
エル大鎌がウルガイスⅥ式とぶつかり、火花を散らした。
「ウッソだろ、お前。何だよありゃ? どうやったんだ?」
「何か……やったら……出来た。私、合格?」
「合格どころか、俺の完敗だぜ。あ〜、ぶったまげた。あの発想は俺にはないわ。っていうか、やったら出来たって……」
「えっ……へん!」
ドヤ顔しながら、恐らくほぼ無いであろう胸を張るエル
「良し、じゃ次だな。アーサーもこっちこいや」
「ハイ! お師匠様!」
「揃ったな。じゃあ、お前たちに教える2つめのスキルはエリアル・ダイブっていう飛行スキルだ。こいつは、覚えとくと色々便利だからな。移動は勿論、回避にも使える優れもんだ。おまけにMP消費量も然程多くないのが良いところだな」
「「飛行スキル!?」」
「何で驚いてんの。ぶっちゃけエルのグラビティ・スタンプ使ったアレのほうがこっちのより、ずっとびっくりなんだが。あと1週間はひたすら飛行訓練して貰うからそのつもりでな。あとエル、さっきの空中でグラビティ・スタンプ出す方法教えて」
「ハイ!訓練頑張ります!」
「さっき、いっぱい……意地悪な事言……われたからヤ……ダ」
ニヤつきながら俺の頼みを拒否するエル。
「お姉さん許して!」
そんなこんなであっという間に2週間が過ぎ、遂に大会当日を迎えるのである。
彼女にはこの1週間で覚えている全ての魔法スキルを【無詠唱】で、それなりの威力が出せる様になってもらう事が俺の目的だった。
今では【無詠唱】で俺の動きを止めようとグラビティ・スタンプを連発し、隙あらば様々な攻撃魔法で俺を襲ってくる。
魔法スキルの詠唱スタイルには3つの段階が存在する。威力が最も高いが隙を晒す為、仲間に掩護して貰う必要がある。【完全詠唱】詠唱を破棄し、魔法スキルの名称のみで発動する。雑魚戦やPVPなどではこちらが主流である。【半詠唱】そして一切詠唱しない為、魔法スキルの発動スピードは早いが、威力が弱い【無詠唱】の3つである。無詠唱はこの3つの中でぶっちぎりの不人気なのだが、事グラビティ・スタンプに限り、話が変わってくる。 これにはグラビティ・スタンプの元々の性能が関係してくる。グラビティ・スタンプの攻撃魔法としての性能は、距離を設定した後1メートルから3メートル円柱状の範囲内へ入った者を超加圧された重力による束縛兼攻撃であるが、グラビティ・スタンプの発生には予備動作の様な物がなく、即座に効果が発揮される。強力な魔術師が無詠唱でグラビティ・スタンプを連発すると、敵は何も出来なくなってしまい、一方的にボコボコされる。この状況はハガセンでは、俗に【グラハメ】と呼ばれ恐れられていた。
閑話休題
俺はエルの攻撃を避け続けている。
前後左右からグラビティ・スタンプで動きを封じられ、ありとあらゆる攻撃魔法が俺に向かってくる。グラビティ・スタンプの発生が早すぎる為、見てから避けるのは非常に困難なのだ。今のエルはさながら固定砲台である。
「相変わらず、この戦法はエグいぜ。でも、まだまだだな。ずっと遠距離攻撃を続けるつもりか?」
「……OEW!」
エルはOEWを発動させる。どうやら、俺の煽りに反応した様だ。エルの周りに7つの武器が浮いている。
俺とエルには、4メートル程の距離がありエルは少しずつ、だが確実に俺に近づく。
「……ッ!!」
俺の前後左右に今までに無いような位強力な重力がのしかかる。
「OEWを発動させてどうするんだ? まさか俺の動きを封じ、接近戦を挑む気か? 魔術師のお前が? HAHAHA! ちゃんちゃらおか――え?」
エルを煽った瞬間、俺は信じられないモノを目にし、一瞬思考が止まる。
グラビティ・スタンプは発生させると紫色の円柱状のエフェクトが付くのだが、それが空中に現れたのだ。おまけにそのエフェクトを見るにエルは自分自身に向かってグラビティ・スタンプを空中で発動。OEWで召喚した大鎌を構えると、そのまま重力に引っ張られ、俺に向かってとてつもないスピードで加速。いや、落下してきたのだ。
「な、何だそりゃあああああ!? クッ、クソ!避けられねぇ!」
「えああああああああ!!」
エル大鎌がウルガイスⅥ式とぶつかり、火花を散らした。
「ウッソだろ、お前。何だよありゃ? どうやったんだ?」
「何か……やったら……出来た。私、合格?」
「合格どころか、俺の完敗だぜ。あ〜、ぶったまげた。あの発想は俺にはないわ。っていうか、やったら出来たって……」
「えっ……へん!」
ドヤ顔しながら、恐らくほぼ無いであろう胸を張るエル
「良し、じゃ次だな。アーサーもこっちこいや」
「ハイ! お師匠様!」
「揃ったな。じゃあ、お前たちに教える2つめのスキルはエリアル・ダイブっていう飛行スキルだ。こいつは、覚えとくと色々便利だからな。移動は勿論、回避にも使える優れもんだ。おまけにMP消費量も然程多くないのが良いところだな」
「「飛行スキル!?」」
「何で驚いてんの。ぶっちゃけエルのグラビティ・スタンプ使ったアレのほうがこっちのより、ずっとびっくりなんだが。あと1週間はひたすら飛行訓練して貰うからそのつもりでな。あとエル、さっきの空中でグラビティ・スタンプ出す方法教えて」
「ハイ!訓練頑張ります!」
「さっき、いっぱい……意地悪な事言……われたからヤ……ダ」
ニヤつきながら俺の頼みを拒否するエル。
「お姉さん許して!」
そんなこんなであっという間に2週間が過ぎ、遂に大会当日を迎えるのである。
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