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第131話 俺、エルフスキーの一人としてキレる
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クリスタルに閉じ込められ、すぐに景色が一変する。
うっわー、周りドワーフばっかじゃん。ひげもじゃの祭典か。
「御大将、神の人柱を連れてきやした」
俺はドワーフに囲まれ、見世物小屋の化け物を見るかの様な奇異な視線にさらされている。
「あのーちょっと……」
「喋ったぞ!」
いや、そりゃ喋るよ。
なんだと思ってんだよ。え、ドワーフにとっての人間ってメジャーじゃないの? レアな存在なの?
そんな事を思っていると、部屋の最奥に見覚えがある物体が目に入った。何かの歯を飾りに付けられたネックレスを掛けられ、全体に色とりどりの塗装が施され白いオーラを放つハンマーを両手で持ち、座ったままの姿勢で安置されている。
あれって……あれか? 俺があの武器屋にあげた外格か?
まぁ、あの外格は見た目だけだとただの甲冑だからな。きっとドワーフスタイルで飾り付けたんだろう。
「ところで俺はいつまでこのままな訳?」
「御大将」
「おう、ヒヒイロカネの息災か」
ドワーフの中から顔に傷がガッツリある禿頭のドワーフが現れた。
「どこかで……会ったっけ? いや待て……思い出すから!」
ドワーフって特徴が全員ほぼ一緒で、見分けつかねんだよなぁ。
あの傷どっかで見たわ……。
「あー思い出した! 俺が転生して初めて会ったドワーフだ!」
「転生!?」
「やはり……」
ドワーフ達がにわかにざわつきだした。
「静まれ!」
スカーフェイスのドワーフが怒鳴ると静まり返りクリスタルに近づき、手を翳すと俺を幽閉していたクリスタルが粉々に砕け散った。
「おーやっとか。で、結局俺を拉致った理由って何なん?」
立ち上がり、天井に頭を軽くぶつけた。腰を屈める。
いって~。人間サイズに作られてないから狭いな。
「うむ、まず有無を言わさず連れてきた非礼を詫びさせて頂きたい。人柱よ」
「いいよ別に。ひとばしらって何よ?」
「うむ、ドワーフの谷には遥か昔から信じられている神話がある。その神話では人型魔導兵器が神として崇められているのだ。その兵器を操る者を――」
「人柱って言う訳か。え、じゃあ俺ドワーフ的には神なん?」
「いや、神と崇められいるのは人型魔導兵器の方だ」
「あっ……完璧に理解した。ちょっと待てよ。外着!」
頭上に魔法陣が現れ、衝撃が発生したのを確認。
「空間に空きがないから、衝撃が直にくるわ」
「この姿は……」
「ちょっと色々あって今お前と出会った時に着装してたのとは違うやつを使ってるんだ」
「いや、これも素晴らしい作品だ」
「そうか、良かったなアマテラス。褒められたぞ」
「嫌やわ~」
周りにいたドワーフ達がスカーフェイスのドワーフを除いて一斉に平伏した。
「あんたは平伏しないの?」
「俺ぁ谷出身のドワーフとは違うからな。勿論、ドワーフに伝わる神話は知ってるし信じてはいる。目の前にいるからな。でも、俺は所詮よそ者だ。谷に迷惑がかかる」
「でも、お前こいつ等の大将なんだろ?」
「……生まれ持った賜物のせいだ。皆俺の事を御大将と呼び、慕ってくれてんだぁ。ここにヒヒイロカネのを呼んだのはこの谷に今危機が迫っているからだ。頼む。その神の力でこいつ等を……谷を救ってやってほしい」
「ん~良いけどさぁ。俺結構忙しいんだよ。それにユニークスキル持ってるなら、おっさんが戦えばいいじゃん」
「俺のユニークスキルは物質の声を聞くことができるって能力でな。戦闘には向いてねぇんだ」
物質の声ねぇ。ん! いい事思いついた!
「良いけど条件あるぞ」
「なんでぇ? 俺にできる事ならなんでもやるぜ」
「ん? 今何でもやるって言ったよね? よし、今から渡す物の声を聞いて在り処を探ってくれ」
俺はインベントリからサイコモジュールも取り出し、彼に手渡す。
俺からモジュールを受け取った彼は目を閉じ、すぐに目を見開いた。
「こりゃあ……おい! この辺一帯の地図を持ってこい!」
「ヘイ、すぐにお持ちしやす!」
ドワーフの1人が部屋から出ていき、しばらくして戻ってきた。
そのドワーフが石で出来た作業台の上に地図を広げる。
「良いか? この辺りは平地を挟むひし形の様に4つの国が存在する。西が俺たちドワーフの谷、東がエルフの森、南が……蒸気都市。そして北が帝国だ。この宝石の声は帝国から聞こえている」
ドワーフ達がまた騒ぎ出した。
「ヒヒイロカネのよく聞いてくれ。お前さんを無理やり連れてきたのは、帝国の侵略からこの谷を守ってもらう為だ」
「全く信じられねぇ! こっちは中立国だってのによぉ」
「神様! 俺たちを見捨てねぇでくれぇ!」
「このままじゃあ酒も喉を通り辛くって仕方ねぇんだ!」
皆口々にやれ助けてくれだ、酒の喉越しが悪いだの、作業が手につかないだの騒ぎ立てている。
ただ酒の喉越しが悪いのはこれとは因果関係ないだろ……絶対。
「つーか、東にエルフの森あんじゃん。行ってみてー」
「元々帝国はエルフの森を侵略し、捕えたエルフを他国に売りとばしたり奴隷にして栄えていたんだが、ある日を境に他国に攻め入る様になったんだ。同じ亜人族として許せねぇ!」
「あ? エルフを捕まえて奴隷にしてるだぁ? ふてぇ野郎だ! 気に食わん!」
本気で頭に来たぞ! エルフスキーとして見過ごせん! 全力で叩き潰してくれる!
「奴等は俺達の谷に宣戦布告してきたのが3日前になる。そして返答の期限は明日の朝だ。頼む! この谷を守ってくれ!」
「やってやるぁ! 最大戦力を持って帝国だが何だが知らんが、木っ端微塵にしてくれるわ! エルフこそこの世の宝と言ってもいい! 何が奴隷だ馬鹿馬鹿しい!」
「おい、谷の外まで案内してやれ」
「へい、大将。谷の入口まで来てくんなぁ神様。案内しやす」
俺は白髪の顎髭を蓄えたドワーフの後について部屋を出た。
うっわー、周りドワーフばっかじゃん。ひげもじゃの祭典か。
「御大将、神の人柱を連れてきやした」
俺はドワーフに囲まれ、見世物小屋の化け物を見るかの様な奇異な視線にさらされている。
「あのーちょっと……」
「喋ったぞ!」
いや、そりゃ喋るよ。
なんだと思ってんだよ。え、ドワーフにとっての人間ってメジャーじゃないの? レアな存在なの?
そんな事を思っていると、部屋の最奥に見覚えがある物体が目に入った。何かの歯を飾りに付けられたネックレスを掛けられ、全体に色とりどりの塗装が施され白いオーラを放つハンマーを両手で持ち、座ったままの姿勢で安置されている。
あれって……あれか? 俺があの武器屋にあげた外格か?
まぁ、あの外格は見た目だけだとただの甲冑だからな。きっとドワーフスタイルで飾り付けたんだろう。
「ところで俺はいつまでこのままな訳?」
「御大将」
「おう、ヒヒイロカネの息災か」
ドワーフの中から顔に傷がガッツリある禿頭のドワーフが現れた。
「どこかで……会ったっけ? いや待て……思い出すから!」
ドワーフって特徴が全員ほぼ一緒で、見分けつかねんだよなぁ。
あの傷どっかで見たわ……。
「あー思い出した! 俺が転生して初めて会ったドワーフだ!」
「転生!?」
「やはり……」
ドワーフ達がにわかにざわつきだした。
「静まれ!」
スカーフェイスのドワーフが怒鳴ると静まり返りクリスタルに近づき、手を翳すと俺を幽閉していたクリスタルが粉々に砕け散った。
「おーやっとか。で、結局俺を拉致った理由って何なん?」
立ち上がり、天井に頭を軽くぶつけた。腰を屈める。
いって~。人間サイズに作られてないから狭いな。
「うむ、まず有無を言わさず連れてきた非礼を詫びさせて頂きたい。人柱よ」
「いいよ別に。ひとばしらって何よ?」
「うむ、ドワーフの谷には遥か昔から信じられている神話がある。その神話では人型魔導兵器が神として崇められているのだ。その兵器を操る者を――」
「人柱って言う訳か。え、じゃあ俺ドワーフ的には神なん?」
「いや、神と崇められいるのは人型魔導兵器の方だ」
「あっ……完璧に理解した。ちょっと待てよ。外着!」
頭上に魔法陣が現れ、衝撃が発生したのを確認。
「空間に空きがないから、衝撃が直にくるわ」
「この姿は……」
「ちょっと色々あって今お前と出会った時に着装してたのとは違うやつを使ってるんだ」
「いや、これも素晴らしい作品だ」
「そうか、良かったなアマテラス。褒められたぞ」
「嫌やわ~」
周りにいたドワーフ達がスカーフェイスのドワーフを除いて一斉に平伏した。
「あんたは平伏しないの?」
「俺ぁ谷出身のドワーフとは違うからな。勿論、ドワーフに伝わる神話は知ってるし信じてはいる。目の前にいるからな。でも、俺は所詮よそ者だ。谷に迷惑がかかる」
「でも、お前こいつ等の大将なんだろ?」
「……生まれ持った賜物のせいだ。皆俺の事を御大将と呼び、慕ってくれてんだぁ。ここにヒヒイロカネのを呼んだのはこの谷に今危機が迫っているからだ。頼む。その神の力でこいつ等を……谷を救ってやってほしい」
「ん~良いけどさぁ。俺結構忙しいんだよ。それにユニークスキル持ってるなら、おっさんが戦えばいいじゃん」
「俺のユニークスキルは物質の声を聞くことができるって能力でな。戦闘には向いてねぇんだ」
物質の声ねぇ。ん! いい事思いついた!
「良いけど条件あるぞ」
「なんでぇ? 俺にできる事ならなんでもやるぜ」
「ん? 今何でもやるって言ったよね? よし、今から渡す物の声を聞いて在り処を探ってくれ」
俺はインベントリからサイコモジュールも取り出し、彼に手渡す。
俺からモジュールを受け取った彼は目を閉じ、すぐに目を見開いた。
「こりゃあ……おい! この辺一帯の地図を持ってこい!」
「ヘイ、すぐにお持ちしやす!」
ドワーフの1人が部屋から出ていき、しばらくして戻ってきた。
そのドワーフが石で出来た作業台の上に地図を広げる。
「良いか? この辺りは平地を挟むひし形の様に4つの国が存在する。西が俺たちドワーフの谷、東がエルフの森、南が……蒸気都市。そして北が帝国だ。この宝石の声は帝国から聞こえている」
ドワーフ達がまた騒ぎ出した。
「ヒヒイロカネのよく聞いてくれ。お前さんを無理やり連れてきたのは、帝国の侵略からこの谷を守ってもらう為だ」
「全く信じられねぇ! こっちは中立国だってのによぉ」
「神様! 俺たちを見捨てねぇでくれぇ!」
「このままじゃあ酒も喉を通り辛くって仕方ねぇんだ!」
皆口々にやれ助けてくれだ、酒の喉越しが悪いだの、作業が手につかないだの騒ぎ立てている。
ただ酒の喉越しが悪いのはこれとは因果関係ないだろ……絶対。
「つーか、東にエルフの森あんじゃん。行ってみてー」
「元々帝国はエルフの森を侵略し、捕えたエルフを他国に売りとばしたり奴隷にして栄えていたんだが、ある日を境に他国に攻め入る様になったんだ。同じ亜人族として許せねぇ!」
「あ? エルフを捕まえて奴隷にしてるだぁ? ふてぇ野郎だ! 気に食わん!」
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「奴等は俺達の谷に宣戦布告してきたのが3日前になる。そして返答の期限は明日の朝だ。頼む! この谷を守ってくれ!」
「やってやるぁ! 最大戦力を持って帝国だが何だが知らんが、木っ端微塵にしてくれるわ! エルフこそこの世の宝と言ってもいい! 何が奴隷だ馬鹿馬鹿しい!」
「おい、谷の外まで案内してやれ」
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