113 / 151
第113話 俺、新しい剣を授ける
しおりを挟む
「わ……私の剣が……お兄様から頂いた宝物が――」
エスカは両手で剣を抱きかかえ、その場にへたり込んでしまった。
俺はすぐまさジャンプしエスカの側へ降り立つ。
「大事ないか?」
「申し訳ございません! 私が未熟であったばかりに!」
「良いんだ。ノイズのアイン・ソフ・オウルでカースドブラッドが発動した。あのスキルは自らの闇の力を召喚者の血液に変換し物質を崩壊させる血を作り出す。お前はその能力の事を知らなかった。それだけだ」
「し、しかし……」
「それにニーベルングスレイヤはもう十分にお前の役にたった。新しい武器をお前にやる」
「新しい武器ですか!? 私に!?」
「あぁ、幾つか候補を見せるから、その中から選ぶといい」
俺は簡易武器用インベントリを起動させ、ボックス内にある2つの剣を取り出す。
一方の剣は鞘に入っておらず、何の変哲もない剣だ。柄が黒く握り込める様に銃のグリップの様な形状をしている。
もう一方は蒼い鞘に収まった剣だ。宝飾がなされており、露出している鞘は実に見栄えがいい。
「さて、じゃあまずこの何の変哲もなさそうな剣から行くか。アーサー悪んだけどこの剣持っててくれるか」
「ハイ! わかりました!」
アーサーに鞘に収まった剣を預け、抜身の剣を構える。
「アルジャ・岩本。ドッペルゲンガー君起動して貰えねぇか!」
「いいよー! ステータスは適当でいいかい? 動作はなし?」
「あぁ! それで頼む!」
倒れていたドッペルゲンガー君が立ち上がり、木人のままファイティングポーズをとる。
「この剣はこんな感じで使う」
脚に力を込め、ドッペルゲンガー君の懐ヘ入り、何度か適当に切り刻んで切り上げ上空へと吹っ飛ばす。
宙を舞う木人を確認したら、切り上げのモーションで起こったディレイをキャンセルし、即座に剣の柄に力を込める。
すると柄のグリップ部分が斜めに変形し、刀身の真ん中からバレルが出現した。
バレルが出現したと同時にオレンジ色のレーザーが放たれ着弾し、ドッペルゲンガー君は爆散する。
「うん。まぁ、こんなもんだろう」
「今のは……」
「これが1つ目のオススメ武器。ガンブレードエンディミオンだ。こいつなら遠距離と近距離を瞬時に切り替えられる。優れもんだぞ?」
「私に扱えるでしょうか?」
「そこは慣れだな。何とも言えん」
エスカは少し迷った様な素振りを見せる。
「もう1つの方を見てから決めようかと思います」
「道理だな。アーサー、こっちと交換」
「ハイ!」
アーサーに預けていた剣とガンブレードエンディミオンを交換する。
「こいつはなぁ」
鞘から剣を取り出す。
「刀身に刃が付いて――いませんね」
「あぁ、一見そう見えるかもしれんが、こいつは魔力をほんの少し剣に流してやると――」
蒼い刀身から緑色の刃が出現した。
「更にはこいつはだな!」
俺が振りかぶると刀身がいくつかに別れレーザー状の刃が鎖となり、刀身を繫止める。伸びていくレーザー状の刃がコロッセオの壁を削り斬っていき、刀身が元に戻るとレーザーの刃は消えてなくなる。
「こ、これはニーベルングスレイヤと同じ!?」
「同じではない。あちらはただのガリアンソードだったがこいつはレーザーガリアンソードだ。おまけにこいつは魔剣だ。こいつの射程距離は無限大だぞ。前のとは訳が違う。名をアストラルスレイヤ。ニーベルングスレイヤの最終進化形態と言っていい剣だ」
「これがいいです!」
「長い事ニーベルングスレイヤに頼っていたからな。こいつの方が良いかもな。ほれ」
アストラルスレイヤを鞘に収め、エスカの方へ放る。
「え、あ! あの前の剣なんですが!」
「あぁ、もう必要ないだろ」
「い、いえあの……その……できれば手元に置いて置きたいのですが!」
「え? 何で?」
「どうしてもその……お願いします!」
エスカは跪き、動かなくなった。
「わかったわかった。元々お前のもんだ。好きにすればいい。だから立て。な?」
「はい! ありがとうございます! より一層の努力を誓います!」
「お、おう。期待してるぞ? よし、アーサーもう大丈……夫」
アーサーに預けた剣を貰おうと手を伸ばすと、何故かアーサーが後ずさりし距離が開く。
えっと、あのちょっとアーサー君?
「ぼくも……しぃです……」
「え、なに? 何て?」
「僕もお師匠さまから新しい剣欲しいです!!」
アーサーは顔を真っ赤にし剣を握って離さない。
「え、お前も剣欲しくなっちゃったの?」
「この剣が欲しいです」
「良いよ別に。欲しいならお前にやるよ」
「ほ、本当ですか!?」
「でも、お前は既に魔剣キクリヒメの慟哭を所持してる。言っとくがガンブレードエンディミオンは片手で扱える様な代物じゃないぞ。ダンガンと一緒に使えば2丁拳銃的な扱い方も俺ならできるが、お前の今の腕力でそれは不可能だろうな。あとその剣はかなり隙がデカくなる。扱い安く見えてそいつはかなりの暴れもんだぞ」
いや、待てよ。こいつならあれ覚えられるんじゃないか? ものは試しだな。
「――じゃけん、アーサーには居残りを命じる。一緒に上手く使う為の特訓しましょうね」
「ハイ! お願いします!」
「まぁ、結論を言うと色々雑な戦いだった。まぁ最初から上手く動ける奴なんてそうはいねぇからな。場数を踏んで慣れて行く様に! 終わり! 閉廷! アーサー以外自分の部屋に戻って寝ろ! あ、アルジャ・岩本も残って」
「え~、戻る気満々だったのに~」
「っせぇオラァ! お前しかドッペルゲンガー君設定出来ねぇだろうが!」
「今日はこれで最後にしておくれよ?」
「良いからほらドッペルゲンガー君出すんだよ。おう、あくしろよ」
「ハイハイ。わかったよ」
俺とアーサー。そしてアルジャ・岩本だけがコロッセオに残るのだった。
エスカは両手で剣を抱きかかえ、その場にへたり込んでしまった。
俺はすぐまさジャンプしエスカの側へ降り立つ。
「大事ないか?」
「申し訳ございません! 私が未熟であったばかりに!」
「良いんだ。ノイズのアイン・ソフ・オウルでカースドブラッドが発動した。あのスキルは自らの闇の力を召喚者の血液に変換し物質を崩壊させる血を作り出す。お前はその能力の事を知らなかった。それだけだ」
「し、しかし……」
「それにニーベルングスレイヤはもう十分にお前の役にたった。新しい武器をお前にやる」
「新しい武器ですか!? 私に!?」
「あぁ、幾つか候補を見せるから、その中から選ぶといい」
俺は簡易武器用インベントリを起動させ、ボックス内にある2つの剣を取り出す。
一方の剣は鞘に入っておらず、何の変哲もない剣だ。柄が黒く握り込める様に銃のグリップの様な形状をしている。
もう一方は蒼い鞘に収まった剣だ。宝飾がなされており、露出している鞘は実に見栄えがいい。
「さて、じゃあまずこの何の変哲もなさそうな剣から行くか。アーサー悪んだけどこの剣持っててくれるか」
「ハイ! わかりました!」
アーサーに鞘に収まった剣を預け、抜身の剣を構える。
「アルジャ・岩本。ドッペルゲンガー君起動して貰えねぇか!」
「いいよー! ステータスは適当でいいかい? 動作はなし?」
「あぁ! それで頼む!」
倒れていたドッペルゲンガー君が立ち上がり、木人のままファイティングポーズをとる。
「この剣はこんな感じで使う」
脚に力を込め、ドッペルゲンガー君の懐ヘ入り、何度か適当に切り刻んで切り上げ上空へと吹っ飛ばす。
宙を舞う木人を確認したら、切り上げのモーションで起こったディレイをキャンセルし、即座に剣の柄に力を込める。
すると柄のグリップ部分が斜めに変形し、刀身の真ん中からバレルが出現した。
バレルが出現したと同時にオレンジ色のレーザーが放たれ着弾し、ドッペルゲンガー君は爆散する。
「うん。まぁ、こんなもんだろう」
「今のは……」
「これが1つ目のオススメ武器。ガンブレードエンディミオンだ。こいつなら遠距離と近距離を瞬時に切り替えられる。優れもんだぞ?」
「私に扱えるでしょうか?」
「そこは慣れだな。何とも言えん」
エスカは少し迷った様な素振りを見せる。
「もう1つの方を見てから決めようかと思います」
「道理だな。アーサー、こっちと交換」
「ハイ!」
アーサーに預けていた剣とガンブレードエンディミオンを交換する。
「こいつはなぁ」
鞘から剣を取り出す。
「刀身に刃が付いて――いませんね」
「あぁ、一見そう見えるかもしれんが、こいつは魔力をほんの少し剣に流してやると――」
蒼い刀身から緑色の刃が出現した。
「更にはこいつはだな!」
俺が振りかぶると刀身がいくつかに別れレーザー状の刃が鎖となり、刀身を繫止める。伸びていくレーザー状の刃がコロッセオの壁を削り斬っていき、刀身が元に戻るとレーザーの刃は消えてなくなる。
「こ、これはニーベルングスレイヤと同じ!?」
「同じではない。あちらはただのガリアンソードだったがこいつはレーザーガリアンソードだ。おまけにこいつは魔剣だ。こいつの射程距離は無限大だぞ。前のとは訳が違う。名をアストラルスレイヤ。ニーベルングスレイヤの最終進化形態と言っていい剣だ」
「これがいいです!」
「長い事ニーベルングスレイヤに頼っていたからな。こいつの方が良いかもな。ほれ」
アストラルスレイヤを鞘に収め、エスカの方へ放る。
「え、あ! あの前の剣なんですが!」
「あぁ、もう必要ないだろ」
「い、いえあの……その……できれば手元に置いて置きたいのですが!」
「え? 何で?」
「どうしてもその……お願いします!」
エスカは跪き、動かなくなった。
「わかったわかった。元々お前のもんだ。好きにすればいい。だから立て。な?」
「はい! ありがとうございます! より一層の努力を誓います!」
「お、おう。期待してるぞ? よし、アーサーもう大丈……夫」
アーサーに預けた剣を貰おうと手を伸ばすと、何故かアーサーが後ずさりし距離が開く。
えっと、あのちょっとアーサー君?
「ぼくも……しぃです……」
「え、なに? 何て?」
「僕もお師匠さまから新しい剣欲しいです!!」
アーサーは顔を真っ赤にし剣を握って離さない。
「え、お前も剣欲しくなっちゃったの?」
「この剣が欲しいです」
「良いよ別に。欲しいならお前にやるよ」
「ほ、本当ですか!?」
「でも、お前は既に魔剣キクリヒメの慟哭を所持してる。言っとくがガンブレードエンディミオンは片手で扱える様な代物じゃないぞ。ダンガンと一緒に使えば2丁拳銃的な扱い方も俺ならできるが、お前の今の腕力でそれは不可能だろうな。あとその剣はかなり隙がデカくなる。扱い安く見えてそいつはかなりの暴れもんだぞ」
いや、待てよ。こいつならあれ覚えられるんじゃないか? ものは試しだな。
「――じゃけん、アーサーには居残りを命じる。一緒に上手く使う為の特訓しましょうね」
「ハイ! お願いします!」
「まぁ、結論を言うと色々雑な戦いだった。まぁ最初から上手く動ける奴なんてそうはいねぇからな。場数を踏んで慣れて行く様に! 終わり! 閉廷! アーサー以外自分の部屋に戻って寝ろ! あ、アルジャ・岩本も残って」
「え~、戻る気満々だったのに~」
「っせぇオラァ! お前しかドッペルゲンガー君設定出来ねぇだろうが!」
「今日はこれで最後にしておくれよ?」
「良いからほらドッペルゲンガー君出すんだよ。おう、あくしろよ」
「ハイハイ。わかったよ」
俺とアーサー。そしてアルジャ・岩本だけがコロッセオに残るのだった。
0
お気に入りに追加
1,539
あなたにおすすめの小説

転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!


異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界転生漫遊記
しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は
体を壊し亡くなってしまった。
それを哀れんだ神の手によって
主人公は異世界に転生することに
前世の失敗を繰り返さないように
今度は自由に楽しく生きていこうと
決める
主人公が転生した世界は
魔物が闊歩する世界!
それを知った主人公は幼い頃から
努力し続け、剣と魔法を習得する!
初めての作品です!
よろしくお願いします!
感想よろしくお願いします!
【3章開始】刀鍛冶師のリスタート~固有スキルで装備の性能は跳ね上がる。それはただの刀です~
みなみなと
ファンタジー
ただいま、【3章・魔獣激戦】を書いてます。【簡単な粗筋】レベルがない世界で武器のレベルをあげて強くなって、国を救う物語【ちゃんとした粗筋】その世界には【レベル】の概念がなく、能力の全ては個々の基礎能力に依存するものだった。刀鍛冶師兼冒険者である青年は、基礎能力も低く魔法も使えない弱者。──仲間に裏切られ、魔獣の餌になる寸前までは。「刀の峰に数字が?」数字が上がる度に威力を増す武器。進化したユニークスキルは、使えば使うだけレベルがあがるものだった。これは、少しお人好しの青年が全てをうしない──再起……リスタートする物語である。小説家になろうにも投稿してます
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~
はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。
俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。
ある日の昼休み……高校で事は起こった。
俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。
しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。
……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる