アーマード勇者育成記 産業革命遺産チート! 世界観ガン無視完全無敵の俺が無双する件 剣と魔法?よろしいならばこちらは強化外骨格だ。

からくり8

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第108話 俺、エスカ誕生秘話を語る

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え、なっ、ど、えっ?」

「ゲイン君! 大丈夫なのかい!? その目!」


 今自分に置かれている状況がうまく整理できない?

 いつの間に? どの辺りから? いや待てそれよりも問題は――。


「お師匠様!? 右目どうしたんですか!? 怪我ですか!?」

「え!? あ、いや――何でもないんだ! 心配するな大丈夫だから」


 近づいてきたアーサーを片手を上げ静止させる。


 どうしよう。どうやって説明すればいい? ほぼ間違いなくあいつ・・・の影響だろう。

 直してくれたのは正直有り難いが、誰も厨ニ病患者にしろとは言ってねぇぞ。


「えっと……これは……そう! イメチェンだ!」

「イメチェン?」

「そう! 俺って外格がいかく着込んでる時以外って地味じゃん! 曲がりなりにも勇者の従者やってるしさ、こうなんつうのか、プラスアルファ欲しい的な!」

「そ、そう……でしょうか? 僕は普段着のお師匠でもいいと思います!」


 それは地味だとは思ってたって受け取っていいんだろうか?

 まさに地味にショックだ。


「本当に大丈夫なんです……よね?」


 アーサーが顔を頬を紅潮させ涙目で俺を見つめてくる。

 やめて。なんか言い様のない罪悪感に襲われるからそんな顔して俺を見ないでくれ。


無問題モーマンタイ大丈夫だ。それどころ今までで最高に気分がいい。鼻歌でも歌いたい気分だ。これはマジ」


 右腕で涙を拭った彼が今度は俺に笑いかけてきた。


「そうなんですね! 良かった! なんかお師匠を見た瞬間、何かいつもと雰囲気違う様に思えたんです。そうしたら右眼が黄色になってたからびっくりしちゃって」

「大丈夫大丈夫ヘーキヘーキ。俺は未来永劫ずっと変わらないよ」


 俺は彼の肩に手を置き、ポンポンと軽く2回叩いた。


「安心したらお腹すきました。僕、上がらせてもらいますね」

「おう、新しくめし処作ったから、そこで食事な。バーがあった所にあるから」


 アーサーが温泉から出ていき、俺とアルジャ・岩本だけが残った。


「君まさかとは思うが魔王から何か貰ったりした?」

「ああ。したよ。魔王の目ン玉を食らった」

「なんだって? それ大丈夫なのかい?」

「知らね。あいつが言うにはどうやら俺はあいつの目ン玉食らわなかった人間じゃなくなるところだったんだと」

「はえ~。そっか。よくわかんないけど良かったじゃないか。じゃ、僕ももう出るから」


 俺はアルジャ・岩本の肩を右手で掴む。


「おい、待てぇい。まだ肝心な事やってないゾ。お前女風呂の覗いてただろ?」

「い、いや、あれには深い訳があってね」

「どういう深い訳があって女風呂を覗く事になるのか、私には理解に苦しむね」

「あれはアーサー君に頼まれて……」


 俺は湯船に浮かんでいる桶をだぐりよせ、中に入ってイル新品のタオルを手に取り湯に沈め絞ってから顔を拭く。


「あのなぁ……嘘付くならもっとマシな嘘付けよ。あんな純粋な眼してる奴が「女風呂覗きたいです」なんて言う訳ねぇダルルォ!?」

「いや――本当に」

「はい、ギルティ。ヤキ入れてやるから来い!」

「何をするんだ! やめてくれ!」


 俺は彼の手を引っ張るとシャワーが備え付けられている。洗面台の前へと連れていき座らせる。


「い、一体何を」


 俺は彼を無視しシャワーのノズルを最大に引き絞る。


「頭洗ってやるよオラ」

「ツメタァイ!」


 シャワーから勢いよく出ているのは冷水である。


 俺は彼の頭を片手で押さえつけ、冷水を頭に浴びせ、もう片方の手で超スピードでガシガシと乱暴に洗う。


「痒い所ございませんか~」

「せ、せめてシャンプーを~」

「いやでーす」


 俺はシャワーを止め、立ち上がる。


「あ、終わり?」

「いえいえ、まだです。これからです。アルジャ・岩本君逃げてはダメですよ」


 俺は彼を連れて再び温泉の前に来た。


「俺は優しいから選ばせてやる。強制背中打ちブレンバスターと湯船の中でジャイアントスイングされるのどっちがいい?」

「えぇ……」

「5……4……」

「ジャイアント……いやブレンバスターで!」

「おう、考えてやるよ。――せっかくだから両方堪能してもらおうかな」

「へ? う、うわ――」

「よいしょっと」


 俺は彼の腰のタオルを左手でわしづかみにし、上下逆さま持ち上げ、そのまま温泉にダイブした。


「イッタァイ!」

「垂直落下式じゃないだけ有り難いと思え! よっしゃラストイクゾー!」


 即起き上がり彼の足を掴みそのまま回転する。


「溺れる溺れる!」


 3回転半程して俺は掴んでいる手を離しうつ伏せで湯に浮かんでいる彼を肩にのせ、温泉から出ると引き戸を引き脱衣所の所で彼を降ろす。


「あー殺されるかと思った……」

「もう二度とあんな事するなよ! 風紀を乱す奴は俺が許さんゾ!」

「あんな性癖の塊みたいなアナザーキャラ作っといて言う台詞かよ!」

「あぁ、なんの事だ?」

「エスカさんだよ。あんなの彷徨うろつかれたら魔が差すのもしょうがないだろ」

「あぁ、まぁ胸でかいからな。超美人だし、俺はアナザーキャラが実装されてすぐに世界一美人のエルフを作るという計画を建てていた。あいつはその計画の最終形態だからな。あのクソデカおっぱい以外は」

「え、あの胸は故意に入れたんじゃないのかい?」

「あれにはのっぴきならない理由があるんだ……。俺はキャラクリに凝る体質みたいでな。一回手を出すと止まらんくなるんだ。ヤルダバオトⅧ式の顔面とマフラーだけで8時間近く費やして作ったんだぞ。エスカなんて髪の毛一本からケツの穴のシワの数まで全て俺が設定しデザインしたんだ。約3ヶ月を費やしほぼ完成と言って良いところまできた。しかし俺は最後の最後でミスを犯してしまった。俺は余った50ポイントを何に振るか三日三晩悩んだ。そして俺はVITに振ることに決め、全てのポイントを使い切りエスカは完成した」

「バイタルに振った。ま、まさか」


 俺は力強く頷く。


「そう、俺は最後のポイント全てをVITではなくその上の項目であるBUSTに振ってしまっていたんだ。出来上がったエスカを見て最初は驚愕したもんだ」


 運が悪いことに当時実装されたばかりであった為、様々なバグがアナザーキャラを作る際起きており、その中に一度作ったキャラを消すと2度と同じ種族では作れなくなるというバグがあった。このバグは早めに修正パッチが当てられたが、バグの再発を恐れた運営はとある仕様を追加した。

 その仕様とは既存のアナザーキャラを作り直したい場合ミートシステムにより邂逅済みのアナザーキャラに限るというものだ。

 おまけにハガセンは一度自分の意志で決定したものをあとからキャンセルする等の場合、リアルマネーの消費かログインボーナスや大型クエスト達成時のに貰える超貴重アイテムであり主にガチャに使われるとこが多い鋼虹石はがねにじせき、通称石の消費が絶対不可欠なのだ。

 3ヵ月という時間を費やして作り出したエスカを胸が大きいという理由だけでキャンセルする勇気は俺にはなかったし、そもそもハガセンプレイヤーだった頃、一切邂逅する事はなかったのでやりたくなってもできないという方が正しいと言える。


「そっかぁ……そんな事があったんだ」

「あぁ、あっそうだ。エルフは大好きだゾ。存在自体がまさにロマンの塊って感じで――」

「へーックション!! あぁ寒い。このままじゃ風邪引いちゃう。君のエルフ愛についてはまた聞かせてもらうするよ」

「しょうがねぇなぁ」


 俺とアルジャ・岩本は服を着て脱衣所を出た。

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