105 / 151
第105話 俺、聖女と仲直りする
しおりを挟む
セリーニアを抱きかかえ、今俺は夜の帳が下りたダンジョン入り口前の広場の上空で静止していた。
「よし、広場に着いたぞ」
「ちょっと待って、入り口前で降ろしなさい」
「何だションベンか?」
「ちげーよ。良いから降ろせ」
「はいよ」
入り口までゆっくり着地しすると彼女は俺から半歩離れ、何やらブツブツ言い出した。
「えっと、なぁ、その……うぁー! もう!」
真っ白な頭を両手で掻き乱したかと思うと俺を睨みつける。
「なんだよ? あっ、やっぱりションベンがしたいのか。いや大きい方――」
「ちげーよ! その話題から離れろ! クッソ! 良いか1回しか言わねぇからよく聞け! スゥーッハァ……」
セリーニアは大きくため息をつき俺の元へと歩を進めたかと思うと、顔を伏せ俺の右手を両手で掴み出した。
「色々言って悪かった。ゴキブリとか言って……。あんたのおかげで……アー君に会えた訳だし。その……感謝……してる。――私を救い出してくれてありがとう――」
彼女の表情は屈託のない少女そのものだった。
不覚にも可愛いと思ってしまった。
「お、おう! 超余裕!」
やべ、呆気にとられてイミフな返答してしまった。
「んだよそれ。意味わかんねぇ」
「何が余裕なのじゃ? あ~あ、よく寝たのじゃ~」
脳裏にイザナミの青白い顔が浮かび上がった。
「お、イザナミ起きたか。じゃ、名残惜しいがしばしの別れと行くか」
「そうか、ここでのお前様のやりたい事は終わったんじゃな」
「ああ。そういう事だ」
「イザナミを暗闇から救い出してくれたが、お前様はもう一人救い出したのじゃなぁ。それでこそイザナミのマスター流石じゃ」
イザナミのにこやかな笑顔が脳裏に浮かぶ。
「こっ恥ずかしい事言いやがって。そんなんじゃねぇよ」
「謙遜する必要はないのに、お前様も素直じゃないの」
「言ってろ。――じゃあなイザナミ。ご苦労だった」
俺はからアジュラスⅦ式の外格が液状になり、そのまま地中へ消えていった。
「で、どうするの?」
「もう遅い、飯食って風呂入って寝ろ」
「ご飯? どこで食べるのよ?」
「俺が飯作ってやる」
「は? あんたが料理? 風呂は?」
「エントランスに青い暖簾と赤い暖簾があっただろうが赤いほうが女風呂だ。間違えて男風呂入ったりすんなよ。そうだ、お前新しい服やる。今から一緒に地下の宝物庫行って適当な服見繕ってもらえ」
「よくわかんないけどわかった……」
俺とセリーニアは広場に入り、例の少年の隣のテントに身を軽くかがめはいっていき、インベントリから鍵を取り出し回すと白い扉が現れ眩い光に包まれるとエントランスに立っていた
「あ、お帰りッス先輩。外格装着してないなんて珍しいッスね」
「おう、ただいま。大きなお世話だよ。飯にするから皆をエントランスに集めといてくれ」
「了解ッス。アーサーきゅーん!」
リンはアーサーの部屋に突撃していった。
「てめぇ! アー君に触れたらマジぶっ飛ばすからな!」
「あーハイハイ、お前は俺と来るの」
俺はキャンキャン叫んでいるセリーニアを連れて階段を降り地下へと進む。暫く降り続け金色に輝く巨大な扉が目の前に現れた。
「なにこの扉」
「宝物庫だよ」
『この扉の前に立つ者は誰ぞ?』
「扉が喋べ――!?」
相当驚いたのかセリーニアの声が裏返っている。
「ウォホン!」
俺は右手の人差し指を立てくるくる回す。
『――あのすいません。やはりゲイン様と言えどルールはルールですので――』
「知ってた。どうせ無理なんだろうなって思ってたわ」
『では僭越ながら――ゲインの飯は?』
「クソ不味い」
俺がそう言うと徐に扉が開いていく。
ちくしょう俺が何したっていうんだ。
放心状態のセリーニアの背中を押すと、奥から2足歩行の亀が近づいてきた。
「おうタートル久々。こいつに似合う服を見繕ってやってくれ」
「ゲイン様お久しゅうございます。もちろん誠心誠意お手伝いさせて頂きます。さぁ、こちらへどうぞ」
「ここの亀に付いていけばいいの?」
「そうだ。面倒な事は全部タートルがやってくれる。女ってのは服がどうのこうのってのは時間食うからな。おれは一緒には行かね。自分が気に入った衣服がありゃ勝手に着ていいぞ。お前にやる」
「女性物の衣服や装備、とりわけヒーラータイプでしたらシリーズやタイプ、季節限定のイベント物等、考慮致しまして、おおよそ467億着程ございますが、如何致しますか?」
「は? い、今なんて?」
俺は踵を返し階段へと向かう。
「じゃ、頑張って自分に合いそうな服見つけてくれや。あ、言い忘れたけどもし宝物庫の中でタートルとはぐれたらたぶん一生外には出られないと思ったほうがいい。覚悟決めろ?」
「ちょちょっと待て! 私一人でそんなに膨大な数捌けるわけない! お前面倒くさくなっただけだろ!」
「だから言ったじゃねーか。困ったらタートルに頼め。全部こいつがやってくれる。ここで待っといてやるよ」
「では、参りましょう。足元に気をつけてお進み下さい」
「クソッタレが……わかったわよ……」
タートルにエスコートされながらセリーニアは宝物庫の奥へと消えていった。
「よし、広場に着いたぞ」
「ちょっと待って、入り口前で降ろしなさい」
「何だションベンか?」
「ちげーよ。良いから降ろせ」
「はいよ」
入り口までゆっくり着地しすると彼女は俺から半歩離れ、何やらブツブツ言い出した。
「えっと、なぁ、その……うぁー! もう!」
真っ白な頭を両手で掻き乱したかと思うと俺を睨みつける。
「なんだよ? あっ、やっぱりションベンがしたいのか。いや大きい方――」
「ちげーよ! その話題から離れろ! クッソ! 良いか1回しか言わねぇからよく聞け! スゥーッハァ……」
セリーニアは大きくため息をつき俺の元へと歩を進めたかと思うと、顔を伏せ俺の右手を両手で掴み出した。
「色々言って悪かった。ゴキブリとか言って……。あんたのおかげで……アー君に会えた訳だし。その……感謝……してる。――私を救い出してくれてありがとう――」
彼女の表情は屈託のない少女そのものだった。
不覚にも可愛いと思ってしまった。
「お、おう! 超余裕!」
やべ、呆気にとられてイミフな返答してしまった。
「んだよそれ。意味わかんねぇ」
「何が余裕なのじゃ? あ~あ、よく寝たのじゃ~」
脳裏にイザナミの青白い顔が浮かび上がった。
「お、イザナミ起きたか。じゃ、名残惜しいがしばしの別れと行くか」
「そうか、ここでのお前様のやりたい事は終わったんじゃな」
「ああ。そういう事だ」
「イザナミを暗闇から救い出してくれたが、お前様はもう一人救い出したのじゃなぁ。それでこそイザナミのマスター流石じゃ」
イザナミのにこやかな笑顔が脳裏に浮かぶ。
「こっ恥ずかしい事言いやがって。そんなんじゃねぇよ」
「謙遜する必要はないのに、お前様も素直じゃないの」
「言ってろ。――じゃあなイザナミ。ご苦労だった」
俺はからアジュラスⅦ式の外格が液状になり、そのまま地中へ消えていった。
「で、どうするの?」
「もう遅い、飯食って風呂入って寝ろ」
「ご飯? どこで食べるのよ?」
「俺が飯作ってやる」
「は? あんたが料理? 風呂は?」
「エントランスに青い暖簾と赤い暖簾があっただろうが赤いほうが女風呂だ。間違えて男風呂入ったりすんなよ。そうだ、お前新しい服やる。今から一緒に地下の宝物庫行って適当な服見繕ってもらえ」
「よくわかんないけどわかった……」
俺とセリーニアは広場に入り、例の少年の隣のテントに身を軽くかがめはいっていき、インベントリから鍵を取り出し回すと白い扉が現れ眩い光に包まれるとエントランスに立っていた
「あ、お帰りッス先輩。外格装着してないなんて珍しいッスね」
「おう、ただいま。大きなお世話だよ。飯にするから皆をエントランスに集めといてくれ」
「了解ッス。アーサーきゅーん!」
リンはアーサーの部屋に突撃していった。
「てめぇ! アー君に触れたらマジぶっ飛ばすからな!」
「あーハイハイ、お前は俺と来るの」
俺はキャンキャン叫んでいるセリーニアを連れて階段を降り地下へと進む。暫く降り続け金色に輝く巨大な扉が目の前に現れた。
「なにこの扉」
「宝物庫だよ」
『この扉の前に立つ者は誰ぞ?』
「扉が喋べ――!?」
相当驚いたのかセリーニアの声が裏返っている。
「ウォホン!」
俺は右手の人差し指を立てくるくる回す。
『――あのすいません。やはりゲイン様と言えどルールはルールですので――』
「知ってた。どうせ無理なんだろうなって思ってたわ」
『では僭越ながら――ゲインの飯は?』
「クソ不味い」
俺がそう言うと徐に扉が開いていく。
ちくしょう俺が何したっていうんだ。
放心状態のセリーニアの背中を押すと、奥から2足歩行の亀が近づいてきた。
「おうタートル久々。こいつに似合う服を見繕ってやってくれ」
「ゲイン様お久しゅうございます。もちろん誠心誠意お手伝いさせて頂きます。さぁ、こちらへどうぞ」
「ここの亀に付いていけばいいの?」
「そうだ。面倒な事は全部タートルがやってくれる。女ってのは服がどうのこうのってのは時間食うからな。おれは一緒には行かね。自分が気に入った衣服がありゃ勝手に着ていいぞ。お前にやる」
「女性物の衣服や装備、とりわけヒーラータイプでしたらシリーズやタイプ、季節限定のイベント物等、考慮致しまして、おおよそ467億着程ございますが、如何致しますか?」
「は? い、今なんて?」
俺は踵を返し階段へと向かう。
「じゃ、頑張って自分に合いそうな服見つけてくれや。あ、言い忘れたけどもし宝物庫の中でタートルとはぐれたらたぶん一生外には出られないと思ったほうがいい。覚悟決めろ?」
「ちょちょっと待て! 私一人でそんなに膨大な数捌けるわけない! お前面倒くさくなっただけだろ!」
「だから言ったじゃねーか。困ったらタートルに頼め。全部こいつがやってくれる。ここで待っといてやるよ」
「では、参りましょう。足元に気をつけてお進み下さい」
「クソッタレが……わかったわよ……」
タートルにエスコートされながらセリーニアは宝物庫の奥へと消えていった。
0
お気に入りに追加
1,541
あなたにおすすめの小説
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが……
なろう、カクヨムでも投稿しています。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
転生王子の異世界無双
海凪
ファンタジー
幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。
特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……
魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!
それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!
神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜
月風レイ
ファンタジー
グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。
それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。
と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。
洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる