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第一章 妬みと裏切り
反撃
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ルナリアは不適な笑みを浮かべながら神力を練る。月の宝珠のストックはまだある。そのことに彼女は安堵しながら神力を解放する。
「トゥイン・ドゥ・レータ」
三日月型の刃が幾多にも生成され、戦虎に向かって飛んでいく。
戦虎たちは逃げることもなく避けることもなく断末魔を上げながら屠られていく。
「あら。ちょっと精神制御が強すぎるのではなくて?」
無能な魔獣使いに操られる魔獣こそ哀れとも言えよう。本来であればある程度の思考余地を残すのではあるが、いかんせん戦虎は闘争本能が強すぎる為、自由意志をもたせると暴走する恐れがある。
とは言え、ここまで強い精神制御をかけられると、死ぬまでその歩みを止めない死に兵になるのだ。
ある意味で恐ろしくもあるが、圧倒的戦力差があれば、それもさしたる脅威ではなかった。
「トゥイン・ドゥ・レータ」
ルナリアは再び神力を練り、解放する。
敵を蹴散らしながら、その目は魔獣使いへと移っていた。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「リルル!誘い込むぞ。背後から攻撃しろ!」
「ええ!父様!まかせて」
ガムジンは小型円盾を眼前に構えながら投擲ナイフで牽制しながらヘイトを稼ぐ。
戦虎は怒り狂いながらガムジンへ飛びかかるも、彼の巧みな盾捌きにより押し返される。
一瞬体勢を崩しながらも猫科のしなやかさを披露し、華麗に着地する。
刹那、閃光が煌めく。
リルルの放った両刃の短剣の一撃が寸分違わず戦虎の首筋を貫く。
どすんと地に響く音を鳴らしながら倒れ込む魔獣。リルルの駿足と懐に飛び込む度胸は、女戦士の中でも際立っていた。
「よくやった。リルル!」
「父様の盾のお陰よ!次もいきましょ!」
ガムジン親子の奮戦もあり、月の戦士たちの士気はさらに高まっていく。
月影の導師の支援を受けながら、彼らは次々と魔獣を屠っていく。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
一方でプロミネンスは、魔獣使いの男を追い詰めていた。
「ていうか、あんたがなんでここにいるのさ?」
「それはこっちの台詞だぜ。プロミネンスのねえちゃんよぉ」
「あんたは確かにあたしが捕まえて投獄したはず」
「へんっ!スタミアールの旦那は話がわかる人だったぜぃ?」
「そういうことか」
プロミネンスは吐き捨てると、神装バルムントを構えた。
「悪魔クルディオ。もう一度お仕置きが必要なようね?」
「ぬかせ!」
プロミネンスが確かに捕縛したはずの悪魔クルディオ。
彼はスタミアールの手によりその縛を解かれ、こうして刺客として姉妹神に牙を剥いている。
(なりふり構わぬって?本当にサイテー野郎だね!)
プロミネンスは怒りに歯軋りをした。
「トゥイン・ドゥ・レータ」
三日月型の刃が幾多にも生成され、戦虎に向かって飛んでいく。
戦虎たちは逃げることもなく避けることもなく断末魔を上げながら屠られていく。
「あら。ちょっと精神制御が強すぎるのではなくて?」
無能な魔獣使いに操られる魔獣こそ哀れとも言えよう。本来であればある程度の思考余地を残すのではあるが、いかんせん戦虎は闘争本能が強すぎる為、自由意志をもたせると暴走する恐れがある。
とは言え、ここまで強い精神制御をかけられると、死ぬまでその歩みを止めない死に兵になるのだ。
ある意味で恐ろしくもあるが、圧倒的戦力差があれば、それもさしたる脅威ではなかった。
「トゥイン・ドゥ・レータ」
ルナリアは再び神力を練り、解放する。
敵を蹴散らしながら、その目は魔獣使いへと移っていた。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「リルル!誘い込むぞ。背後から攻撃しろ!」
「ええ!父様!まかせて」
ガムジンは小型円盾を眼前に構えながら投擲ナイフで牽制しながらヘイトを稼ぐ。
戦虎は怒り狂いながらガムジンへ飛びかかるも、彼の巧みな盾捌きにより押し返される。
一瞬体勢を崩しながらも猫科のしなやかさを披露し、華麗に着地する。
刹那、閃光が煌めく。
リルルの放った両刃の短剣の一撃が寸分違わず戦虎の首筋を貫く。
どすんと地に響く音を鳴らしながら倒れ込む魔獣。リルルの駿足と懐に飛び込む度胸は、女戦士の中でも際立っていた。
「よくやった。リルル!」
「父様の盾のお陰よ!次もいきましょ!」
ガムジン親子の奮戦もあり、月の戦士たちの士気はさらに高まっていく。
月影の導師の支援を受けながら、彼らは次々と魔獣を屠っていく。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
一方でプロミネンスは、魔獣使いの男を追い詰めていた。
「ていうか、あんたがなんでここにいるのさ?」
「それはこっちの台詞だぜ。プロミネンスのねえちゃんよぉ」
「あんたは確かにあたしが捕まえて投獄したはず」
「へんっ!スタミアールの旦那は話がわかる人だったぜぃ?」
「そういうことか」
プロミネンスは吐き捨てると、神装バルムントを構えた。
「悪魔クルディオ。もう一度お仕置きが必要なようね?」
「ぬかせ!」
プロミネンスが確かに捕縛したはずの悪魔クルディオ。
彼はスタミアールの手によりその縛を解かれ、こうして刺客として姉妹神に牙を剥いている。
(なりふり構わぬって?本当にサイテー野郎だね!)
プロミネンスは怒りに歯軋りをした。
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