破滅ルートを全力で回避したら、攻略対象に溺愛されました

8

数日後、私たちは王都の近くの田舎町に到着した。そこは穏やかで、のどかな雰囲気に包まれていた。エドワードは町長を訪ね、私の素性を打ち明けた。すると彼は驚きと喜びが入り混じった表情を浮かべた後、私たちに優しく接してくれたのだ。


「ようこそおいでくださいました」


町長はとても親切な人だった。私たちのために部屋を提供してくれただけでなく、食事や宿代まで援助してくれたのである。


「本当にありがとうございます」


私は感謝の気持ちを込めて頭を下げた。エドワードもリリアンも同様にお辞儀をした。


「いえいえ、当然のことですよ」町長は笑顔で答えた。そして続けた。「あなた方がここに滞在している間に、何か困ったことがあれば遠慮なくおっしゃってください」


その夜、私たちは町長から紹介された宿屋に泊まった。部屋は広く清潔で、ベッドもふかふかだった。窓の外には美しい星空が広がり、小鳥たちの囀りが聞こえてくる。そんな環境の中で、私の心は少しずつ落ち着きを取り戻していった。


「ロザリンド、大丈夫？」エドワードが優しく声をかけてくれた。私は微笑みながら頷いた。


「ええ、大丈夫です」


エドワードは私の隣に座り、そっと手を握ってきた。その手から伝わる温もりは、どんな不安も取り除いてくれるような気がした。私たちはしばらくの間黙って寄り添っていた。やがてエドワードが口を開いた。


「これからどうしようか……」


リリアンが彼の隣に座り、言った。「まずは安全な場所に身を潜めましょう」


「そうだな……でもどこに行けばいいんだろう？」


その時、部屋のドアがノックされた。


「はい、どなたですか？」


私が尋ねると、数人の男たちが部屋に乱入してきた。


「エドワード殿下だな」先頭にいた男が言った。


「我々は王命により、貴殿を捕らえに来た」


エドワードの顔が青ざめるのが分かった。恐怖と絶望が入り混じった表情を浮かべている。私は彼を庇うように前に出た。リリアンも私と並ぶようにして立つ。


「エドワード殿下は渡さない」私は男たちを睨みつけながら言った。


「ならば、力ずくで奪うまでだ！」男たちは私たちに向かって襲いかかってきた。


「風の刃よ！」リリアンが呪文を唱えた。彼女の杖の先から放たれた風の刃は男たちを切り裂き、壁に叩きつけた。


「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ！！！！！！！！」男たちは悲鳴を上げる。私はすかさず次の魔法を唱えた。


「炎の矢よ！ 敵を貫け！」私の指先から放たれた炎の矢が次々と男たちに命中していく。


「ぐわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁっ！！！！！！！！」


男たちは炎に包まれて倒れた。しかし、一人だけまだ立っている者がいた。リーダー格と思われるその男は不敵な笑みを浮かべていた。


「なかなかやるじゃないか、小娘ども」


男は剣を抜き、こちらに向かってきた。私は咄嵯に身をかわしたが、男は私ではなくリリアンを狙ったようだ。彼女の右腕を斬りつけたのだ。


「きゃぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁっ！！！！！！！！」


リリアンは悲鳴を上げる。傷口からは血が溢れていた。


「リリアン！」


エドワードは彼女の元に駆け寄ると、回復魔法を唱えた。淡い光が彼女を包み込み、傷口を癒していく。しかし完全に回復する前に、男は再び襲いかかってきた。今度は私の番だ！ 私は杖を構え、呪文を唱えた。「氷の刃よ！ 貫け！」鋭い氷柱が男に向かって飛んでいく。男はそれを剣で払い落とした。


「なかなかやるようだな」男がニヤリと笑った瞬間、私は呪文を唱えた。「雷光よ！ 轟け！」バリバリッという音と共に激しい稲妻が男に直撃した。男は悲鳴を上げて倒れた。どうやら気絶しているようだ。


エドワードとリリアンはほっとした表情を浮かべていた。私もまた安堵のため息をついたのだった……。


その後、私たちは男たちを拘束し、町長に報告した。町長はすぐに兵士たちを手配し、男たちを捕らえたのだった。


「ありがとうございます、エドワード殿下」町長は感謝の言葉を述べた。


「いえ、当然のことをしたまでです」エドワードが答えた。


「本当に助かりました」リリアンも頭を下げた。


私たちは宿屋に戻り、休息を取った後、再び旅に出たのだった……。