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翌日、私はエドワードと一緒に王宮を訪れていた。国王陛下に呼ばれていたのだ。
「よく来てくれたね」
「いえ、お呼びいただき光栄です」
エドワードが畏まって挨拶をする。私も彼に倣い頭を下げた。そして顔を上げると国王陛下と目が合う。彼は優しく微笑むと口を開いた。
「ロザリンド嬢も元気そうで何よりだ」
「お陰様で……」
私はぺこりとお辞儀をすると感謝の意を伝えるために笑みを浮かべた。そんな私を国王は興味深げに見つめていたが、やがて口を開いた。
「ロザリンド嬢はエドワードと結婚して幸せかい?」
「ええ……もちろんですわ」
私は笑顔で答える。すると国王陛下も満足そうに笑った。
「そうか、それは良かった」
そう言うと彼は立ち上がり私の前まで歩いてくると跪いた。そして私の手を取るとその甲に軽く口付けをする。突然の事に驚いていると彼はそのまま話し出した。
「どうかこれからも我が国のために尽くして欲しい」
「はい! 勿論です!」
私が元気よく返事をすると彼は満足げに微笑み立ち上がった。そして、そのまま部屋を出ていったのだった。
「はぁ……緊張したわ」
私は胸を撫で下ろしながら呟いた。まさか国王陛下に謁見することになるとは思わなかったのだ。
「ロザリンドなら大丈夫さ」
エドワードはそう言うと私の頭を撫でた。その優しさが嬉しかった。
「ありがとう……」
その後、私たちは国王陛下との謁見を終えた後、王宮を後にした。帰り際にフィーナの姿を見つけたが彼女は私に見向きもせずエドワードに駆け寄っていた。
「エドワード様ぁ!」
「おっと……どうしたんだい?」
「えへへ、会いたくなっちゃったんですぅ」
フィーナは甘えたような声を出す。そんな彼女をエドワードは優しく受け止めていた。その様子を見て胸がチクリと痛むのを感じる。
「ちょっと! エドワード様から離れなさいよ!」
私は思わず叫んでしまった。だが、フィーナは気にする様子もなく私に視線を向けるとニヤリと笑った。その笑みを見た瞬間背筋に悪寒が走った。
「何よ……あんたなんかお呼びじゃないんだけど」
フィーナが冷たく言い放つ。その瞳には敵意が込められていた。私は怯みそうになる心を叱咤して睨み返す。すると彼女は嘲笑うように鼻を鳴らした。
「ふんっ! せいぜい頑張ってよね!」
それだけ言うとフィーナは去って行ったのだった。残された私とエドワードは呆然と立ち尽くしていた。
「ロザリンド……大丈夫?」
エドワードが心配そうに声をかけてくれる。私はハッとして慌てて笑顔を取り繕った。
「ええ、大丈夫よ」
「……無理しなくていいんだよ?何かあったらすぐに言うんだよ?」
エドワードは私の頭を優しく撫でてくれる。その優しさに涙が出そうになったがグッと堪えたのだった。
「ありがとう……エドワード」
「どういたしまして」
エドワードはそう言うと私の額に軽く口付けをした。それだけで不安が消えていくのを感じたのだった。
「ねぇ、ロザリンド」
エドワードは私に問いかける。その瞳には心配の色が滲んでいた。私は微笑みながら答える。すると彼は安心したように微笑んだのだった。
「良かった……やっぱりロザリンドの笑顔が一番可愛いよ」
「……もう!恥ずかしいからやめてよね!」
私は照れ隠しにそっぽを向く。しかし、内心はとても嬉しかった。彼が私のことを想ってくれているという事が伝わってくるからだ。
「ごめんごめん、つい本音が出ちゃってね」
エドワードはそう言って私の頭を再び撫でる。その手つきはとても優しかった。私は思わず目を細める。するとエドワードはクスッと笑った後に言った。
「好きだよ、ロザリンド」
「……私も好きよ……エドワード」
私達は見つめ合うとどちらからともなく唇を重ねたのだった……。
「よく来てくれたね」
「いえ、お呼びいただき光栄です」
エドワードが畏まって挨拶をする。私も彼に倣い頭を下げた。そして顔を上げると国王陛下と目が合う。彼は優しく微笑むと口を開いた。
「ロザリンド嬢も元気そうで何よりだ」
「お陰様で……」
私はぺこりとお辞儀をすると感謝の意を伝えるために笑みを浮かべた。そんな私を国王は興味深げに見つめていたが、やがて口を開いた。
「ロザリンド嬢はエドワードと結婚して幸せかい?」
「ええ……もちろんですわ」
私は笑顔で答える。すると国王陛下も満足そうに笑った。
「そうか、それは良かった」
そう言うと彼は立ち上がり私の前まで歩いてくると跪いた。そして私の手を取るとその甲に軽く口付けをする。突然の事に驚いていると彼はそのまま話し出した。
「どうかこれからも我が国のために尽くして欲しい」
「はい! 勿論です!」
私が元気よく返事をすると彼は満足げに微笑み立ち上がった。そして、そのまま部屋を出ていったのだった。
「はぁ……緊張したわ」
私は胸を撫で下ろしながら呟いた。まさか国王陛下に謁見することになるとは思わなかったのだ。
「ロザリンドなら大丈夫さ」
エドワードはそう言うと私の頭を撫でた。その優しさが嬉しかった。
「ありがとう……」
その後、私たちは国王陛下との謁見を終えた後、王宮を後にした。帰り際にフィーナの姿を見つけたが彼女は私に見向きもせずエドワードに駆け寄っていた。
「エドワード様ぁ!」
「おっと……どうしたんだい?」
「えへへ、会いたくなっちゃったんですぅ」
フィーナは甘えたような声を出す。そんな彼女をエドワードは優しく受け止めていた。その様子を見て胸がチクリと痛むのを感じる。
「ちょっと! エドワード様から離れなさいよ!」
私は思わず叫んでしまった。だが、フィーナは気にする様子もなく私に視線を向けるとニヤリと笑った。その笑みを見た瞬間背筋に悪寒が走った。
「何よ……あんたなんかお呼びじゃないんだけど」
フィーナが冷たく言い放つ。その瞳には敵意が込められていた。私は怯みそうになる心を叱咤して睨み返す。すると彼女は嘲笑うように鼻を鳴らした。
「ふんっ! せいぜい頑張ってよね!」
それだけ言うとフィーナは去って行ったのだった。残された私とエドワードは呆然と立ち尽くしていた。
「ロザリンド……大丈夫?」
エドワードが心配そうに声をかけてくれる。私はハッとして慌てて笑顔を取り繕った。
「ええ、大丈夫よ」
「……無理しなくていいんだよ?何かあったらすぐに言うんだよ?」
エドワードは私の頭を優しく撫でてくれる。その優しさに涙が出そうになったがグッと堪えたのだった。
「ありがとう……エドワード」
「どういたしまして」
エドワードはそう言うと私の額に軽く口付けをした。それだけで不安が消えていくのを感じたのだった。
「ねぇ、ロザリンド」
エドワードは私に問いかける。その瞳には心配の色が滲んでいた。私は微笑みながら答える。すると彼は安心したように微笑んだのだった。
「良かった……やっぱりロザリンドの笑顔が一番可愛いよ」
「……もう!恥ずかしいからやめてよね!」
私は照れ隠しにそっぽを向く。しかし、内心はとても嬉しかった。彼が私のことを想ってくれているという事が伝わってくるからだ。
「ごめんごめん、つい本音が出ちゃってね」
エドワードはそう言って私の頭を再び撫でる。その手つきはとても優しかった。私は思わず目を細める。するとエドワードはクスッと笑った後に言った。
「好きだよ、ロザリンド」
「……私も好きよ……エドワード」
私達は見つめ合うとどちらからともなく唇を重ねたのだった……。
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