転生したらただの女子生徒Aでしたが、何故か攻略対象の王子様から溺愛されています

18

ある日のこと、私たちは海へ出かけることになった。メンバーは私、ラインハルト様、フィーナ様、そしてリチャード様の四人だ。


「海に行くのは初めてだから楽しみだわ」


フィーナ様が目を輝かせて言うと、ラインハルト様も笑顔で頷いた。


「私もだよ。でもクロエは大丈夫？ 無理してないかい？」と心配そうな顔で尋ねられたので私は慌てて首を横に振ったのだ。


「いえ、大丈夫です！ むしろ誘っていただけてとても嬉しいです」


そんなやり取りを聞いていたリチャード様が笑いながら言った。


「二人とも仲がいいね、まるで恋人同士みたいだ」


その言葉に二人は同時に反応した。そしてお互いに顔を見合わせた後で照れくさそうに笑ったのだった……。


「さあ、そろそろ行こうか」


私たちは馬車に乗り込み出発した。窓から見える景色が次々と流れていき、あっという間に目的地に到着したようだ。


「わぁ……綺麗……」


目の前に広がる光景に私は思わず感嘆の声を上げた。どこまでも続く青い空に白い砂浜、そして遠くには水平線が見える。その光景はまるで一枚の絵画のようだったのだ。私たちはしばらく海を眺めた後、荷物を置いて着替えることにした。それぞれ更衣室に入り水着に着替える。先に出てきたラインハルト様を見て驚いた。彼の引き締まった肉体美に目を奪われてしまったのだ……。


「ラインハルト様、素敵です……」


思わず呟くと彼は照れ臭そうに笑った。そして私の水着姿を見てさらに顔を赤くしたのだった……。


「クロエの水着姿も可愛いよ」


そう言われて私も恥ずかしくなって俯いてしまった。するとリチャード様が近づいてきて言ったのだ。


「クロエ、似合ってるよ」


その言葉に顔を上げると、彼は優しく微笑んでくれた。その笑顔を見た瞬間、胸が高鳴るのを感じたのだった……。


「ビーチバレーをしようじゃないか」


リチャード様の提案で私たちはビーチバレーをすることになった。私とリチャード様のペアと、ラインハルト様とフィーナ様のペアに分かれて勝負することになった。


「いくぞ、クロエ」


「はい！」


ボールが宙を舞い、それを追いかけて手を伸ばす。しかしあと少しのところで届かずに地面に叩きつけられてしまった……。その後も何度も挑戦したが結局一度も勝つことはできなかったのだった……。


「なかなか難しいですね……」


私が肩を落とすとリチャード様が慰めるように言った。


「初めてにしては上出来だったと思うよ」


その言葉に少しだけ救われた気がした。そして今度はフィーナ様と一緒にプレーすることにしたのだ。すると彼女は優しく微笑んで言ったのである。


「クロエちゃん、一緒に頑張ろうね」


その言葉に私も笑顔で応えた。こうして二対一の勝負が始まったのだ。


「さあ、クロエ、次は私たちの番だよ！」


フィーナ様の明るい声に元気づけられ、私は気持ちを新たにビーチバレーに臨んだ。リチャード様とラインハルト様は余裕の表情を浮かべているが、私たちも負けてはいられない。


「サーブは任せて！」


フィーナ様がボールを高く上げると、素早く鋭いサーブを放った。リチャード様は驚いた表情でボールを追ったが、彼の手をすり抜けて地面に落ちた。


「やったわ、ナイスサーブ！」


フィーナ様とハイタッチを交わし、私は次のプレーに備えた。私たちは息を合わせて攻め続け、ポイントを重ねていく。ラインハルト様とリチャード様も本気になり、試合は白熱した展開となった。


「クロエ、ボールが来るよ！」


フィーナ様の声に反応し、私は全力でボールを追った。ギリギリでボールを拾い上げ、フィーナ様にパスする。彼女は絶妙なスパイクを決め、私たちは歓声を上げた。


「いい連携だね、クロエ」


フィーナ様の褒め言葉に、私の胸は温かくなった。試合は互角のまま続き、最後のポイントをかけたラリーに突入した。緊張感が高まり、誰もが息を呑んで見守る中、リチャード様が高くジャンプし、強烈なスパイクを放った。


「負けないわ！」


フィーナ様がそのスパイクをブロックし、ボールはラインハルト様の元へと返された。彼もまた全力で応戦するが、最後の一撃を放ったのはフィーナ様だった。ボールはネットを越えて地面に突き刺さり、試合は私たちの勝利で幕を閉じた。


「やった！ 勝ったよ、クロエ！」


フィーナ様と抱き合って喜びを分かち合った。ラインハルト様とリチャード様も負けを認め、笑顔で祝福してくれた。


「素晴らしい試合だったね。クロエもフィーナも、本当に頑張ったよ」


ラインハルト様が称賛の言葉をかけてくれ、私たちは嬉しさに包まれた。


「さあ、次は泳ぎましょうか」


リチャード様が提案し、私たちは海に向かった。水の中に飛び込むと、ひんやりとした感触が心地よかった。泳いだり、波と戯れたりしながら、楽しい時間が過ぎていった。


「この海の美しさ、ずっと忘れないわ」


フィーナ様が海を見つめながら言った。その言葉に私も深く同意し、この一日の思い出が心に刻まれたことを感じたのだった。

夕暮れが近づくと、私たちは砂浜に戻り、夕陽が沈む様子を静かに眺めた。空がオレンジ色に染まり、水平線が美しく輝く。そんな景色を見ながら、私は心の中で祈った。


「この幸せな時間が、いつまでも続きますように」


そして、みんなで手をつないでその場に立ち、ゆっくりと夜の訪れを迎えたのだった。