転生したらただの女子生徒Aでしたが、何故か攻略対象の王子様から溺愛されています

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次の日、私はいつものように図書館で本を読み漁っていると、不意に声をかけられた。振り向くとそこにはラインハルト様とフィーナ様の姿があったのだ。


「こんにちは、クロエ」


二人揃って挨拶をしてくるので私も頭を下げて挨拶を返すと、彼らは私の向かい側の席に腰掛けたのだった……。


「あの、何か御用でしょうか……？」


恐る恐る尋ねると、ラインハルト様はニッコリと笑って答えた。


「実は今度開かれる貴族のパーティーにクロエをお誘いしようと思って来たんですよ」


その言葉に驚いて固まってしまった私だったが、すぐに我に返って慌てて首を振った。


「そんな！貴族のパーティーなんて私にはとても……」


そんな私の言葉を聞いてもラインハルト様は全く動じることなく話を続けたのである……。


「大丈夫ですよ、心配しなくても。今回はあくまでも身内だけの小規模なパーティーですから、気楽に参加していただければ結構ですよ」


そう言って微笑む彼に対して私は何も言えず黙り込んでしまうのだった……。すると今度はフィーナ様が口を開いたのである。


「……私も一緒に行くので心配しないでください」


その言葉に、さらに困惑してしまう私だったがそんな彼女の様子を見たラインハルト様は苦笑いを浮かべて言ったのだ。


「フィーナ、それでは逆効果だよ」


しかし彼女は全く気にすることなく続けたのである。


「だって本当のことですから」


そしてそのまま私の手を取って立ち上がらせると言ったのだ。


「さぁ行きましょう！」


そんな彼女の勢いに押されてしまった私は断ることもできずに結局一緒に行くことになってしまったのだった……。その後、馬車に乗って会場へと向かう間ずっと二人は楽しそうに話をしていたのだが私はというと緊張で一言も喋れずにただ俯いていただけだった……。


◇


会場に着くとそこはまるで別世界のようだった。煌びやかなシャンデリアや豪華な料理、そして美しいドレスに身を包んだ女性たちが大勢いて華やかさが満ち溢れていたのだ。


「大丈夫ですよ、クロエ」


そんな光景に圧倒されていると、フィーナ様が私の手を優しく握って微笑んでくれたおかげで少しだけ落ち着きを取り戻すことができたのである。


「はい、ありがとうございます」


お礼を言うと、彼女は嬉しそうに微笑んでくれたのだった……。それからしばらくすると会場の照明が落とされて音楽が流れ始めた。そして、いよいよパーティーの始まりである。


「いよいよパーティーの始まりだね」とラインハルト様が言い、私たちを中央のホールへと導いてくれた。周囲には笑顔で談笑する貴族たちが集まっていて、私のような一般市民には到底馴染めない空間だった。けれど、フィーナ様が手を引いてくれているおかげで、少しずつ緊張が解けていくのを感じた。


「クロエ、こちらに来てくれないか？」


ラインハルト様の声に従って振り向くと、彼は大きなテーブルの近くで待っていた。テーブルには様々な料理が並べられており、その香りだけで食欲をそそられた。


「どうぞ、遠慮せずに召し上がってください」とラインハルト様が勧めてくれるので、私は小さな一皿を取り、一口食べてみた。口の中で広がる美味しさに驚き、ついもう一口、もう一口と食べ進めてしまった。


「美味しいですね……」


思わず感想を口にすると、フィーナ様も同意するように頷いた。


「本当に。こういう場所での料理は特別だから、楽しんで」


私は彼女の言葉に励まされながら、少しずつ緊張をほぐしていった。その時、ホールの中央で人々が円を作り始めた。


「何が始まるんでしょうか？」と私はフィーナ様に尋ねた。


「ダンスが始まるんです。貴族のパーティーではよくあることなんですよ」と彼女は答えた。


「クロエ、踊ったことはありますか？」とラインハルト様が尋ねた。


「いいえ、踊りなんて全然……」


私は恥ずかしそうに首を振った。それを見たラインハルト様は優しく微笑みながら手を差し出した。


「では、私が教えてあげましょうか？」


私は驚いて目を見開いた。ラインハルト様が私に踊りを教えてくれるなんて、夢のようだった。


「でも……」


「大丈夫ですよ、クロエ。私も一緒にいますから」


フィーナ様が優しく背中を押してくれるので、私は思い切ってラインハルト様の手を取った。


「よろしくお願いします……」


ラインハルト様の手は温かく、その優しい瞳に見つめられていると、少しずつ不安が和らいでいくのを感じた。彼のリードに従いながら、私はぎこちなくも一歩一歩を踏み出した。周囲の視線が気になるけれど、ラインハルト様の穏やかな声に導かれ、次第に音楽に身を委ねることができた。


「上手ですよ、クロエ。もう少し自信を持って」


その言葉に励まされて、私は少しだけ胸を張って踊り続けた。そして、フィーナ様も一緒に踊り始め、私たち三人はまるで一つの調和を奏でるように踊り続けた。


その夜、パーティーは続き、笑顔と音楽が絶えなかった。私は少しずつ、この世界にも馴染んでいけるかもしれないという希望を胸に抱きながら、ラインハルト様とフィーナ様の温かさに感謝していた。