上 下
23 / 30

23

しおりを挟む
翌日、新たな仲間であるタマモを連れて、次元鏡で異世界へと移動した。


「ここが異世界……なんだか不思議な感じね」


タマモは興味深そうに周囲を見回す。


「さて、まずはタマモの冒険者登録からだな」


俺たちは冒険者ギルドへ向かうことにした。受付に行き、登録の手続きを行うことにする。タマモは文字を読むことができないので俺が代わりに書類に記入していく。一通り書き終えたところで、受付嬢に声をかけた。


「すみません、お願いします」


すると受付嬢が笑顔で対応してくれた。


「はい! ではこちらに手を置いてください!」


タマモは言われた通りに手を置く。すると受付嬢が驚いた声を上げた。


「これは……凄い! Aランクの冒険者と同等の実力を持っているみたいですね!」


「当り前よ、私は1000年以上も生きてるんだから」


タマモが自慢げに胸を張る。


「では登録手続きを行いますので、少々お待ちください!」


受付嬢が席を外している間、俺はタマモに話しかけた。


「1000年か……すごいな」


「ふふ、もっと褒めてもいいのよ?」


タマモは得意げに笑う。


「お待たせしました! こちらが冒険者カードになります」


受付嬢から手渡されたのは一枚のカードだった。そこには名前や年齢などの情報が記されている。


「ありがとう」


俺が礼を言うと、彼女は笑顔で会釈した。その後、俺たちは掲示板で依頼を探すことにした。


「どんな依頼がいいだろうか……」


俺が悩んでいると、タマモが横から覗き込んできた。


「ねぇ、これなんかどう?」


彼女が指差したのは盗賊団の討伐依頼だった。報酬もそこそこ高額のようだ。俺はそれを承諾すると受付へと持っていく。手続きを済ませた後、早速出発した。目的地までは徒歩だと半日程度かかるらしいので馬車をレンタルすることにした。御者に代金を支払い乗り込むと、ゆっくりと進み始めた。


「さて、この調子でいけば今日中には到着できそうだな」


俺は御者台に座るリザに話しかける。


「うむ、だが油断は禁物だぞ?」


リザの言葉にタマモが反応した。


「そうよ、いざという時は私が守ってあげるから安心なさい!」


「ああ、頼りにしてるよ」


そんなやり取りをしているうちに、馬車は目的地へと到着した。


「あそこが盗賊団のアジトみたいね」


タマモが指差した先には、巨大な洞窟があった。入口には見張りらしき男が立っている。


「よし、まずはあいつを倒さないとな……」


俺は剣を構えると、男に向かって走り寄った! そして素早く斬りつけると、男は悲鳴を上げながら倒れた。俺たちはそのまま洞窟の中へと入っていく。中はかなり広くなっており、迷路のようになっていた……。


「これは迷っちまいそうだな……」


俺が呟くと同時に、背後から何者かの足音が聞こえた! 振り向くと、そこには数人の盗賊たちがいた。


「なんだぁ? お前らは?」


リーダーらしき男がこちらに近づいてくる。俺は剣を構えた。するとタマモが前に出て口を開く。


「私たちは冒険者よ! あなたたちを倒しに来たの!」


タマモの言葉を聞いて、男たちはゲラゲラと笑った。


「おいおい、俺たちを倒すだって?馬鹿じゃねぇのか?」


「俺たちゃ泣く子も黙る『赤い髑髏』だぜ? そんな簡単に倒せると思うなよ?」


男たちが武器を構えると、一斉に襲いかかってきた!


「ふんっ!」


勝負は一瞬でついた。タマモが狐火を放ち、盗賊たちを焼き尽くす!


「ギャアアッ!」


断末魔の叫びを上げながら倒れていく盗賊たち……そして最後にリーダーの男だけが残った。男は怯えた表情を浮かべている。


「ま、待ってくれ! もう悪さはしないから命だけは助けてくれぇ……」


男は必死に懇願するが、タマモは聞く耳を持たなかった。彼女はゆっくりと男に近づくと、その首をへし折った。


「……これで全員ね」


タマモの言葉に俺たちは頷く。


「よし、それじゃあギルドに報告に戻るか」


こうして盗賊団を討伐した俺たちはギルドへと報告に戻った。その後、報酬を受け取ると街の食堂で街の食堂で一息つくことにした。テーブルに着くと、ウェイトレスが注文を取りに来た。


「ご注文は何にしますか?」


「じゃあ、俺はミートパイとエールを頼むよ」と俺は言った。


タマモは目を輝かせながらメニューを眺めていた。「私は魚のフライとワインをお願いするわ」


リザはしばらく考えてから「私は野菜スープとパンでいいぞ」と注文した。


ウェイトレスが注文を書き留めて去ると、タマモが話し始めた。


「今日の仕事、思ったより簡単だったわね。あの程度の相手なら私一人でも十分だったわ」


「確かに強かったな。でも油断は禁物だ。次はもっと手ごわい相手かもしれない」と俺は言った。


リザが頷いて「そうだな。今回は上手くいったが、常に警戒を怠らないことが大切だ」


食事が運ばれてくると、タマモは美味しそうに食べ始めた。しばらく黙って食事を楽しんだ後、俺は次の行動について話を切り出した。


「さて、明日はどうする? また依頼を探すか?それとも街を探索するか?」


タマモは興味深そうに「この世界のことをもっと知りたいわ。街を歩き回ってみない?」と提案した。


リザは「依頼をこなすのも大事だが、この世界に慣れることも必要だな。街の探索に賛成だ」


俺も同意して「よし、決まりだ。明日は街を探索しよう。きっと面白い発見があるはずだ」


食事を終えると、俺たちは宿屋に向かった。部屋に入ると、疲れが一気に押し寄せてきた。


「今日は良く頑張ったな。ゆっくり休もう」と俺は言った。


タマモは伸びをしながら「そうね。明日も楽しみだわ」


リザも「うむ。良い夢を」と言って、各々のベッドに横たわった。


明日はどんな発見が待っているのだろうか。俺は期待に胸を膨らませながら、静かに目を閉じた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜

平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。 『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。 この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。 その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。 一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。

突然シーカーになったので冒険します〜駆け出し探索者の成長物語〜

平山和人
ファンタジー
スマートフォンやSNSが当たり前の現代社会に、ある日突然「ダンジョン」と呼ばれる異空間が出現してから30年が経過していた。 26歳のコンビニアルバイト、新城直人はある朝、目の前に「ステータス画面」が浮かび上がる。直人は、ダンジョンを攻略できる特殊能力者「探索者(シーカー)」に覚醒したのだ。 最寄り駅前に出現している小規模ダンジョンまで、愛用の自転車で向かう大地。初心者向けとは言え、実際の戦闘は命懸け。スマホアプリで探索者仲間とダンジョン情報を共有しながら、慎重に探索を進めていく。 レベルアップを重ね、新しいスキルを習得し、倒したモンスターから得た魔石を換金することで、少しずつではあるが確実に成長していく。やがて大地は、探索者として独り立ちしていくための第一歩を踏み出すのだった。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

処理中です...